映画「フィールド・オブ・ドリームス」、ムーディー・ブルース「ジェミニ・ドリーム」、ダリル・ホール「ドリームタイム」、ヴァン・ヘイレン「ドリームス」、ハート「ディーズ・ドリームス」、天地真理「虹をわたって」「水色の恋」、、トヨタ自動車CM「G's」、プロ野球、性差別と人種差別、アメリカ・メジャーリーグ、シカゴ・ホワイトソックス、シンシナティ・レッズ、ブラックソックス スキャンダル、ケビン・コスナーさん、ブルーインパルス、ロック、洋楽、昭和歌謡、歌謡曲。
あの曲、あの動画はどこ… 音楽家別索引
音路(47) ここは天国? … 夢じゃない
◇虹をわたって
今回のコラムも、ずっとお約束しています「天使の音楽」のお話しの前に、急きょ、ある野球のイベントのお話しを書きます。
その前に、前回コラム「音路(46)赤い風船~きっとまた来てくれる」につきまして…。
その本文中で、昭和歌謡の天地真理(あまち まり)さんの楽曲2曲をとりあげましたら、マリちゃん世代の方々から、たくさんのメッセージを頂戴しました。
「マリちゃんパワー」健在に、たいへん驚きました。
そこで、その本文中に、もう5曲を追加しました。
「マリちゃんの歌声を聴くと病気が治りそう」という50歳台以上の方々…どうぞお楽しみください。
その本文でも、70年代の花柄成長期の話しを書きましたが、彼女の楽曲の中にある、あのメルヘンチック(かわいらしい雰囲気)いっぱいの、未来志向の世界は、今の楽曲には、なかなかない音楽世界ですね。
楽曲「虹をわたって」の中にある歌詞…
♪虹をララララ わたり
♪愛を胸に あなたのもとへ
♪とてもきれいな 雨あがり
♪あなたを想って 歩くのよ
♪虹をわたって (1972年)
今のコロナ禍や、毎年のような洪水被害を思う時、書けと言われれば書きますが、さすがに私も、この手のタイプのメルヘンチック(かわいらしい雰囲気)の文章を書けと言われても、なかなかその気になれません。
だいたい、歳をとって、こんな青春真っ盛り、恋愛どっぷりの気持ちを忘れてしまっています。
歌詞にあるような、雨上がりのすがすがしい空気の中を、ルンルン気分で、デートに出かける…、あまりにも遠い記憶で、思わず、傘を落としそうになりました。
でも、今の10歳台や20歳台の、恋愛真っ盛りの世代は、コロナであろうと、オリンピックであろうと、悪天候の雨嵐であろうと、相手のもとに行きたいと思ってしまうかもしれませんね。
とはいえ、それが自然のこと…。
今の時代が、いかに異常かということですね。
恋愛中は、虹をながめて思います。
そこを渡って、いとしい恋人のもとへ…。
今の私は、虹を渡って、無事に天国に行けるかな…。
でも、恋することに遅すぎることはないですけどね…。
私の親戚のお姉さま…、もう80年くらい、恋したまま…。
おそらく恋したまま、虹を渡っていく…。
◇映画「フィールド・オブ・ドリームス」
さて、今回のコラムは、虹を渡っていくようなお話しです。
以前のコラム「音路(40)ビッグフライの瞬間~オオタニさん、ベーブ、You Rock!」の中で、ご紹介しました、1989年の米国映画「フィールド・オブ・ドリームス」の野球の試合の再現が、先日の2021年8月12日(米国日時)に行なわれました。
コロナ禍で一年延期され、米国のアイオア州で開催されたものです。
その「音路(40)ビッグフライの瞬間…」の中の文章の一部を抜粋し、ここに載せておきます。
* * *
◇フィールド・オブ・ドリームス
(略)…もうひとつだけ、大いなる「ドリーム」を…。
昨年2020年に計画され、新型コロナの影響で開催が延期された、米国野球界のプロジェクト「フィールド・オブ・ドリームスの再現」です。
1989年の米国映画「フィールド・オブ・ドリームス」は、野球経験者や野球ファンはもちろん、多くの人が涙した名作中の名作でしたね。
特に男性には、ロマンあふれる、たまらない世界観です。
まさに野球映画の最高峰といっていいと私は感じます。
その映画に登場した畑の中の小さな野球場が再現され、そこに本物のメジャーリーガーが登場するそうです。
予定では、2021年8月12日、シカゴ・ホワイトソックスと、ニューヨーク・ヤンキースが試合をするそうです。
場所は、シカゴ近郊の田舎町です。
それにしても、米国野球界はやることがビッグですね。
時代を越えた、時空を越えた、壮大な演出を期待しています。
現役を退いた、イチロー選手、野茂選手、松井選手も、トウモロコシ畑の中から登場してほしいですが…。
映画のように、はたして私の目に、選手たちの姿が見えるのかどうか…。
ベースボールも…、野球も…、なんと夢のあるスポーツなのでしょう。
きっと元野球選手たち…、生まれ変わっても、野球の夢を追うのでしょうね…。
プロ野球選手は、野球に生涯をかけ、ずっと夢を追っているのですから…。
ヘイ、ルーキー…You Rock!
