Child Room/MIMIZUQ
1. Child Room
4周年を迎えたMIMIZUQによる、2022年第二弾のデジタルシングル。
結成4周年、Vo.森翼さんが加入してからは1年となった彼ら。
"ナミダミュージック"から、"シアトリカルポップ"に表現のスタンスを拡大して送り込まれたのは、おもちゃの視点から、成長した少女との別れを描いた切ないポップチューンでした。
「MONSTER GIRL」で描かれていた女の子が、少し大きくなって、幼児期のおもちゃを捨てるタイミングが訪れる。
おもちゃにとっては、喜ばしいことでもあり、寂しいことでもあり。
無機質だけれど、どこかあたたかいサウンドは、そんな彼らの心境を的確に表現しているようで、なんとも胸が熱くなるのですよ。
Kota Maruiさんをアレンジャーとして迎え、ヴォーカル以外はすべて打ち込み。
ライブで奏でるサウンドと、音源として発表するサウンドを明確に区別し、ストリーミングで聴いたときに耳に止まるように仕掛け続ける彼らだからこその柔軟性と言え、あくまで楽曲の世界観が優先されています。
特に、80年代のシティポップを再解釈して、おもちゃ箱の中を世界を表現するアイディアが見事。
若者世代は素直にドリーミーな世界だと受け止められるし、親世代であれば、童心に帰るノスタルジックな雰囲気を感じ取ることができる。
音と世界観が、ぴったりハマった感覚がありますね。
演奏していなくても、これはMIMIZUQの音楽である、と共通認識ができる領域に辿り着いた彼ら。
これからは、"ナミダ"に留まらず、様々な形の物語について紡がれていくとのことで期待感が高まりますが、根底の創作意欲は変わらないのかな、とも思うところ。
確かにおもちゃはナミダを流さないし、あえて流さないように努めるのだろうけれど、リスナー側は、これだけ感情が動かされたら泣きたくなるもの。
純粋に楽曲の質が高く、メルヘンファンタジーとしての世界観もたっぷり。
新体制でのアルバム作品も待ち遠しい限りです。
<過去のMIMIZUQに関するレビュー>