※この批評では文中に登場する作品のネタバレを含みます。
『ハンターハンター紀行』
焦らしに焦らされた凶悪な敵と主人公の直接対決がようやく実現!
なのにいざ戦いが決着すると……うーんなんか納得できない。
基本的にバトル物の話は、
簡単な例を出すと、敵をメチャクチャ悪い奴にして、
しかし昨今はただそれだけでは読者は満足しなくなってきている。
これだけではカタルシスは生まれづらくなってきているのだ。
では現代のバトル物においては何が必要なのか。
それは、『なぜ勝てたのか』
そのためのロジックが必要なのである。
そしてこのこのロジックには実は2種類あるのだ。
『物理的ロジック』と『精神的ロジック』の2つだ。
カタルシスが生まれなかった。
この2つのロジックの要素がどちらも無い場合が多い。
だがハンターハンターのグリードアイランド編には『珍しく』
実はゴンはゲンスルーに物理的ロジックによる勝利と精神的ロジッ
ではそもそもその物理的ロジックと精神的ロジックとはなんなのか
この批評の本題は精神的ロジックの方なので、まずは字面だけ見ればだいだいどんなものか予想できる物理的ロジ
手短に説明しよう。
これは見ての通り、
当たり前だが、
悪役が登場時点で主人公よりも弱ければその時点で普通に倒して終
なので主人公が到底倒せないくらいの強さで悪役は登場させる必要があるのだ。
しかし悪役を強く設定しすぎると、
それを解消するために必要なのが、
一番分かりやすいのは、
ならこの点、
まず、戦いが始まった時点でゲンスルーはオーラの総量や戦闘経験においてゴンよりも遥かに強い。
にもかかわらず何故ゴンが勝てたかと言えば、
具体的に説明すると、
しかしジャンケングーの発生には時間がかかるのでゲンスルーに当
そこで、
そこでこちらで用意した唯一の逃げ場所である横穴にゲンスルーが


このように物理的なロジックがしっかり練られているので、
ゴンが弱いまま強いゲンスルーに勝てた事に納得できなかった読者
そんな当たり前の事説明されなくても分かるよ…
そう思った方がほとんどではないだろうか?
ただ実際には物理的ロジックが備わっている作品というのはそこま
新しい技を繰り出したから勝てた。
戦闘中に何らかの変身やパワーアップをしたから勝てた。
仲間が加勢してくれたから勝てた。
これらの理由で勝つ事が圧倒的に多い。
しかしハンターハンターでは誰かと誰かが戦う時にはたいてい物理
特にヒソカ、モラウ、キルア、クラピカ等が戦う時は顕著だ。
と、
ぶっちゃけ物理的ロジックは『そこまで重要ではない』。
あまり重要ではないからこそ、
では重要なのはなんなのか。、
それが今回の批評の本題である精神的ロジックである。
精神的ロジックがどういうものか簡単に説明すると、
一言で言えば、
『なぜ主人公は勝利に値する人間であり、
それを理由付けするロジックだ。
そしてちょっと複雑なのだが、ここで言う『勝ち』とは物理的な戦闘に直接は関係無い所の勝ち負けの話だ。
だから物理的ではなくて、精神的なのである。
例えば、
仲間や部下を平気で犠牲にする事で勝ち続けて来た悪役に対して、主人公も仲間を平気で犠牲にする事によりその悪役を倒せたとしよう。納得できるだろうか?
自分がどれだけ不利になろうとも、仲間を大事にする事を捨てないで生きてきた主人公が仲間をむげに扱う悪役を倒すから、カタルシスが生まれるのだ。
この、仲間を大事にしない敵に対して主人公は仲間を大事にしてきたという部分が精神的ロジックである。
ではグリードアイランド編ではどのような精神的ロジックがあったのか見てみよう。
まずゴンとゲンスルーの戦いとその決着を真に理解するためには次の2つの事を知っておく必要がある。
1つ目は、
そしてちょっと複雑なのだが、ここで言う『勝ち』
だから物理的ではなくて、精神的なのである。
例えば、
仲間や部下を平気で犠牲にする事で勝ち続けて来た悪役に対して、
自分がどれだけ不利になろうとも、
この、
ではグリードアイランド編ではどのような精神的ロジックがあった
まずゴンとゲンスルーの戦いとその決着を真に理解するためには次の2つの事を知っておく必要がある。
1つ目は、
2つ目は、

