※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また、(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

1963年公開の、映画版・特別機動捜査隊全2作とは趣が異なることに注意。

 

☆・・・#661  ある女刑事の逆襲

 

 

 

(本放送)・・・1974年7月3日

(再放送)・・・2019年4月18日

(脚本)・・・佐治乾

(監督)・・・鈴木敏郎

協力)・・・無し

(協賛)・・・無し

(捜査担当・オープニング表記)・・・三船班

田中係長(山田禅二)、鑑識員(田川恒夫)、関根部長刑事(伊沢一郎)、

水木刑事(水木襄)、石原刑事(吉田豊明)、松木部長刑事(早川雄三)、

畑野刑事(宗方勝巳)、三船主任(青木義朗)

 

(出演者)・・・

藤山律子、木下清、山本相時、久米俊悦、山田光一、木村修、菊地正孝、佐々木務、

市川ひろし、松原エリ子、由起艶子、小林勝彦、石橋雅史、浜田ゆう子

 

 

(あらすじ・予告篇から)

・・・ ※当時のナレーションをそのまま聞き写しています。

 

殺人事件を捜査中の三船班に、ひとりの刑事が応援に来た。

が、その刑事は、警察学校を出たばかりの少年課の婦人警官だった。

そして、彼女は、若い女にもかかわらず、

三船主任を相手に捜査方針について真っ向から対立、

一歩も後に引かなかった。

が、事件は、若い男女の心理をよくつかんでいる彼女の活躍によって

思いのほか、早く解決するのであった・・・。

次回、特別機動捜査隊、「ある女刑事の逆襲」に御期待ください。

 

 

(備考)・・・

・オープニング表記で、田中係長=山田禅二とクレジットされているが、出演場面は見当たらない(【第4回再放送】では、このパターンが目立つ)。

・藤山律子、浜田ゆう子の共演は、#545 汚れた太陽 以来、約2年ぶり。なお、藤山律子演じる木塚刑事は、wikiには木塚ユリとあるが、当作を見た限りでは木塚由美とある。

→(追加)コメント欄で、かずさんに、「由里」にも見えるとの指摘をいただき、再見したところ、そういうふうにも見えました。そこで、はっきりと判別できるまでは、当面「木塚」のみで表記していくことにします。確定しましたら、再度告知します。

→#687  汚れた天使の死 の予告篇で「きづか ゆり」と発声されていたのが確認できましたので、かずさん指摘の「木塚由里」(キヅカユリ)が正しいことがわかりました。

・若者が集う同一の場所を、喫茶・ナガセ、スナック・ゴー、と2通り表示されるが、劇中の流れから、後者に統一して下記本文を作成。

 

 

(視聴録)

・・・開始約23分半ばまで

 

ブティック経営のおくのゆかり(浜田ゆう子)は、クインズコーポ306号室住まい。夜遅く帰宅すると、エントランス外にバイクが置いてあり、「バカな子ね、騙されているのがわからないのかしら」と呟き、グリップを撫でながら建物内に入る。これは、異性関係に激しい隣室308号の直木澄江(松原エリ子)にすり寄る男を指していた。ゆかりは部屋に入ると、しばらくして、外のバイクのエンジン音を聞き、ヘルメットの人物が運転して去っていったのを目撃する。

 

その翌日、三船班は通報により308号室に駆けつけ、澄江の死体を検視。死亡時刻は深夜1-5時、死因は絞殺、指紋は澄江のものも含めほとんど無く、男物の寝間着から昨夜は男といたものと推定された。今回は所轄署に応援を依頼、女刑事・木塚由里(藤山律子)も捜査に加わる。

石原は、木塚の鼻っ柱の強さと三船主任と対等にやりあう姿に苦笑いするが、三船主任は冷静に向き合い、聞きこみを指示する。早速、木塚は隣室のゆかりを訪ねる。しかし、木塚の強気な訊問に、ゆかりは態度を硬化させ何も得ること無く終わり、警察には一切協力しない旨を三船班に通告する。

これは、ゆかりが警察に非協力的なのは見えていたから、敢えて怒らせ、何かを知っているか目撃したかを確信できたという、木塚なりの考え方だった。しかし、三船主任は、探偵の真似事より特捜のひとつの歯車として、言われたことを忠実にやればいいと諭す。そして、山本綾子(未詳)なる女の写真を渡し、昨夜のアリバイを調べるよう指示を出す。その目的も知らされず不承不承の木塚だったが、「本当の気持ちを隠して、御機嫌取りのような聞きこみをすることは邪道」と言い放ち、捜査に向かうのだった。

 

木塚は、さまざまな聞きこみの末、綾子の姉(由起艶子)に辿り着くものの、「綾子は来ていない」一点張りで答えてくれなかった。しかし、「帰ってくるまで待つ」と、雨の中、外で待ち続けたからか、綾子からの電話を引き継いでくれる。そして、綾子は、昨夜、つぼい、のがわ、ながた、の3人と徹夜麻雀をしていたことをつきとめ、意気揚々と特捜隊本部へと帰る。

