ケニアのマトマイニ(希望)を育てる

ケニアのマトマイニ(希望)を育てる

1987年から30年続いたマトマイ二・チルドレンズ・ホーム。その卒園生達と共に、貧しさ故に子どもを困窮状態に追いやっているスラムのシングルマザーの自立援助に力を注いでいます。マトマイニ第2章の始まりです。

ケニアから日本のあなたへ伝えたいこと

4月にセカンダリースクールに入学したパトリックも、学校が選挙休みに入るとマトマイニに帰宅してきます。留守番役のカマンデ氏の息子アイダンと一緒にまた土曜日になるとチャパティを作るのでしょう。土曜日のチャパティ作りはずっと続いているマトマイニの定番メニューです。左がパトリック。

 

8月9日のケニアの総選挙(大統領選、郡知事選、上下両院議員選等)が目前です。大統領選は、ルト候補とオディンガ候補2名の一騎討ちが続いているようです。

 

5年毎に実施されるケニアの大統領選は、選挙前から様々な事件が起き、選挙当日も開票時や結果発表に関してもスムーズに進んだためしがありません。多くの死傷者や国内難民を出した2007年の様な大騒ぎにはならなかったものの、どの選挙も小競り合いやヘイトスピーチの攻防戦、贈収賄他、ありとあらゆる不正や訳の分からない殺傷事件も起きたりして、一触即発の様相を呈したものです。2017年には、やり直し投票がありました。

 

投票結果は、8月16日までに発表される予定ですが、ケニアの新聞によれば、8月1日時点での2候補の世論調査は、ルト候補45%オディンガ候補44%の大接戦です。でも、勝利しても50%を超えない場合はやり直し選挙になるのでしょうか。

 

マゴハ教育大臣が8月6日から15日までケニアの全ての教育機関は休校にすると発表しました。「ただし、これは暫定的で選挙がやり直しになれば変更する」そうです。

 

ケニアばかりでなく、アフリカの国々では選挙はまさに国家の一大有事なのです。

 

 

マトマイニの留守番組のパトリック君がこの4月にセカンダリースクールに入学し、マトマイニを発ちました。足元に置いているのは寮生活に必要なマットレスといろいろ詰め合わせたケースです。新たな門出おめでとう!

 

5月も下旬。日本各地で夏日や真夏日が続出し、熱中症予防が呼びかけられています。日本の夏の暑さを逃れ、冷涼な気候のケニアに飛んで行きたい気持ちです。

 

ケニアの新型コロナウィルス感染者は一日の平均が40人と落ち着いています。

 

しかし、修三も私もまだケニア行きの日程を決めかねています。

 

飛んで行きたいケニア渡航を延ばしている要因の一つは、今年8月9日に実施される大統領選挙を含む総選挙です。私は5年ごとの選挙は子ども達と一緒にマトマイニで過ごし、選挙前後の様子を観察していました。特に2007年の大統領選挙後に1100人以上の死者や数十万人の国内難民を出す暴動が起き、マトマイニの傍に住民の惨殺死体が晒される等、嫌な事件がありました。2012年の選挙も2017年の選挙も大暴動には至らないものの、実は一触即発の事態だったのを思い出します。選挙は有事です。

 

暴動が怖いというよりも、国中が選挙一色になり各部署が機能しなくなる懸念が大きいのです。私のケニア滞在はビザの関係から1ケ月半が精一杯となりそうで、その滞在中に、水不足、原毛調達、土地の裁判など山積する課題に取り組み、マトマイニの工房再開が出来るとしたらどういう形で可能か、見極めたいのですが、どれほど動けるか…

 

優柔不断とお𠮟りを受けそうですが、上のような訳で逡巡している昨今です。

マトマイニ出身のモニカ。3人の娘の母ですが、この写真は窓の外の風景が彼女の生活を語っています。

七輪で焼いているのはチャパティです。小麦粉が値上がりしたからチャパティー作りも苦労しているのかも知れません。以前は一枚10円ほどで売っていました。

 

連日報じられるロシアのウクライナへの軍事侵攻のニュースを観る度に、涙を誘われるのは故郷を離れ泣きながら抱き合う母子の姿です。

 

母と子と言えば、フェルト工房の23人のママの中、エヴァリンとベニックの訃報が届き、残された幼子のことを思うと、悲しくなります。

 

