2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、2020年は全試合YouTube配信、WEリーグ:2021-2022からはDAZNとなり、各チームを均等に観戦できるようになりました。

東京NBに関しても、合計73試合、攻撃459本・守備217本のデータを蓄積しています。
2023-2024リーグ戦で8試合、攻撃38本・守備22本を分析・集計しています。

 

以下に東京NBの2023-2024WEリーグのコーナーキックの状況の概容と、2024-2025WEリーグの予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。

 


青字:16試合以上先発、緑字:16試合以上出場

橙色:11試合以上出場、赤字:5試合以上出場
黒字: 上記以下の選手
*:夏期入団選手、+冬期入団選手

$:昇格・2種登録選手、下線:引退・移籍など

 

長期離脱

GK21黒沢2023/07~8ヶ月、DF25池上 2024/05~9ヶ月、FW23氏原2023/09~9ヶ月、DF33石清水2024/08~8ヶ月
DF4西川2023/07~2024/03、MF6宮川2024/3~2024/5

 

退団
DF2木崎2024/07海外、DF4西川2024/06水原FC(KOR)、DF6宮川2024/07ハンマービル(SWD)、FW11藤野2024/08マンチェスターC(ENG)、GK16西村2024/01ディオッサ出雲FC、DF17堀内2024/02ラブリッジ名古屋、GK21黒沢GeogiaGwinnett(USA)、DF28船木2024/04伊賀FC

 

 

攻撃と守備体制の例として下図を示します。

 

第21節:2024/05/18

 

 

(1)2023-2024シーズンの全般傾向。

 

以下赤字のデータはこのブログで記事にした試合からの独自データです。

詳細は3-12を参照ください。

 

 

リーグ戦3得点・2失点と収支プラス。2019年以降の黒字を継続中。

ただ、攻撃119本、守備55本だから、得点率で言えば少しマイナスだった。

 

独自集計によると、

攻撃は、フリー先着率10.5%(リーグ5位)、シュート打ち率26.3%(同5位)と並レベル。
守備は、被フリー先着率は4.5%(リーグ3位)、シュート被弾率は9.1%(同1位)と非常に頑張った2023-2024シーズンだった。

 

 

レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。

 

① 高さ関係:リーグ最低レベル(C+)


2023-2024リーグ戦終盤(上図)のメンバーで、10人平均身長は164.2cm。

25池上選手(174cm)の台頭や、32鈴木選手(168)や9神谷選手(165)の加入で、一気に大型化した。

2023-2023シーズンまでは、苦しいマッチアップの試合が多かったが、逆に少し有利な試合が多くなった。

ただ、強さの面で少し足りないので、リーグ平均少し上と言ったところ。

 

 

② 軸になる攻撃:ニアの合わせ(C)

 

ニアへの配球率が60.6%(平均48.3%)と偏っている。ただ、先着率は30%(平均33.6%)。良い結果が出ているわけではない。

中心は3村松選手で、この2年くらいで非常に上手くなったと私は評価していて、2023-2024リーグ戦ではただ1人の複数得点。移籍で出て行った植木選手の代わりを果たしつつあると言える。

 

 

③攻撃の工夫・戦略:企画数は並レベル(C)

 

企画頻度はリーグ5位で普通レベル。

記録のある38本中、ショートコーナー5回とWEリーグ開幕を境に少なくなっている。

ピックプレーは5回。キッチリと企画したピックプレーと言うよりは、6人以上走り込み体制を12回を敷いていて、そこからの偶発的な走行線の交錯に期待しているようである。

 

G前密集陣形は3回記録しているが記録していない。

 

 

④守備力:2023-2024はシュート被弾率1位(A)

 

被フリー先着率4.5%(リーグ3位)、シュート被弾率9.1%(同1位)と良かった。

平面戦は、チーム全体では並レベルだが、3村松選手と25池上選手が頑張っていて、相手エース級を抑えているのだと思う。

 

 

 

(2)データ

 

A.なでしこリーグ・リーグカップ公式記録より

 

 

 

 

B.独自収集データより

あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。

①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚

②左右CKの集積図

 

 
 

 

 

 

イメージ 1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 

A.攻撃詳細

 

2023-2024リーグ戦で3得点。3村松選手2点、11藤野選手1点。

 

 

a)ニアでの合わせ(C)

 

軸になっていた植木選手が抜けたが、ニアへの配球率は60.6%(平均48.3%)と多かった。

が、先着率は30%(平均33.6%)と並。

2023-2024シーズンは回数で言うと15土方選手・19山本選手がニアへ先に走って、その後ろを3村松選手が追いかけることが多かった。

 

まず、平面戦の私の採点では並みやや下の5.33

守備選手との駆け引きという面で、植木選手が居なくなった分低下したようである。

 

平面戦独自採点基準

3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。

 

b)中央からファーでの競り(D)

 

25池上選手(174cm)の台頭や、32鈴木選手(168)や9神谷選手(165)の加入で、一気に大型化した。

だが、正面~ファーサイド先着率は23.1%(平均33.9%)と、強さに乏しく苦戦している。

配球率も39.4%(平均51.7%)と控え目。信用されるには至っていないのか?

