1月27日(土)に行われた準決勝@ヨドコウ桜スタジアム。

NHK-BS

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浦和は ここまでの、5回戦:日体大SMG、準々決勝:千葉Lには、危なくは無かったが、ボールを支配している割に点が取れなかった。
準決勝:S広島Rには、2点差を一時逆転されるが、最後PK戦での勝ち上がり。
内容的にも互角の戦いで、苦労して勝ち上がっている。

この試合のシステムは、いつもの4-2-3-1。
S広島Rで怪我・退場した10安藤選手8猶本選手の登録は無く、延長後半だけの出場だった9菅澤選手もベンチスタートと前戦の選手が急に薄くなって居る。
1TOPに15島田選手、TOP下に19塩越選手を入れた布陣でスタートしている。



I神戸は、5回戦:AハリマSには押し込みながらも点を取るのに苦労し、準々決勝:新潟Lに快勝。準決勝:EL埼玉には、2回追い付かれ、延長終了間際の得点でやっとの勝利。
こちらも苦労しながらの決勝進出。

システムは3-4-1-2。
準決勝登録の無かった4竹重選手が先発復帰し、いつものメンバー・いつもの配置でスタートしている。
ベンチには7山本選手も帰ってきて、こちらはベストメンバーを組めている。


 

前半、浦和が素早い集散で、中盤を優勢に進め、1点先行する。
後半、出だしも浦和が優勢で進んだが、I神戸が形勢を持ち直し互角に。
I神戸が終了間際にPKを取って同点。
延長戦も、ほぼ互角の戦いが続き、双方チャンスを迎えたが決めきれず。
PK戦は7人目までもつれ込んだが、I神戸が勝っている。

シュート状況は下図の通り。



 

決勝戦に相応しい、すさまじい試合でした。


浦和は、優勢な間に追加点を取れなかったのが敗因なのでしょう。

でも、現時点のチーム力No.1が浦和であることに、間違いは無い。
9菅澤選手が短時間しか使えないし、8猶本選手10安藤選手が居ない状況でも、I神戸相手に優勢に進められたわけですから。

この大会の収穫は14角田選手でしょう。スゴイ運動量で、I神戸の攻撃の芽を摘み取っていました。
一方で課題はストライカーで、9菅澤選手が万全でないと迫力を欠く。
15島田選手には一皮剥けて欲しいし、それに続く若いストライカーも出てきて欲しい。



一方のI神戸は、押され続けていたが、最終ラインが堅く、流石の粘り強さ。
終わってみれば、決定機や惜しいシュートの数では浦和を上回っていたと私は評価している。
やはり、両WBが機能すると、このチームは強い。
延長終了間際の攻撃は2守屋選手→13北川選手で、その象徴だった。

ただ、中盤の攻防はずっと劣勢を強いられていた。
攻撃時にWBが開いているので、枚数的に足りない状態が数多く生じていて、
このカードや東京NB戦などでは捕まってしまう。
6松原選手や16天野選手が試合ごとに進化しているとは言え、
まだ裁いて打開出来るだけの能力を持っているとは言い難い。
中盤の強化が求められていて、新卒の戦力なども試してみたいところだろう。



では、いつものようにコーナーキックを見ていく。



(1)両チームのディフェンスシステムと攻撃体制。

浦和は、マンツーマンディフェンス中心で2人のゾーン固定配置。

I神戸は、マンツーマンディフェンス中心で3人のゾーン固定配置。



両チームの先発を背の順に並べると以下の様になる。



 

ゴール前で競り合う選手は、ほぼ互角のマッチアップ関係。



(2)統計 

例によって、私が採っているSTATSを紹介します。



 

2nd回収A:守備ラインが上がり切る前に2次攻撃(シュート・クロスなど)
2nd回収B:守備ラインが上がりきってから2次攻撃(同上)
2ndロスト:守備側がボールを拾って確保
2nd逆襲:守備側がボールを拾って逆襲
トータルシュート数:{プレーの中断、守備側の確保、攻撃側バックス陣帰陣}までに打ったシュート数。



