Kindleの古典教養文庫版で500円也。

 

最初は前日の夕刊に映画評が載っていた「若草物語」の原作を読もうかと思ったのだが、若草物語が四姉妹の話だと知り、そういえば細雪もいいな、という気になった。

ちょうど、日経の先月の「私の履歴書」で、岸惠子さんが市川崑監督の映画「細雪」で長女役を引き受けた話を目にした記憶も新しい。

 

谷崎の文章はもっと流麗なものだと勝手に想像していたが、実際にはワンセンテンスがやけに長く、少々珍妙に見える。

内容ももっと洗練された物語だと勝手に想像していたが、昔のホームドラマとさして違わない。

ただ、人物描写がとても好ましく親しみが持てる。

関西の話し言葉をふんだんに読めるのも嬉しい。

 

四姉妹の中で一番美人の次女・幸子は、谷崎の三番目の奥さんがモデルだという。

幸子の夫は「そう云う花やかな妻を持ったことに喜びを感じている様子」という箇所にニヤリとする。

 

これまた日経の文化面で数カ月前に見た北村恒富「いとさんこいさん」をまた眺めたりする。