玉響/heidi.
1. 玉響
2. カラ
3. センチメンタル(re:Rec)
2020年にリリースされたheidi.のシングル。
配信でもリリースされている本作。
CD盤は、ライブ会場とオフィシャルWEBショップでの限定販売となっています。
収録された3曲は、いずれもGt.ナオさんが手掛けたナンバー。
初期の代表曲「センチメンタル」のリテイクヴァージョンも収録されており、2006年の結成以降の成長がはっきりと示された1枚と言えるのではないでしょうか。
「玉響」は、爽やかなギターのリフからスタートする疾走感のあるロックチューン。
突き抜けた清涼感を、気持ちの良いバンドサウンドで表現。
生音を基調としたシンプルなアンサンブルには、無限の広がりを生んでいるような瑞々しさがありました。
長い活動の中で音楽性の幅を広げてきたheidi.ですので、今更この開放感に驚く必要もないのですが、ここまで自然に、正攻法でぶつけてこれるようになったというのは、蒔いてきた種が実を結んだ結果とも言えるでしょう。
一方で、カップリングとなる「カラ」は、変わらず求められているheidi.像に近いのでは。
V系シーンにおける歌謡曲風ナンバーの定番、というコード進行に対して、アグレッシブに攻めるアプローチを選択。
タイトな演奏でハードな印象を与えつつ、どこかどんよりとした暗さも纏っていて、"隠れた名曲"となりうるポテンシャルを秘めているナンバーですね。
もっとも、隠れてしまうほどの大人しさはなく、この前のめりに突っ込んでくるような鋭いリズムが、スリリングな緊迫感を強めているのですけれど。
このサウンド面での進化は、再録である「センチメンタル」によって、更に明確化された形。
クリアになった分、音質面でのじめじめ感は薄れて乾いた響きが強調されたのですが、スネアの抜けの良さが、勢いに結びついていて、なるほど、世界観まで薄れるものではないのだな、と。
2021年にリリースされた「heidi.chronicle -2006~2021-」には収録されず、現状はアルバム未収録。
次のオリジナルアルバムに収録されるかはわかりませんが、表題曲以外のインパクトが大きいこともあり、聴き逃しているのなら触れておきたいシングルです。
<過去のheidi.に関するレビュー>