【菊と稲荷】の始まりの物語はコチラです→『プロローグ。』
<あらすじ>
『怖いと思われている稲荷の誤解を解いてほしい』
その言葉と共に、六甲山の高取神社で
「神様」という存在に、接続してもらった私。
前からついていたという高野山の清高稲荷大明神さまの
子狐眷属の姿も確認できるようになり、
奇妙な共同生活(?)が始まっていた。
***
シャンと澄みきられた宮司さま……
を愛している八重事代主大神さま……
を宣伝したい私の願いを受けてくださった(?)お狐さまを
初参拝の帰り道に撮影していた♪
菊「あ。コレか!」
何度も経験してるけど、神さまはいつも最高のタイミングで現れはる。
今回はきっとコレ。
尼崎城の一般公開タイミング!
菊「3月29日か……確かにアート展終わってからの初参拝じゃあ、
そのオープニングには間に合わなかったんだ!」
400年ぶりに姿を現した『尼崎城』
その一般公開イベントが3月31日に開催される。
もちろん駅近の『尼崎えびす神社』への参拝もめっちゃ多いはず。
菊「………その日に配布したいよね。神様カード」
ポソッと呟いた自分の一言。
それは初の飛び込み奉納営業に直結する言葉だった💧
決めたら早いのである。
その夜、さっさと御影も表せて、
カードのデザインも仕上がった(めっちゃ早かった!)
初参拝から3日後。
それを持って、再び私は尼崎えびす神社・本殿前に立っていた。
菊「こんにちは。カードのデザイン、プリントアウトしてお持ちしました。
……何かお言葉、渡して頂けないでしょうか……」
不安すぎてのっけからお言葉を要求。
道
その時、ポンと渡されたのは「道」という言葉。
菊「道…… ミチ。未知。満ち……」
八重事代主大神(以下:八)「準備万端で来てくれたん?✨」
菊「……こ、こんにちは……でも……
実際に飛び込み営業なんて初めてで💧
めっちゃ怖いんですけど……💧」
これまでの『神様カード』の奉納は、
先に先方さまからの何らかのお声かけがあり、形になったものばかり。
授与所をチラッと見ると、宮司さまがいらっしゃる。
菊「…………あ”ーーーー💧
やっぱりめっちゃ緊張します!!!
大丈夫でしょうか……(怖!)」
緊張を落ち着けようと、おみくじを引いてみた。
菊「人と人と互いに力あわせてすればよきみちあり……
"みち" だ。道。未知。満ち……✨」
はやくあらため進むがよい
早くすれば他人の助けありて調う
動かせば利あり
あまり返事をながびかすと悪い
菊「な、なんか急かされているような……。
じゃあ、ほんまに行きますよ!
神様、後押し絶対にお願いしますね!!!💧」
八「する! するから、はよ行け!
はよその絵、僕の宮司に見せてきて!!」
八重事代主大神の期待を一身に受け、
私は初の『飛び込み奉納営業』をするために宮司さまに話しかけた。
菊「あの……すいません。私、神様の絵を描いているのですが、
何箇所かの神社さまにその絵のカードを奉納させて頂いておりまして……」
宮司さま(以下:宮)「? ……はい」
菊「こちらの神様も描かせて頂いたので、デザインを見て頂けますか?」
いっぱいいっぱいである。
そして自分でも分かっていた。心の底から。
……今の私、
めっちゃ怪しいヤツになってるって💧
菊「こちらなんですけど……」
怪しすぎるぞ自分……と思いながらも、私はどこかで期待していた。
「かっこいいですね」という一言を……
だがしかし。
宮「………………」
菊「………………」
宮「………………」
菊「………………」
宮司さまの表情が動かない。
菊「………あの💧こちらがえべっさんで、こちらがお稲荷さんになります」
宮「…………はい」
宮「………………」
菊「………………」
宮「でも菊田さんには何のメリットもないんじゃ……」
菊「いえ! あるんです! あります!」
宮「じゃあ、ぜひお願いします」
なんと枚数は500枚。✨
宮司さまは「菊田さんの負担のない数で」って仰ってくださったのですが、
正直、100枚過ぎたら印刷代ってそんなに変わらない。
尼崎城が400年ぶりの復活だから400枚と思ったけど、500枚で提案した。
また連絡します!と宮司さまに伝えて、
私が真っ先に向かったのは高宝院稲荷大明神のお社。
菊「高宝院稲荷大明神さま!! 叶いましたよ!!」
私は3日前の初参拝時に、願掛け狐さまにお願いしたのでした。
「私に上手くここを宣伝させてください」と。
胸ときめきながらのお礼参りに、高宝院稲荷大明神が姿を現した。
菊「高宝院稲荷大明神さま! ありがとうご……」
言いかけてハタと止まってしまった。
………
抱っこされてるお狐さまが増えてる?
