CORD / Angelo | 安眠妨害水族館

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CORD/Angelo

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1. Umbilical cord
2. Cut
3. リテラシー
4. PROTOCOL
5. 嗤う月
6. Sorrow tomorrow
7. JUDGMENT
8. FIELD OF GOD
9. Daybreakers
10. CONNECT

結成10周年となるAngeloの8thアルバム。
初回生産限定盤には、全収録曲のスタジオセッション映像が収録されたDVDが付属されます。

キリト、KOHTA、TAKEOの3人で始動して5年。
Karyu、ギルが加入して5年。
ベテランと若手の融合として衝撃を与えた5人編成のAngeloも、これでオリジナルメンバーのみでの活動期を越えるということで、なんだか感慨深いものです。

そんなタイミングで送り込まれたのは、全曲が新曲となるオリジナルアルバム。
ベスト盤くらい出しても良いものだが、シングル曲が1曲も入っていない作品をリリースというのも、彼ららしいのではないでしょうか。

「FACTOR」、「RESULT」という2枚の実験的なミニアルバムの制作を経た反動か、Angeloの王道を地で行く作品に仕上がったのではないかと。
マニアックとキャッチーを共存させたサウンド。
明確にイメージされた舞台設定を断片的に切り取る歌詞。
これらが溶け合って確立される、圧倒的な世界観。
可もなく不可もなく、という意味で使われるそれではなく、高いクオリティで新しい世界を作り出し続けてくれる積極的な"安定感"が、ここにありました。

1曲目の「Umbilical cord」から、圧巻。
壮大なストーリーの幕開けを予感させるミディアムナンバーで、美しいメロディとともに、一気にリスナーを異世界に引き込む力を持っています。
この楽曲からの「Cut」への繋ぎ。
これにより、本作の印象は決定づけられたといっても過言ではないはず。
良くも悪くも相変わらずの中盤の構成を、新鮮な気持ちで聴かせてくれますね。

キリトさんの楽曲はキリトさんらしく、Karyuさんの楽曲はKaryuさんらしい。
KOHTAさんの楽曲がアクセントとなりマンネリ感をぶち壊してくれることも含め、黄金比的なバランスで進行します。
上手いのは、終盤戦での選曲。
「Umbilical cord」のドーピングが切れ、このままでは"いつも通り"という感想に傾きかけてしまいそうなところで、ここで極端に振り切れるのか、と。

「FIELD OF GOD」は、ハードでメロディアスなのに、リズムはやたら陽気な雰囲気。
マッチしているのか、いないのか、よくわからないけれど耳に残って、いつの間にか癖になる。
激しくまくし立てる「Daybreakers」で勢いを加速させ、キャッチーだけど細かい仕掛けはマニアックという「CONNECT」でクロージングすると、なんとも個性的な作品を聴き終えたな、という気分になってしまうのですよ。

数回聴いただけで、全曲が名曲である、と納得できるわけではないのかもしれない。
しかし、押さえるべきところを押さえて、もっと聴いてみよう、まだまだ聴き足りない、と何度も聴かせるアルバムを構築してしまうAngeloのセンス。
聴き込めば、マニアックな楽曲のおいしいところだってわかってくるもので、じっくりと長く堪能できそうです。
噛めば噛むほど味わいを増す、節目にふさわしい集大成的な1枚。

<過去のAngeloに関するレビュー>
RESULT
FACTOR
PSYCHE
FAITH
RETINA
BABEL
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