ようやく3階スタンドに下りることができた。しかも初のR側。しかもしかもステージのちょうど真ん中あたり(MCのとき3人が横並びになるあたり)。初日の席と左右逆になったような位置だが、近眼の私でも3階からだとメンバーの表情までうかがうことができる。

最初のMCでは、あ~ちゃんが最近ハマっているというサウナについて熱弁。特に水風呂がお気に入りのようだが、心臓に負担をかけないようにくれぐれも注意してね。

 

P.T.A.のコーナーでは、そのあ~ちゃんがこちらの出島にやってくる。私を含む周辺観客は、「手袋・マフラー・雪だるま」のお遊戯にも、そりゃ力が入りますわ。ちなみに、3日までの「門松・お雑煮」がこの日は「手袋・マフラー」に変わったのだが、オチの「鏡もち」はそのまま。

 

お遊戯そっちのけで双眼鏡を覗いていた観客があ~ちゃんに注意されていた。今回の[polygon wave]ライブでは双眼鏡持参の観客が随分増えた気がする。

 

右隣が空席のままだったので、この日も1.5人分の可動スペースを確保。かなり飛び跳ねたが、途中で息切れ。向かいのスタンドを見ると、2階席最後列の端で白いトレーナー風の服を着た男子2人組がずーっとジャンプし続けている。やはり若いと元気だな。

3階席は規制退場の順番がだいぶ遅い。横浜駅まで歩いたら10時近くになった。

 

※   ※   ※

 

12日から13日にかけては、家に帰るのが面倒なので、コンフォートホテル横浜関内に泊まった。朝8時から翌日20時まで部屋を使えるという「36時間ステイ」を利用。一休で7,296円也。昼間はリモートで仕事をし、夜はライブ観覧って、なかなか良かったな。

 

この日も安定の4階。そして変わらずのL側。2日目のS席に程近A席。2列目。

 

左隣の男性の左側3席は空いたままだった。その男性が左側にずれて観覧してくれたので、私も随分と動きやすかった。「座席の横幅狭い」問題が、この日ばかりは解消だ。

 

目の前の1列目は皆さん強制着席中。隣のブロックでは立ち上がった観客がいたらしく、係員に注意されていた。私も選べるなら着席の1列目よりスタンディングの5列目だな。

 

最後の挨拶でののっちの苦悩が一段と深まっているようで心配だ。有観客ライブの意義や関係者への感謝はかしゆかとあ~ちゃんに任せて、のっちは自身のパフォーマンスの感想とか解説を話すといいんじゃないかな。

 

「きょうはこの曲のこの振りが格好良く決まった」とか、「この演出の場面ではこういうことに気を付けている」とか、「実はあの曲のあそこのダンスを間違えた」とか。

 

それにしても、あ~ちゃんの話術には毎度感心する。満座の客席に漫然と向かい合うことなく、「こちらのスタンドのこの人」「あちらのスタンドのあの人」といった具合に、観客を個々の存在として認識していることを感じさせる。

 

この日のあ~言(あ~ちゃんの名言・迷言)。「メガネ!」「コンタクト!」「裸眼!」の呼び掛けのいずれにも反応しない観客を見付けて、「カテゴライズされたくないタイプ?」。

 

この日は今回の6daysで唯一当選したS席(SSは当たらなかった)。しかし…

 

 

 

またもや4階でした。

 

A席は基本、ステージを横から見る。SS席はたぶん、正面から見る。S席はまさにその中間で、斜め前方向にステージを見る。制作サイドがステージ構成や演出を検討する際は、正面からの見た目を第一に考えるものと思われる(サイドからの見え方も考慮に入れるのだろうけど)。この日のポジションはステージをギリ正面方向から見られたといってよいだろう。

 

サイド席との違いを最も感じたのは、公演後半にレーザーが飛び交ったとき。ステージ側から正面席の上方と下方に向けて放たれた光線が水平方向に目まぐるしく動く狭間に視界が開け、ステージ上で踊る3人が見える。前日はこの光線を確かに側面から見ていた。

