JR西日本381系「やくも」仕様車(グリーン車) | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

伯備線電化時から陰陽連絡用特急型車両として国鉄時代から活躍してきた381系。今回は1両連結されてきたグリーン車をご紹介します。

 

ちなみに在籍編成のうち2本には、このようなパノラマグリーン車が連結されていました。

 

近年の味気ないデザインばかりが目立つJR西日本の特急電車群にして、「バブルっぽい」という言葉がしっくりくるかと。


多少顔がのっぺりしているものの、かつて存在したスーパー雷鳥用のクロ481の血を引いたこの前面デザインはお気に入りです。
 

前面にはLED表示機が設置されており、通常は「やくも」の表示を出しています。今や死語となった「エル特急」のマークも最後まで残っていました。

 

新型車両の登場で定期運行終了が発表されましたが、運行終了を前に381系はかつてまとった塗装をリバイバルする動きがありました。その第一弾として登場したのが、伝統の国鉄特急色です。

 

ゆったりやくも塗装車と並びました。福知山地区からの撤退以降、またこの塗装が見られるとは思ってもいませんでした。そうそう、L特急マークはこちらの愛称表示にも最後まで付いていました。最後の国鉄特急型電車に今は亡きL特急のマークが付いているのは、何がとは言いませんが感慨深いものがあります。
 
反対側は簡易貫通型のクモハ381形です。電気連結器に平べったい特急マーク、このギャップが何とも…。

 

この国鉄特急色リバイバル塗装編成は、後にもう一度動きを見せることとなりました。
 
それがこちら、国鉄マークの復刻です。当時はステンレス切り抜きタイプでしたが、今回はステッカーで復刻させています。

 

なお行き先表示はさすがにLED表示機のまま、あくまで塗装だけでも当時の雰囲気に近付けたものと捉えておきましょう。

 

そしてリバイバル塗装第二弾として登場したのが、このパープルベースの塗装です。

 

かつては停車駅を減らした「スーパーやくも」という列車が走っており、その時にお目見えした塗装をリバイバルしたものです。パノラマグリーン車は、当初この塗装からスタートしました。前面のLED表示機も「スーパーやくも」になっているのが嬉しいですね。
 
岡山方のクハから。…「スーパーやくも」、根雨や生山などの一部列車のみ停車の駅はもちろん、今や全列車停車の備中高梁駅も通過するという、停車駅だけを見ればとんでもなく飛ばす列車もあったようです。

 

こちらもスーパーやくも塗装にLED表示機と、新たな組み合わせの誕生となりました。ちなみにこの塗装の編成を含めて、パノラマグリーン車を組み込んだ編成は一足早くに引退となり、クロ380形は形式消滅してしまいました。残念なことです。

 

第三弾として登場したのが、車内の居住性改善を目的としたアコモ改造車に実施された緑系塗装です。「スーパーやくも」増発により実施されたものですが、結局スーパーやくも塗装車との差異がウヤムヤになったことから両車との混結も日常茶飯事となり、最終的に「ゆったりやくも」化されて仕様が統一された過去があります。

 

先頭にはロゴも復刻されています。色合いからして高野豆腐ですね(笑)

 

そして岡山方はやはり簡易貫通型のクモハ381が務めています。この関係もあって、多客時には「ゆったりやくも」塗装車との併結も見られました。
 
で、こちらもお初なLED表示機との組み合わせです。
 
元グリーン車の普通席中間車と、元普通車のグリーン席先頭車が並んで繋がります。この塗装の時から、両車の座席クラスも入れ替わっちゃったんですよね。


それではまいりましょう、まずはデッキです。普通車同様、こちらも木目の化粧板が貼られています。

 


仕切りをデッキ側から。ドア下の空気孔が気になりますね・・。


振り返って一枚。幌部分の仕切り扉は手動式のままで、「グリーン車」の文字が入った曇りガラスとしています。普通車からの無用な立ち入りを視覚的に抑制するためかと思われますが、このような配慮にグリーンの風格を感じてしまったあなたは立派な病気です(^^;;

 

トイレは男女共用、中は普通車同様洋式となっています。


洗面台です。仕様は普通車と変わりませんが、側面はガラスとなっています。

 


