中毒症状〜三〜/ザアザア
Disc1
1. 破裂
2. 水没
3. カメレオン女
4. イライラする雨
5. ホラー
6. 明日晴れるといいな
7. クローゼットの奥の奥の奥の奥
8. ハッピーウェディング
9. 冷凍人間
10. 五月病
11. 五月闇
Dicc2
1. 痣
2. 10月5日月曜日、バラバラ
3. 毒チョコ
4. カクレンボッチ
5. 月夜見
6. アル中
7. 蜘蛛の糸
8. 被写体は死体
9. ドロー
10. 僕とOD
11. のぞきたい
12. 傘がない
ザアザアによる3rdベストアルバム。
2019年にリリースされた「破裂」から、2024年の「傘がない」まで、16枚のシングルの表題曲を完全網羅。
フルアルバム1枚、ミニアルバム3枚からもリードトラックを中心に1、2曲ずつ収録。
オリジナルアルバムは書き下ろしにこだわり、シングルは含まない戦略をとるザアザアにとって、ベストアルバムはマストアイテムですね。
シリーズも3作目となり、トールサイズのパッケージで2枚組という仕様は「中毒症状〜二〜」を踏襲。
第一弾が2016年、第二弾が2019年に発表されていたことを踏まえれば、第三弾までに6年かかったのはリリースペースが落ち着いたと言えなくもないのですが、その分、密度は濃くなっています。
アルバムからの選曲が7曲あり、そのいずれもがアルバムの世界観を背負っていた楽曲たち。
その曲を聴けばアルバム全体の空気感が甦ってくるようで、たった3~5分に当時の記憶がずっしりと詰まっている。
これぞベストアルバムの醍醐味といったところで、たとえ初めて聴いていたとしても、大きな重力を感じることになるのでは。
時系列順に楽曲を並べただけではあり、バランスなどの考慮はなし。
ただし、その恣意性を排除した姿勢に、彼らの音楽の面白さがありました。
王道中の王道、勢いよくスタートダッシュを決める「破裂」をはじめ、シングル然とした楽曲が当然多くなる一方で、なんでこれがリードトラックなんだよ、というマニアックさが要所要所で飛び出して、結果的にアクセントになっている。
叙情的で切なさを駆り立てる「クローゼットの奥の奥の奥の奥」や、変態的なリフと歌謡曲を結び付けた「10月5日月曜日、バラバラ」、逆張り的にカオティックに盛り上げる「アル中」など、天邪鬼なセンスがベストアルバムで活きています。
アルバム未収録のシングルを綺麗に回収。
これはこれで必要な一手だったのは間違いないのですが、フルレンスに限定すれば、ベストアルバムがオリジナルアルバムの枚数を逆転してしまった形。
2021年の「失敗作」に続くオリジナルアルバムも、そろそろ聴いてみたいものです。
<過去のザアザアに関するレビュー>