映画「フィールド・オブ・ドリームス」より
以上、ここまでが、「音路(40)」で書いた内容です。
〔注〕 上記の「You Rock」の意味や、米国の大選手「ベーブ・ルース」のこと、大谷翔平選手のことは、下記コラムに書いています。
コラム「「音路(40)ビッグフライの瞬間~オオタニさん、ベーブ、You Rock!」
* * *
この文章のとおり、先日の2021年8月12日(米国日時)に、米国のアイオア州で、この再現の試合が実際に行なわれました。
私は、映画が公開された時に、この映画を観て、まず、自身の子供の頃の、父親とのキャッチボールを思い出しました。
今でこそ、小学校あたりでは、サッカーのほうが野球よりも人気があります。
今は、野球の経験はおろか、ルールを知らない小学生も相当にいますね。
私の子供の頃は、小学校のいちクラスに50名以上の生徒がいて、私の小学校では、いち学年に18クラスありました。
大きな校庭が二つ…、学校の広大な敷地内には行ったことのない場所も…。
今から思うと、生徒数は「超密(ちょうみつ)!」…、でも先生の目の届かないところで自由気ままに、そして学習は自分で計画し、自分で学んでいくものという環境だった気がします。
クラス内に男子だけでも25名程度はいて、そこには野球チームが2~3チームはありました。
校庭では、そこら中に野球の試合会場が勝手につくられ、毎日野球ざんまいです。
長島選手の守備のものまね、王選手の一本足打法のものまね…、まさに野球天国の時代でしたね。
今は、サッカーに入れ替わった「感(かん)」と「観(かん)」があります。
元野球少年たちの夢を乗せた映画が、この1989年の米国映画「フィールド・オブ・ドリームス」でしたね。
* * *
今回のこの夢の再現(実現)では、この映画内容の再現を知っているというだけでは、面白さ半分ですので、この映画の背景を少しだけ書きたいと思います。
◇野球の人気低下問題
この映画「フィールド・オブ・ドリームス」は、米国野球界に起きた実際の事件の内容に、ファンタジー性を持たせ、野球というスポーツの持つ素晴らしい側面を…、人間が抱く夢を…、そして親子愛を描いた内容です。
今、日本に限らず、米国でも、野球人気の低下は問題視されていますね。
オリンピックでも、男性と女性の両者が共通に行なえない種目は無くしていく傾向にあります。
そのような種目は、今やわずかです。
男性しかできないスポーツ種目は、オリンピックから いつか絶滅するでしょうね。
新種目は、確実に男女ともあります。
今の世界は、「性差別」「人種差別」と戦うという強い意志の中にいますね。
今回の東京オリンピックからは、選手による「思想」の主張が、限定的な範囲で認められるようになりました。
スポーツの世界は、時代とともに、確実に歩んでいますね。
野球とソフトボールは、一見 似ていますが、その実は相当に違いますね。
ソフトボールとは別に、プロの女子野球界もありますが、今のままでは女性の身体的なケガが絶えません。
何とかしないといけないかもしれませんね。
* * *
野球は、見ているのと、実際にやってみるのとでは、その楽しさで雲泥の差があります。
野球経験者には、プロでも一般の方でも、生涯忘れることのない、一球、一打、勝利の瞬間が、ほぼ確実にありますね。
初めて打った変化球、初めて投げた豪速球、初めてとった三振、初めて成功させた盗塁…。
忘れることのない「感動のキャッチボール」もあります。
そうした「感動」や「記憶」が、生涯、野球から想いを離そうとさせません。
野球の人気低下の要因はたくさんありますが、その対策として、まずは、野球から生まれる「夢」や「感動」の素晴らしさを、一般の多くの人に実感してもらうことこそが大切のようにも思います。
「夢」があり、「愛」があり、「心」があり、「技」があり、「知恵」があり、「チカラ」があり、「団結」があり、「友情」があり、「挑戦」が、野球にはありますね。