ママ達への生活支援金の仕送りは、今も続けています。送金は携帯を使ったMpesa(エムペサ)という送金システムで、大変速く手数料も安く確実に届きます。ただし、一度に送る金額に限度があるため、3月分は2度に分けて送らなければなりません。3月1回目の仕送りの後、ママ達の写真が届きました。生活の足しになったのでしょうか。嬉しそうです。

 

3月分の2回目の送金をしようと思っていた矢先、円の換算レートがどんどん下がり、7年振りという円安になってしまいました。少しでも円が高くなればと送金を延期していましたが、ケニアから声が聞こえて来るのです。

 

「食料品の値上がりが激しくて、トマトも玉ねぎも高い。パンなどは贅沢品になりました。」

 

これ以上延ばせません!円安でも送金することにしましょう。

左がベニック、真ん中はエヴァリン。2人とも今はもう居ません。右のマグダリンは元気です。

 

昨年11月末、フェルト工房の羊毛加工部門のエヴァリンが亡くなりましたが、2月初め再び訃報が届きました。

 

修三に「また一人病死したと連絡が入ったよ」と言ったら、「もしかしたらベニックかな?」 その通り、亡くなったのはベニックでした。

 

ベニックはずっと病気に苛まれたママでした。ある時は首から顔半分にかけて大きな腫物ができ、2ヶ月ほど仕事を休みました。腫れが引いて働きに来たので聞くと、医者に原因は分からないと言われたとか。

 

またある時は、マラリアに感染し、後遺症で聴力を失いました。見舞いに行きましたが、耳が聞こえないので筆談で聞き取りしました。やつれて足腰が立ちません。

 

「買い物や炊事はどうしているの?」

「田舎から姉が来て手伝ってくれます」

「今、欲しいものは何?」

「仕事を下さい」

羊毛の汚れを手で除く単純な作業を家でやってもらうことにしました。

 

やがて体力が戻り工房に出てきましたが、体調が悪く在宅で内職する日もよくありました。

 

そのベニックがついに力尽きて逝ってしまったのです。コロナでもマラリアでもなく、死因はエヴァリンと同様「ガン」でした。彼女には11才(娘)と8才の子ども2人がいて、ベニックの姉が面倒を見ているそうですが、8才のジェームス君は生まれつきの聴覚障害者です。

 

実家は遠いキシイの町なので、幼い姉弟は叔母さんと共に亡き母の葬儀に向かったはずです。そこにジェームス君の居場所があればいいのですが…

 

上の写真のアニマル達は3年前アメリカに送ったものです。残念ながら今は生産中止中ですが、コロナ前は世界中に飛んで行き、可愛がっていただいたアニマル達、今回映画に登場します。お見逃しなく!

 

大変遅ればせで申し訳ありませんが、新年のご挨拶を申し上げます。

 

shop pole pole主宰の坂部さんからメールが来ました。2年前に話を頂き、楽しみにしていた映画『フタリノセカイ』が封切られ、新宿、川崎、横浜で監督さん達の舞台挨拶などが行われたとのことです。

 

この映画の主人公の一人真也は、生まれた時の身体は女性で男性として生活することを望むトランスジェンダーです。もう一人はシスジェンダーのユイ。シスジェンダーとは、生まれた性と自分自身の認識する性が一致する人を指します。真也とユイは「愛し合い、結婚し、家族をつくり、共に人生を歩むこと」を願うのです。

 

この映画の美術担当のコバヤシランさんはかねてからマトマイニアニマルのファン。カラフルでナチュラルな佇まいが、この映画に通じるイメージとの事で、マトマイニアニマルが多数出演しています。タイトルエンドにもマトマイニの名前が出るでしょう。

14日から新宿カリテほか全国順次ロードショーとなっています。

 

マトマイニアニマル達が登場するのも楽しみですが、映画の収益の一部が、特に子どもから若いセクシュアルマイノリティへの支援を続けている、2団体に寄付されるというのも心打たれました。自分の意思では、助けを求めることが難しい若いセクシュアルマイノリティの当事者が、少しでも心を軽くし、なりたい自分になれるよう、心より願います。

 

映画『フタリノセカイ』公式https://futarinosekai.com/
 

今年もよろしくお願いします、

訃報を受け、亡くなったエヴァリンの短い一生を偲んでいます。

 

