HETERODOX/Angelo
 |
HETERODOX(初回生産限定盤)(DVD付)
3,780円
Amazon |
1. SINGULAR
2. STRING
3. HETERODOX
4. ORIGIN OF SPECIES「ALPHA」
5. evil
6. Scheme
7. 胎動
8. Resolve
9. 際限ない渇き
10. RESISTANT BACTERIA
Angeloの9thフルアルバム。
「ANDROGYNOS」にてMVが配布された「evil」を含む、全10曲が収録されています。
PIERROTとDIR EN GREYのツーマンイベント、"丘戦争"こと「ANDROGYNOS」は、Angeloの世界にもリンクしていた。
全曲が書き下ろしとなる本作ですが、先行的に「evil」を発表することで、ずっと前から張られていた伏線を回収していくような感覚を与えます。
明確なストーリーを描かずとも、同じ結末に先導していくVo.キリトさんの真骨頂。
"異端"や"異教"を意味する「HETERODOX」というタイトルが示すとおり、より宗教的なカリスマ性を放っていると言えましょう。
音楽性としては、ラウドに特化。
攻撃性を強めた楽曲が中心となっており、重厚なギターが随分と前に出ていますね。
これまでは、ある程度バラエティ性を持たせることも意識していた彼らですが、あえて偏らせているといったところ。
エフェクターによって歪めたサウンドを、ずっしり重く響かせていました。
その中で注目すべきは、唯一白さを見せるロッカバラード「胎動」。
メロディアスなボーカルパートに、コーラスをするかのように歌うギターとベース。
ドラムのフレーズは相変わらず変態的で、ゆるやかな歌モノも退屈させません。
この楽曲を境に、歌メロが立った楽曲を畳み込んでくるアルバム構成も、さすがの一言。
これを待っていた、と言わんばかりのカタルシスがありますよ。
また、ラストに持ってきた「RESISTANT BACTERIA」の意外性。
激しく重さのある楽曲は、今までもたくさんあったのですが、スピード感に拘った楽曲は珍しい。
ツタツタと刻むリズムに、アルバムの締めくくりにふさわしい広がりのあるサビメロ。
最初はギャップがあるように感じていても、徐々に癖になって、今となってはこれでないとしっくりこない。
絶妙なバランスで、可能性を広げてくれました。
もちろん、ドラマティックな「evil」もキラーチューン。
はっきりとしたシングル的ナンバーが不在である一方で、じわじわと内部から侵食していく中毒性。
全体的に目新しさが欠けるのは事実なのですが、強みだけをゴリゴリと押し込んでいくスタイルは、いつの間にかリスナーを巻き込んでいるのです。
実験作要素が強いととるか、純度が高く濃密ととるか。
どちらにしても、Angeloはまだまだ進化の余地を秘めていますな。
＜過去のAngeloに関するレビュー＞