PSYCHE / Angelo | 安眠妨害水族館

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PSYCHE(初回生産限定盤)(DVD付)/Angelo

¥3,888
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1. Deep Psyche
2. SCARE
3. PERFECT PLAN
4. THE CROCK OF ULTIMATE
5. 連鎖
6. Climax Show
7. 声にならない声
8. SCENARIO
9. PRAY
10. 報いの虹
11. A new story

メンバーが最高傑作と語るAngeloの7thアルバム。
初回盤には、ショートフィルム「THE SCARE LURKS INSIDE」のDVDが付属されます。

なんていうか、これだよ!こんなのを待っていたんだよ!と興奮してしまった。
キリトさんの描く世界観に、リスナーがドキドキワクワクさせられた、あの感覚。
本作には、それが"PIERROTっぽさ"ではなく、"Angeloだからこそ"のサウンドとともに詰まっているのだ

ダーク・ホラーテイストのショートフィルムにより、断片的ながら、くっきりと世界観を可視化させ、サウンドの深みを増幅させるアプローチ。
「RETINA」からのストーリーを辿るようなコンセプチュアルな歌詞も手伝い、ドラマティックに膨らんでいく音像は、何も考えずに聴いた1周目、DVDを見た後に聴いた2周目、歌詞を読みこんだ3周目・・・と、聴けば聴くほどメッセージ性を強めていきます。
すっと入ってくる物語ではないにしても、まるで謎解きをしているようで、その難解さすら面白さに。
ある意味で、スルメ系のアルバムなのかもしれませんな。

さて、この「PSYCHE」、前半は激しく、ラウドに攻める楽曲が中心。
心なしか、Gt.Karyuさんの楽曲が多く採用されている気がします。
一方で、後半は歌モノが増え、優しさを帯びていく。
この二面性的な構成については、前作である「FAITH」にも近いでしょうか。

導入となる「Deep Psyche」、「SCARE」の盛り上がりは言わずもがな。
セオリー通りにダークでハードなサウンドによりオープニングを飾ると、中盤ではカオティックな展開と歌モノ要素が融合した「Climax Show」、「SCENARIO」などへと繋がっていきます。
アクセント的なナンバーも多いのですが、それぞれがリンクしている手触り感。
そして、何度も聴いていると、すべての楽曲が、ラストに収録されたナンバーである「A new story」を引き立てるためであるようにも思えてくるな。

この「A new story」、素直な歌モノと侮るなかれ。
途中でリズムが軽快になって疾走し出したり、オーケストラ風のシンセが入ったり、演出も充実。
壮大なバラードで締めるよりも光が見える、爽快なラストシーンになりました。
序盤が荒々しくヘヴィーだったのが嘘のように、後味の良い終焉である。

演出勝ちな部分はあるし、もっとキラーチューンが欲しかったのも本音。
しかしながら、PIERROTの復活劇があり、否が応でも注目を集めるタイミングでのアルバムリリース。
そこに、これだけの仕掛けをぶっ込めることこそ、キリトさんの、Angeloの強みなわけです。
入門書とするには難解かもしれませんが、物語を紐解くために過去を遡る、あるいは、次の展開に想いを馳せる。
PIERROTからの出戻りリスナーが相応に多いことを逆手にとり、他の作品を手に取りたくなる作品に仕上がったと言えるのかも。
実に濃厚な一枚です。

<過去のAngeloに関するレビュー>
FAITH
RETINA
BABEL
Design