回顧録「いつか見た映画 1991」64『波の数だけ抱きしめて』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

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■『波の数だけ抱きしめて』
☆☆☆☆[80]

1991年/日本映画/104分
監督:馬場康夫
出演:中山美穂/織田裕二/別所哲也/松下由樹/阪田マサノブ/勝村政信

■1991年 劇場公開作品 64本目

「日本映画」に「かなり」「偏見」があったので、『波の数だけ抱きしめて』など当然「最優先スルー」。まして日本での「自分に身近な」、「男」「女」の「青春」など、『ランボー』に癒しを求めてた僕には最も「遠い世界」で「NG」だった。

「日本映画」の勉強を殆どしなかった「ツケ」の返済、「反省」「償い」をまたしなければならない。『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』 『波の数だけ抱きしめて』 の「ホイチョイ三部作」。80年代の『私をスキーに連れてって』『彼女が水着にきがえたら』 はまだ見てないが、「1991年劇場公開作品」だった『波の数だけ抱きしめて』を、とりあえず「初めて」「今頃」見た。

当時「理容学校」の学生時代、同じクラスの「O君」が恐るべき “極限ダイナマイト・ボンバー・ギャル” 「中山美穂」の「狂信者」だった。「中山美穂」の恐るべき「極限の美」に「骨抜き」にされてた。「O君」に「お前は誰が好きなんだ?」と聞かれ、僕は「マドンナ」と答えた。「O君」に「マドンナなんか大したことない」とバカにされた。「ではO君は誰が好きなんだ?」と聞くと「中山美穂」と言った。「中山美穂のどこがそんなに好きなんだ?」と聞くと、「性格!」と、「O君」は大きな声で砂粒ほども「迷わず」「即答」。だが冷静に僕は考えた。「中山美穂」に一度も会ったことがない、話したこともない「O君」が、何で「中山美穂」の「性格」を知ってるのか? 「O君」も僕も、「鶏」だった。

この狭い環境で「4人」、殆ど「7年間」一緒にいて、「松下由樹」「阪田マサノブ」が、「織田裕二」が「中山美穂」を好きなこと大騒ぎしてれば、「中山美穂」本人が一度も話を聞かないなど「絶対ありえない」。「中山美穂」は「7年間」の間に、「織田裕二」が自分を好きな話をどれほど聞いたか知れない状況で、「7年間」ずっと「今」も「織田裕二」の隣にいる。毎日顔を合わせ一緒に過ごしてるのに、何でつき合ってないかが「絶対ありえない」。この状況で今まで「好きだ」と言ってないのが「不自然」「異常」に見えた。

だが冷静に考えた。これは「アラ50」の今の僕の考え。僕もまさに同年代の時「鶏」だった。だから「今」、「反省」「償い」をしてるのではないのか?

「若木の至り」では済まないことがある。「知らなかった」で人を殺して「無罪」には絶対ならない。今は未成年でも許されない場合があるほど厳しい。

告白するのが怖いからって、告白してもないのに、「7年間」ずっと好きだった「本命の女」がそばにいる状況で、「織田裕二」は「松下由樹」に「キス」した。それじゃ「中山美穂」はアメリカに行って他の男と結婚して当然だろう。

僕は不器用だから「織田裕二」のように「キス」なんかできなかった。だが「織田裕二」と「全く同じ」、「浮気」をしてきた。「本命の女」にメアド聞き連絡して、「返事がこなくなって」うまくいかなくなると、すぐ「他の女」を探してメアド聞き、延々うまくいかない愚行を繰り返した。

「本命の女」が返事できなかったのは、「僕が何か悪いことしたのかもしれない」「何かあったのかもしれない」とは考えられなかった。「俺のことなんかそんなに思ってないから返事がこないんだ」としか思えなかった。「自分のことしか考えない」恐るべき「マイナス思考」だった。「キス」ではなく「メアド聞き」だが、“本質” の「浮気」は「全く同じ」。「自分のことしか考えない」から、自分の都合で「相手を想い続けることを止める」。これができるのは、女を「本当に好きではないから」できたのだと今は解かる。「織田裕二」も「中山美穂のことを考える」ことを「知らなかった」。

僕自身「鶏」だった記憶が生々しく蘇った。「知らなかった」では済まない場合がある。「人を傷つけなければ」思い知ることができないのは哀しすぎる。だが傷つける前に気づくのは難しいのかもしれない。僕も「人のことは言えない」。『波の数だけ抱きしめて』を見て、「鶏」だった頃、僕もたくさん酷いことしてきたことを思い出し、居た堪れない気持ちになった。


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「いつか見た映画 1991」61『運命の逆転』
「いつか見た映画 1991」62『インディアン・ランナー』
「いつか見た映画 1991」63『無能の人』
「いつか見た映画 1991」64『波の数だけ抱きしめて』
「いつか見た映画 1991」65『12人の優しい日本人』
「いつか見た映画 1991」66『ピストルと少年』
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画像 2020年 2月