※冒頭追加

いつもは、(都合でズレもありますが)木曜日更新を11:00に設定しているのですが、書き終えたら慌てて更新したことに、今、気づきました。ただいま、2020年4月9日の午前9時12分過ぎですが、気になる方は東映chで当作再々放送後の午前11時まで、読むことを待っていただきたいと思います。大変失礼しました<(_ _)>

 

 

※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#762  若き十七才哀歌

 

 

 

(本放送)・・・1976年6月23日

(再放送)・・・2020年4月2日

(脚本)・・・元持栄美

(監督)・・・伊賀山正光

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

松木部長刑事(早川雄三)、戸川刑事(一の瀬玲奈)、石原刑事(吉田豊明)、

水木刑事(水木襄)、畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

下塚誠、山田正直、浅路ひろみ、太田登、中沢清三、渡辺義文、古谷徹、山崎満、

木村修、小野田英一、佐藤巧、露原千草、石垣守一、木島進介、杉義一、

大坪日出代、高野真二

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

灰色の受験地獄・・・。

異性への愛・・・。

友情と裏切り・・・。

複雑に揺れ動く高校生たち・・・。

ひとりの少女の妊娠事件をきっかけに、進学グループと就職グループの反目が爆発、

暴力事件へと発展した!

・・・・・(取調室で、学生に訊問する松木、畑野、水木の場面)

学生 「刑事さん・・・、俺がやりました」(と、頭を下げる)

松木 「ようし、友達のこと、庇うのもそれくらいでいいだろう!」

学生 「・・・友達・・・?」

畑野 「○○○がな、自首してきたよ、今!」

学生 「・・・自首・・・? 嘘だよ、○○○じゃない! 

    俺だよ、俺がやったんだよ!」

・・・・・(以下、ナレーション)

お互いに、相手を庇い合うふたり・・・。

それは、友情の表れか?

または、別の理由からか?

次回、特捜隊、「若き十七才哀歌」、御期待ください。

 

※ 本篇視聴で影響の有りそうな部分を、省略・伏字にしています。

 

 

(備考)・・・

・オープニングとエンディングの音楽が、従来の雰囲気仕様に変更される(ただし、音楽担当は"横田年昭とビート.ゼネレーション"のまま、変更されていない)。

・戸川刑事(一の瀬玲奈)が初登場の回だが、紹介される場面は無い。

・出演者の太田登は、風貌から男優・太田博之の血縁者と推測するも、ソースが見つからないため、指摘のみにとどめる。

・エンディング表記に、今井=佐藤巧とあるが。劇中では「いまむら」と呼ばれているので、「今村」が正しいものとして以下では扱う。

・また、エンディング表記に徳武昌代=大坪日出代とあるが、実見すると別人のようでもあるので、以下本文では?をつけ表記した。

 

 

(視聴録)・・・開始約9分後半まで

 

進学校で名高い富士嶺高校では、中間テストの結果が校内で張り出され、各生徒が思い思いに見つめていた。そのひとり、嶋丘進学塾の講師・奈良山(高野真二)を父に持ち2人暮らしの息子・敏夫(渡辺義文)はベスト3に入ったこともあり、満面の笑みであった。その敏夫の肩を叩き、意味深に祝福したのが、同じく母でゴルフキャディー・高見(露原千草)と2人暮らしの息子・修(中沢清三)。しかし、敏夫は顔を歪め足早に立ち去る。

 

放課後となり、帰路を急ぐ生徒たちの前に、バイクに乗ったおおおか商業高校・志村孝一(山田正直)が現われ、修を呼び出すとバイクに乗せ空地へと連れていく。すると、孝一は会わせたい人がいると言い、同級生の徳武等(下塚誠)を呼ぶ。等は、父(石垣守一)、母(大坪日出代?)、中学生の弟・良二(太田登)の4人暮らし、名門の新光中学校出身で、修とは同窓であった。懐かしがる修であったが、等は、自分が三流校のおおおか商業高校に進学したことを悪く吹聴した修に、反感を持っており素っ気ない態度をとる。呼び出した本題は、等・孝一の同級・洋子(浅路ひろみ)を修が妊娠させたことであり、どうやって責任をとるのか、洋子同席のうえでの話し合いだった。しかし、修は「嘘だ」「お前たちが自分に押しつけようとしている」と暴言を吐き、泣き崩れる洋子をみた等・孝一は修をリンチにかける。。。

 

その翌日、三船主任・水木は、昨夜10時に殺害された修の現場写真(註・修は私服姿)、校章を持って、おおおか商業高校高校の教頭(山崎満)を訪ねていた。犯人はおおおか商業高校の生徒だという通報があったからだが、教頭も校章が自校のものと確認したこともあり、三船主任は本日の欠席者を調べてもらうよう依頼する。

松木・石原は、(富士嶺高校の)修の教室前で担任(杉義一)に聞きこみのため待機していたが、担任の「修の件は、動揺せずに(勉強に)頑張れ」という声が聞こえ、石原は呆れ、松木は生徒の士気に影響を与えないためなのかとも考える。そして、授業後に担任に聞きこんでも、名門校の矜持があるのか、修の件は行きずりの犯行と言い切り、関わりたくない様子がうかがえた。

 

畑野・戸川は、ゴルフ場で修の母に聞きこむ。修は親孝行で、医大進学希望だが入学金で負担をかけないよう国立合格を目指しており、昨夜8時に修あてに電話があり、相手はわからないが出かけていったことが判明するのだった・・・。

 

 

