2018年からMycujoo配信やなでしこリーグのYouTube配信が始まり、2020年は全試合YouTube配信、2021-2022からはDAZNとなり、各チームを均等に観戦できるようになりました。

東京NBに関しても、合計63試合、攻撃406本・守備191本のデータを蓄積しています。

 

以下に東京NBの2022-2023WEリーグのコーナーキックの状況の概容と、2023-2024の予想を記載していきますが、原則下図のような配置を基に述べていきます。

 

 

長期離脱
DF5松田2022/8~9ヶ月
FW10小林2022/2〜2022/10
退団
DF2清水2022/08ウェストハム(UK)
MF8三浦2023/02ノースカロライナカレッジ(US)
FW10小林2023/07ノースカロライナカレッジ(US)
DF6宮川(去就不明)

 

攻撃と守備体制の例として下図を示します。

 

第22節:2023/06/10

 

(1)2022-2023シーズンの全般傾向。

 

リーグ戦3得点・2失点と収支プラス。2019年以降の黒字を継続中。

ただ、攻撃150本、守備64本だから、得点率で言えばマイナスだった。

 

独自集計によると、シュートを打った率:31.0%(全データ平均:23.8%)、フリーでの先着率13.8%(同16.0%)。競りにはなっているが、シュートは打てている。

だが、シュート被弾率:15.4%、フリーも先着を許したのも15.4%。

守備に関しては、まずまずで、平均やや上。

 

 

レベルを(A)~(E)で評価。あくまで私の視点です。

 

① 高さ関係:リーグ最低レベル(D)


2022-2023リーグ戦終盤(上図)のメンバーで、10人平均身長は161.4cmで平均的なのだが、最長身が22坂部選手(165cm)で、次が20木下選手(163cm)。

170cmを前後の選手が沢山居るチーム相手だと厳しい。

 

もともと上背の無いチームであったが、遠藤選手(167cm)や土光選手(164cm)が移籍して、さらに低くなった。

 

② 軸になる攻撃:分散傾向(C+)

 

累積図に示すように、傾向としてはニアでタイミング勝負をしている。中心は9植木選手。

だが、ニアへ走ったのは、9植木選手が最も多かった、誰かに集中したわけでも無い。

 

③攻撃の工夫・戦略:ショートコーナーも少なめ(D+)

 

企画頻度はリーグ9位。

突破力の高い選手が多いので、ショートコーナーを使う頻度が高いチームだったが、

2022-2023は7回(時間つぶしを除く):出現率12.1%(データ全体12.5%)と、平均的な数字。

G前密集陣形は記録していない。ピックプレ-はやや少な目。

 

 

④守備力:大きく離されはしないが、少し遅れている(B-)

 

シュート被打率(全データ平均:23.82%)が2018年18.2%、2019年15.6%と頑張っていたのだが、

2020年30.0%、2021-2022は33.3%と落ちた。

2022-2023は15.4%と回復している。

 

フリーで先着を許したのが15.4%(同16.0%)と平均的で、平面戦では5.2(同5.17)とやや悪い。

ちょっと説明の付きにくい数字になっている。

東京NBは押し込む試合が多いので、母数(時間つぶしを除いた被コーナーキック数)が26本と少ない。統計としては足りないので、偏った記録が残ったのだと思う。

 

 

(2)データ

 

A.なでしこリーグ・リーグカップ公式記録より

 

B.独自収集データより

あくまで、私が観戦・ブログ化した試合が対象ですし、独断と偏見で判断して集めたデータです。

①集計表とシュート率・被シュート率のグラフ2枚

②左右CKの集積図

 

 

 

 

 

 

 

イメージ 1

 

 

(3)詳細評価

 

以下話が長いです。興味のある方は読んでいただければ幸いです。

 

A.攻撃詳細

 

2022-2023リーグ戦で3得点。3村松選手2点、4西川選手1点。

 

 

a)ニアでの合わせ(C+)

 

2022-2023シーズンは回数で言うと9植木選手と3村松選手がニアサイドに走り込むことが多かったが、集中していた訳では無い。

ニアヘ先頭または次に走った回数は、9植木選手24回(ターゲット6/シュート2)・3村松選手22回(7/2)・10小林選手11回(0/0)・33岩清水選手10回(1/0)・11藤野選手9回(2/2)。

だが、出場時間を考慮すると、33岩清水選手(511分)と10小林選手(1214分)も同レベルの頻度。

 

先着率44.0%(全データ33.4%)と良いのだが、平面戦の私の採点では並みやや下の5.5。

身長も高くないので、平面戦で勝っているときに、ボールを受ける確率が高かったと言うこと。

偶然なのか?ボールがニアヘ来るのが分かっているから真面目に走り込んでいたのか?