 

 

c)ショートコーナー・ローボール(C+)

 

記録のある38本中、ショートコーナー5回(13.2%:平均12.6%)とWEリーグ開幕を境に少なくなっていて、並の頻度。

特に計画性は見られず、ボールを回しつつ、様子を見ながらクロスを上げている。

 

なお、このチームのショートコーナーは、過去から守備の目先を変える程度の意味しか持たないのだが、ドリブル突破力のある選手が多いので、ちゃんと企画すればそれなりの成果が出ると私は思っている。

 

 

d)キッカーと戦術選択:10木下選手がメインキッカーになったが・・・(C-)

 

遠藤選手がいた2021-2022前半まではインスイングを重視し蹴っていたが、その後は、ほとんど右利きキッカーのみになっている。

キッカーの優先順位と蹴った本数は、10木下選手(左12本/右14本)>8菅野選手(2/10)と、優先順位が逆転している。

 

球筋は素直な選手が多く、受け手も強くないので、きっちり合わせる必要が有る。

 

相手のスキを突くようなプレーは出来ていない。

 

 

e)ピックプレー(C-)

 

ピックプレーは5回。キッチリと企画したピックプレーと言うよりは、6人以上走り込み体制を12回を敷いていて、そこからの偶発的な走行線の交錯に期待しているようである。

 

 

 

f)ゴール前密集隊形(-)

 

独自集計で2019年採用率32%、1試合平均1.5回ペースで採用し、1点取った。

2021-2022も回確認している。

だが2023-2024リーグ戦では私が確認出来たのは1回だけ。これで、2年連続で実施は少なかった。

 

もっとも、多く採用していたころから、大した戦略は無かったし、正面~ファーサイドでの競りの先着状況から見ても、単純にゴール前に上げても、実りは少ないだろう。

GKを取り囲んで動きを封じたり、広く開いた外側のスペースを使うなど、N相模原やAC長野・千葉Lが見せるような工夫が無いと実りは少ないと思う。

 


g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(D)

 

GK脇にセットするのは、32鈴木選手や15土方選手・19山本選手だが、場所取りをするより、ニアへ出る場合が多い。

また、誰もセットしないケースも多く、戦略的に重要視されていない。

 

 

h)その他

 

2019年までは、試合によっては全くゴール前に蹴っていかないこともあった。

相手を露骨に舐めているようにも見えた。

なでしこリーグには「血の気の多い」チームは無いので、問題にはならないのだろうけれど。。

 

2020年以降は、そのような試合はなくなっている。

 

 


B.守備詳細

 

a)基本守備体系

 

① 基本は、マンツーマン中心。10人守備で2名のゾーン固定配置。

固定配置するのは、主に以下の通り。

ニアポスト脇:10木下選手。

ニアポスト前約5m:FWに起用された選手。9神谷選手・15土方選手・32鈴木選手うち誰か。

 

②ショートコーナーには、あまり積極的に対応しない。

 

③ゾーンディフェンスは対ゴール前密集陣形の際採用。

 

主力が大型化した分、密集陣形を採用したということなのだろうか?

かつて阪口さんが居た頃はゾーンもやったが、良いディフェンスとは言い難かった。

 

 

b)各選手の傾向・特徴

 

基本、各選手は密着マークを心掛けているように思う。 

 

走り込む攻撃側に選手に対応しているのは、3村松選手・6宮川選手・22坂部選手・25池上選手らが中心。

主力が大型化して、平面戦で頑張る必要性は低下したが、3村松選手・池上選手が私の記録ではまずまずの成績を出している。

 

 

c)マンツーマンのマークの強さ(A)

 

・シュート被弾率:非常に良くなった。

シュート被弾率は9.1%(同1位)だった。

独自集計データで2018年18.2%、2019年15.6%と良かったのだが、2020年は30.0%と急激に悪化、2021-2022も33.3%(平均:24.3%)とかなり悪い。

