横山選手のゴールでオランダ代表に3試合ぶりに敵地での勝利!
相手を背負いながらターンし、振り切ってからの力強いミドルシュート。
ストライカーと呼ぶに相応しい得点だったと思います。
守備は完封。
山下選手のビッグセーブ(70分)や、
右SBに入った大矢選手のカバーディフェンス(85分)など、
瀬戸際でやっと凌いだプレーも有りましたが、全般的には安定していたように思います。
 
局面的には、アルガルベ杯同様に市瀬選手の出足が良く、熊谷選手の相棒を立派に勤め上げた。
また大矢選手は普段見ることが出来ない2部の選手だが、攻撃を含めて良かった。
戦略的には、中島選手が守備重視で、相手のキーマン7ファンデサンデン選手を
鮫島選手と徹底したダブルチームで押さえ続けた。
アルガルベ杯での経験を活かせていた。
 
ただ、色々不満を感じる場面も多かった。
局面的には、特に実績の少ない若い選手たちが容易に当たり負けし、
グラウンドに這いつくばることが多かったこと。
体格差のため、ある程度は仕方ないが、
ボールを1テンポ早く捌く、相手選手の走路に入る、先に体を当てに行くなど、
普段の練習と実戦経験で身につけてもらいたい。
それらが出来ることが、なでしこJAPANに定着できる最低条件なのだと思う。
 
戦略的には、2TOPが機能しなかったこと。
出し手との呼吸が合わないのか、安易なオフサイドが多く、有効に裏を取れていない。
バイタルエリアでFWが楔を受けて捌くにしても、ボランチや両SHが進出するにしても、
ディフェンスラインを実質的・意識的両面で押し下げられないと攻撃が活性化しないと思う。
この点に関しては、アルガルベ杯から改善できてはいない。
 
では、いつもの通り、コーナーキックを分析していく
 
(1)両チームのディフェンスシステム
 
両チーム基本は、マンツーマン中心で、3名のゾーン固定配置。
アルガレベ杯では、身長差があるなでしこJAPANに対しては、ゾーン中心。
有力と見られる3人に対してマンツーマンを付けてきた。
今日のメンバーなら、熊谷・坂口・菅澤3選手にマークを付け、
市瀬・猶本両選手にはマークを付けないことになるのだろう。
しかし、普通にマンツーマンだったのは、オランダ代表が、この試合は勝つためでは無く、
女子ユーロのための練習だったと思う。
イメージ 1
 
 
 
(2)統計
 
例によって、私が採っているSTATSを紹介します。
 
           オランダ代表  なでしこJAPAN
コーナー本数         6        2
得点(1次攻撃)        0        0
 
センタリング→シュート  0/1     1/0
センタリング→パス    2/0       0
ルーズボール         1         0
クリアー             1/1      0/1
キーパーパンチ       0          0
キーパーキャッチ      0          0
* フリー/競り合い
キックミス             0          0
ショートコーナー不発    0         0
フリーになった選手    2/3     1/3
   (ボール受け/ボール来ず)
ピックプレー:推定含む   0         2
   (成功/不成功)
 

(3)特記すべきプレー
 
オランダ代表は、特に何もしてきていない。
女子ユーロを控え、仮に取って置きが有ったとしても、この試合では披露はしないだろう。
しかし、ファーへ蹴って、なでしこの選手とスタンディングでの競りになれば、
身長差は絶大だ。
なでしこJAPANの守備としては、ヘディング出来たのはゾーン固定配置の熊谷選手だけ。
マンツーマンで付いている選手は全敗だったが、
市瀬選手・鮫島選手ともきっちり体を合わせて、強く打たせなかった。
 
なでしこJAPANの攻撃としては、珍しくピックプレーが見られた。
いずれも13菅澤選手と12猶本選手の浦和Lコンビによる。
2本のコーナーキックはいずれも13菅澤選手がメインターゲットとして、
フリーでニアに駆け込んでいて、特に1本目は惜しいシュートだった。
先日のなでしこリーグI神戸戦では無かったプレーで、
私が浦和Lの監督やコーチなら、
「やれば出来るし、効果もあるのに、なんでウチでもやらないのか?」と怒ってしまいそうだ。
 
ただ、12猶本選手は、ピックプレーが終わった時点で「用済み」とばかりに
PKエリア外に下がった。
ピックプレーで良いポジションが取れたなら、下がるのでは無く、ゴール前詰めた方が良い。
今回は無かったが、ブロックが効いたら、ディフェンスがチェンジする場合も有って、そのチェンジが曖昧で、13菅澤選手に2人がマークに行ってしまうことも十分有りえる。
ブロックを打つのは、味方のチャンスを拡げるのが主目的だが、
自分自身のチャンスも作る可能性が有ることを頭に入れてもらえれば、
更に良かった。
 
A.なでしこJAPAN49分のコーナーキック
 
13菅澤選手が12猶本選手のファー側からスタート。
2ファンルンテレン選手は11マルテンス選手に行く手を阻まれ、
13菅澤選手から約1.5m離される。
形的にはラッシュ&ピックAパターン(2-2:リンク参照)だが、
マンツーマンの守備選手同士がぶつかるのは、ちょっとレアなケース。
13菅澤選手の走り出しも見事だが、
オランダ代表のコミニュケーション不足の方が主たる原因である。
13菅澤選手に合わせた7中島選手のキックも見事。
あとは決めるだけだったが、13菅澤選手のヘッディングシュートは、ニアポスト脇へ逸れた。
なお、おそらく12猶本選手は2ファンルンテレン選手をブロックするつもりで
待ち構えていたようだが、自分のところには来なかったようだ。
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B.なでしこJAPAN57分のコーナーキック
 
同じく13菅澤選手が12猶本選手のファー側からスタート。
12猶本選手はガッツリと2ファンルンテレン選手をブロックし、
13菅澤選手は約2mフリーになった。
形的には12猶本選手が自分からブロックを打ちに行っているので、
ラッシュ&ピックB(2-3:リンク参照)のパターンで教科書通りと言える。
残念ながら、ボールは13菅澤選手の頭上を越えて、オランダ代表にクリアされた。
このプレーで12猶本選手のブロックが実に良く効いているだけでなく、
マークマンである11マルテンス選手も自分の背後に回して、無力化出来ている。
11マルテンス選手の素養の無さもあるのかも知れないが、教科書以上の成果だった。
 
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以上です。
 
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