これがゲンスルーのマイルールなのだ。
そしてこのすぐ後にゲンスルーはゴンに対して逆に思わされる事に
前述した通り、
しかしゴンは途中で自分のワガママにより片腕を犠牲にゲンスルー
ゴンの作戦が失敗したと見たゲンスルーは、
だが諦めると思ったゴンの顔を見たゲンスルーは戦慄する。

そしてゲンスルーはゴンにジャンケングーを当てられ、倒される。
気絶していたゲンスルーが目を覚ますと、
するとゴン達から驚きの事実を聞かされる。
ゲンスルーは強いだけじゃなくて、頭がとてもキレる男だ。
カードを巡る頭脳戦でも誰にも引けを取らなかった。
ツェズゲラがカードのコンプリートまであと残り7種類とブラフを
そんなゲンスルーが唯一読めなかった事が1つだけある。
唯一読めなかった事。
それはゴン達の持つクローンの意味だ。
ゴン達は戦いで傷ついたゲンスルー達をも大天使の息吹で治すため
ここ、
そしてゴン達も今頃そうなっていても全くおかしくなかった。
そんなゲンスルー達を、
極悪非道なゲンスルー達を、治すために、助けるために、
ゴン達はクローンを用意していた。
それを知ったゲンスルーの頭の中はもしかしたら混乱していたかも
ゴンが格上の俺に勝てる保証なんて無かったはず。
どれだけの作戦を用意していたとしても上手くいくとは限らない。
そもそも、俺達はたくさんの人を殺した。
ゴン達と一時手を組んだ仲間達だって全員殺した。
そんな俺達を、助ける意味が分からない。
そんな事のためにクローンを用意する意味が分からない。
そんな事、読める訳が無い。
コイツら、、、
イカれてやがる…
複雑な思考が脳内を巡る中、諸々の言葉を飲み込み、
グリードアイランド内において、自らの負けを認め、『まいった』

勝てると慢心していた格上のゲンスルー。
格下だが勝てた時にゲンスルーを助ける事まで考えていたゴン。
戦う前から既に勝負はついていたのだ。
何をもってして主人公に勝つ価値があり、
この精神的ロジック、
これはもちろんハンターハンターだけに当てはまる訳ではない。
最近の売れている作品にはこの精神的ロジックが含まれている事が
一流の作家は皆、一流の倫理観が備わっている。
その証拠に他の作品での精神的ロジックの例も少し見てみようと思
例えば、一番売れていて読んでいる人が最も多いワンピース。
その1巻に登場した、
彼も実は戦う前から既にゾロに負けている。
モーガンは初登場時にこんな台詞を言う。

ゾロとモーガンはまるっきり正反対の考え方をする人間なのだ。
ゾロはリカという少女からおにぎりを貰う。
しかし、
しかもその上何度も踏みつけられて、
それでもゾロはそのおにぎりを口に頬張り、こう言う。

どんな物をどれだけの量くれたか、それが大事なんだ。
というモーガンに対して、
大事なのは物そのものじゃない、くれた人の気持ちなんだ。
そう考える。それがゾロという男なのだ。
この時点でゾロという男が、
ルフィがゾロを仲間にする選択も、
まだゾロの剣技なんて見ていないのにだ。
そしてヘルメッポは口約束をあっさり破りゾロを処刑しようとする
この様にモーガンをどうやって倒したかなんかよりも、
どうしてゾロは勝つに値する人間だったかに重点を置いてロジックが組まれている。
これはゾロだけに限った話じゃない。
ウソップやサンジ、ナミのエピソード等も同じだ。
1人1人に物理的なバトルとはまた別の戦いがある。
『試合に負けて勝負に勝つ』という言葉があるが、それぞれの戦いの中で勝負では既に勝っているのに、
その人物を負けさせないために、試合部分だけ代行する。
それがルフィなのだ。
ちなみにワンピースにおける物理的ロジックはどうなってるかと言
『敵の所に無事にたどり着けさえすれば勝ち』
バギーの元に行きたいのに、檻の中から出られない。
クロの元に行きたいのに、迷って辿り着けない。
クリークの元に行きたいのに、間に海があって行けない。
アーロンの元に行きたいのに、体が海に沈められていて動けない。
この様にあらゆる障害により敵の元にたどり着く事が妨害されるが
ではそこまで物理的ロジック重視ではないワンピースがなぜここま
なんなら、精神的ロジックさえしっかりしていれば、もはや勝つ事に物理的ロジックが無くても良いどころか、
何を言っているかというと、つまり物理的な戦いには『負けても』
みなさんは日本の歴史上一番売れた映画をご存じだろうか?
興行収入400億を超えて、社会現象になったこの映画を。
『鬼滅の刃 無限列車編』
終盤、煉獄さんは倒されてしまう。
だがこの勝負、本当に煉獄さんの負けだったのだろうか?
そもそも最後の煉獄さんの勝負においては何が勝ち負けの基準なの
もし仮に煉獄さんの戦う理由が『敵を倒す事』
でも本当に倒す事が目的だったのなら、
彼は列車の5両を1人で守った。
だが彼は引かずに戦った。何故か。
それは彼の戦う理由が『ここにいる者は誰も死なせない』
作中で煉獄さんはこんな事を言う。