そして「金(マネー)」や「栄光」も…。
野球から「夢」をとったら、単なる娯楽スポーツになってしまいますね。
どのスポーツにも言えることではありますが、冒険心、野心、技能、ゲーム性、ビジネス面だけでは、なかなか多くの人の支持は得られない気がします。
「夢」、「あこがれ」、「感動」を、いかにその中に残していくのか…、それが関係者の夢かもしれませんね。
* * *
下記の動画は、トヨタ自動車のCMですが、この映像のように、いつか男性のプロ野球選手を、完膚(かんぷ)なきまでに ノックアウトする女性野球選手が登場してくるのは間違いないと、私は思っています。
テレビの野球中継番組も、この動画のように、野球選手の闘争心のすごさを、野球のプレイのすごさを、もっとしっかり伝えてほしい…。
巨人にいたクロマティさんが…、タレントの稲村亜美さんが…
イチローさんなら、運転しながら、本当にボールをキャッチできそうな気がしてくる…
そんな… トヨタCM
それにしても、このCM動画の制作スタッフは、「野球愛」いっぱいの、相当な野球好きたちでしょうね。
おそらく、ルンルン気分でノリノリで撮影したことでしょう。
実は、本物のプロ野球選手のすごさは、このCM動画なんてものじゃありません。
私は、やり方次第で、野球人気を回復させることは、十分に可能だと感じています。
「野球愛」の大人たち、かつての高校球児たちが、この窮地に立ちあがったら、ものすごいはずですね。
世の中で、起死回生の「大ホームラン」を かっ飛ばすことは可能だと思っています。
◇ここは天国なの?
さすが野球の本場の米国です。
今回のこの「フィールド・オブ・ドリームス」イベントは、単なるお祭りイベントではなく、れっきとした「公式戦」です。
重要な意味のある場所での、重要な試合なのです。
最新の大球場にも、負けることのない球場なのです。
私は、その「試合」でも、その特別な演出力に脱帽しました。
* * *
試合終了後すぐに、下記のような、素晴らしい出来栄えの映像が世界中に配信されるのも、さすが米国野球界です。
まるで映画のような映像編集です。
日本のプロ野球も、米国のメジャーリーグも大好きな私は、泣きそうになりました。
さすが、スポーツ文化も、映像文化も、成熟している気がしますね。
この映像を百年後の、野球ファンたちが見たら、まさに映画「フィールド・オブ・ドリームス」の続編ですね。
過去の幻の名選手たちを、映画の中で見るような感覚になるでしょう。
8月12日の模様
イベント冒頭にトウモロコシ畑から登場したのは、予想したとおり、映画に主演した俳優のケビン・コスナーさんです。
彼が、どのような俳優で、どのような映画作品に出続けているかは、もはや書くまでもないと思います。
イベント冒頭での、ケビン・コスナーさんのスピーチの中に、映画の中の台詞を引用した部分もあり、ゾクッとした瞬間でしたね。
「Is this heaven?」で始まる部分です。
実際の映画の、その言葉の部分を下記に書きます。
映画「フィールド・オブ・ドリームス」より
映画の内容に関しては、ここで書きませんが、この映像の3分21秒からの部分です。
(野球選手)Is this heaven?
(ケビン)It's...Iowa.
(野球選手)Iowa?
(ケビン)Yeah
(野球選手)I could have sworn it was heaven.
(ケビン)Is...is there a heaven?
(野球選手)Oh, yeah. It's the place where dreams come true.
(ケビン)Maybe this is heaven.
ちょっと私なりに意訳してみました。
(野球選手)ここは天国なの?
(ケビン)いや、アイオアですよ。
(野球選手)アイオア?
