作品データ : 原題 HOW TO TALK TO GIRLS AT PARTIES 製作年 2017年 製作国 イギリス アメリカ 配給 ギャガ 上映時間 103分
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が、ニール・ゲイマン(Neil Gaiman、1960~)のSF短編小説“How to Talk to Girls at Parties”(2006)~短編集“Fragile Things”(金原瑞人・野沢佳織訳『壊れやすいもの』角川書店、2009年)に収録~を映画化した異色青春ラブストーリー。1977年のロンドン郊外を舞台に、パンクに夢中な少年と、異星人の美少女の、奇妙で甘酸っぱくて切ない恋の行方が描かれる。主演は『マレフィセント』『ネオン・デーモン』のエル・ファニングと、ブロードウェイの舞台デビュー作で第69回トニー賞主演男優賞を受賞したアレックス・シャープ。共演にオスカー女優のニコール・キッドマン。
※グレゴリー・ペックは政治に関してはリベラルな発言が多かったため、リチャード・ニクソン大統領からは政敵リストに載せられるほど警戒されていた(Richard Corliss“The American as Noble Man”)。また、実際の彼も知的な紳士で、人格者として知られており、その人望を買われて政界進出の噂が周囲から出た(かのオーソン・ウェルズ〈Orson Welles、1915~85〉にも大統領になるよう薦められていたという)が、本人は「すでに自分は大統領役や歴史上の偉人をもう何人も演じている。もうこれだけで充分ではないか?」と答え完全否定。あくまで俳優として職を全うすることを公言したエピソードが知られる。―私は小学生時代に『ローマの休日』に魅入られてこのかた、そうした己れを潔くする生き方の見本のようなペックの熱烈なファンであり続けたし、今もなお、そうである!
ユダヤ人歴史学者であるデボラ・リップシュタット(Deborah Lipstadt、1947~)のノンフィクション“History on Trial:My Day in Court with a Holocaust Denier”(2005)(山本やよい訳『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』ハーパーコリンズ・ ジャパン、2017年)を原作とする本作。ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺は歴史的事実ではないと主張するイギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィングと、彼の意見を歴史を捏造(ねつぞう)する謬見とするリップシュタットの、“異例の法廷対決”が描かれる。『ナイロビの蜂』のレイチェル・ワイズ(Rachel Weisz、1970~)がリップシュタットを、『ターナー、光に愛を求めて』のティモシー・スポールがアーヴィングを、それぞれ演じた。監督は『ボディガード』『ボルケーノ』のミック・ジャクソン。
ストーリー : 1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学で、歴史学者デボラ・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)の講演が行なわれていた。彼女は自著“Denying the Holocaust:The Growing Assault on Truth and Memory”(1993)(滝川義人訳『ホロコーストの真実―大量虐殺否定者たちの嘘ともくろみ』恒友出版、1995年)で、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”を看過できず、真っ向から否定していた。 アーヴィングはその講演に突如乗り込み、「学生に嘘ばかり教えている」と彼女を攻め立て、その後名誉毀損で提訴という行動に出る。異例の法廷対決を行なうことになり、訴えられた側に立証責任がある英国の司法制度の中で、リップシュタットは“ホロコースト否定論”を崩す必要があった。彼女のために、英国人による大弁護団が組織され、アウシュヴィッツの現地調査に繰り出すなど、歴史の真実の追求が始まった。 そして2000年1月、英国の王立裁判所で裁判が始まる。この裁判は開始時から欧米でセンセーショナルに報道され、裁判の行方はユダヤ人だけでなく、世界の知識層や学生などからも注目される。 2004年4月11日、判決の日。判事はアーヴィングをホロコースト否定論者であり、偽りの歴史を作り上げた人種差別主義者で反ユダヤ主義者であると断じた―。
▼予告編
▼インタビュー含む特別映像
▼ cf. Historian Deborah Lipstadtsays, “There are facts, there are opinions, and there are lies.” : (This talk was presented to a local audience at TEDxSkoll, an independent event. This event occurred on April 7, 2017 at Sheldonian Theatre, Oxford UK.)
