※ 特別機動捜査隊 まえがき

捜査担当班の詳細については、wiki特捜隊-キャストを参照、また、(本放送)とはNETでの放送、(再放送)とは東映chでの放送を指します。出演者については配役名を略していますが、本文で書くこともあります。なお、出演者をもっと知りたいときは、リスト特捜隊で検索。

また(出演者)は、エンディングで、一列~三列で表示された男優・女優に限定しました。

 

【#500  勇気ある女】

 

(本放送)1971年6月2日

(再放送)2015年9月17日

(脚本)佐治乾

(監督)松島稔

(協力)警視庁

(協賛)無し

(捜査担当)三船班

西本捜一係長(鈴木志郎)、鑑察医(仲原新二)、鑑識課員(上田侑嗣)、

鑑識課員(新田五郎)、関根部長刑事(伊沢一郎)、岩井田刑事(滝川潤)、

石原刑事(吉田豊明)、畑野刑事(宗方勝巳)、笠原刑事(伊達正三郎)、

三船主任(青木義朗)

 

(出演者)

北林早苗、小池正史、織賀邦江、藤代圭子、西村良子、多田藤憲、六人部健市、

宮崎茂、丸岡将一郎、加藤春哉、森山周一郎、神田隆、水戸光子

 

 

(あらすじ・予告篇から) 

※当時のナレーションをそのまま聞き写しています

 

白昼、堂々と町中で行なわれた暴力団同士の抗争。

1人の少女が、流れ弾に当たって倒れた。

暴力団を恐れ、捜査に協力しようとしない町の人々・・・。

直ちに、暴力団の事務所に急行する三船主任。

しかし、捜査は大きな壁にぶつかる・・・。

そんな最中(サナカ)、勇敢にも目撃者として現れた1人の女。

その女を巡って行われる様々な嫌がらせ。

さらに、事件の真相を巧妙にもみ消そうとするやくざたち・・・。

ついに、三船主任の徹底的な暴力団狩りが始まる!

だが、捜査の網の目をくぐって、

女は何処(イズコ)かへ拉致されてしまう。

次回、「勇気ある女」に御期待ください。

 

 

(備考)

・冒頭は、「500回記念作品」のあとに「特別機動捜査隊」の表示がされる。

 

 

(視聴録)

都下・南新井で無法の限りを尽くす、大矢田けんぞう(神田隆)率いる愚連隊組織・大矢田興業の面々。そして、大矢田興業が縄張り争いを繰り広げているとき、配下・島田哲(森山周一郎)の放った一弾は狙いを外れ、通行人の少女・坂本美奈子(西村良子)に命中、病院に運ばれる。しかし、町の人々は巻きこまれるのを恐れ、事件について証言しようとはしない。

そのような状況でも、洋服店を営む司亜紀(北林早苗)は、勇気を出して証言に協力する。亜紀は、亡くなった父の後妻(水戸光子)、連れ子の義弟・利夫(小池正史)と暮らしてはいるが、利夫は生来の怠け者で大矢田興業配下・サブ(多田藤憲)とつるんでいる。

大矢田興業は、亜紀の店・家・関係者への嫌がらせを行ない、さらには身代わりとして配下・秋山健(加藤春哉)を出頭させるが、三船班は徹底的にこれらに対抗する。

一方、入院中の美奈子は母親(織賀邦江)の看病のもと意識不明の状態が続くなか、突如として亜紀が行方不明になってしまう・・・。

 

#498  女の縮図(立石班最終話)で、

>「立石班の終焉(前作藤島班の終焉も含む)をもって、今までの伝統的な事件

>追及のファクト的ドラマから、人間性追及のフィクション的ドラマへの完全移行

>を宣言したように見えます

と書きましたが、その根拠が当作であります。

事件には違いないものの、一握りの市民の協力から事件解決に力強く進む特捜隊へと変貌、人間を描くスタイルが強調されています。

三船主任の台詞、

>暴力団を怖がる気持ちのほうが、われわれ警察に対する信頼よりも強いんだ。

>俺たちがもっと信頼される警察になれば、情報なんか向こうから転がり込んで

>くる。向こうに腹を立てるより、こっちを恥ずかしいと思え!もっと、信頼さ

>れる警官になることだ!

は、情報提供を渋る市民への愚痴をこぼす畑野刑事を戒めたものですが、立石班や藤島班の捜査手法から一歩進んだ描き方だと感じました。

 

つまり、立石班・藤島班の情報をいかに活用するかのスタイルから、情報を得るにはどうするかというスタイルに三船班は移行したのではないかという見方です。ただ、これも回が進んでいくうちに試行錯誤していくわけですが、要はストーリーとして破綻せず面白く見れるかということなので、試行錯誤自体は悪いことではありません。

それでは当作はどうかというと、亜紀をヒロインに見立て、様々ないやがらせ、危機に遭遇してハラハラさせているところに、何らかの形での救援または場面転換する手法は視聴者側にも非常に効果的。さらに、愚連隊の報復の裏には、これまた人間的なドラマが見え隠れするなどなかなか面白く、アクションシーンで跨線橋、解体工事中のビルの撮影など当時としては斬新だったと思います。

 

ただ、亜紀の行方不明のところをもっと描いてほしかったところはありますが、これは特捜隊で何度も指摘する「時間不足」なのでしょう。極端に物足りなさを強調するものではなかったので、ここはスルーしても良いかも。

畑野刑事と笠原刑事の共演も珍しいのですが絡みが少ないのが残念、それにしても関根部長刑事の老けすぎたメーキャップはどうしたことか(笑)

 

亜紀役の北林早苗は、現代劇より時代劇のイメージが強いですね。「燃えよ健・#6残陽奈良街道」で不逞な女の、やむにやまれぬ裏表の役柄には目を見張るものがあり、主役であるはずの永倉新八役の黒部進を完全に食っていました。「燃えよ剣」のDVD特典を拝見すると、黒部進はずっと北林早苗に恋い焦がれていたとか。2人とも特捜隊ゲスト常連というのも面白いですね。そういえば、「#496  闇の中」では、北林早苗は赤座美代子と共演。赤座美代子は「燃えよ剣・#1新選組前夜・#4里御坊の女」に出ていますが、その恋人役が、後に特捜隊で矢崎主任を演じる亀石征一郎というのも、これまた面白い。

北林早苗はいまだ現役で、お嬢さんとウイッグのCMに出ているのを見かけます。

 

(2017年11月29日 全面追加)