(ケビン)ええ…。
(野球選手)天国のはずだと思ったんだけどな…。
(ケビン)天国なんて、あるのですか?
(野球選手)もちろん あるさ。夢が叶う場所さ。
(ケビン)それじゃあ、ここは、たぶん天国ですね。
ケビンが扮した役の人物の「夢」とはいったい…?
そんな映画です。
今回、米国野球界は、この映画の「夢」を私たちに見せてくれたのです。
◇シンシナティの「赤い靴下軍団」
ここからは、この映画の背景にある、実際にあった事件について書きます。
上記の映画映像の冒頭に、野球選手が登場し、「If you build it, he will come.(それをつくれば、その人はやって来る)」という台詞を残して、トウモロコシ畑に消えていきますね。
この選手のモデルは、実在した野球選手です。
「シカゴ・ホワイトソックス」に在籍した中心選手の、ジョゼフ・ウォーカー・ジャクソン(1887~1951)です。
ニックネームは「シューレス・ジョー・ジャクソン」です。
1919年の米国メジャーリーグの「ワールドシリーズ」では、シカゴ・ホワイトソックスと、シンシナティ・レッズが対戦しました。
「ワールドシリーズ」とは、日本プロ野球の「日本シリーズ」と同じで、その年の両リーグがぶつかる年間優勝チームを決める、最大8試合のことです。
先に5勝したチームが優勝です。
この1919年は、事前予測で、圧倒的にシカゴ・ホワイトソックスが優位でした。
ですが結果は、5勝3敗でシンシナティ・レッズが優勝します。
* * *
ちなみに、日本の野球でもそうであるように、野球の世界では、ある時から長めの靴下をはくスタイルが定着します。
チーム名に、色名のついた「靴下」名を入れるようになり、当初は「ストッキング」でしたが、「ソックス」にかわり、現在に至ります。
今は、「シカゴ・ホワイトソックス」、「ボストン・レッドソックス」が残っていますね。
1869年に米国初のプロ野球チーム「シンシナティ・レッドストッキングス」が誕生し、その数年後に、同じ都市シンシナティに「シンシナティ・レッズ」が生まれますが、レッズは数年で消滅。
その後「シンシナティ・アウトロー・レッズ」が生まれますが、これも消滅。
名門「シンシナティ・レッドストッキングス」は、1876年のナショナルリーグ創設時にそのリーグに入り、名称を「シンシナティ・レッズ」に変更します。
レッズは、リーグ規則に違反し除名されますが、その後復権します。
もともと、古い時代は、結構 荒っぽい球団経営をする球団だったのかもしれません。
後で書きます、大事件にも絡んでくる球団です。
* * *
この時代は、有力なオーナーたちどうしや、ナショナルリーグとアメリカンリーグによる、壮絶な球場外の闘争があったようです。
今現代でも、両リーグ間の競争、各チームの本境地争奪戦がありますね。
不振に陥った都市から、元気な都市に、チームの本拠地が移転したりもします。
米国では、個人オーナーや、オーナー企業も、結構入れ替わりますね。
* * *
さて、前述しました米国初のプロ野球チーム「シンシナティ・レッドストッキングス」の最初のレギュラー選手9人を「ファースト・ナイン」と呼びます。
後で、この「ファースト・ナイン」によくに似た別のフレーズをご紹介します。
「ファースト・ナイン」は、1871年に、選手の一部がチームを離れ、米国東部の都市ボストンに行き、「ボストン・レッドストッキングス」がつくられます。
「ボストン・レッドストッキングス」は、今の米国ナショナルリーグの「アトランタ・ブレーブス」です。
ナショナルリーグ傘下のマイナーリーグであった、いちリーグが、1900年に「アメリカン・リーグ」となり、1901年にはメジャーの野球リーグとなります。