で、381系ならではとも言える、エチケット袋がセットされています。グリーン車であろうと容赦なく振り子の振り始めと振り戻しのタイムラグは襲いかかりますからねぇ…。


グリーン車の車内です。2+1配置で大型の座席がずらりと並びます。今時在来線で1両丸まるグリーン車と言うのも珍しかったと思います。画像は非パノラマグリーン車、元々普通車だった車両です。



こちらはパノラマグリーン車。座席そのものは同じものを使用しています。

 


トンネル通過時や夜間の雰囲気はこんな感じ。グリーン車はJR西日本ならではのムーディーな雰囲気を醸し出します。これが電球色と蛍光色との違いって奴ですね。


デッキ仕切りを車内側から。こちらは出自が普通車という事で、やはりデッドスペースが大きくなっています。サロをクロにした方がアコモ的には良いのではないかと思いますが、座席だけを総取っ替えした方が安く上がると考えたようですね、ええ(^^;; 毛布は「やくも」仕様、赤色のものになっています。しかし、毛布が車端部に山積みにされていて、「使いたければご自由にどうぞ」というのは、アッパークラスとしてどうなのでしょうかね? 決してグリーン料金は安くないのですから、検札の時に使用の有無を聞く位の配慮があってもいいものですが・・。現状、エクストラチャージによるシートのレベルアップと静粛性の提供のみとなっているのが残念です。ましてや後者に関しては利用客の民度によってその意味を失う可能性がある訳で・・。

 


パノラマグリーン車のデッキ仕切りです。こちらはまだバブルで予算が有り余っていた時期の改造のためか、はたまた種車がサロだったためか、デッドスペースはなくスッキリとしています。いや、これが本来あるべき姿だとは思いますが・・。


天井です。照明はこちらも普通車と同じ、ダウンライトをいくつも配置する方式です。先述のとおり夜はムーディーな雰囲気となるわけですが、読書灯くらいは欲しいですよねぇ・・。


で、そのムーディバージョン。何気に側面からも光が漏れるようにしていますね。この辺りがJR西日本の腕が光る演出のひとつですね。


パノラマグリーン車最前面です。乗務員室との仕切り扉は柱が無いものを使用しており、視界を遮らないようにしています。自慢の大型曲面ガラスから、ダイナミックな前面展望を楽しむことが出来ました。

 


窓、パノラマグリーン車のものでございます。二重窓が一枚窓に変更となっており、窓の桟を使えるようにしています。


座席です。まずは2人掛けから。岡山方面を向いて右側に当たります。背の高い座席で、ヘッドレスト部分は後方の席からの展望を考慮して肩部が切り取られています。


乗車時間が3時間を越える割に、テーブル類がインアームテーブルオンリーというのは中々寂しいものです。構造上、耐加重テーブルでもないわけで・・。


上部には可動式のヘッドレストピローが設置されています。


1人掛け、岡山方を向いて左側に当たります。


全展開の図。見た目はかなり平板に見える背ズリですが、いざ座ってみるとどういうわけかとてもしっくり来る座席です。さすがグリーンと言ったところ、3時間の乗車もあまり苦になりません。

 


フットレストです。跳ね上げ式で土足面のみというのが頂けませんが、付け根部分にグリーンマークが象られている辺り、目立たない遊び心を感じますね。


デッキ仕切り際の座席のみ1+1の2列配置となっており、2列目通路側の席に配慮して衝立とフットレストが設置されています。デッキの仕切り扉、左に寄せることは出来なかったのでしょうか・・。まぁ1列目も1+2の3列にしなかっただけせめてもの配慮ですね。都合、出雲市方ではこの席はフルリクライニングも出来て格好の引きこもり席となるため、1番席に次いで人気の席となっています。またこの車両は非パノラマ車ですが、岡山方面はこの通り余寸をスペーサーで埋めた区画でして、普通席2列相当を占有出来る区画でもありました。


パノラマグリーン車最前列の様子。あれ、B席のフットレストが無い・・。


と思ったら荷棚上に土足禁止面オンリーの三角オットマンが置かれていました。気付かねぇよこんなもん(笑)

 


長年にわたる活躍、本当にお疲れさまでした。一部は波動用にしばらく残るそうですが、最後まで無事に走り抜けて欲しいです。