ちょっと解りづらいデータが出ている。

 

平面戦独自採点基準

3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。

 

b)中央からファーでの競り(D)

 

高さ・強さが乏しく苦戦している。

 

ヘディングを競って勝てそうなのは4西川選手や30宇津木選手くらいだが、

2022-2023はそれぞれ797分、572分と半分以下のプレイタイム。

 

 

c)ショートコーナー・ローボール(C+)

 

独自集計した58本中(時間つぶしを除く)のショートコーナーは7本(12.1%)。

データ全体(平均)で12.5%。2021-2022に続いて並の数字だった。

2018・2019年は20%を越えていたが、監督さんの嗜好なのだろう。

 

内2本でシュート。率にして28.6%(平均20.3%)と、これも並と言えるだろう。

 

なお、このチームのショートコーナーは、過去から守備の目先を変える程度の意味しか持たないのだが、ドリブル突破力のある選手が多いので、ちゃんと企画すればそれなりの成果が出ると私は思っている。

 

 

d)キッカーと戦術選択:キッカーが分散した(C-)

 

遠藤選手がいた2021-2022前半まではインスイングを重視し蹴っていたが、その後は、ほとんど右利きキッカーのみになっている。

キッカーの優先順位と蹴った本数は、7菅野選手(右3/左12本)>20木下選手(13/13)>11藤野選手(7/8)。

 

球筋は素直な選手が多く、受け手も強くないので、きっちり合わせる必要が有る。

エースキッカーの7菅野選手に多く蹴らせたいところだろうが、出場機会に恵まれず、分散した。

 

 

e)ピックプレー(D)

 

2018年シーズンから、岩清水選手と田中選手が高頻度でピックプレーを使っていた。

それなりの効果が有って惜しいシュートもあったが、ゴールシーンを私は記録していない。

 

が、2019年秋から岩清水選手が産休、そして田中選手の移籍。

以来ピックプレーの積極的な発動を確認していない。

 

2022-2023も5回で頻度的には少なく、偶発的なものも多い。

 

 

 

f)ゴール前密集隊形(-)

 

独自集計で2019年採用率32%、1試合平均1.5回ペースで採用し、1点取った。

2021-2022も7回確認している。

だが2022-2023リーグ戦では私が確認出来ていない。2020年に続いて2回目。

 

もっとも、大した戦略は無い。

GKを取り囲んで動きを封じたり、広く開いた外側のスペースを使うこともしない。

密集に向けて蹴るだけでは、今の身長状況だと、大きな成果は望めない。

 


g)相手ゴールキーパーの守備範囲限定(C)

 

GK脇にセットするのは、主に2木崎選手・10小林選手・14北村選手ら。

あまり上手いとは思わない。

また、誰もセットしないケースも多く、戦略的に重要視されていない。

 

 

h)その他

 

2019年までは、試合によっては全くゴール前に蹴っていかないこともあった。

相手を露骨に舐めているようにも見えた。

なでしこリーグには「血の気の多い」チームは無いので、問題にはならないのだろうけれど。。

 

2020年以降は、そのような試合はなくなっている。

 

 


B.守備詳細

 

a)基本守備体系

 

① 基本は、マンツーマン中心。10人守備で2名のゾーン固定配置。

固定配置するのは、主に以下の通り。

ニアポスト脇:14北村選手が多い。

ニアポスト前約5m:9植木選手が多い。

 

②ショートコーナーには、あまり積極的に対応しない。

 

③ゾーンディフェンスは基本的にはやらない。

 

2018年はゾーンディフェンスを採用したが、途中で放棄。

守備のキー:岩清水選手の位置を色々いじったが、満足できる強度には至らなかった。

 

身長が低いのだから、最前列の選手が、相手エース級の動きを制限すべきと思うが、

そう言うマンマーク的な動きは一切無し。

良いディフェンスとは言い難かった。

 

 

b)各選手の傾向・特徴

 

基本、各選手は密着マークを心掛けているように思う。 

 

走り込む攻撃側に選手に対応しているのは、3村松選手・6宮川選手・4西川選手らが中心。

身長的に厳しいので、平面戦で頑張る必要が有る。

 