 

これも前日は見づらかった出島の上のメンバーも見やすかった。ただ、ステージまでの距離は前日より随分と遠い。ステージに近いサイド席とステージから遠い正面席のどちらも一長一短ではある。

 

前日は周りに着席したままの観客が多くて驚いたが、この日の周囲は9割方スタンディングだった。会場を見渡すと、私と同じ側のサイド席に着席組が多いエリアがあったが、全体的に立っている人のほうが相当多い感じだった。前日の私の周囲だけ特別だったのだろうか。なお、最前列は安全のためスタンディング禁止みたいだ。

 

ところで、ぴあアリーナMMの座席はほかの会場と比べても横幅が狭いほうだと思う。肘掛けもない。おとなしく座っている分には支障ないのだが、スタンディングで腕を上げたり体を動かしたりするには窮屈だ。

 

この日の左隣の女性は、どう考えても私の領土に体が侵攻しているように思えた。ステージは女性の方向にあるので一層鬱陶しく、公演中ずっと気になって仕方なかった。さすがに「もうちょっと左側につめてください」とは言えなかったが。座席前の手すりの金属棒に隣席との境界を表す目印でも付けたらどうだろうか。

 

一方で、座席の前後幅はゆとりがある。イスを納入したコトブキシーティングによると、「イスは背と座のパーツが分かれたツーピースタイプです。離席時は座が上がり、奥行きがコンパクトになるため、立ち上がった時のスペースを広く確保できます。スタンディングでの鑑賞が多いライブやコンサートではとても有効です」とのこと。素晴らしい(ただ横幅が…)。

 

昨夏を含めて4階の天空席が3度続いたので、次はもう少し下界に近づきたい。

 

5カ月ぶりのぴあアリーナMM。そして5カ月ぶりの[polygon wave]。前回は4階最後列(4列目)だったが、今回は…

 

 

 

今回も4階最後列(今回のブロックは5列目)でした! ただし、前回がステージから遠く離れた席だったのに対し、今回はステージ真横。ステージ真横というのは、普通はパフォーマンスが非常に見づらいハズレ席だが、今回の公演ではアタリ席といってよい。前回はとても見にくかったステージ床面のLED映像を堪能できたし、メンバーとの距離も近かった(MCのときの3人の並び位置が私の席の真ん前だった)。ポリゴンウェイブ(曲)の際に登場した「動く多面体」の動力源もよく見えた。

 

驚いたのは、座ったままの観客の多さだ。前方4列はざっと7割が座っていた。前回はP.T.A.限定だったこともあってか、いつものとおり、ほぼ全員スタンディングだったが、今回は一般ファンが加わった影響があるのだろうか。この会場、この演出はおとなしく座って観覧するに向いているともいえるが、これが「新しい日常」になりはしないかと心配になる。

 

そんななか、我らが最後列は8割がスタンディングという優秀さ。左隣の女性はすべての曲に的確な体の動きを見せ、相当熟練のファンと思われた。右隣の女性はオープニングからタオルで目の汗を拭いていたような。私も足元が狭いなかを随分飛び跳ねたので、久々に充実感を覚えるほどの汗(これは本当の汗)をかくことができた。

 

最後のMCであ~ちゃんが「じゃが(「だが」の意)」と言い始めたところで、「『じゃが』は島の言葉じゃ」とつぶやき、マスク装着で声が出せないはずの客席から笑い声が漏れる。後で見たら案の定、「じゃが」ツイート多数発見。

 

最後列の利点は規制退場で最初に出られるところ。会場から歩いて5分ほどのバーミヤンで夕食後に帰宅。さて、明日はどんな席になるだろうか。

 

 

 

2019年にReframeを初めて見たときは開演前から終演まで緊張しどおし痺れっぱなしだったが、今回はさすがにそこまでの高揚感はなかった。その分、リラックスして鑑賞する余裕はあったが。

 