羊毛加工の仕事に従事していた5人のママは、ボス的存在だったルーシーがうまく仕切っていました。いつも笑い声が響く賑やかな部屋で、エヴァはひっそり黙々と仕事を続けていました。

 

香典は労務管理担当のカマウ氏に届けてもらうよう頼みました。

 

気になることがありました。「エヴァの子ども2人はどうなるのかしら?」

 

カマウ氏から返事が来ました。「エヴァには9才の女の子と6才の男の子と生後半年の赤ん坊が居ます。上の2人はビヒガの実家に、赤ん坊はナンシーが引き取ったそうです」

 

なんと、工房のママのナンシーが赤ん坊を育てることになったとは!どうしてなの?

 

「そういえば、ナンシーはよく羊毛加工の部屋に顔を出していたよ」と、修三が思い出話をしました。5人のママの中でエヴァは他の4人とは違い、遠い西ケニアのビヒガの出身。「そうか、ナンシーとエヴァは同じ部族だったのね」 ストーンと納得したのです。

 

ずい前のことですが、マトマイニの男の子を運転手のデヴィッド氏が田舎の実家に預けたことがありました。マトマイニは教育費を出しましたが、部族の伝統や風習をしっかり教え込み厳しく躾をして、就職まで世話してくれました。同じ部族だからということで。

 

ナンシーさん、貴女も決して楽ではないのに。

 

それにしても、幼子3人を残して逝ってしまった若い母エヴァリン。どんなに心残りだったことでしょう。

 

上の写真は笑顔のエヴァリン。黄色に染めた羊毛をドラムカーダーという器具でフワフワにする仕事をしているところ。下はナンシー。女児一人の母です。アニマル作り部門でサイや象を作ってました。

 

3年前のエヴァリンと長男のライオネル君

 

クリスマス前にケニアへコロナ給付金キドゴとボーナスを仕送りしようと思っていた矢先にメールが入りました。

 

フェルト工房のママの一人、エヴァリンが11月末に亡くなったのです。「えっ、コロナで?」と驚きましたが、死因は喉にできた腫瘍だったそうです。ごく最近、病院に行き「腫瘍」と診断され間もなく病状が悪化し息を引き取ったとのことです。

 

エヴァリンの思い出は「不細工アニマル」。彼女の作ったアニマルは、不細工ながら愛嬌があったのですが全然売れませんでした。在庫品が溜まって困り果てた時、売れないアニマルを作るママ数人を呼び出して「もう作らなくていいよ」と言い渡した翌日、エヴァは涙ぐみながら、「お客さんが選んでくれないのなら、私はセンスがないのでしょう。羊毛の加工部門に移ったら仕事をもらえますか?」と相談に来たのです。

 

羊毛加工の部門に移ってから、エヴァの丁寧な仕事が光り始めました。

 

汚い原毛を洗い、染め、フワフワの羊毛に仕上げる作業には忍耐と持続力が必要でした。5人のママの中で、エヴァはダントツに丁寧で綺麗な仕上げをしていました。歩合制の支払いなので、当初は「早くて雑な」仕事をするママより「丁寧で遅い」エヴァの給料が低かったのですが、品質を管理していた修三が歩合を少し上げたのです。頼りになった仕事人エヴァが亡くなって残念です。

 

お葬式は12月4日と知らされて、急いでお香典を送りました。

リリアンはフェルト工房のパメラさんの長女14歳です。小学8年生を終え、良い成績で、見事セカンダリー校に合格しました。

パメラさんは犀(サイ)作りが得意でした。切っているのはアニマルの芯になるスポンジです。細腕で(?)4人の子どもを育てているたくましいアフリカンママです。今は遠い田舎の実家に移り畑仕事をしています。

 

2021年11月。クリスマスケーキやおせちの予約合戦が始まっています。

 

今年マトマイニは教育費が嵩みました。

 

コロナ禍で教育ゼロだった2020年のシワ寄せで、2019年度の小学卒業生と2020年度の卒業生のセカンダリー校入学が時期をずらせて異例のダブル進学となったからです。

 

マトマイニの大きい子の授業料と制服他の費用。そしてセカンダリー校に入学した工房のママの子の入学金や授業料等々で、総額40万円かかりました。

 

写真やメッセージを見ると、支援した子達が真面目に頑張っている様子が伺えて嬉しいのですが、ケニアの教育界は大荒れなのです。

一昨日、マトマイニのカマンデ氏と夜警のババムサウの給料2ケ月分を送金して、「無事にお金が届きました」の報告にホッとしたところ、最後の一文にギクッ!