その年から、米国プロ野球は、ナショナルリーグとアメリカンリーグの運営体制になります。
アメリカンリーグにいたボストンのもうひとつのチーム「ボストン・アメリカンズ」が、今の「ボストン・レッドソックス」です。
米国野球の古豪名門の証し「靴下軍団」名は、ボストンの街から離れることはありませんでした。
* * *
1998年には、「ミルウォーキー・ブルワーズ」がアメリカンリーグからナショナルリーグへ移籍、2013年には、「ヒューストン・アストロズ」がナショナルリーグからアメリカンリーグに移籍しましたね。
ナショナルリーグには、指名打者制(「DH(Designated Hitter)」と呼ばれ、投手の代わりにバッター専門で選手が出る制度)がなく、アメリカンリーグは「指名打者制(DH)」を採用しています。
大谷翔平選手が、渡米時に、アメリカンリーグに入っている「ロサンゼルス・エンジェルス(エンゼルス)」を選んだ理由がそこにもありましたね。
ですが、今年から、大谷選手は「ナショナルリーグでもやれる」ということを、完全に証明してみせましたね。
これで、大谷選手は、全米のどのチームにも移籍できますね。
日本プロ野球のセリーグにも…。
◇ブラックソックス・スキャンダル
さて、話を 「シカゴ・ホワイトソックス」に在籍した中心選手の「シューレス・ジョー・ジャクソン」に戻します。
この当時の「シカゴ・ホワイトソックス」のオーナーは、とにかくケチだったようで、選手たちは、相当に低額の年俸で働かされていた上、ユニフォ―ムの洗濯代まで選手の自腹でした。
そのため白色のはずのユニフォ―ムは、いつも汚れており、ホワイトソックス(白い靴下軍団)ではなく、「ブラックソックス(黒い靴下軍団)」と、以前から揶揄(やゆ)されていました。
そんな事情からかどうかはわかりませんが、ホワイトソックスの選手8人が、マフィアのギャングから金を受けとる条件で、前述の1919年の「ワールドシリーズ(シカゴ・ホワイトソックス VS. シンシナティ・レッズ)」の試合で、八百長をし、チームは負けるのです。
相手チームは、前述しました、あの荒っぽい過去を持つ「シンシナティ・レッズ」です。
怪しい匂いがプンプンしますね。
実際には、仲介した賭博グループが金を持ち逃げし、ホワイトソックスの選手たちには金が入らなかったようです。
選手たちの家族の身を脅すような手グチだったようです。
ある意味、選手たちの困窮につけこんだ、暗躍集団の犯罪のようにも見えます。
ただ、八百長で試合に負けた事実は残りました。
ホワイトソックスは、優勝はしなくとも3勝しましたが、猛烈に打ちまくって勝っています。
つまりは、やはり実力どおりであったなら、ホワイトソックスが優勝したのかもしれません。
その八百長に加担した8選手のひとりが、まさに中心主力選手の「シューレス・ジョー」でした。
* * *
米国野球の「ワールドシリーズ」での八百長は、日本でいえば、高校生の「甲子園野球大会」の優勝決定戦で八百長をするようなこと…、大相撲の優勝決定の取り組みで八百長をするようなことに近いものですね。
他のスポーツの、日常のいち試合ならともかく、絶対に許されない試合です。
その国にある「神聖なもの」を冒すようなことですね。
世間からどれほど非難を浴びる内容か、想像できますね。
この8選手は、米国野球界から永久追放になります。
本当は「ホワイトソックス」の事件なのですが、そのユニフォ―ム色も、裏取り引きの内容も、まさに黒い内容から、この事件は「ブラックソックス・スキャンダル」と呼ばれるようになります。
ホワイトソックスのそのオーナーは特におとがめなし、困窮にあえいだ選手8人だけが、永久追放になったのです。
そのオーナーは、いったい、どちらが勝つほうに賭けていたのでしょうか…?
