ヨーグルトは便秘に良いという意見と、便秘を悪化させるという意見がある。
前者は、乳酸菌や、乳酸菌が作り出した有用な成分が腸内環境を改善するという。
後者は、ヨーグルトは腸を冷やす、また、日本人には乳糖不耐症が多いのが日本人の体質に合わない証拠だという。
牛乳が健康に良いかどうかも意見が分かれる。
どちらが正しいのか?
私の経験では、どちらも正しいと思う。メリットとデメリット両方があり、人によってメリットが上回るかデメリットが上回るか異なるのである。
便秘外来で有名(初診4年待ち)の順天堂の教授の小林弘幸先生はヨーグルトを推奨している。
ただし、ただ摂ればいいというのではない。「人の腸内細菌は一人一人微妙に違っているので、自分に合った菌を取り入れなくては意味がない。腸の中のものは48時間で外に出てしまうので、継続して取り入れなければならない。ヨーグルトの乳酸菌は30種類くらいあるが、そのうちどれが合うかは試してみないと分からない。ポイントは、1種類決めたら同じものを毎日2週間から1ヶ月摂取し続ける。しかし大抵2週間で効果が分かる。ヨーグルトを食べだしたときにお腹が急に張ってくる人がいるが、腸の環境が変わったからお腹が張ったり、変わってくるからそうなるので、「おかしい」とそこでやめてしまうのではなく、普通だったら3、4日でその症状は治まってくる。3、4日は我慢して、それでも続くようなら、自分には合わないと考えて、別のヨーグルトを試してみるとかいうのが重要」と主張していた。
一方、同じく便秘の権威で、海外からも便秘患者がくるという松生恒夫先生は、乳酸菌の摂取を勧めるが、日本人には植物性乳酸菌が合っており、ヨーグルトは腸を冷やす、と主張しているようである。
私自身の経験を述べる。
私は、毎日ヨーグルトを摂取したら、半日くらいで、腸の音がしなくなり、腹が張ってくることに気がついた経験が2回ある。苦しいので数日でやめたら一日で元に戻った。
そのときは、小林先生が言うように、腸内細菌が合わないのかなと思っていた。
一方、手作りした水キムチを食べると、発酵が進んだものであれば、数時間もすると、腸が動く音がして、ガスが頻繁に出て、腸の動きが良くなったのが分かるのである。「水キムチは多くの乳酸菌を含む」というのは事実だと実感していた。
生きて腸に届く乳酸菌のヨーグルトだと腸内細菌に合わなくても、死菌ならむしろ好影響なのではないか、と思い付いて、加熱してみた。ホットヨーグルトダイエットというのがあるくらいであるから。
100gをホットヨーグルトにして、完全に分離させた。
すると、腹は張らないのだが、水キムチを食べても、腸の動く音はしない、どうもおかしいことに気がついた。
ヨーグルトによって腸が冷えて腸の動きが低下したのに間違いないと確信した。そのようなデメリットが出る人と出ない人に分かれるのである。
ホットヨーグルトにすると、冷やす作用は和らぐであろうが、成分は同じなので、ホットにしても腸が冷やされてしまう人もいるであろう。
一方、ホットヨーグルトにすれば冷えない人もおり、そのような人では乳酸菌の恩恵を受けることが考えられる。
このとき、体温は変わらないし、手足が冷えたわけではないので、腸が冷えているとはすぐには気がつかなかった。
マクロビでも、チーズ以外の乳製品は、強烈に身体を冷やすというが、なるほどその通りである。
ということで、食生活の記事でも述べたが、「何々の食べ物が健康に良い」かどうかは、頭から信じ込まず、やってみて、良い反応が出ているか悪い反応が出ているか変わらないか、確かめる必要がある。
私は、子供の頃から下腹がぽっこり出ていた。便通は毎日あったので、残便があって腹が張るかくれ便秘だとは全く気がつかなかった。
牛乳や自家製ヨーグルトを毎日食べさせられていたが、もちろんそれだけが原因ではないが、むしろ、健康に良いとされた食習慣が腸を悪化させていた、と、今にして思うと気づかされている。