座席位置も2019年とはだいぶ違う。前回は1階4列目という至近距離から3人の姿をひたすら追っていた。今回は2階中盤列のちょうど真ん中の席で、ステージ全体の構成を視野に収めるのに適していた。でも、やっぱり3人のことばかり見ていたが。

 

いつも同じことを思うのだが、どんな技術も演出もPerfumeを素晴らしく見せることを目的にしなければならない。その点、Reframeの場合はテクノロジーのショーケースという性格が強いので、Perfumeがテクノロジーの実験素材みたいに見える場面があるのは致し方ないが、それも現状程度が限界の気がする。

 

ともあれ、重装備の技術を載せた演出を東京から離れて全国各地で展開するのは、いかにも神経をすり減らせる作業のように思われる。会場設営とかリハーサルとか時間は十分に取れるのだろうかと心配になるが、この日の公演も素人目には何の問題もなく進行した。

 

音響はいつもどおり重低音ブリバリで、ズボンの膝から下がビリビリ震えている気がした。ライブ仕様の爆音は中毒性が高い。

 

この後は一般発売で広島公演のチケットが奇跡的に取れたら行こうかと考えていたが、石川公演を見終わって「今年のReframeはこれで見納めでいいかな」という気がしてきた。その分のエネルギーを年明けの[polygon wave]チケットの追加獲得に傾けたい。

 

キャンセル分の抽選でなんとか巡ってきたチケット。有難い限りだが、元の持ち主はどんな思いで観覧を断念したのだろう…。

 

会場へは桜木町駅から歩いたが、間違えてランドマークタワー方向に行き過ぎたため、無駄に遠回りしてしまった。到着は4時半少し前。

 

入場チェックは予想よりずっとスピーディー。QRコードを顔の横に掲げて読み取らせていたが、顔の画像データも保存しているのだろうか。体温もあのとき測ったんだっけ?

 

会場内に入ったのは4時40分すぎだったろうか。実は入場前からちょっと催していたので、座席より先にトイレを探す。

 

男性トイレの前には長い列。途中で個室待ちの列が分岐する。目測7、8人というところか。しかし、これが全然進まない。

 

中に入ってわかったのだが、個室は2つしかない。振り返ると、後ろにはもう誰も並んでいない。そそくさと用を済ませて席へと急ぐ。このとき5時3分前。

 

開演前の拍手が始まっている。客席の扉がすべて閉まっている。「まさか、締め出されたか」と一瞬ひやっとしたが、扉を引くとあっけなく開いた。

 

席は4階スタンドL09扉4列70番台。この付近は4列が最後尾だった。座席の横幅は前評判どおり狭め。

 

前後の席の傾斜も前評判どおり急だ。この会場は観客がおとなしく座って見るクラシックコンサートとかアイススケートショーなんかに向いているんじゃなかろうか。

 

狭かろうが急だろうが、最後の影アナが終わったら立って拍手するのがいつもの流儀だ。ちなみに、この日の影アナは前評判と違って噛み噛みではなかった。開演は5時5分ごろか。

 

ステージは、4階サイド席からにしては見やすい、というべきか。でも、さすがにメンバーの表情や細かい動きは見分けづらい。視力が悪いせいもあるが。

 

今回は、ステージ後方の大モニターにメンバーの姿が映ることも非常に少なく、ちょっとストレス。4階客席の一番奥には小さなモニターが見えたが、何が映っているのかさっぱり見えない。結果的に、ステージを集中して見る気にはなったけど。

 

ステージ床面の映像は、「LEDモニターとは思えないほど」という表現が適切かどうかわからないが、本当に鮮明で美しく見えた。だが、どんなテクノロジーもPerfumeにとって「必須」ではない。次のライブで床面LEDがなくなってもぜーんぜん構わない。

 

音響は、最初のほうはそんなにいいと思わなかったが、途中からいつもの重低音ブリバリに。ズボンの太もものあたりの生地がピリピリ震える感覚をまた味わえた。ステージ後ろの左右上方にぶら下がっているラインアレイスピーカー(呼び方、合っていますかね)の高さが4階席とほぼ同じだったお蔭かな。

 