 

一方、三船主任は、澄江の情夫の暴力団員・野川(小林勝彦)を重要参考人として連行していたが、それを帰ってきたばかりの木塚が目撃。しかし、三船主任は暇を与えず、綾子の捜査結果を文書にまとめるよう指示、口をへの字にしながらも木塚は報告書を作成する。

いつの間にか眠ってしまった木塚の側で、報告書を読み上げた三船主任は、まだまだ野川を追及しようとする松木、水木に、野川釈放の断を下す。木塚の的確な報告書で野川のアリバイが確定したからである。そして、水木には畑野と澄江の男関係を捜査を、松木には木塚を起こしてゆかりを張り込むよう指示を出す。松木は、さすがに動き疲れた木塚には殺生だと言い出すも、三船主任は、木塚を寝不足の間抜けではなく一流の刑事として認め、一緒に連れて行った方が心強いと本音を吐露するのだった。

 

ブティックを出たゆかりは、松木、木塚の尾行も知らず、スナック・ゴーへと入る。この店は、澄江も常連であったのだが、ゆかりはマスター・豪原(石橋雅史)相手に、警察に協力する気も無ければ、澄江に同情する気も無いと管を巻いていた。その後、帰るゆかりを松木が尾行、木塚は店内の様子を探る。木塚は、店内で澄江の死亡記事に騒ぐサブ(木下清)ほか若者(山本相時、久米俊悦)に警察官だと冗談めかしながら接近。練馬まで送ってくれるよう頼むと、サブが手を挙げ木塚をバイクで送っていくことになるのだが・・・。

 

 

ストーリーはその後、ゆかりから目撃証言を聞き出した「ある人物」が殺害される事件、今度はゆかりが狙われるのではという動き、「別の人物」の逃走劇があり、ゆかりの考え方に錯誤を見出した三船班が犯人逮捕(ラスト9分の活劇)に至ります。

 

 

脚本の佐治乾は、#500 勇気ある女 では北林早苗を、#544 絶体絶命 では榊ひろみを、それぞれ女性主人公として、三船主任と五分五分の立場でストーリーを展開させるのが印象に残ります。当作でも、そのスタイルは守られ、藤山律子演じる木塚、がこの後三船班と関わりを持つのか持たないのか、期待を持たせるエンディングとなっています。wikiでは、三船班、日高班と関わりを持つようであり(註・レギュラーか、純レギュラーか、ゲストかは不明)、その点では奏功しているようであります。

 

特捜隊では、婦人警官はあっても女刑事の出演は【第3回再放送】で観たかどうか、なかなか思い出せません。他局では「太陽にほえろ!」の関根恵子演じるシンコ刑事、海外ものでは「女刑事ペパー」のアンジー・ディキンソンが、リアルタイムではテレビを席捲していたと思います。そこで、刑事ドラマ「老舗」の特捜隊でも、ここで一丁とばかりに登場させたのでしょう。

それなら、数作前の#656 熱風への復讐 で婦人警官を戸部夕子でなく藤山律子に演じさせ、その延長に当作を置くというやり方があったのですが(註・その場合、当作の木下清の扱いが難しくなりますが・・・)、そこまで考え及ばなかったのは少し残念。しかし、当作の木塚は、三船主任に「俺は、俺を憎むくらいの刑事を部下に持ちたい」と言わしめるほどの存在感を見せたわけで、それがラストの場面に一役買うくらい面白い存在でした。

 

ただ、疑問となる点もあり

・そもそも三船主任は、いつ山本綾子なる人物の存在を知ったのか?

・木塚のいうように、山本綾子を調べる目的は何なのか(この時点では、野川の存在は浮かび上がってはいなかったはず)?

・逃走した「別の人物」は、結局どうなったのか?

が明らかにされていません。

ラストの活劇9分の前あたりに、伏線と錯誤が事件解決の鍵となったり、三船主任と木塚の微妙な心情のやり取りなど、面白いところで覆われるため気にしなければそれまでです。ですので佳作にはランクインできる出来ですが、上記のうちの前半2点については、どうも三船主任らしくないところが気にはなります。

 

それでも、当作は木塚こと藤山律子の活動が秀でており、他の特捜隊スタッフを喰ってしまったとも見え、先ほど触れた「特捜隊への関わり」がどうなっていくのか楽しみなところ。

藤山律子の近年の活動は、wikiだと2005年のラジオドラマが最新ということになっていますが、「侵略美少女ミリ」が動画で断片的にありますので、映像として見られるのは、それが最新(とはいうものの2000年放送作品・・・)になります。東映chで、特捜隊特集が組まれたら、出演してもらいたいひとりであります。