誰もがご存知の通り、シンゴジラは前評判を覆して82億円の興業収入を叩きだして近年稀にみる大ヒットとなった。
しかし、ゴジラを凍結させるという終わらせ方に不満を感じた者も一部いる。
確かに近代兵器の限りを尽くしてゴジラを倒せば華があったかもしれない。
でもそれでは意味が無いのだ。
本作の終わり方こそ最高の形と言えよう。
それはゴジラという存在の倒し方が、日本のこれからの原子力との向き合い方とニアリーイコールになるからだ。
まず、今回は色んな考察は省かせていただく。
興味がある方は、
なぜ博士は消えたか。どこへ消えたか。
ゴジラに人型の背びれがあった理由。
日本の行政機関を描くに当たっての写実性。
ゴジラを5段階に分けて進化させた事の生物学的意義とか調べてみると色々面白い考察が転がっていて感心させられる事だろう。
本分はラストの部分が持つ意味に絞って語る事にする。
そもそもゴジラとは1954年に日本で生れた作品だが、もはや怪獣映画ではない。
原子力がテーマの映画である。
それはもちろん日本が原爆を落とされた唯一の被爆国だからである。
ゴジラは原子力を弄んだ事により産み出された人間の罪の象徴なのだ。
だから平成ゴジラシリーズでゴジラが人間の味方のように描かれた時には批判もあった。
人間の罪から生れたて存在が人間を救ってどうする。
そういう視点で見ればシンゴジラはゴジラの本懐に帰った作品と言える。
シンゴジラは明らかに人間の脅威としてしか描かれないからだ。
だからこそゴジラの倒し方は日本の原子力に対する向き合い方になるのだ。
ラストで日本は2つの選択肢を迫られる。
1核爆弾をゴジラに投下して倒す。
2ゴジラを凍結させる。
もちろん最終的に2の方法を選択する訳だが、作品内の1を選びたくなる理由付けも凄く説得力があった。
しかし、原子力を弄んだ罪から産み出されたゴジラを原子力の力により倒すというのは本当の解決になるのだろうか?
また第2のゴジラが生まれるかもしれない。
事実上の主演である長谷川博己演じる矢口は作中にこんな選択を迫られる。
『凍結作戦を選び失敗したら10年後お前は総理になれないぞ』
それに対して矢口はこう答える。
『10年後総理になるよりも、10年後のこの国の方が大事だ』
原子力を扱う時には目の前の利益を最優先にして未来の人達の事を考えない事がしばしばある。原発を作りその処理を未来の人達に責任放棄する事が分かりやすい例だが、本作でも同じ選択肢を迫られる。それが前述の1だ。
ゴジラに核爆弾を投下して倒し目前の解決を優先し、その後の事は未来の日本に生きる人達に押し付ける選択肢だ。
(ちなみに私の原子力に対する賛否の立場は、映画『真夏の方程式』のガリレオの取っている立場とほぼ同じである)
しかし2の選択肢を選んだ矢口はこう言う。
『我々はゴジラと共存していかなければならない』
これこそ日本が原子力と向き合っていく方法なのではないだろうか。
広島と長崎に原爆を落とされ、3.11で原発事故を起こしてしまった日本。
被爆した地域を復興させていく事に尽力しなければならないし、
今日本にある原発をどうするかも考えていかなければならない。
もっと言えば被爆国として何を世界に発信していくべきかも必要になる。
そう私達日本人は原子力という問題にまだまだこれからもずっと付き合っていかなければならないのだ!
広島長崎の原爆投下や、3.11はもはや『解決』した『過去の事』なんて口が裂けても言えない。
だからこそシンゴジラではゴジラを倒さなかったのだ。
ゴジラは倒して解決するのではなく、これからもずっと付き合っていかなければならない存在だから。
矢口が目先の自分の出世よりも、未来のこの国に生きる人達の事を最優先にしたように、
私達も自分達の目先の利益よりも、未来の日本に生きる人達の事を最優先にすべくどう原子力と向き合っていくかを皆で力を合わせて考えていけたら素晴らしいなと心から思う。
拙文をここまで読んでいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
この後は完全に余談であるが、私は小さい頃からのゴジラファンである。
何を隠そう最初に劇場で観たのが
『ゴジラVSデストロイヤ』である。
まだ保育園に通っていた頃で、その後どんどん映画自体好きになっていった。
しかし、このデストロイヤでゴジラは一応の完結を迎える。
しかもゴジラはメルトダウンして東京もろとも火の海に変えてしまうというゴジラのテーマからしてみれば、悲しいがとてつもなく納得のいくラストである。
そこから20年ほど、ちょこちょこゴジラの新作は出ていたが駄作が多かった。
そしてようやくシンゴジラがヒットした事により完全に日本でゴジラが復活した!
さらに、
アメリカ版の評判の悪かったエメゴジも個人的には大好きなんだが、ギャレゴジも絵作りとか素晴らしく、そして次のドハゴジもティザー映像を見るとメチャメチャ期待できそうな出来だ
今では新宿のビルの上にはゴジラがいるし、
昔からのゴジラファンとしてはこのゴジラ大復興の世の中に大歓喜である(((o(*゚∀゚*)o)))ウレシー♪
一ファンとして、これからもずっとゴジラと共存していきたい次第である(笑)