阪急宝塚線の主力形式のひとつとして活躍する5100系です。それなりの数がいたこと、目立った固定運用があるわけでもなし、更に5000系リニューアルに際して2000系列の置き換えのために形式編入され、そのままリニューアルされてしまった車両がいたりとイマイチ地味な存在ですが、元々神宝京3線共通仕様車両であったり、阪急初の本格的な冷房量産車、宝塚線10連運転のさきがけとなったりと、割と功績は大きいと思います。
登場当時は2連、3連、4連が存在し、それぞれにより制御電動車の車番分を行ったため阪急で唯一「49」まで番号を使い切った系列となっています(50以降は付随車・制御車となる。一部例外あり)。画像は2015年3月ダイヤ改正で消滅した通勤準急に運用されていたときの1コマです。現在この編成は8連を解除され4連で箕面線で運用されています。
画像は後期に増備された2丁パンタ装備車です。現在は京都線からは引き上げ、10連運用も終了、最近では能勢電鉄へ譲渡された編成も出てきています。
また、4+2の6連一本のみが神戸線所属とされ今津北線で使用される一方、このように2連を切り離し伊丹線の予備編成としての役割を担っていました。その他、余剰車となっている車両のうちの1両が、7300系リニューアルの実験台として前面が改造されたゲテモノ車両として正雀の隅に放置されていましたが、既に解体済みですね。
先頭車は表示幕改造が施されていますが、中間に入った先頭車の一部は原型を保っています。しかし、現在は自走が出来ない状態となっております。その理由は後ほど・・。
トップナンバーの5100Fですね。
登場から50年を記念し、戸袋の阪急マークを剥がし、窓下に旧社章を貼り付けて走っていました。
転落防止幌こそありますが、中間に入った原型顔の車両と組み合わせると、あの頃の阪急を思い浮かべることも出来るかと。この編成も長らく8両編成で宝塚本線を走りましたが、残念ながら2023年で姿を消しました。それでも、登場から50年が経過し宝塚本線で活躍する編成は徐々に少なくなっていますが、まだまだ頑張って走っています。
ドアです。本当に他系列との違いがありません。ドア横のスペースが少しばかり広いことくらいでしょうか。昔と異なる点とすれば、ドアの両側に巻き込み注意のステッカーが貼られたことですね。
優先座席を有する車端部です。モケットが異なるだけで印象が全く異なりますね・・。消火器は妻窓と側窓の間の隅に張り付いています。箱に入っているのは阪急のこだわりでしょうか。
そして後年に8000系と同様の窓が長い仕切り扉に交換された車両の車端部です。現在ではこちらの方が多数派となりますね。しかし、木目調化粧板が日焼けで色褪せてしまっています。こういう状態になるのを防ぐため、最近は焦げ茶色の化粧板を使うようになった訳ですね。画像はこの時点での優先座席です。
最前面です。撮影の都合で中間連結タイプを取り上げます。貫通扉と乗務員室仕切り扉を開くことにより運転台を仕切っています。
車掌台側は開放されており、立ち席スペースとなっています。このような構造を有する車両も少なくなってきました。
運転台部分です。速度計など一部メーターは木目の化粧板で埋められ、マスコンやブレーキハンドル等は撤去されています。とは言え、その気になればすぐに復活させることが出来そうな勢いですね。
で、こちらはトップナンバー車を含む編成にのみ見られた運転台撤去車です。3300系にも見られますが、宝塚線ではこの編成のみの存在でした。
こちらは元車掌台側。完全な立ち席スペースとなっています。
そして元運転台側。簡易運転台すら残されず完全に制御車としての機能を失わせるのも実は珍しかったり。他にも5128Fにも中間車化された編成がいますが、あちらは5000系よろしく完全に中間車の姿となっているため言われなければ気付きませんね。
天井です。関西では定番のカバーのかかった蛍光灯と、冷房吹き出し口、またそれを補助するローリーファンが設置されています。荷棚はバータイプ、この頃の通勤電車は網棚が多かった中で珍しいような気がします。
元々ドア付近に関しては吊革を設置していませんでしたが、支持棒を伸ばして短い吊革を増設しています。
窓です。2000系から続く一枚加工窓にアルミの鎧戸日除け、一昔前の阪急電車では当たり前に見られたセットですね。
優先座席です。かつては優先座席も一般座席と同じモケット色でしたが、視認性を高める為に現行のデザインに変更されています。高級感を損なわない色の選択には拍手ですが、経年による変色は一般座席よりも早い気がします。
最前面直後は3人掛けです。普段のユーザーとしては見慣れたものですが、座席下の側面にも木目化粧板が貼られているのに「こだわり」を感じる方もいるようで。
そして、優先座席バージョン。宝塚方は最前面となりますが、必要な時にはグッと我慢して席を譲りましょう。
近年は数が減りつつありますが、のせでんに移籍した編成共々、宝塚線最後のフルマルーン車として活躍します。