作品データ : 原題 EX LIBRIS - THE NEW YORK PUBLIC LIBRARY [ex libris(エクス・リブリス)とは、「誰それの蔵書から」という意味のラテン語で、蔵書票ないし書票のこと。英語ではbookplate。] 製作年 2017年 製作国 アメリカ 配給 ミモザフィルムズ/ムヴィオラ 上映時間 205分
第89回アカデミー賞(授賞式:2017年2月26日)名誉賞を受賞したドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン(Frederick Wiseman、1930~)が、世界屈指の “知の殿堂”ニューヨーク公共図書館(The New York Public Library、略称:NYPL)の知られざる舞台裏をカメラに収めたドキュメンタリー。世界で最も有名な図書館である一方、市民の生活に密着していることでも知られるNYPL。本作は同館で働く司書やボランティアの活動を通して、単に本を貸し出すだけではない“図書館”の幅広い役割と、それを支える理念と哲学に迫っていく。第74回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門で上映され(2017年9月4日)、国際映画批評家連盟賞を受賞。日本では2017年10月6日に山形国際ドキュメンタリー映画祭で『エクス・リブリス ニューヨーク公共図書館』と題して上映された後、邦題を変更して2019年5月18日より岩波ホールにて一般公開された。
ストーリー : 2011年5月25日、名もなき炭坑夫の描いた記録画と記録文書697点が、日本初のユネスコ「世界記憶遺産(Memory of the World:MoW)」※に選定された。暗く熱い地の底で、褌(ふんどし)一丁で鶴嘴(つるはし)を振るい石炭を掘り出す男と、上半身裸で這いつくばって重いスラ(石炭籠)を曳く女…。命がけの最も過酷な労働で、この国と私たちの生活を支えた人々の生々しく緊張感に満ちた姿がそこにある。
※ ユネスコ(UNESCO)が所管する三大遺産事業には、「世界遺産」“World Heritage Site”|「無形文化遺産」 “Intangible Cultural Heritage”|「世界の記憶(世界記憶遺産)」 “MoW:Memory of the World”がある。 “世界遺産”は、世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(略称「世界遺産条約」、1972年ユネスコ総会で採択、75年発効)に基づき、「顕著な普遍的価値」のある人類共通の財産として登録、保護される遺跡、景観、自然など、移動が不可能な有形の不動産のこと。文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種がある。 “無形文化遺産”は、無形文化遺産の保護に関する条約(略称「無形文化遺産保護条約」、2003年ユネスコ総会で採択、06年発効)に基づき、登録、保護される各国の芸能や祭礼、伝統工芸技術などの無形文化財のこと。[参照:「無形文化遺産とは、慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるものをいう」(同条約第2条)]
<全14話タイトル> : 第1話 [プロローグ]処罰が始まる(DIE STRAFE BEGINNT/82分) 第2話 死にたくなければどう生きるか(WIE SOLL MAN LEBEN,WENN MAN NICHT STERBEN WILL/59分) 第3話 脳天の一撃は心をも傷つける(EIN HAMMER AUF DEN KOPF KANN DIE SEELE VERLETZEN/59分) 第4話 静寂の奥底にいる一握りの人間たち(EINE HANDVOLL MENSCHEN IN DER TIEFE DER STILLE/59分) 第5話 神様の力を持った刈り手(EIN SCHNITTER MIT DER GEWALT VOM LIEBEN GOTT/59分) 第6話 愛、それはいつも高くつく(EINE LIEBE, DAS KOSTET IMMER VIEL/58分) 第7話 覚えておけ―誓いは切断可能(MERKE – EINEN SCHWUR KANN MAN AMPUTIEREN/58分) 第8話 太陽は肌を暖めるが時に火傷を負わす(DIE SONNE WÄRMT DIE HAUT,DIE SIE MANCHMAL VERBRENNT/58分) 第9話 多数派と少数派の間の永遠の隔たり(VON DEN EWIGKEITEN ZWISCHEN DEN VIELEN UND DEN WENIGEN/58分) 第10話 孤独は壁にも狂気の裂け目を入れる(EINSAMKEIT REIßT AUCH IN MAUERN RISSE DES IRRSINNS/59分) 第11話 知は力 早起きは三文の得(WISSEN IST MACHT UND MORGENSTUND HAT GOLD IM MUND/59分) 第12話 蛇の心の中にいる蛇(DIE SCHLANGE IN DER SEELE DER SCHLANGE/59分) 第13話 外側と内側、そして秘密に対する不安の秘密(DAS ÄUßERE UND DAS INNERE UND DAS GEHEIMNIS DER ANGST VOR DEM GEHEIMNIS/59分) 第14話 [エピローグ]ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー:フランツ・ビーバーコップの夢についての私の夢(Rainer Werner Fassbinder:Mein Traum vom Traum des Franz Biberkopf/112分)
▼ cf. 《1937(Stan Laurel & Oliver Hardy) vs 2018(Steve Coogan & John C. Reilly)》 - Song Comparison : (Laurel & Hardy sing ' Blue ridge mountains of Virginia ' . From the 1937 film “Way Out West” and the 2018 film “Stan and Ollie”.)
