[evolve]/Angelo
1. Enter the NEOPHASE
2. Swallow
3. :evolve
4. CELL DIVISION
5. Amon
6. AN ENDLESS MULTIVERSE
7. ティアドロップ
8. 春の風
9. MISSING LINK
10. ALL FOR YOU
完全書き下ろしとなる、Angeloの12thフルアルバム。
コロナ禍や身内の不幸等、2020年はAngeloにとっても暗い1年になったのだとは思われるのだが、届けられた作品には、間違いなく希望や光が込められている。
もっとも、それはあくまで彼ら流に。
1曲目の「Enter the NEOPHASE」がメッセージ性の強い歌モノだっただけに、セオリーに倣ってメロディアスな構成に寄せた楽曲を増やしていくのかと思いきや、拍子抜けするほどいつも通り。
攻撃性の高いラウドなサウンドに、独自の進化論に基づく歌詞世界が重なり、むしろ普遍性を示している印象です。
言ってしまえば、Vo.キリトさん、Ba.KOHTAさん、Dt.TAKEOさんが在籍していたPERROTは、V系シーンにおける無観客ライブの先駆者。
不可能は可能である、を知っている彼らですので、ライブが出来ないことを持って、ライブ映えする楽曲を作らないということにはならないのでしょう。
それどころか、キリトさんが提唱してきた進化論の一部が、現在の世界情勢に肉薄してきたと考えられなくもなく、自然体でいることこそ、痛烈なメッセージになっている。
それを理解して、リリースペースを崩さずにアルバムを送り込んできたのかな、なんて深読みをしてしまいます。
ここまでくると、キリトさんは既に革命家を飛び越えて、もはや予言者の域に達してしまったのでは。
バラードである「ティアドロップ」から、光を感じさせる終盤3曲に繋がっていくドラマ性こそ、いつもに増してわかりやすいコンセプトの提示ではありますが、そこが過去作品との差異化、あるいはインパクトの創出になっており、置かれた環境の中でベストを探る彼ららしいアプローチ。
核となる「:evolve」に、過去のアルバムタイトルが歌詞に含まれる遊び心も相まって、本作が中長期的な見通しに基づく計画の一部である、と予感させます。
MVにおけるラストの演出もさすがであり、"いつも通り"にも意味を持たせる、策士っぷりが際立つ1枚。
<過去のAngeloに関するレビュー>