RESULT / Angelo | 安眠妨害水族館

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RESULT(期間生産限定盤)/Angelo

¥2,678
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1. RESULT
2. Pendulum Clock
3. DAY OF THE END
4. AI(Artificial Intelligence)
5. BLACK FLAG
6. CALL

30日間の限定生産となるAngeloの3rdミニアルバム。
前作「FACTOR」からの連続リリースとなります。

ミニアルバムを2枚に分ける場合、"動"と"静"や"白"と"黒"など、異なるアプローチで二面性を表現するケースが多いのだと思う。
しかしながら、彼らが提示したのは"要因"と"結果"。
それぞれが正反対のベクトルというわけではなく、むしろ表裏一体とも言えるテーマを音楽で表現しようとは、相変わらず、Vo.キリトさんの考えることはリスナーの想像の一歩先を進んでいるよなぁ。

「FACTOR」は、ヘヴィーなサウンドで攻めきった作品。
"要因"を踏まえた"結果"が、これもまた攻撃性を持った作品に仕上がったことは、ある意味で必然と言えるでしょう。
もっとも、彼らの"要因"がへヴィネスだけであるはずがなく。
「RESULT」は、そこから更に、彼らのもうひとつの強みであるキャッチーさとマニアックさの共存を内包しているのですよ。
攻撃的な印象は残しつつ、メロディアスで耳に残るフレーズも大事に。
「FACTOR」で示した音楽を、本来の彼らのサウンドで昇華したとも捉えることができそうです。

サビからスタートするインパクト抜群な「RESULT」からスタート。
表題曲となるだけあって、重厚なサウンドとキャッチーなメロディの極端なバランスにより、本作でのチャレンジを端的に物語っているような。
続く「Pendulum Clock」も、演奏のマニアックさとは裏腹、歌メロは聴きやすいですね。
わかりやすいようで難解なBa.KOHTAさん、Dr.TAKEOさんが生み出す独特のフレーズが癖を強めるのですが、そこに引き込まれてしまうのも確か。
勢いをつけるには持ってこいの流れでした。

「DAY OF THE END」は、出だしのドラムの激しさが物凄い。
Karyuさん、ギルさんのツインギターも、この楽曲が一番見どころが多い気がします。
KOHTAさんのベースのフレーズに合わせてユニゾン的に絡む間奏もポイント。
歌だけを取り出せばキャッチーでも、演奏は実にテクニカルという彼ららしい1曲でした。
ラウドとポップの融合という点では、「AI(Artificial Intelligence) 」も同じく。
開けるサビをエフェクトボイスで歌うというミスマッチは、意外性があって面白かったですな。

「FACTOR」の楽曲たちの要素を極めつくして進化させたのは、「BLACK FLAG」。
サビでテンポを落ち着かせて開けたイメージに仕立てる手法はベタなのだが、これだけマニアックなサウンドの中に放り込むと、際立って見えるものだ。
ラストの「CALL」は、間違いなく本作中もっともキャッチー性に特化したナンバー。
明るくポップなのだが、なんとも、無機質に淡々としているように聴こえるから不思議。
この辺りも、ありそうでなかった感覚です。

結局、前作からの12曲、攻め気のある楽曲ばかりで構成されましたね。
この選曲であれば、2枚に分ける必要性があったのも納得できる。
アクセントを極力排除し、純粋に研究だけに没頭するマッドサイエンティストのようなアプローチを、最大公約的に受け入れられる状態で実現したと考えると、やはりキリトさんの戦略眼はずば抜けています。

「FACTOR」を聴いたときは、実験的な作品だなと感じた。
本作は、その延長線上にあるわけだが、何故だろう、そんな気がしなかった。
何と言いますか、素直にAngeloらしいな、と。
ここまで新しいサウンドを自分のものにし、オリジナルに昇華させることができるものか、と。

反復的に2枚のミニアルバムを制作したことで、見えてくる成長。
それをはっきりパッケージできたという事実が、この作品のもうひとつの価値なのかもしれません。

<過去のAngeloに関するレビュー>
FACTOR
PSYCHE
FAITH
RETINA
BABEL
Design