 

  There are many cases of high school fires just like before.

                                            

セカンダリー校の学寮が夜間に燃やされる事件が相次いでいるのです。2016年7月私はブログに書きましたが、同じことが再び起きているのです。

 

ニュースを検索すると、「先週は5校が燃えた」とあります。

 

2016年は国政選挙の前年で、「野党が黒幕だ」「与党の陰謀だ」とケンケンゴーゴー様々な憶測がなされたものの、誰が放火したのか結局分からず終いでした。SNSによる「模倣犯」もあるのでしょう。

 

来年は国政選挙の年。「学寮が燃える」事件で、選挙をめぐる大混乱を思い出さずにはおれません。

 

焼け出され家に帰った生徒の親に「学寮再建や焼失した備品代を」と学校は追い討ちをかけます。真摯に学ぶ若い芽に火の粉が降りかかりませんように。

10月も中旬に入りました。ケニアにおけるコロナ感染は、ピーク時の約10%にあたる一日平均133人の新規感染者が報告されており、日本と同様に減少傾向にあるようです。

 

しかしながら、マトマイニに関しては、相変わらず嫌な話ばかりが聞こえて来ます。最近のニュースは 下の写真をご覧下さい。

上の写真の動物の足跡。はっきり見えますか?🐾

 

ケニアでは午後10時から翌朝4時までの夜間外出禁止令が続いており、マトマイニ付近では、夜の闇にまぎれてドロボーも出没していますが、野生動物達も自由に出入りしているようです。

 

留守番組のカマンデ氏から「夜警のババ・ムサウが見回りした時、レオパードを6頭見たというのですが、足跡を見ると、レオパ^-ドは2頭だったようです。ヤギが一頭襲われて翌朝死にました。」とのメールが届きました。

 

レオパードが6頭というのは、ババ・ムサウのいつもの大風呂敷でしょうが、写真の足跡は確かに大型ネコ科のもの。レオパードは、以前も出没していましたから、驚くには及びませんが、対策としてカマンデ氏が知人から買い入れた「10メートルは矢を飛ばす道具」には苦笑してしまいました。

「これで少し安心して眠れます。この程度の道具なら自分も試作してみます。」とカマンデ氏は言うのですが、果たしてどれ程の威力があるのでしょうか?

 

マトマイニの留守番役のカマンデ氏から届いた最新のニュースと写真(上)によれば、マトマイニ付近は相変わらずドロボー事件が続いている様子。今回はマトマイニの隣の県の植林用地が狙われました。広い敷地を囲む有刺鉄線が、グルリ全部盗まれたそうです。治安は悪化する一方です。

8月は実に盛沢山な事象続きの1ヶ月でした。

 

炎暑酷暑と大雨長雨、次々と発生する台風、オリンピックとパラリンピック、最後にドカーンと来たのは、アフガニスタンの主都カブールのタリバンによる陥落と米軍の撤収等々。

 

当初は、5月か6月にケニアへと思っていたのですが、あれよあれよという間にコロナ感染が拡大の一途を辿り、足止めを食ってしまいました。

 

一度もブログを更新しないまま8月が行ってしまったので、慌ててパソコンに向かいましたが、ケニアやマトマイニに関しては良いニュースが全然届かないため、ついブログを書くのが億劫になりました。反省してます。

 

マトマイニで長年ボランティアとして手伝ってもらっていたエテメシさんから短いメールが来ました。

「キクモトさん、元気にしていますか?いつ会えるのでしょうか?」

「いや、エテメシさん、当分は無理ね。ジャパンはコロナ感染が拡大しているし、豪雨や洪水の被害も大きいのよ」

「いま会えなくてもダイジョウブです。神様が時を与えて下さるから、待つことにしましょう」

 

エテメシさんの何気ない言葉にホッと安堵を覚えました。

 

この世のすべての業には時がある。(旧約聖書)

 

かならずその時は来るのです。