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※管理人Shinは知財保護において個人による「特許」のようなものを好まず、「全公開」を旨とします。
筆者Shinは「本格的」を拒否します。
なぜならば、それは常にまぎれもない「ニセモノ」だからです。
私は「本格的」を拒否します。
それはまぎれもない「ニセモノ」だからです。
「本格的」と「ホンモノ」の違いは指相撲遊びと大相撲ほど違う。
ホンモノには人生を賭けてでも出会うべきである。
ホンモノとホンモノっぽいニセモノの両方を知ること。
ホンモノがホンモノたる核心を学ぶ。
納得の一品を自分で作ってそれを愛す
信頼の達人から評価をいただく
このくり返しこそホンモノ作りのプロセスではないかと感じています。

前編からつづく
2つの無向性MEMSマイクで単一指向性を
さんしん用途「MEMS単一指向性クリップオン」マイク
前編では「さんしん」にクリップオンした際、強く弾いたとき低域に第3のゴースト波(ベチャ・ベチャ)が発生し、不快な衝撃音となるため「未完成」としました。
しかし逆に言えば、AKG C-419(519)クラスの単一指向性クリップオンマイクとして「完成した」、ということでもあります。
この音、「どこかで聴いたことがある」と思い起こした。
1970年代初頭日本のPA黎明期、「高橋竹山」の野外ステージ、竹山の津軽三味線のバチ音、叩き音が楽音とは別に「ベチベチ・バツンバツン」という異音を伴う。マイクを見るとSM-58、当時7万円以上の高級機、これが犯人だったようで、次のステージではRCA BK-5 が使用され、まともな音が響いた。
「こんなに違うか」とあきれ、新鮮な感動を覚えた記憶がある。
(元々BK-5で予定したが風防がなく、風に強い58になったのではないかと推測)
"さんしん"は三味線にくらべ余韻が短く、早弾きアタックの強い弦楽器です。「単一指向性クリップオン」ではメーカー製マイクでも、出来・不出来(適・不適)がもろに現れるため、怖い楽器の一つです。
無指向性では問題なくても「単一指向性」で発生する
ATM-35はいいけどPRO-35の音は落第点、この落差。
管楽器用の名器AKG C-419(C-519)ではこの現象がひどく番外落ちに・・・
COUNTRYMAN ISOMAX 2Hも速弾き対応不適となった。
いかに他の楽器で「名機」であっても、さんしんには使えない、という「単一指向性クリップオンマイク」のきわめてデリケートな実態があります。
一方、放送・PAでも現「ATM-35」または、古いパナソニックの「WM-S2」(70年代後半-80年代) が珍重されている事実など経験的・伝統的マイク選びが存在するのには大きな理由があったのです。
そんな中に切り込んで開発をおこなったShinの「FetⅡi」は無指向性ですが、ハウリングに気を付けながらも高評価だったりします。
このようにマイク選択のきわめて難しい楽器であります。
14年前、「FetⅡi」の開発時、PRO-35を試用してほぼ同じイヤな経験をした記憶があります。
(さんしんの音にはこういう誤解がある)
「どうせ三味線みたいなモノでしょ」と、リボンマイクやゼンハイザーMD-441ならどうなの?、とつい思ってしまうらしい。
「三味線」とは発音構造が異なりますので見当違いの音となる。
(さんしんと三味線の音の違いは「サワリ」のアリ・ナシが決定的なファクター。
それはちょうど「スネアーとタム」や「クラリネットとオーボエ」の違いに似ています。
今回、問題を克服してMEMS単一指向性クリップオンマイクが次のステップに進化できました。
たどりついた
MEMS単一指向性クリップオンマイク第2弾
マイク筐体はShin独特の合せワザ
全長が10mm長く、速度穴位置は見慣れない位置になったが、上質な単一指向性さんしん用クリップオンマイクが完成しました。
ATM-35をモデルにした音作りを徹底しておこなった。
デカくなった点がネックです。
(参考)前作
前作:(MEMS品種と前・後MEMSの間隔=「d」が異なる。