(3)コーナーキックの内容と特記すべきプレー

A.浦和のコーナーキック

a)体制

キッカーは19塩越選手(右利き)。

受け手の体制は、以下のようにして始まっている。

・ニアへ: 15島田選手11清家選手
・正面からファーへ: 3石川選手7高橋は選手
・GK脇: 5伊藤選手14角田選手
・ショートコーナー: 18柴田選手
・コボレ狙い: 16水谷選手
・セーフティー: 17遠藤選手


b)結果概要

1本目 (00:37) 右CK 19塩越選手7高橋は選手ヘディングシュート→4竹重選手ヘディング→11清家選手→10成宮選手クリア。スローイン。
2本目 (13:04) 左CK 19塩越選手→2守屋選手ヘディングクリア
19塩越選手回収→16水谷選手クロス→(3石川選手)。Gキック。
3本目 (52:33) 右CK 19塩越選手3石川選手ヘディングシュート→左ポスト→14角田選手シュート。浮いてGキック。
4本目 (66:42) 右CK 19塩越選手3石川選手ヘディングシュート。右へ外れてGキック。



5本目 (83:19) 右CK 19塩越選手7高橋は選手ヘディングシュート→13北川選手ヘディングカット→15井手選手→11髙瀬選手ヘディング
5伊藤選手回収→13長嶋選手クロス→20桑原選手ブロック。再CK。
6本目 (84:02) 左CK 19塩越選手→。抜けてGキック。
7本目 (107:42) 右CK 19塩越選手3石川選手ヘディングシュート・5三宅選手ブロック→11清家選手→20桑原選手。11清家選手ファール。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

浦和が3石川選手7高橋は選手のヘディングの高さ・強さを前面に出して攻めている。
右コーナーキック5本全てで、I神戸の3土光選手と5三宅選手に競り勝っていて、
この試合の浦和のコーナーキックは、予定通りに進んでいたと言える。

基本同じ攻め方をしているのだが、3本目が惜しかったので図にしておく。
3石川選手のヘディングシュートが、ファーポストを叩いたプレー。



まず、キッカー19塩越選手は正面~ファーサイド、ゴールラインから離れたところを狙っていることが、概要図からお解りいただけると思う。
また、14角田選手が4竹重選手に競りに行かせないように、ファーサイド・外側から押さえている。
後は、3石川選手7高橋は選手が競り勝てば良い。

非常に単純明快な考え方だが、シンプルに2人が高く強いので、十分成立している。
準決勝:S広島R戦も同じように強さを発揮していた。
従来浦和と言えば、9菅澤選手11清家選手のニアでの合わせが主路線だったが、
私はこのやり方の方が、守るのは厄介だと思う。




B.I神戸のコーナーキック

a)体制

キッカーは13北川選手(左利き)。

受け手の体制は、以下のよだった。

・ニアへ: 9田中選手・4竹重選手
・正面からファーへ: 20桑原選手・3土光選手・5三宅選手・15井手選手
・GK脇: 11髙瀬選手
・ショートコーナー: 10成宮選手
・コボレ狙い: -
・セーフティー: 2守屋選手


b)結果概要

1本目 (72:53) 左CK 13北川選手→16水谷選手ヘディング・9田中選手→18柴田選手クリア
⇒10成宮選手回収→GK山下選手。再組み立て。



c)全般的な印象と特記すべきプレー

一本だけだったが、一気に4人がフリーになっているので、図にしておく。
地上戦をした5選手はいずれも勝っているのだが、唯一フリーとは言え無かった9田中選手のところへ蹴られて、16水谷選手にクリアされている。




偶然とは言え、一つのピックプレーと、各選手の動きによって、浦和の4選手が塊になってしまい無力化されている。

あ)切っ掛けはピックプレー。
4竹重選手一旦ファーヘ向かってから切り返してニアへ向かう。マークの3石川選手を3土光選手がブロックしている。

い)以下の4つの動きで4選手が重なる。
浦和4選手が19塩越選手を中心に集まる形となり、それぞれのマークを剥がされることになる。

①3土光選手のブロックを受けた3石川選手が、4竹重選手を追うが、前に19塩越選手が居て追えない。

②20桑原選手がニア方向に寄ったことによって、11清家選手がニアへ行こうとするが、19塩越選手が居る。
③5三宅選手がファーヘ開いたので、19塩越選手もファーヘ下がろうとするが、11清家選手3石川選手に塞がれる。
④3土光選手がファーヘ開くが、マークの17遠藤選手との間には、3石川選手19塩越選手11清家選手の塊が合って追えない。

ざっくり言えば、ニア側に居た2人(3土光選手・5三宅選手)がファーヘ、
ファー側に居た2人(4竹重選手・20桑原選手)がニアへ向かったため、
浦和4選手が一箇所に集まって、お互いの行きたい方へ行けなくなった、と言うことです。




以上です。



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