▼ cf. “Way Out West” vs “Stan & Ollie” - Dance(’At The Ball, That's All’) Comparison :
▼ cf. Stan Laurel and Oliver Hardy - The best bits :
■私感 : 思いがけないほど、印象に残る作品だ。 ただ面白くて笑える映画ではない。60代の男性お笑いコンビ《ローレル&ハーディ》の話ではあるが、その根底には涙を誘う“愛情”の物語がある。 イギリス出身のスティーヴ・クーガン(Steve Coogan、1965~)×アメリカ出身のジョン・C・ライリー(John Christopher Reilly、1965~)。英米を代表する実力派俳優が、衣装や特殊メイクの力も借りて、愛すべきコンビを、本物以上に本物らしく再現。二人の演技合戦が孕む重荷と喜びがとても愛おしい!多幸感溢れる二人のラストステージに拍手喝采!
作品データ: 原題 DAS SCHWEIGENDE KLASSENZIMMER 英題 The Silent Revolution 製作年 2018年 製作国 ドイツ 配給 アルバトロス・フィルム/クロックワークス 上映時間 111分
『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』本ブログ〈February 05, 2017〉本ブログ〈February 07, 2017〉でドイツ映画賞6部門を制した気鋭のラース・クラウメ監督が、旧東ドイツで起こった知られざる史実に触れ、新たな創作意欲をかき立てられた実録ドラマ(青春群像劇)。1956年のハンガリー動乱で市民が犠牲になったことを知った高校生たちが、純粋な気持ちから授業中に実行した2分間の黙祷が“社会主義国家への反逆”とみなされ、当局によって追い詰められていく中で繰り広げる葛藤と友情の行方を描く。事件の当事者となった19人の生徒の一人、ディートリッヒ・ガルスカ(Dietrich Garstka、1939~2018) が自身の体験を記したノンフィクション“Das schweigende Klassenzimmer:eine wahre Geschichte über Mut, Zusammenhalt und den Kalten Krieg”(2006)(大川珠季訳『沈黙する教室 1956年東ドイツー自由のために国境を越えた高校生たちの真実の物語』アルファベータブックス、2019年)を下地にしている。レオナルト・シャイヒャー、トム・グラメンツ、ヨナス・ダスラーをはじめ、『あの日のように抱きしめて』などのロナルト・ツェアフェルトや、『ヒトラー暗殺、13分の誤算』などのブルクハルト・クラウスナーらが共演。
同性愛者であることを否定され、“治療”を目的とした矯正プログラムを受けさせられた自身の辛(つら)い実体験を綴り全米ベストセラーとなったガラルド・コンリー(Garrard Conley)の回顧録『Boy Erased:A Memoir of Identity, Faith, and Family』(2016年)を映画化したヒューマン・ドラマ。アメリカの田舎町を舞台に、自分がゲイだと気づいた少年が参加した矯正プログラムの危険で非人道的な実態と、愛する我が子がゲイである事実を受け入れられず動揺する両親の葛藤の行方を描く。罪悪感に悩まされながらも信念を貫こうともがく主人公を熱演するのは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の若手実力派俳優ルーカス・ヘッジズ。主人公の両親役を務めるのは、ベテラン俳優の二コール・キッドマンとラッセル・クロウ。また、映画監督・俳優としてカリスマ的人気を誇るグザヴィエ・ドラン、本作へ楽曲提供もした注目のシンガーソングライターのトロイ・シヴァン、ロックバンド「レッチリ(Red Hot Chili Peppers)」のフリーら個性的な面々が脇を固める。メガホンを取ったのは、俳優としても活躍するジョエル・エドガートン。監督としては『ザ・ギフト』に続いて2作目の長編作で、本作では監督・脚本・製作・出演とマルチな才能を発揮している。