GLITTERが演じられているころだったと思うが、後ろの扉が開いて涼しい風が結構強烈に吹き込んできた。ヒートアップしてきた体を冷やすには好都合だったが、あれは冷却用ではなく換気目的なのだろう。扉はそのうち閉まり、後でもう一度開いた気がする。

 

観客の性別は、いつもより男が多く女が少ない気がした。年齢別では、20代後半~40代がいつもより多く、10代~20代前半の学生層と50代以上のシニア層(ハ●・シラ●層)が少ない感じ。コロナに対する警戒度合いとか、チケット代の高さが影響したのかも。チケット代は、ぐるんぐるん(2014年)のときのちょうど2倍になった。

 

マスクあり・声出しなしでもPerfumeライブは最高! でも、正直にいうと、マスクなし・声出しありで平らなアリーナの上を思い切り飛び跳ねたい。そんなPerfumeライブ完全復活の日が少しでも早く来ますように。

 

(その前に、完全着席のReframeにも行きたい)

 

開演前のぴあアリーナMM

(例によって詳しいところは忘れてしまったので、特に印象深かったことを取りとめなく)

◇ ◇ ◇

冒頭。正面スクリーンに、かしゆかのポリゴンメッシュの上半身イメージが映し出された時点で早くも涙ポロポロ。3人の全身像が現れるたびに客席から起こる大拍手に胸が熱い。

◇ ◇ ◇

1曲目の不自然なガールでPerfume以外のダンサー(ELEVENPLAY?)がステージに上がったことに心がざわつく。掟破りは今回だけでいいかも。

◇ ◇ ◇

マカロニの途中で正面スクリーンに3人の影が映る。影だけなのに、紛れもなくPerfume。影を見ているだけで泣ける。Perfumeに最先端テクノロジーは必須ではない…。と思っていたら、その影がぐるりと回って小さくなったり長くなったり。最初の影もバーチャルだったのか。バーチャルでも泣けるけど。

◇ ◇ ◇

ボリゴンウェイヴはそれほど好みの曲ではないが、生で見聞きしてみると「32歳の今の3人には、こういう曲、こういうダンスが必要なんだな」と納得する。

ステージ床面を格子状の模様が流れるように動いていく。ステージ全体が前方に進んでいるように見えるが、もちろん動いているのは映像のほうだ。

ステージ上のいくつもの多面体が床面の映像の変化に合わせて位置を変える。「ライゾマの石橋チームがプログラミングして動かしているんだな」と思っていたが、ライブ後にファンのツイートを見たら、中に人が入っていたらしい。人力であれだけ映像に合わせて動けるなんて、プログラミングよりすごいかもしれない。

床面はLEDパネルだったようだが、会場で見たときは「真っ黒なステージに向かって上のほうから投影しているのかも」と思っていた。もっとも、上から投影するとメンバーらの影ができるはずなので、そんなわけはないか。

◇ ◇ ◇

GLITTERはこの日一番うれしかった曲。もともと大好きだが、P Cubedから外れたせいか、ライブではしばらくご無沙汰だったし。

アルバムバージョンのイントロで始まり、膝を床につけたかしゆかとあ~ちゃんが組んだ両手を頭上に伸ばす様子を見ながらJPNツアーを思い出す。

JPNツアーでのパフォーマンスは、前年に起こった東日本大震災の犠牲者に対する鎮魂、と解釈するファンもいたようだ。「今回はさしずめコロナ禍を鎮める巫女の祈りか」と思いつつエンディング(のはずの場面)を見ていたら、3人がステージ3方向に分かれて銀テープが舞う中を踊り続けるサプライズ。「キミを祈って キミと笑って」でまた涙。

◇ ◇ ◇

P.T.A.のコーナーは「観客が声を出せない中で成立するのか」と心配だったが、拍手と手振りだけで結構盛り上がって安心した。というか、あ~ちゃんはじめ3人が観客を一生懸命楽しませようとしているのがわかる。それに、スイカとか浮き輪とか阿波踊りとかはもともと手振りだけだしな。