大きさは理想的なのだが、「ゴースト・トーン」はいかんともしがたい。
MEMS型単一指向性 クリップオンマイク
このサイト発の無指向性楽器クリップオンマイクとして高評価の「FetⅡ」「FetⅡi」は登場から14年たち、これまであらゆる楽器、映画テーマ音楽やメジャーレーベルでも採用されてきました。
マイクロホンのチューニングは「マイボイス・リアルタイムモニター」で99%完成しますが、「超オンマイク」であるクリップオン・マイクではプラスアルファのファクターが必要です。
AOL:ICS-40730・・・124dB 「Knowles SPM0687LR5H-1」・・・130dB 「この違いなのかもしれない」・・・と思ってIM73A135-V01(AOL:135dB)を使ってみたら、もっともひどい状況になった。
これでますますわからなくなった、原因は未解明です。
「音色」「指向性」「高音圧耐力」「振動雑音排除力」にウェイトをおいたチューニングをおこない、目標だった「高品位単一指向性」で誕生することができました。
これで、2010年の「FetⅡi」( i・・・「instrument」)・・・からMEMSマイクへと進化をとげた楽器用「クリップオンマイク」の新しいカタチとなりました。
前編の「未完成」からなにをやったのか
MEMSマイクを変えました。
使用したのは以前の記事(2205)で紹介した「Knowles」の「SPM0687LR5H-1」です。
このMEMSマイクはICS-40730、IM73A135V01の両巨塔の席巻する中で、名前が覚えずらいですが、同等スペックを持つ優秀なMEMSマイクです。
ICS-40730から「Knowles SPM0687LR5H-1」、こちらに変えたら、あのさんしんを強く弾いたときの第三の衝撃音はあっけなく消え、早弾き(カチャーシー弾き」でも異常な第三のゴースト音のない、またアタック音のみが強調されることのない綺麗な音に激変した。
さらに2つのMEMS間の「d」を変えることで位相特性を改善し出力レベルを上昇させ、指向性調整をおこなった。
MEMSマイク以外の変更点
1.2つのマイク間距離(d)を15mmから33mmに変更
2.同一ケースには収まらないため全長が50から60mmになった。
3.XLRコネクタ一体型とした。
4.前作の3芯シールド、Mogami 2790はイマイチ細く、乱れやすく激しくヨレヨレになるため中華製「30awg UL2547 3core」に変え、見た目も扱いやすさもきわめて「普通」となった。
5.フロントメッシュは#40のガッチリ系と#60の二重風防構造。
6.「ゴリゴリ」とATM-35の音とクセをモデリング。
6.そもそも筐体材料は、前方:mini XLR胴体、後方:RCAピンプラグをいろいろ物色(mini XLRとネジのピッタリ合う物と合体)。
d=33mm
回路図
さいごに
1篇・2篇と進めてきましたが、完成度の高いこのバージョンをひとつの通過点とし、「MEMSマイク単一指向性化」は可能性でいっぱいであることを書きとめておきたいと思います。
今回のマイクはひとつの完成形ではありますが、クリップオンマイクとしてはやや大きく、そのことが課題となりました。
まだ納得していません。
いずれ「第3編」となる頃はどんなカタチでその姿を見せるのでしょうか、それは筆者 Shinにもわかりません。
なぜならば欧米メーカー製ではいまのところお手上げ。
C-419(519)やISOMAX 2Hではなぜダメなのか、それを知ることがカギとなるかもしれません。
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おしらせ
MEMSマイク使用、話題のProbeⅡ Probe-T L-730mems など、読者のみなさまからのご注文により優秀機種の手づくり製作・領布を承っておりますのでお問い合わせください
またFetⅡなど純正WM-61Aのファンタム式パナ改マイクも継続中です。
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