 

c)マンツーマンのマークの強さ(C)

 

・シュート被弾率:急激に悪化。

独自集計データで2018年18.2%、2019年15.6%と良かったのだが、2020年は30.0%と急激に悪化、2021-2022も33.3%(平均:24.3%)とかなり悪い。

無失点だったのだが、強いわけでは無い。

 

・マーク力

被フリー先着率(15.4%/全データ16.0%)は並み、平面戦の独自採点評価(5.22/平均5.2)も並みのレベル。

 

マークが平均的なので、身長がない分苦しいだろうと思うのだが、シュート被弾率が15.4%(全データ23.8%)。球際で粘ったと言うことなら理解出来るが、そう言う印象は私には無く、不可思議な数字関係になっている。

 

相手エースには村松選手が付いたが、平面的は苦戦している。

2022-2023リーグ戦の私の評価では補正後5.50と平均(5.20)以下。

 

**平面戦採点は、3点完璧なディフェンス勝ち、4点ディフェンス勝ち、5点イーブン、6点オフェンス勝ち、7点オフェンスフリー、8点オフェンス"ど"フリーで評価。(詳細は:リンク参照)

 

そこに加わるFWも含めて、強さ・マーク力共に不安。

 

 

d)ゾーン配置選手(ストーン)の強さ(C)


植木選手が務めているが、特別強いわけでは無い。

ただ、守備範囲は広く、検討していると思う。

 

e)逆襲力(B+)

 

ドリブル突破力がある選手が多いし、押し上げも速い。

 

 

f)統制(C-)

 

シーズン後半、移籍と怪我人の発生で、若手を試すために、新戦力をたくさん交代投入した。

危うい時期が長く続いた。

 


(4)この約5年間の傾向・推移

 

a)キッカー

 

なでしこJAPANでも蹴るような優秀な選手がキッカーを歴任している。

 

2015年は上辻選手が専任。

籾木選手が定着した2016年以降は、インスイングで重視で左右使い分けている。

右利きキッカーは2016年は上辻選手、2017年は隅田選手・2018年長谷川選手と、ほぼ決まっていた。が、2019年は前述の通り分散している。

2020年は遠藤選手と菅野選手で左右使い分け。

2021-2022は遠藤選手が主に務めていたが移籍、菅野選手も使えないゲームが多く、基本木下選手が蹴っていた。若手の藤野選手・山本選手も蹴っていて、分散した。

2022-2023は最優先は菅野選手だろうが、出場機会は多くなく、木下選手・藤野選手が主に蹴っていた。

 

 

b)ヘディング力

 

そもそも高身長なチームでは無いのにさらに、低下傾向が続いている。

その中で、阪口選手や土光選手の怪我が続き厳しくなっている。

2019年遠藤選手が入団したが、併用が続いているし、身長の割にヘディングに強さが無い。

2019年秋から岩清水選手が産休離脱し、また、厳しくなっている。

2020年は田中美南選手が移籍。土光選手の怪我でさらに厳しかった。

2021-2022は途中で遠藤選手が移籍、土光選手は再度の怪我。

2022-2023は土光選手が移籍。

 

c)攻撃のメインターゲット・頼れるプレー

 

2016年に阪口選手が、主にファー側からヘディングシュートを決めて4点取っている。

岩清水選手もファー側で待つタイプで、共に溜めてから走り込んで点で合わせる技術を持っている。

そのため、ファーサイド中心の攻撃のイメージが有った。

2021-2022・2022-2023は、植木選手・村松選手のニアでの合わせ。

 

d)ピックプレー

 

・深いピックプレーの文化は無いチームだと思っている。

・無得点に終わった2018年~2019年夏、岩清水選手と田中選手でピックプレーを使ってニアを攻め始め、それなりの効果を出して、フリーには成れていたが、得点はあげていない。

 

e)守備の統制

 

長く石清水選手がまとめていた。

2020年以降は、村松選手が怪我から復帰しまとめている。

 

 

(5)2023-2024シーズンの予想など

 

監督さんが松田岳夫氏に変わるので、基本コーナーキックの攻撃にを入れないのは、変わらないと思う。

 

ただ、2022-2023にマイ仙台にMIXディフェンスを導入しているので、守備は変わるかも知れない。

 

 

履歴

 2020/01/13 作成(アーカイブ)

 2021/03/16 更新(アーカイブ)

 2022/08/26 更新(アーカイブ)

 2023/07/21 更新

 

以上です。

 


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