ナミダQUARTET/MIMIZUQ
ナミダQUARTET(初回盤)
3,700円
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1. SE「ナミダQUARTET」
2. ずっと好きでした
3. NEW HOPE
4. 東京INVADERZ
5. VIOLET SKY
6. 鎮む森に降る慈しみの雨 -ナミダQUARTET ver.-
7. angel song
8. Piggyback
9. ジグザグザ
10. PINKY PUNKY PARTY!!
11. Grand Guignol
MIMIZUQの1stフルアルバム。
結成から僅か半年というスピードで、めでたくメジャーデビューとなりました。
といっても、CASCADEのVo.TAMA、Psycho le CemuのGt.AYA、Ba.seek、ex-Hysteric BlueのDr.楠瀬タクヤという既にメジャーシーンで実績を残しているメンバーが揃っているわけで、驚きはあまりないのかな。
初の流通作品としてメジャーからアルバムをリリースした、ぐらいの受け取られ方をしているのが実態でしょう。
作曲は、AYAさんとseekさんが担当しているのですが、しっかりとPsycho le Cemuとの住み分けが出来ているのはさすが。
シアトリカルではあるけれど、TAMAさんの少年性のある歌声を活かしたポップナンバーを軸にしているため、どの楽曲にもキャッチーさがあるのですよ。
テーマ設定などはやりすぎ感があるぐらいのヴィジュアル系なのに、サウンド面では、あまりヴィジュアル系としてのセオリーに囚われていないというか、MIMIZUQというバンドの個性が早くも明確に示されています。
興味深いのは、作詞についてはTAMAさん、タクヤさんを含む全員が担当しており、"言葉"の面での表現方法には幅があること。
メンバー全員が作曲を手掛けたうえ、歌詞はコンセプトリーダーに一任するというバンドは数多くあれど、その逆は珍しい。
歌詞は全員が自由に書きつつ、サウンドアレンジにて"ナミダミュージック"のコンセプトを実現していくスタイルで、世界観重視のバンドとしては、なかなか難易度の高いチャレンジに挑んでいるな、と。
結成からの短い期間の中で、どのようなバンドイメージにしていくかを整理して、バランスをとった楽曲を作り上げ、アレンジで統一感を生み出すようにディレクションしていくという作業を高いクオリティでやってのける彼らは、まさにプロフェッショナル。
そこに、ときに切なく心を抉り、ときに楽しく心を癒す、喜怒哀楽の表現力までついてくるのだから、感心するしかありませんね。
各々のキャリアのたまもの。
良い意味でおもちゃ箱のような作品に仕上がったのでは。
なお、インディーズ時代に発表された会場限定作品やデジタルシングルの楽曲はすべて網羅。
ライブに足を運べず入手が難しい、CD媒体で欲しいといったリスナーのニーズにも応えるラインナップとなっています。
注目すべきは、インスト曲として発表されていた「Grand Guignol」が、歌モノとしてラストを飾っていること。
もともと、歌があっても映えそうな構成だなとは思っていたものの、アルバムをドラマティックにするための伏線だったなんて。
入門書としてぴったりであることは言わずもがなですが、これまで追いかけていたリスナーにもサプライズを与えたであろう1枚でした。
<過去のMIMIZUQに関するレビュー>