自粛期間のころ、在宅勤務をしながらサラさんの歌をスポティファイで毎日のように聴いていた(頻度は落ちたが、今もよく聴いている)。きっかけは何だったか忘れたが、ふとした思い付きでサラさんの歌が聴きたくなり、それまで興味のなかったスポティファイのアカウントを作ってみることにしたのだった。

 

あれから8カ月あまりたって初めて耳にする生の歌声に身を委ねると、あの重苦しかった春の日々が、もはや甘やかな記憶となって甦る。同時に、あのころからひとつも進歩していない自身の不甲斐なさに胸を突かれもする。

 

良きものに触れると、「自分も良きものになろう、良きものであろう」と思う。だが、悲しいことに、その思いは日常の中にたやすく埋もれてしまう。それでも、良きものへの出会いを欠かさぬことで、下がりがちな視線をひとときでも上へと向けることができる気がする。