福田選手の公式戦初得点と、オウンゴールで引き分け。
シュート数が6:6で少なめ。
キーパーのファインセーブなど枠内の惜しいシュートは無し。
ゴール前のシーンを期待して見ていた人には、ちょっと寂しい試合だったと思う。
 
 
私としては、この試合の注目ポイントは2つで、
安藤選手の浦和L復帰と、高瀬選手のサイドバックの2週間前の同カードとの比較。
 
A.安藤選手
 
浦和Lに復帰して、どんなプレーをするのか楽しみだったが、
やっぱり他の選手たちとは違う存在だった。
テクニックや広い視野はもちろん、特に感心したのは、コンタクトプレー。
対面の田中選手や(特に)守屋選手を相手に優位にプレーしていたし、
マークがずれた時の伊藤選手なんかは、かわいそうなくらいだった。
上体の力も強いのだろうが、先手を取ってコンタクトしているし、
下半身で壁を作って相手を持ち上げるかのような姿勢で、盤石。
ドイツの体の大きなDFを相手にしていた安藤選手にとっては、
I神戸の選手たちは「軽い」相手だったと思う。

前ブログのオランダ代表-なでしこJAPAN戦でも記載したのだが、
なでしこの若い選手が世界と戦うためには必要な技術で、
良いお手本にしてもらいたい。
ただ、この安藤選手だって、世界では決して強いわけではないのだから、
最低限のやるべきこととしてである。
 
B.I神戸・高瀬選手の右サイドバック
 
先々週のなでしこリーグ10節(4-67:リンク参照)では浦和Lを惑わせ、
オーバーラップが脅威になっていたし、守備も無難だった。
しかしこの試合では、I神戸のシステム進歩速度と浦和Lの対策との競走に負けたのだと思う。
右サイドでは優勢を築けなかっし、
高瀬選手がオーバーラップした際に、ボールを奪われて危うくなりかけるシーンも複数回あった。
そもそも、高瀬選手の攻撃参加は、ゴール付近まで進めば脅威だが、
内に入れずにクロスを上げる事になった時に精度的に難がある。
さらに高瀬選手の力強いミドルシュートも、右からだと脅威の度合いも割り引かれる。
監督さんがこの矛盾を孕んだシステムをどうするつもりなのか?
難題だと思う。
 
 
では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく
 
(1)両チームのディフェンスシステム
 
両チーム基本は、マンツーマン中心で、2名のゾーン固定配置。
 
イメージ 1
 
 
 
 
(2)統計
 
例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
                 I神戸     浦和L
コーナー本数        1        5
得点(1次攻撃)       0        1(オウンゴール)
 
センタリング→シュート   0      2/0
センタリング→パス     0      1/0
ルーズボール         1       1
クリアー             1/1     1/0
キーパーパンチ       0        0
キーパーキャッチ      0        0
* フリー/競り合い
キックミス             0        0
ショートコーナー不発    0       0
フリーになった選手     0      3/2
   (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む   0      2/1
   (成功/不成功)
 
 
(3)特記すべきプレー
 
浦和Lは前半の3本が形になっていました。
しかし、得点になったのは74分の4本目で、攻撃自体は非常に陳腐だった。
それがオウンゴールになるのだから、皮肉なモノ。
 
前半の浦和の攻撃の趣旨は以下の通り。結果はなかなか効果的なものだった。
①ニアに走る1人目が30安藤選手で、5三宅選手との駆け引き勝負。
②2長船選手が2人目でニアを目指すのだが、
  ファーサイドで作った集団の最もファー側からスタートすることによって、
  マークの4田中選手が集団の中を通り抜けることになり、
  ピックプレーを誘発する。
③10吉良選手が集団の中で4田中選手をブロックし、2長船選手を援護する。
  オランダ代表-なでしこJAPAN戦(4-69:リンク参照)で、
  菅澤選手・猶本選手がコンビで良いピックプレーを見せてくれてもいる。
  今後の浦和Lのコーナーキックは見物である。
 