市民や周囲から、その8人への同情が集まり、彼らは「アンラッキー・エイト(悲運の8選手)」と呼ばれるようになります。
ですが、復権はされませんでした。
前述の「ファースト・ナイン」と「アンラッキー・エイト」…、似た呼び方ですが、天国と地獄ほど違いますね。
* * *
この時に、裁判所から出てきたシューレス・ジョーに、ファンのある子供が駆け寄り「本当のことじゃないよね、ジョー」と叫んだという、ある記者の記事が有名になり、それが後に、さらに「嘘だと言ってよ、ジョー」に脚色されます。
この一連の内容は、マスコミによるまったくの捏造内容だったようです。
どこの世界にも、「ブラック」はいますね…。
ただ、この「嘘だと言ってよ」という、ものすごいインパクトのある感情あふれる言葉表現が、世の中で有名になり、定着し、その後のメジャーリーグ内で起きる、黒いスキャンダラスな事件の時に、この言い回しが使われるようになり、現在でも、結構見かけます。
音楽界でも、この言い回しのタイトルや歌詞が結構ありますよね。
いずれにしても、感情に満ちあふれた、哀愁漂う、この言葉「嘘だと言ってよ」は、素晴らしい言葉表現ですね。
「嘘だろう!」「嘘つくな!」ではなく、「嘘だと言ってよ」と言われたら、心に突き刺さりますね。
「嘘だと言ってよ」、「知りたくないの」、「聞きたくないの」…男性のクチからは、あまり聞かないフレーズです。
女性の皆さま…、男性には「嘘でしょ」ではなく、「嘘だと言って…」のほうが効果てきめんですよ。
男性に多いのは、「そんなことは言ってない」、「そんなことは言ったおぼえがない」、「そんな意味では言ってない」、「まんざら嘘でもない」など…。
こんな男性フレーズでは、歌の歌詞にもなりませんね。
* * *
さて、このシューレス・ジョーこそが、この映画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台である野球場を、映画の上で、ケビン・コスナーさんが扮する人物につくらせた人物です。
映画の中で、シューレス・ジョーが語った言葉「If you build it, he will come.(それをつくれば、その人はやって来る)」には、さまざまな意味が込められていますね。
「he」が誰のことなのか…、どうぞ映画を見ていない方は、ぜひ一度…。
◇それは畑の中から
映画の中だけでなく、今回実際に、トウモロコシ畑の中に球場がつくられ、選手もファンも、大勢がこの野球場に集まってきました。
まさに「フィールド・オブ・ドリームス」の実現です。
映画の中では、ケビンが扮する人物がキャッチボールをする相手の野球選手は、ニューヨーク・ヤンキースのユニフォームを着ています。
つまり、今回の実際の対戦は、「シカゴ・ホワイトソックス」対「ニューヨーク・ヤンキース」というわけです。
当初の予定は、間違っていたら申し訳ありませんが、私の記憶では、「シカゴ・ホワイトソックス」対「シンシナティ・レッズ」だったように思います。
つまり、あの事件の「ワールドシリーズ」の復活です。
それはそれで、今度こそ、正真正銘の決着にはなりますが、映画とは少し違ってしまうかもしれません。
昨年のイベント中止延期から、ヤンキースの「男気(おとこぎ)」を少し感じます。
これからは、毎年、開催すると決まったようです。
「シカゴ・ホワイトソックス」対「どこかのチーム」ということなのでしょうか。
* * *
今回のイベントで、ホワイトソックスとヤンキースの選手たちは、なんと映画と同じ…、トウモロコシ畑の中から登場しました。
おそらく、その意味は…。
今回の試合で、まさかプロの野球選手が、トウモロコシ畑の中にホームランを叩き込む光景を見れるとは思っていませんでした。
草野球ならまだしも、プロ野球です。
でも、きっと選手たちは思い出したはずです。
少年の頃に、畑や川に、ホームランを次々に放り込んでいたことを…。
* * *
8月12日のこの試合は、9回表に、ヤンキースが、ジャッジ選手とスタントン選手のホームランで逆転し、9回裏に、ホワイトソックスのアンダーソン選手が、逆転サヨナラホームランを放ち、ホワイトソックスが勝利するという、とんでもない結末の試合でした。
まさに野球ファンが夢見ても、そうそう起こるような内容ではありませんね。
今 思うと、この試合に出ていたホワイトソックスとヤンキースの選手たちは、本当に今の時代の現役選手だったのでしょうか…?