そのお狐さまには、感謝の言葉が書かれていた。
そうか。
叶っちゃったから、3日前にウチに来たお狐さま、
お返ししないといけないんだった。
菊「……………」
高宝院稲荷大明神(以下:高)「返してな。お狐」
菊「エ。……返さないと……ダメですか💧」
突然の高宝院稲荷大明神の一言におののきつつ、つい本音を伝えてしまった私。
高「うん。だって叶ったんやろ?」
菊「…………ハイ。カード奉納、決まりました……」
叶って……速攻叶ってめっちゃ嬉しいけど、
可愛いお狐さまともうお別れかあ……。
高「あれやろ。返されたお狐はそのうちお焚き上げで燃やされるし、
可哀想って思って返したないんやろ」
菊「…………ハイ」
高宝院稲荷大明神は優しく笑った。
高「その気持ちも分かんねんけどな。
お狐がな、人の願いを叶えたりすることで神格上がるん知ってるやろ?」
そうだった。
この『願掛け狐』も、神格を上げようとしている眷属なのか……。
高「焚きあげられることで、なくなってしまうんちゃうから。
神格上がって、また戻ってくるねん。
でもな可愛いからって離さんかったら、お狐の神格も上がらんやろ?」
菊「……はい」
高「くるくる回ってんねん。願い叶えて帰ってきたお狐は炊き上げられて、
神格上げて戻ってくる。
だから寂しがることなんてないねん。な。分かるやろ?」
菊「そうですね。お返しします。
私もその抱っこされているお狐さまみたいに、お礼を書いて!」
ああ。泣きそう。涙目。
でもお返ししなきゃあ……✨
高「あ。ちょい待って」
菊「え?✨」
高宝院稲荷大明神が
横にあるお狐ポストから願い札を出して、チェックしてはる。
高「叶ってへんやん。まだ」
菊「?」
高「カード奉納が願いちゃうよな?」
菊「……ですね。私の願いは上手くこの神社さまを宣伝することです」
高「あーまだやな。それやったらまだやん。叶ってへん。
上手く宣伝できたかは、
これから結果を出していってからやろ」
そうでした……ッ!!!✨
光射す尼崎えびす神社の拝殿。
それを見ながら、大鳥居のそばのベンチで泣いていた。
高宝院稲荷大明神の言う通り、上手く宣伝できるかはこれからだけど。
でも、私は見せることができた。
自分の描いた神様の御影を、その神様を守る宮司さまに。
めっちゃ勇気いった。ほんまに。
だから涙が止まらなかった。(号泣とかじゃないよ)
えべっさまがくれたような美味しいたい焼きをパクつきながら、
カラフルな尼崎を後にした。
《続く》
***
現在、本殿にて清め祓いして頂いたカードを社務所にて頂けます。
二人アート展を開催中です♡
春分&満月の21日から始まり、
最終日は今月30日(土)です。
営業時間は11:00〜21:30です。