その後ストーリーは、三船主任・水木の聞きこみで、本日欠席なのは、等・孝一をリーダー格とした、田口(古谷徹)、中谷(ナカタニ、小野田英一)、今村(佐藤巧)の5人のグループとわかります。実際、5人は欠席して工場でバイト、工場長(木村修)から報酬を受け取っていたのですが、等に4人はカンパとして報酬を手渡し、受け取った等は公園で孝一と話し合います。カンパとは洋子の堕胎のため、洋子に思いを寄せる等に渡したものなのですが、等は修の方が将来性が有るからと、洋子に本心を告白せずにいたことが明らかになります。そして、孝一が富士嶺高校入試前日に母を亡くし、おおおか商業高校に入学せざるを得なかった事情から、等は孝一にグループから抜け、大学進学を目指すよう諭します。

 

そして、松木・石原は、高校受験で著名な嶋丘進学塾の宿題プリントが現場にあったことから、嶋丘進学塾を訪ね奈良山と面談します。すると、本日の授業で生徒は全員プリントを持参、欠席者はむらかみえつこ(未詳)、徳武良二ということが明らかになり、聞きこみの結果、良二が落とした可能性が高いことを三船主任へ報告します。さらに、畑野・戸川から、おおおか商業高校の5人グループでアリバイが無いのが等、孝一ということも報告され、三船主任の捜査の網はどこへ張り巡らされていくのかを興趣として、後半にストーリーは展開されます。

 

 

ありきたりの学園ドラマかと観てましたら、視点が小気味よく回っていき、予告篇もストーリーの一部に組み込まれているのかと思うほどの構成です。伊賀山正光監督ならではの、首をかしげる場面(序盤の徳武家の食卓、等の夜間外出の理由など)もあるのですが、全体としては良くまとまっていると感じました。学園ドラマの領分が、刑事ドラマを覆わないような程良いバランスであり、終盤で三船主任が松木・畑野・水木を諭す場面は、#736 ガラスの橋 での警察官・三船から踏み込んだ感が見て取れ、古臭いようですが個人的には好きな場面です。

ただ真相解明が、「人間の習性」ということでの空地での張り込みから始まるのは、やや弱い。空地での一件が事件に関連有りとするのは、遺留品から、空地=犯行現場と(視聴者には)推測するしかないので、そこに根拠を求めるのは乱暴であり、突然すぎでもあります。

 

それでも、これらの短所があまり気にならないでラストまで観れたのは、全体が上手くまとまっていると評価できるもので、伊賀山正光監督としては、#513 その夜の女 以来の佳作であり、直前作の#751 金貸し一代 よりも上手く仕上げた作品だと感じました。

当作は、男女も含めた「情」(友情、愛情、感情など)の視点展開がスムーズで

(1) 修・敏夫

(2) 修・洋子

(3) 修・等・孝一

(4) 等・孝一

(5) 等・洋子

(6) 孝一・洋子

(7) 等・孝一・田口・中谷・今村

と、同世代だけでも流れていき、非常にスムーズであります。

また、徳武家を除いて、奈良山家・高見家は父あるいは母のみの親の設定であり、志村家や洋子の家庭は、いずれも両親のいない設定で、その中での徳武家の兄=等、弟=良二に焦点を当てるように作られています。

 

残念なのは、同世代の「情」をクローズアップしているため、徳武家の兄弟の「情」については触れることが少なく、焦点を当てるだけにとどめていること。時間不足というより、新光中学校や嶋丘進学塾での、教師と生徒の「情」に重点をおいているため、ラストの盛り上がりに「兄弟」が入り込めなかったところがあります。見方によっては、両親兄弟が唯一揃った徳武家なのに、家族間の「情」が薄かったという皮肉めいたことを訴えたかったのかもしれません。が、勧善懲悪ものが好きな自分の視点では、素直に兄弟の「情」で締めて欲しかったとも。。。

 

また余談を言えば、当作のポイントゲッターでもある洋子の存在です。複数の男が夢中になる女かと「掲示板特捜隊 9」で触れられていましたが、自分が高校のとき、女子のコンビというと容姿が対照的な組み合わせが多かったのを思い出します。そして、どちらがモテるかというと、意外にも容姿が劣る方なのです。

というのは、男子は容姿端麗な方には声がかけづらく、つい相方の方に接点をとろうと声をかけます。ところが、ここで面白いことが起こるのですが、話しているうちに容姿の劣る相方のほうに、「見てくれは悪いけど、良いところがある」「顔よりも心かな」などと男子の方に気持ちの変化が起こり、いつの間にやら容姿端麗な女子は蚊帳の外、ということを見かけました。

現在ではこんなことが起こるのはまれなのでしょうが、昭和の50年代といえば、男性数が女性数を勝っていましたので、数少ない女性とどうやってつきあうか? こんな気持ちが、その当時の自分の周りの男性陣にはあったのかな。。。とも考えます。

 

あと当作は、久しぶりに三船主任が前にグイグイ出てきた作品ともいえます。近作では、2番手、3番手に控える印象が強かったのですが、当作では学生相手ということもあるのか、畑野の意見具申も封じ込め、前に出ること出ること(笑) やはり、こういう三船主任の方が、自分としては安心して観ていられます。

初登場の戸川刑事としての一の瀬玲奈は、#684 十津川絶唱#693 情熱の海#749 女ごころの謎、のゲスト出演を経てのレギュラー入り。リアルタイムで、約1年半の雌伏があったわけですが、初登場のインパクトは木塚刑事=藤山律子の#661 ある女刑事の逆襲 よりは劣ります。主演ゲストとしての女刑事か、レギュラー出演の女刑事かで異なることは承知しているのですが、戸川刑事初登場がアクション篇だったら、あるいは佐治乾脚本作品だったら、一の瀬玲奈の東映ピンキーバイオレンス色を出せたのでは・・・、とつい思うところです。