そうです…彼らはトウモロコシ畑の中からやって来たのです。
1919年に、ワールドシリーズで不本意に負けていった「ホワイトソックス」の選手たちの意地が、この大逆転サヨナラ勝利を呼び込んだようにも感じてしまいます。
名選手「シューレス・ジョー」が、その場にいたのかもしれませんね。
まさに「夢だと言ってよ」の「フィールド・オブ・ドリームス」でしたね。
私は、久しぶりに、野球の試合を見て、涙が出ました。
* * *
こうした内容は、日本でいえば、現役選手から戦地に向かい、太平洋戦争に散っていった、巨人の沢村栄治(さわむら えいじ)、阪神の景浦 将(かげうら まさる)を始めとする多くのプロ野球選手たちが、戻ってくるようなことですね。
今の時代でも、病で去っていった選手もいます。
彼らの雄姿は、多くの人たちの記憶の中に生きていますね。
◇フィールド・オブ・ドリームス
たしかに、今も昔も、プロスポーツ選手が、それを職業として生きていくには、「夢」や「理想」だけでは食べていけません。
実際に、「ブラックソックス・スキャンダル」のような事柄もたくさん起きます。
ですが、野球場から「夢」がなくなったら、それは野球場ではないのかもしれません。
日本では、「グラウンドには銭が落ちている」と語った方もいましたが、私は、これからも、野球場には「夢」が落ちていてほしいと思っています。
どの種目のスポーツでも、スポーツの試合会場は、いつの時代も、「フィールド・オブ・ドリームス」であってほしいと思います。
◇ドリーム音楽
この「音路(おんろ)」コラムは、音楽コラムですので、ここで「ドリーム」の洋楽を、映画「フィールド・オブ・ドリームス」と同じ80年代から少しだけ…。
まずは、ロックバンド「ムーディー・ブルース」の1981年の楽曲「ジェミニ・ドリーム」です。
このタイトルを日本語に訳せば「ふたご座の夢」。
西洋でも、東洋でも、ふたご座は、仲の良い二人の人物のことですね。
「Long time no see(ロング・タイム・ノー・シー:お久しぶりね)」という言葉で始まる歌です。
「俺たちは、まだまだここにいるよ。二人(ミュージシャンとファンたち)の夢は、まだまだ続くよ、どこまでも」というような歌詞の、列車の出発進行のような曲です。
プログレッシブ・ロックの時代からの、大ベテランロックバンド…。
♪ジェミニ・ドリーム
* * *
次は、妖艶姉妹のロックバンド「ハート」の、1986年の楽曲「ディーズ・ドリームス」。
「私のために、ろうそくを残しておいてね。あなたのことを、もっと はっきりと、この目で見たいの…。私は、暗闇にいる、針のない時計の上の女。私は夢とは別の世界を歩いていくの…。夢の中の王子様は、夢の深い霧の中へ…」というような、ちょっとゾクッと背筋が凍る歌詞内容です。
♪ディーズ・ドリームス(フルバージョン)
* * *
次は、男性デュオ「ホール&オーツ」の、ダリル・ホールの1986年のソロ楽曲「ドリームタイム」です。
もちろん、日本のあの曲よりも、こちらが先…。でも、どちらの曲も素晴らしい。
ダリル・ホールは心が広い!
「そこの彼女…夢の時間にばかりいないで、いいかげん目覚めなさいよ。まだそこにいる気…」というような歌詞の曲。
ダリル・ホールさん…言っちゃって、言っちゃって!
♪ドリームタイム
◇ドリームは、高く高く…
洋楽の最後は、ロックバンド「ヴァン・ヘイレン」の1986年の楽曲「ドリームス」。
「君の涙が、君の夢をつくる。俺たちが暮らすこの世界が強くなくては、夢は生まれない。絶対に自分を見失うな。しがらみを全部捨て去って、さあ夢に向かって、飛びたつんだ! 高く、高く、もっと高く…。もっと高くだ!」。
そんなような内容の、勇気凛々の猛烈な歌詞です。
* * *
下記の動画は、その楽曲に、コロナ禍での「ブルーインパルス」飛行の映像をあわせた、ものすごいパワー映像です。
自衛隊の飛行機「ブルーインパルス」は、今の時代は戦闘機ではありません。
50年代に、「F86」という当時の米国の最新戦闘機で、朝鮮戦争にも使われました。
今は、戦闘機の役目を終え、「航空ショー」などのデモンストレーション飛行など、平和利用として使われています。
それが、このコロナ禍という、人類とコロナとの戦いの中で、人々を勇気づける目的や、医療従事者への感謝の意味で、日本各地の大空を飛行することになりました。
国どうしの戦争ではなく、人類の共通の敵と戦うための、武器を持たない戦闘機の役目となりました。
自国民にコロナとの戦いで勇気を持てるように、各国で、こうしたジェット機の飛行が行なわれています。
毎回、オリンピックの開会式でも、戦いや勇気の象徴として飛行しますね。
今回のコロナ禍での日本各地の飛行では、予想以上の効果があり、涙する医療関係者や市民が続出しました。
* * *
私は個人的には、こうした超高速ジェット機を、緊急物資輸送とか、緊急医療搬送とかに、使用できないものかと昔から思っています。
一般市民による宇宙旅行が開始した今、なぜ地球上で、問題を乗り越え、それが実現できないのだろうかと感じてしまいます。
今、日本では新幹線での物資輸送がやっと少しだけ開始されました。
新幹線は、通常、時速270~300km程度。
開発中のリニア新幹線は、最高時速500km程度。
旅客機は、最高時速800km程度。
ブルーインパルスは、通常、時速1000km程度。
かつてあったフランスの旅客機「コンコルド」は、時速2100km。
今の日本の主力戦闘機「F15」は、時速3000km程度。
大国の最新戦闘機は、おそらく4~5000km程度か?