25池上選手など台頭した若手が比較的良く守れている。

 

・マーク力

被フリー先着率4.5%(リーグ3位)は良好。平面戦の独自採点評価(5.39/平均5.33)は並。粘り強く追えている。

 

相手エースには3村松選手(平面戦5.17)、25池上選手(5.31)で押さえていた。

22坂部選手(5.74)が不安だが、実戦での影響は大きくなかった。

 

**平面戦採点は、3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。(詳細は:リンク参照)

 

 

 

d)ゾーン配置選手(ストーン)の強さ(B-)


32鈴木選手・15土方選手・9神谷選手などが務めているが、強くなっている。守備範囲もそこそこ広いと思う。

 

 

e)逆襲力(B+)

 

11藤野選手が前戦に残ることも多く、ドリブル突破力がある。また、押し上げも速い。

 

 

f)統制(B)

 

先発メンバーをいじり続けた2023-2024シーズンだったので、若手や新戦力をたくさん試した。

その割によく守れていたシーズンだった。

 


(4)この約5年間の傾向・推移

 

a)キッカー

 

なでしこJAPANでも蹴るような優秀な選手がキッカーを歴任している。

 

2015年は上辻選手が専任。

籾木選手が定着した2016年以降は、インスイングで重視で左右使い分けている。

右利きキッカーは2016年は上辻選手、2017年は隅田選手・2018年長谷川選手と、ほぼ決まっていた。が、2019年は前述の通り分散している。

2020年は遠藤選手と菅野選手で左右使い分け。

2021-2022は遠藤選手が主に務めていたが移籍、菅野選手も使えないゲームが多く、基本木下選手が蹴っていた。若手の藤野選手・山本選手も蹴っていて、分散した。

2022-2023は最優先は菅野選手だったが、出場機会は多くなく、木下選手・藤野選手が主に蹴っていた。

2023-20242は木下選手がメインで蹴るようになっている。

 

 

b)ヘディング力

 

そもそも高身長なチームでは無いのにさらに、低下傾向が続いていたが、2023-2024若手の台頭と補強で一気に大型化した。

 

2019年遠藤選手が入団したが、併用が続いているし、身長の割にヘディングに強さが無い。

2019年秋から岩清水選手が産休離脱し、また、厳しくなっている。

2020年は田中美南選手が移籍。土光選手の怪我でさらに厳しかった。

2021-2022は途中で遠藤選手が移籍、土光選手は再度の怪我。

2022-2023は土光選手が移籍。

2023-2024は池上選手を筆頭に大型化したが、まだ強さに欠けている。

 

 

c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー

 

2016年に阪口選手が、主にファー側からヘディングシュートを決めて4点取っている。

岩清水選手もファー側で待つタイプで、共に溜めてから走り込んで点で合わせる技術を持っている。

そのため、ファーサイド中心の攻撃のイメージが有った。

2021-2022以降は、植木選手・村松選手のニアでの合わせ。

 

 

d)ピックプレー

 

・深いピックプレーの文化は無いチームだと思っている。

・無得点に終わった2018年~2019年夏、岩清水選手と田中選手でピックプレーを使ってニアを攻め始め、それなりの効果を出して、フリーには成れていたが、得点はあげていない。

・2023-2024は6人以上走り込み体制を12回を敷いて、そこからの偶発的な走行線の交錯に期待しているようである。

 

e)守備の統制

 

長く石清水選手がまとめていた。

2020年以降は、村松選手が怪我から復帰しまとめている。

 

 

(5)2024-2025シーズンの予想など

 

松田岳夫監督が留任。

コーナーキックの攻撃に基本力を入れないのは、変わらないと思う。

10木下選手がキッカーを務めて3村松選手を中心に攻めるだろう。

 

だが、2024-2025シーズン当初のフォーメーションをどうするかは難しい。

20小林里選手が復帰すれば、藤野選手と似たような働きをするだろうが、

それまでは、フィールド中央で推進力を発揮するTOP下タイプの選手が居ないので、

当面3-4-1-2は難しい。

またSBは、2小林海選手を補強したが、木崎選手・宮川選手が移籍し、2023-2024前半同様に苦労しそうで、冒頭の図のように4-4-2を提案したものの、リーグ制覇出来るようには見えない。

 

 

 

 

履歴

 2020/01/13 作成(アーカイブ)

 2021/03/16 更新(アーカイブ)

 2022/08/26 更新(アーカイブ)

 2023/07/21 更新(アーカイブ)

 2024/08/17 更新

 

以上です。

 


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