一方I神戸は46分の1本だけだったし、
相変わらず、分が良いとも言えない個人の駆け引き任せ。
8杉田選手が中島選手に遜色の無いキックを見せてくれたことくらいで、
特記すべき事は無い。

A.浦和L6分のコーナーキック(YouTube 24:28)
 
2長船選手は10吉良選手の背後を回ってニアに走り出し、
マークの4田中選手は、横にいた8杉田選手に行く手を阻まれる。
8杉田選手がチェンジし、2長船選手を追ったが、約1.5mは遅れてしまう。
ラッシュ&ピックA(2-2:リンク参照) パターンだ。
これだけでも十分効果的だったが、10吉良選手は2長船選手を援護する予定だったようで、ここで4田中選手にブロックを打つ。
パターン的にはラッシュ&ピックB(2-3:リンク参照)のつもり。
しかし、そもそも、守備側はマークチェンジしているので、4田中選手は2長船選手ではなく、既に10吉良選手のマークマン。すなわち、全くの無駄ブロック。
さらに、このブロックがムービングブロックで、4田中選手を押し倒してしまった。
結果ファールを取られる。
 
イメージ 2
 
 
この10吉良選手のブロックは、教科書に載っていそうな、やってはいけない例。
バスケットならファールが累積し罪が重いので、ブロッカーはしっかり練習する。
サッカーはこの程度でイエローは出されないので、ダメージは無いのかも知れない。
かといって、ファールになったらチームのチャンスをつぶしてしまうので、
やはり正しくブロックできるように、練習してもらいたい。
また、10吉良選手がブロッカーに徹するつもりなら、
ラッシュ&ピックB(2-3:リンク参照)より、
ブロック&ラン(2-5:リンク参照)の方が、
確実だし、ファールを取られることも少ない。私はおすすめする。
すなわち、10吉良選手は、4田中選手が走ってくるところをブロックするのでは無く、2長船選手が動き出す前に4田中選手にブロックを打てば確実だと思う。

B.浦和L21分のコーナーキック(YouTube 38:54)
 
6分のコーナーキックとほぼ同じ構図で、30安藤選手を1番手にニアに走らせ、
密集の最もファーサイドから2長船選手が2番手として走り込む。
そして、10吉良選手が4田中選手をブロックして、2長船選手を援護しようとしていたが、
今回は全く触らせてももらえず、躱されている。
このプレーでは、4田中選手と23イエスル選手が接触、
やはり2長船選手はフリーになっている。
ただ、ボールがゴールに近かったので、4田中選手に追いつかれ、競りになった。
結果は2長船選手が勝ってヘディングシュート。
ボールはゴール前の20加藤選手に当たってしまってこぼれ、クリアされてしまった。
惜しいプレーだった。
 
イメージ 3
 
 
 
C.浦和L74分のコーナーキック(YouTube 1:50:13)
 
得点になったので図にするが、プレー自体は陳腐なもの。
10吉良選手と13仲田選手の競り、14京川選手が伸ばした足、の2点を抜けたボールに、11高瀬選手が足を出してオウンゴール。
走り込んだ2長船選手、30安藤選手いずれも、競り掛けた訳でも無い。
 
イメージ 4
 
 
 
その他のコーナーキックについては以下の通りだが、図にはしない。
・29分(YouTube 47:39) 
  30安藤選手がニアでボールを受けたが、トラップがGLを割る。
  2長船選手は集団の最ファー側から、ニアポストを目指すが、
  マークの田中選手は、他の選手と接触はしなかった。
  10吉良選手は2田中選手をブロックには行っていない。
・84分(YouTube 2:00:30) 
  30安藤選手はニアへ
  11清家選手は正面ニア寄りで9増矢選手とヘディングで競るが届かず
  2長船選手は正面へ詰めたが、5三宅選手に完全ブロックアウトされる
  3高畑選手はファーポストを目指したが、
    11高瀬選手に完全ブロックアウトされる
 

以上です。
 
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