◇ ◇ ◇

Miracle Workerは、のっちの「起こせミラクル」に合わせて右手を挙げる準備をしていたのだが、不覚にもタイミングが遅れてしまったのが、COSMIC EXPLORERツアー全通者(除くアメリカ公演)としては悔やまれる。

◇ ◇ ◇

最後のMCでのあ~ちゃんの「私達がみんな みんなが私達」という言葉に魂が震えた。

1年半のライブ空白期を乗り越えたチームPerfumeとファンの想い。

今回のライブのテーマ。

それはそのまま、ラストの未発表曲へとつながる。

◇ ◇ ◇

ラストの曲が流れ始めたとき、一瞬、何が起こったのかわからなかった。

どうやら新曲らしいと気づき、モニターに映し出される歌詞を読む。

こんなストレートな歌詞をヤスタカ氏が本当に書いたのだろうか。

軽やかに踊る3人が「アイドル」に戻る。

ステージ上の映像が美しく動く。

かけがえのないひとときが終わり、しかし続いてゆく。

 


 

Perfume Calendar 2020-2021も最終月。(たぶんベネチアの)ゴンドラを漕ぐあ~ちゃんに別れを告げて2枚めくると、(たぶんヨーロッパのどこかの歴史ある図書館の)机に座ったかしゆかが本を手にこちらへ視線を送っている。青いチェックの服に三つ編みの髪。今年度のカレンダー中で最もお気に入り。

 

Perfumeファンには推しメンがいないことになっていて、私も実際、3人合わせてこそのPerfumeだと思っている。とはいえ、その時々によってとりわけ気を引かれるメンバーがいるのも事実で、私の場合はそれがあ~ちゃん→のっち→かしゆかと変遷して現在に至る。昨年のPOP FESの「のんびり しっぽり」もよかったな、といまだに思う私。

 

Perfumeカレンダーは2年連続で買ったが、2021-2022はサンプル画像を見る限りあまりそそられないのでたぶん買わない。ごめんなさい。

自粛期間のころ、在宅勤務をしながらサラさんの歌をスポティファイで毎日のように聴いていた(頻度は落ちたが、今もよく聴いている)。きっかけは何だったか忘れたが、ふとした思い付きでサラさんの歌が聴きたくなり、それまで興味のなかったスポティファイのアカウントを作ってみることにしたのだった。

 

あれから8カ月あまりたって初めて耳にする生の歌声に身を委ねると、あの重苦しかった春の日々が、もはや甘やかな記憶となって甦る。同時に、あのころからひとつも進歩していない自身の不甲斐なさに胸を突かれもする。

 

良きものに触れると、「自分も良きものになろう、良きものであろう」と思う。だが、悲しいことに、その思いは日常の中にたやすく埋もれてしまう。それでも、良きものへの出会いを欠かさぬことで、下がりがちな視線をひとときでも上へと向けることができる気がする。

 

Kindleの古典教養文庫版で500円也。

 

最初は前日の夕刊に映画評が載っていた「若草物語」の原作を読もうかと思ったのだが、若草物語が四姉妹の話だと知り、そういえば細雪もいいな、という気になった。

ちょうど、日経の先月の「私の履歴書」で、岸惠子さんが市川崑監督の映画「細雪」で長女役を引き受けた話を目にした記憶も新しい。

 

谷崎の文章はもっと流麗なものだと勝手に想像していたが、実際にはワンセンテンスがやけに長く、少々珍妙に見える。

内容ももっと洗練された物語だと勝手に想像していたが、昔のホームドラマとさして違わない。

ただ、人物描写がとても好ましく親しみが持てる。

関西の話し言葉をふんだんに読めるのも嬉しい。

 

四姉妹の中で一番美人の次女・幸子は、谷崎の三番目の奥さんがモデルだという。

幸子の夫は「そう云う花やかな妻を持ったことに喜びを感じている様子」という箇所にニヤリとする。

 

これまた日経の文化面で数カ月前に見た北村恒富「いとさんこいさん」をまた眺めたりする。