でも煉獄さんは見事、自身の責務を全うした。
それが彼の戦いであり、そこが彼の強さだからだ。
不死身な人間が戦ったからといってどう感動しろと言うのだ。
傷つくかもしれない。死ぬかもしれない。
不死身だが人を傷つけ殺して喰らわないと生きていけない。
そんな鬼とは正反対に、
煉獄さんは人を守るため、傷つきながら、血を流しながら、
だから彼はカッコいいんだ。
彼は負けてなんかいない。
彼は誰も死なせなかった。
この勝負、煉獄のアニキの勝ちだ。
売れている作品は戦闘でのアクションの華やかさだけではなく、戦う理由等1つ1つのロジックをこそしっかりと大事に描いている
ハンターハンターも同じだ。
意外と言うべきか、
むしろゴンはほとんど負けてばかりなのだ。
試験官ごっこしているヒソカにはあっさり負けてしまうし、
ネテロからは結局ボールを奪えない。
ゲレタには毒の吹き矢を使われプレートを奪われてしまうし、ハンゾーには手も足も出ない。
天空闘技場でもヒソカにはまたボロ負けしてしまうし、
旅団にもあっさり捕まってしまう。
ネフェルピトーの前では逃げる事しかできずに、
なので幼い頃の俺はハンターハンターってイマイチ盛り上がりきら
それともう1つ、幼い頃の俺がそう思った理由がある。
ハンターハンターはあまり白黒つけないのだ。
ゾルディック家に潜入した時は、
そもそも他の家族にはろくに会わないまま終わる。
天空闘技場でもフロアマスターにもならず、
ヨークシンでの旅団との闘いも、旅団を壊滅させないで終わる。
クロロとの戦闘は描かれないし、
それは無限列車編の話と同じく、
ここまで精神的ロジックの説明をしてきたが、
ではなぜ昨今では物理的に勝つ事それ自体よりも精神的ロジックの
バトル物の作品には永遠のテーマが1つある。
強い方が勝つ。それでもいいのか?という事だ。
たしかに人類の長い歴史を見ても勝者が時代を作ってきた。
勝てば官軍のことわざの通りだ。
だがもしそれが本当に正しいとすれば、
それこそ悪役が言うようにどんな手を使っても勝てばいいし、何を犠牲にしても強くなりさえすれば良いという結論になってしま
しかも歴史と違って漫画は作者が自由に勝者を決める事ができるの
だからこそ近年では勝つという結果そのものよりも、
そして、
船の上でレオリオとクラピカの決闘を止め、
キリコのお眼鏡にかなって案内してもらえたのは何故か。
ネテロからボールを奪えなかったにもかかわらずゴンが「
トリックタワーで本来なら3人しか通れない所を5人通れたのは何
毒にやられたレオリオを助け、
ハンゾーの方が力は圧倒的に上だったのに彼がまいったをしたのは
試しの門をよじ登ると言って聞かなかったゴンが守衛さんに気に入
ゼパイルが目利きの素人であるゴン達と組もうと思ったのは何故か
全て、
だが作者である冨樫も昔はこういう物語の組み方はしていなかった
冨樫が精神的ロジックを重視するようになったのは、
それもその中で一番評判が悪いとされている魔界編から。
それまでの冨樫はかなり王道パターンで物語を作っている。
一言で言えば『主人公が敵を倒す』
乱童は幽助が倒す。
朱雀は幽助が倒す。
初登場時の飛影も幽助が倒す。
戸愚呂(弟)は幽助が倒す。
仙水は幽助が倒す。
要はその章ごとの一番の敵を主人公が倒す事を最終目標として逆算
そんなの当たり前だ。
フリーザは悟空が倒すし、ラオウはケンシロウが倒す。
主人公が一番の敵を倒す。そんなのごくごく当たり前の話だ。
そしてその当たり前の如く、幽遊白書では幽助が敵を倒していく。オーソドックスな作りだ。
だが魔界編で冨樫の物語の作り方がガラリと変わる。
幽助は最後黄泉を倒せずに終わる。
だからこそ魔界編の終わり方にもやもやした方も多いのだろう。どこか打ち切りのような気がして。
しかし、黄泉を倒せなかった。
それは決してバッドエンドに終わったという事ではない。
今まで通りだったら黄泉を幽助が倒す事をゴールにおいて話が作ら
だが冨樫はそうしなかった。
ならばその代わりに何を主軸に置いたのか。
それは、『長年に渡る魔界の抗争を、幽助が止める』
そして幽助は見事にその目的を遂げる。
ここで一番大事なのは、
もし幽助が単に力ずくで魔界を統一しようと考えていたのなら、
現にトーナメントの中で幽助は強さでは上位に入れていない。
私利私欲や打算ではなく、
「ただのケンカしようぜ。国なんかぬきでよ」という、
幽助の純粋な思いがもたらした結果として魔界の抗争に終止符が打たれた。
強さだけで何かを解決しないという話の展開は、ハンターハンターだけではなく、幽々白書の魔界編から既に試みられていたのだ。
しかしその試みは初めから奏功していた訳ではない。
結果として幽遊白書は魔界編を最後に連載が終わってしまうからだ。