【「物事には真実と見解、そして嘘があります」とデボラ・リップシュタットは言う。ホロコースト否定者を対象とした自らの研究内容と、否定者らの歴史歪曲のもくろみを明かす、並外れた物語の中で、真実や事実を「攻撃」する人々に対して、攻め(the offensive)に回ろうと呼びかける。「相対的(relative)な真実など存在しないのです」。歴史の今日的な危機状況に立ち向かう彼女は、一語一語に力をこめて、話を締めくくる。「最も重要なのは、真実と事実が攻撃されているということです。私たちの目の前にある、私たちに課された、目前に迫る困難は、重大です。戦える期間は短いのです。今、行動しなければなりません。後からではもう手遅れなのです。」(And most importantly, truth and fact are under assault. The job ahead of us, the task ahead of us, the challenge ahead of us is great. The time to fight is short. We must act now. Later will be too late.)】
※ Alberto Giacomettiは主に彫刻家として知られるが、絵画や版画の作品も多い。第二次世界大戦以前にはシュルレアリスムの彫刻家と見なされていたが、最もよく知られている作品群は、大戦後に作られた、肉付けも凹凸もなく、針金のように極端に細く、長く引き伸ばされた人物彫刻である。彼は見ることと造ることの間の葛藤の先に、虚飾を取り去った人間の本質に迫ろうとした。その唯一無二の特異な造形が実存主義や現象学の文脈でも評価される。ジャン=ポール・サルトル(Jean-Paul Sartre、1905~80)は、これらのジャコメッティの人物造形を、「絶対の探求」~現代における人間の実存の表現~として高く評価した。
▼ cf. 「国立新美術館(The National Art Center, Tokyo)」10周年 “ジャコメッティ展”(2017年6月14日~9月4日)~13章「ヴェネツィアの女」、14章「チェース・マンハッタン銀行のプロジェクト」~ : (同展には、アルベルト・ジャコメッティの初期から晩年までの、代表的な彫刻をはじめ油彩、素描、版画など、選りすぐりの作品132点が、全16章構成(基本的に時系列)で出品された。展覧会の見せ場は後半で、13章は「ヴェネツィアの女」、1956年のヴェネツィア・ビエンナーレを機に制作された女性立像のシリーズ。いずれも100センチをやや上回る大きさで、胴と腕が一体化したものや、肉付けが比較的きちんと施されているものなど、一体一体は微妙に異なる。9体が三角状に並べられたさまは、宗教的な荘厳さも感じさせる。14章は「チェース・マンハッタン銀行のプロジェクト」。ニューヨークに建設される銀行の広場のためのモニュメントで、「歩く男」「女性立像」「大きな頭部」の3点を設置する構想だった。プロジェクトは実現しなかったものの、最終的な大きさで制作された彫像がここで展示されている。)
1978年7月、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(原題:Star Wars: Episode IV A New Hope)(公開当初のタイトルは『スター・ウォーズ』〈原題:Star Wars〉)に初めて出会ったとき、私は実に新鮮な驚き・興奮・感動を覚えた(cf. 本ブログ〈January 18, 2016〉)。以来、筋金入りのファンとして、アメリカのスペースオペラ『スター・ウォーズ』シリーズ(『エピソード5』→『エピソード6』→『エピソード1』→『エピソード2』→『エピソード3』)を飽かず享受しつづけてきた。 しかし、前作(レイを主人公とする「続三部作」の第1章『エピソード7』)→今作(レイを主人公とする「続三部作」の第2章『エピソード8』)は、とうてい私を堪能させるものではなかった。私の見るかぎり、我を忘れて素直に楽しめる映画シーンが激減した。物語(「遠い昔、はるか彼方の銀河系で…」)の展開がマンネリ化し、映画の質自体が劣化したように思われる。どうやら『スター・ウォーズ』シリーズの賞味期限も切れつつあると言えそうだ。
▼ 特別映像 ― Carrie Fisher(1956/10/21~2016/12/27) : 【キャリー・フィッシャーは2016年12月27日、心臓発作により急死(60歳没、合掌!)。本作が遺作となった。彼女はもともと私の好きなタイプの女優ではないが、父親がエディ・フィッシャー(Eddie Fisher、1928~2010)で、母親がデビー・レイノルズ(Debbie Reynolds、1932~2016)である点が注目される。何しろエディ・フィッシャーと言えば、1950年代を代表する世界的な歌手の1人で、あのエリザベス・テイラー~「ハリウッド黄金時代」を代表する大女優の一人~との結婚(1959~64)で世上を賑わした御仁。そして、デビー・レイノルズと言えば、ジーン・ケリー(Gene Kelly、1912~96)のミュージカルで、ハリウッドを代表する名作の一つ『雨に唄えば』(原題:Singin' in the Rain、監督:ジーン・ケリー&スタンリー・ドーネン、1952年)に抜擢され、一躍スターとなり、以降長い期間、人気女優の一人として活躍した女優・歌手・声優。私は小学~高校時代、フィッシャーのポップス“Oh ! My Pa-Pa”(1953年)、“Cindy, Oh Cindy”(1956年)をラジオやレコードでよく聴き、自ら口ずさんだものだった。また、小学~大学時代、『トップ・ハット』(1935年)、『巴里のアメリカ人』(1951年)、『バンド・ワゴン』(1953年)などと並ぶミュージカル映画の傑作として知られる“Singin' in the Rain”を十数回観つづけて、駆け出しの女優キャシー(Kathy)を演じたレイノルズに魅了された結果、キャシー=レイノルズこそが青年時代の私の「溌溂たる若さに輝く美しい娘」の代表格となった。私は今でも、女優の魅力度の点で、デビー・レイノルズとキャリー・フィッシャーでは、比較を絶する大きな差があると信じている。なお、娘のキャリーが急死した翌日(2016年12月28日)、母のデビーも脳梗塞で死去(84歳没、合掌!)。】
cf. Eddie Fisher “Oh ! My Pa-Pa” :
cf. Eddie Fisher “Cindy, Oh Cindy” :
cf. 『雨に唄えば』― Gene Kelly+Debbie Reynolds+Donald O'Connor(ドナルド・オコーナー、1925~2003) “ Good Morning” :
後者(原題:Zero Dark Thirty)は、9・11全米同時多発テロの首謀者にして国際テロ組織アルカイダの指導者、ウサーマ・ビン・ラーディン[ウサーマ・ビン・ムハンマド・ビン・アワド・ビン・ラーディン(Usāma bin Muhammad bin Awad bin Lādin、1957/03/10~2011/05/02)]の捕縛・暗殺作戦が題材のアクション・サスペンス映画。テロリストの追跡を専門とするCIAの若き女性分析官マヤ(Maya)の姿を通し、全世界を驚愕させた同作戦の“内幕”~作戦に携わった人々の苦悩や使命感、執念~を描き出す。 ジェシカ・チャステインは、死と隣り合わせの状況でも決して断念せず、ビン・ラーディンを10年間追い続けた、ヒロインの「強い女性」マヤを、迫真の演技で演じ切った。それこそクールで賢くて、男に靡(なび)かず、上司をはじめとする“権威”にも何ら臆さない、問答無用にかっこいいマヤ=チャステインではあった!