今後、戦闘機は宇宙を飛びます。
「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」は、速度の詳細は不明ですが、アジア東岸からアメリカ東部まで、おそらく40分程度で到達するといわれています。
おそらく宇宙旅行は、時速1000km程度か…。
もはや、高速飛行の世界は、核の世界と同様に、限度を越えている気がしますね。
こうした高速技術が、平和利用にのみ活かされたら、どれほど世界に有効でしょう。
世界の「遠い夢」かもしれません。
世界は、何千年も戦国時代のまま…。
それぞれの国は、それぞれの時代を生きている…。
それぞれは、みな違う「夢」をみている…。
「共通の夢」をみる時代が、いつか来るのかどうか…、私には わかりませんが、「共通の夢」は残しておきたいものですね。
* * *
いずれにしても、コロナ禍で、不安に打ちひしがれている方も多い昨今です。
この平和の「青い衝撃」、ブルーインパルスの飛行映像で、スカッとしてください。
ブルーインパルスを、さらに上空から見ると、なるほど、こんなふうに見えるんだ!
映像には復興する熊本城の様子も出てきますが、私たちには、いずれもう一度立ち上がる時期がきますね。
夢は、夢で終わらせない…、その時が来たら、さあ、高く飛ぶぞ!
♪ドリームス(和訳付き)
* * *
それはそうと、こんな高速飛行映像を見ていると、私は、下手な宇宙旅行よりも、地球上での超高速遊覧飛行のほうが乗ってみたい気がします。
前述の「F15」なら、東京から大阪まで10分、東京から札幌まで17分だそうですね。
いったい、どんな車窓の光景なのか、どんな体感なのか…?
「This is heaven. This is dream.」なのかも…。
◇それは夢色
今回のコラムは、冒頭に昭和歌謡の「白雪姫」、天地真理(あまち まり)さんの楽曲のことを書きました。
彼女のデビュー曲は、1971年の大ヒット曲「水色の恋」です。
この楽曲の中には、ある「白雪姫」が登場します。
彼女は、この曲の衝撃の大ヒットの後、空前のス―パーアイドルとなり、「白雪姫」と呼ばれるようになります。
多くのアイドルたちには、天(国)から地(獄)まで、波乱万丈の人生がつきものですが、当時の彼女の「白雪姫」のような美しい印象は、多くの昭和世代の脳裏に焼き付いていますね。
コラムの最後は、この楽曲「水色の恋」の一節を…
♪あの人に さよならを言わなかったの
♪さよならは お別れの言葉だから
♪あなたの姿 あなたの声は
♪いつまでも 私の想い出に
あなたの「白雪姫」、あなたの「白馬に乗った王子様」は誰ですか…。
あこがれの野球選手、初恋の人、育ててくれた恩人、愛する家族、愛するペットたち…。
お姫様も、王子様も…、きっとトウモロコシ畑の向こうから、あなたを見守っています。
「さよなら」は言いません。
永遠に「お別れ」はありません。
それは、きっと夢じゃない…。
♪水色の恋
それでは、今夜はメルヘンチックに…
日本中の「白雪姫」と「白馬の王子様」に…
今夜も、夢の中で虹を渡って…あなたのもとに…
Sweet Dreams!(いい夢見てね。それじゃあ、おやすみ!)
* * *
2021.8.18 天乃みそ汁
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