冨樫は『連載を終えて』というタイトルで、幽遊白書を自らの意思で終わらした理由を自作の同人誌に載せている。
その中でこんな事を語っている。
『読者が飽きるまで同じことを繰り返すかしか残っていませんでした。同じことを繰り返すに耐え得る体力も気力ももうありません。』
『読者の反響を~全く考えないで自己満足だけのためにマンガ描きたくなってしまいました。その結果できる作品がジャンプ読者のメガネにかなうとはどうしても考えられませんので挑戦を放棄します』
王道を繰り返すのには疲れた。
でも、王道を崩して自分が描きたいものを描いたとしても、
読者を満足させられる出来にできる自信は無い。
だから幽遊白書の連載を終わらせた。
そのような苦悩が窺える。
そして幽遊白書が終わってから約4年後に再び週刊連載が始まる(レベルEは月1での連載だった)。
王道を崩して読者を満足させる出来にはできないと冨樫は弱音を吐いていたにもかかわらず、
新連載ハンターハンターからは少年漫画の王道パターンが限りなく排除されていた。
・主人公がその章の敵を倒す事ありきで話が作られていない。
幽助の純粋な思いがもたらした結果として魔界の抗争に終止符が打
強さだけで何かを解決しないという話の展開は、
しかしその試みは初めから奏功していた訳ではない。
結果として幽遊白書は魔界編を最後に連載が終わってしまうからだ
冨樫は『連載を終えて』というタイトルで、
その中でこんな事を語っている。
『
『読者の反響を~
王道を繰り返すのには疲れた。
でも、王道を崩して自分が描きたいものを描いたとしても、
読者を満足させられる出来にできる自信は無い。
だから幽遊白書の連載を終わらせた。
そのような苦悩が窺える。
そして幽遊白書が終わってから約4年後に再び週刊連載が始まる(
王道を崩して読者を満足させる出来にはできないと冨樫は弱音を吐
新連載ハンターハンターからは少年漫画の王道パターンが限りなく
・主人公がその章の敵を倒す事ありきで話が作られていない。
・ジャンプなのにヒロインがいない。
・戦闘力的なものの数字だけで勝敗が決まらない。
・キルア、クラピカ、
・なんなら主人公が長らく登場しなくても物語が進む(
もっと細かい所を言えば、
・才能だけで勝ったりしない。
普通の才能系主人公は才能だけで格上に勝ってしまったり数年かかる修行を数日で達成してしまったりする。
だが、1000万人に1人の才能を持つゴンですら、
「多分俺プロハンターで1番弱いんじゃないかなー」
・下手に伏線を回収するような展開にはしない。
並の作者だと、
蟻編でゴンが「
だがその後に仲間想いの敵が現れてゴンがピンチになるみたいな展
・引き延ばせる所で無駄に引き延ばさない。
漫画ではトーナメントでの戦いを出せばいくらでも物語を引き延ば
天空闘技場での100階のカベを超えられるかで1つの展開にでき
・主人公が常に正しいとされていない。
普通は主人公が正義感にかられて直情的な行動をしても結果的に是
・ジンが出て来る。
基本的にその漫画の最強キャラというのは継続的に登場する事は無
神格化されたキャラをボロを出さずに描き続けるのは非常に難しい
もちろん王道パターンを外せばいいってものではない。
というか、むしろ王道に沿って物語を作るべきである。
その方が面白い作品になるし、
でも冨樫は王道を外して、尚且つ面白い作品を成立させたのだ。
僭越ながら俺もそこそこ物語の作り方は勉強してきた人間なので、傑作とされている漫画や映画を観ればある程度その物語の構造を理
どうしてこういう性質の人物を配置したのか。
どうしてこの台詞が必要だったのか。
どうしてこの展開を入れたのか。
どうしてこういう結末にしたのか。
だけど、、、ハンターハンターだけはマジで全く理解ができない…
どの時点でどこまで考えていれば一体こんな物語の展開が生まれる
だって蟻編ではゴンはメルエムに会ってすらいないんだぞ!?
最強にして最凶の敵が主人公の顔すら知らずに死んでいくって何?
それでずば抜けて面白い漫画として成立してるって何?
そりゃあ休載しまくるよ。
だって本来ならハリウッド映画のように、
作者が1人の漫画で描いてるんだもん。
それほど先人達が築き上げてきた王道を外すのというのは難易度が
でもね。
実は王道を外してる中で一番驚いたのは今挙げたもののどれでも無い。
ハンターハンターが王道を外している中で俺が一番好きなのは、
『悪役が仲間を大事にする所』だ。
どの漫画でもやっている悪役を悪役たらしめる王道な演出が1つある。
悪役が自らの部下を手にかける演出だ。
売れている漫画はだいたいやっている。
それは単純にその方が読者が悪役に嫌悪感を抱き、その結果その悪役を倒した時に得られるカタルシスが倍増するからだ。

