ケセラセラ / heidi. | 安眠妨害水族館

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ケセラセラ/heidi.

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1. 日食

2. Ray

3. elegy

4. ℃

5. 底

6. 逆回転シンドローム

7. TERROR

8. 人魚

9. サンセットブルー

10. Heroine

11. 羽化

12. ヒカリ

13. イエナイ。

 

"進化と同居する不変のサウンド"をテーマに制作されたheidi.の8thアルバム。

前作から、約1年8ヶ月ぶりでのリリースとなりました。

 

TYPE-Aには2018年6月3日「heidi. 12th Anniversary Live!」のダイジェスト映像がDVDとして付属。

TYPE-Bにはボーナストラック「イエナイ。」が収録されています。

本作においては、発表済みのシングルである「サンセットブルー」と「Ray」を含み、全曲をGt.ナオさんがコンポーズ。

そのため、聴き馴染みのあるメロディやコード感が多くなっており、テーマの"不変のサウンド"の部分を体現していると言えるでしょう。

 

では、"進化"はどこに求めればよいのか、というと、表現の部分なのかと。

1曲目の「日食」が象徴的なのだが、重々しい世界観を示すために、不気味なシンセサイザーや、禍々しさすら漂うコーラスを挿入。

呪術的な雰囲気に仕上げており、これまでのヘヴィーにして暗さを増幅させるアプローチとは異なる手法によって、アルバムの幕をあけているのだ。

リード曲となる「TERROR」も同様で、初期の音楽性に通じるどんより暗いミディアムナンバーなのだけれど、やはりデジタルサウンドで不気味に仕上げつつ、サビでソリッドに展望。

珍しいシャウトも飛び出し、新境地と捉えても良さそうなぐらい新鮮なのですよ。

 

ほかにも、「℃」はお得意のシャッフルチューンなのだけれど、終盤の転調などには意外性があったし、「底」の慣れ親しんだ歌謡曲なメロディに対して、中盤からのマニアックな持っていき方がシンプルとは正反対で面白い。

「Heroine」の四つ打ち感も、"ありそうでなかった"を上手く狙い撃ちできており、heidi.というバンドの個性をきちんと理解したうえで、上手く隙間をついてきたな、と驚かされます。

「羽化」に至っては、純粋に表現力の成長をぶつけてきた、という構成。

正々堂々と進化を表明するのであれば、こんなアプローチも当然に必要になってきますよね。

 

メンバーの意図にまんまと嵌り、導入である「日食」のインパクトにノックアウト。

その後も、heidi.のイメージをアップデートせざるを得ない楽曲たちが畳み込まれるのだが、パンキッシュな「ヒカリ」や、ボーナストラックの「イエナイ。」を聴き終わるころには、"全曲、heidi.らしかったな"と思ってしまうから、"進化と同居する不変のサウンド"というのも強ち間違いではないのだろう。

爆発的な伸びしろではないのかもしれないが、着実にレベルアップしているからこその充実感。

それが、今の彼らにはあるのでは。

 

前作で原点回帰をひと段落させたheidi.が見せる、次のステージ。

まだまだ現役だぞ、と主張するような1枚です。

 

<過去のheidi.に関するレビュー>

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