南海天王寺支線の廃線跡(大阪府大阪市西成区~天王寺区。2009年ほか訪問) | 『乗り鉄』中心ブログ(踏破編)

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今回は、南海本線の天下茶屋駅から東へ分岐して国鉄(→JR)のターミナル駅である天王寺駅に乗り入れていた南海電気鉄道の支線、
南海天王寺支線の廃線跡について簡単にレポートします。
全線において大阪府大阪市内を走っていて、走行区間は西成区、阿倍野区、天王寺区にまたがっていました。

  

南海天王寺支線は、南海電気鉄道の前身である南海鉄道が、大阪環状線の東半分にあたる城東線などを営業していた大阪鉄道(初代)との相互乗り入れを目的に天下茶屋~天王寺の全線が1900年に開業しました。
その後は天王寺支線を介して南海本線~大阪駅を直通する旅客列車や貨物列車が運行されました。戦後、大阪環状線の開業に伴い大阪環状線・関西本線と南海本線に新今宮駅が設置された事で天王寺支線の利用客が激減し、1977年に貨物列車が廃止された後は完全なローカル線へと転落してしまいました。

  

1984年には大阪市営地下鉄堺筋線の天下茶屋駅延伸に伴う用地確保、天下茶屋駅の高架化の影響で、根元にあたる天下茶屋~今池町が部分廃止されました。そして孤立路線となった天王寺支線は残存区間に飛田本通駅が設けられたものの、堺筋線工事の進展により1993年にひっそりと全線廃止となりました。

  
  

尚、今回の区間はサラッと辿っただけなので調査が不十分なことをお詫び申し上げます。

  
  

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(Yahoo!地図を使用)  

  
  

路線名   区間   営業キロ  廃止時  
南海電気鉄道:天王寺支線  天下茶屋~天王寺  2.4km   1993年4月1日全線廃止  
(※)全線複線(部分廃止後の残存区間は単線化)、直流1,500V電化。軌間1,067mm。   

  
  

探訪・撮影時   2009年2月ほか  

  

  

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(1)天下茶屋駅にて。
天王寺支線の廃線後に南海本線・高野線が高架化され、当時の面影はないです。

  
  

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(2)天下茶屋駅を発車した天王寺支線列車はしばらく南海本線・高野線の東側を並行して北へ走りますが、やがて右へカーブして分岐します。
カーブ後の廃線跡は駐車場に転用されていますが、周りが柵に覆われています。廃線跡を通り抜ける事はできません。

  
  

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(3)カーブの途中で幅の広い道路と踏切で交差していましたが、痕跡はありません。
写真は天下茶屋方を望む。

  
  

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(4)その後、廃線跡には「今宮ふれあい会館」が建っていて迂回します。
迂回すると「釜ヶ崎」「あいりん地区」と呼ばれている地区へ出ます。
天下茶屋方を望むと廃線跡は公園になっていますが、フェンスで囲まれていて普段は入れないようです。

  
  

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(4)上写真と同じ地点にて天王寺方を望む。
廃線跡にはプレハブの建造物があります。

  
  

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(5)写真右端の仮設の建物がある場所が廃線跡です。
廃線跡は左手に萩之茶屋南公園(通称:三角公園)を見て走っていました。
この先で阪堺電気軌道阪堺線をアンダークロスしていて、その地点に今池町駅がありましたが、そこにも仮設建造物があり、確認できなかったです。

  
  

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(6)また迂回して阪堺線の東側へ出て、阪堺線が天王寺支線を跨いでいたガードを望みます。
写真は天下茶屋方を望む。ガード下には入れませんでした。

  
  

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(7)この先の廃線跡も柵に囲まれており迂回しました。
そして部分廃止時に新設された飛田本通駅跡に着きました。痕跡はありませんでした。

  
  

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(8)飛田本通駅から先の廃線跡は公園に転用されていて、こちらは入る事が可能です。
そして阪神高速14号松原線をくぐると公園転用区間は終了します。
その先は右へカーブして大通りと交差した後にJR線に寄り添っていましたが、JRに寄り添う手前の廃線跡には東横インの建物があります。

  
  

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(9)上の写真の公園転用区間が終わると狭い道路とも交差しますが、ここは現役当時線路が道路を跨いでいました。
両側に橋台の跡が残存しています。

  
  

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(10)そして廃線跡はJR大阪環状線、関西本線と並走して天王寺駅へ向かっていましたが、
おそらく現在も線路と架線柱が残っていると思われます。
私はその部分の写真を撮影したはずなのですが、まともな写真が見つかりませんでした…orz
写真右端が天王寺支線の廃線跡です。
尚、この写真は大阪環状線唯一の踏切だった「一ツ家踏切」にて2009年に撮影したものです(現在「一ツ家踏切」は廃止されています)。

  
  

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(11)こちらは天王寺駅西側の谷町筋より天下茶屋方を望む。
写真左端が天王寺支線の廃線跡です。架線柱が見えます(レールは残存していますが見えません…)。

  
  

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(11)天王寺駅は掘割構造で、地下駅のような感じだったそうです。
南海天王寺支線のホームは南端にありましたが、廃線後、ホームの場所には商業施設「天王寺MIO」のビルが建てられました。

  
  

(おしまい)  

  

  
廃線跡探訪の注意点  

最初に、私としましては読者の皆さんに南海天王寺支線の廃線跡を探訪される事をお勧めしません
昭和時代よりは改善されてきていますが、治安上の問題が解消されたとは言い切れず、特に女性1人での探訪はリスクが高いです。

  

私が南海天王寺支線の廃線跡を探訪したのは2002年と2009年、そして2014年の3度で、2002年訪問時には写真撮影をしなかったので2009年に撮影目的で再探訪しました。廃線跡は建造物に転用された場所は少ないものの、大半の区間が仮設の壁やフェンスに覆われて廃線跡そのものを辿るのは困難でした。

  

廃線跡の距離は2.4kmで、徒歩でじゅうぶん探訪可能です。片道1時間あれば大丈夫かと思います。天下茶屋駅では南海本線・高野線と地下鉄堺筋線、天王寺駅ではJR、近鉄、地下鉄、阪堺が乗り入れているので交通面の利便性は高いです。また、今池町駅跡付近では阪堺電気軌道阪堺線と交差していて、交差部分に今池駅があるので途中リタイアや途中参加も可能です。

  

食料・飲料について、コンビニや飲食店は多く存在していますが、コンビニは天下茶屋寄りに多い傾向です。また、安売りの売店やスーパーもあるので困る事はありません。
飲食店は天王寺駅周辺の方が多いです。治安上の問題から、事前に準備しない方が良いかもしれません。

  

今回はぜひ一度廃線跡を探訪されてみて下さい…とは言えません。当記事で少しでも廃線跡の状況を確認して下されば幸いです。

  

  
接続路線  

接続駅   接続路線  
天下茶屋駅   南海電気鉄道:南海本線、(高野線列車)。大阪市営地下鉄:堺筋線  
今池町駅   阪堺電気軌道:阪堺線 (今池駅まで徒歩2分)  
天王寺駅   JR西日本:大阪環状線(弁天町方面鶴橋方面)、関西本線【大和路線】阪和線  
天王寺駅   近畿日本鉄道(大阪阿部野橋駅):南大阪線  
天王寺駅   大阪市営地下鉄:御堂筋線谷町線  
天王寺駅   阪堺電気軌道(天王寺駅前駅):上町線  
  
(参考:地理院地図、Wikipedia)