だがハンターハンターに登場する悪役は部下を、仲間を本当に大切にするのだ。
一見、ハンターハンターは平気で人間が死んでいく残酷な漫画だ。
ハンターハンターが王道を外している中で俺が一番好きなのは、
『悪役が仲間を大事にする所』だ。
どの漫画でもやっている悪役を悪役たらしめる王道な演出が1つあ
悪役が自らの部下を手にかける演出だ。
売れている漫画はだいたいやっている。
それは単純にその方が読者が悪役に嫌悪感を抱き、



でも、
最終的に、いつも結末を左右するのは強さではなく、

ハンターハンターがどんな漫画かと尋ねられたら俺は迷わずにこう
「ハンターハンターは誰よりも優しい漫画だ」
それに比べれば、
冨樫は自分が描きたい漫画ではもう読者を満足させられないと幽遊
その数年後にもう一度新連載としてハンターハンターを始めてくれ
幽白の連載をするのが苦しくなり自ら産んだ愛する漫画に終止符を
でもきっと色んな遠回りをしたんだと思う。
一度は挑戦を放棄したけど、悩んで、立ち止まって、
また挑戦しに戻って来たんだと思う。
冨樫がまた漫画を描いてくれて本当に良かった。
そのおかげ俺は読めるんだから。
俺が世界で一番好きな漫画、ハンターハンターを。
冨樫、ありがとう。
俺は幼い頃、ハンターハンターは怖いからと親から観るのを禁止されていたので隠れて読んでいた。
でも俺は、子供達にこそ、この作品を読んで欲しいと思っている。
強さよりも優しさが勝つこの素晴らしい漫画を。
そして、もし子供達がその先の人生において挫折した時は思い出して欲しい。
思い描いていた目標への最短ルートから外れてしまった。
冨樫がまた漫画を描いてくれて本当に良かった。
そのおかげ俺は読めるんだから。
俺が世界で一番好きな漫画、ハンターハンターを。
冨樫、ありがとう。
俺は幼い頃、
でも俺は、子供達にこそ、この作品を読んで欲しいと思っている。
強さよりも優しさが勝つこの素晴らしい漫画を。
そして、
思い描いていた目標への最短ルートから外れてしまった。