『007 ゴールドフィンガー』 | やりすぎ限界映画入門

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ダイナマイト・ボンバー・ギャル @ パスタ功次郎

■「やりすぎ限界映画工房」
■「自称 “本物” のエド・ウッド」


■『007 ゴールドフィンガー』
☆☆☆☆★[85]

1964年/イギリス映画/109分
監督:ガイ・ハミルトン
出演:ショーン・コネリー/タニア・マレット/シャーリー・イートン


[ネタバレ注意!]※見終わった人が読んで下さい。



やりすぎ限界女優賞:タニア・マレット


やりすぎ限界女優賞:シャーリー・イートン


■第5稿 2018年 5月26日 版

[シリーズ第3作目]




「シリアス映画」『007 ロシアより愛をこめて』から「豹変」する「ギャグ映画」第3作目『007 ゴールドフィンガー』。社会問題や世界情勢など微塵も存在しない「バカ映画」。もはや『007 ロシアより愛をこめて』の緊迫感は一切ない。「子供マンガ」のようにおめでたい「オッドジョブの帽子」や「空中サーカス」に震撼。だがリアルタイムで大ヒットした事実を知り、「これでいい」という当時ほのぼのとした緊張感のない作風に、世界大不況の現代とは違う時代の暖かさを感じた。

「『007』ギャグかシリアスか模索時代」で1作目「ハニー・ライダー」の作風に逆戻りする3作目。初登場ガイ・ハミルトン監督が「ジェームズ・ボンド」=「バカ映画」の「方向性」を決定的にする。「『007』大スペクタクル・コント時代」に繋がる「伝統」がここから始まる。

[「会った直後に瞬間セックス」]




「会った直後に瞬間セックス」など現実では「絶対ありえない」。だが『007 ゴールドフィンガー』の大ヒットが「会った直後に瞬間セックス」を「これでいい」決定的な「伝統」にした。

『007 ロシアより愛をこめて』に存在した「会った直後に瞬間セックス」の「敵の罠かもしれない」緊迫感。だが『007 ゴールドフィンガー』のシャーリー・イートンとオナー・ブラックマンには微塵の緊迫感も存在しない。また「シリアス映画」6作目『女王陛下の007』の失敗が「ギャグ映画」の「方向性」を決定的にする。『007 ゴールドフィンガー』は「ジェームズ・ボンド」=「バカ映画」の決定的な「基礎」を築いた。

[4人の犯人]


■ガイ・ハミルトン監督


■ルイス・ギルバート監督

「『007』ギャグかシリアスか模索時代」から「『007』大スペクタクル・コント時代」で「ジェームズ・ボンド」=「バカ映画」の「方向性」を決定的にした「4人の犯人」がいる。1代目ショーン・コネリー、3代目ロジャー・ムーア、ガイ・ハミルトン監督、ルイス・ギルバート監督の4人だ。シリーズ「極限のバカ映画」11作目『007 ムーンレイカー』誕生の布石は、すでに『007 ゴールドフィンガー』から始まっていた。

[ガイ・ハミルトン「前科1犯」]




異常な人数の “ボンド・ガール” = “ダイナマイト・ボンバー・ギャル” の出演。「伝統」の「会った直後に瞬間セックス」の創始者。「『007』大スペクタクル・コント時代」に繋がる「もう戻れない」 “棲息速度域” に到達させる布石を築いたガイ・ハミルトン監督の「罪」は重い。『007 ゴールドフィンガー』でガイ・ハミルトン監督は「前科1犯」となる。

[『ピカソ・トリガー』シリーズの原点]




映画史に刻まれるアンディ・シダリス監督の『ピカソ・トリガー』シリーズの原点が『007』シリーズであることを今確信した。『売れる映画5つの誓い』は「ジェームズ・ボンド」=「バカ映画」の時代の『007』シリーズと重なる部分が多い。『007』シリーズの世界的な大ヒットがシダリス監督に大きな影響を与えたのかもしれない。

[アストンマーチン「最強伝説」Part1「シリーズ初登場」]




「ボンド・カー」で有名な「アストンマーチンDB5」が『007 ゴールドフィンガー』で初登場する。まず思いついたアイデアを尊敬した。「秘密兵器」搭載の改造車を大の大人が真剣に作ってた姿を想像するだけで熱いものが込み上げた。社会問題など「関係ない」スタッフ達の “本気” の魂が伝わる。50年前に作られた改造車の「本当に作れそう」な「異常」な極限のくそリアリズムに「現代の視点」で震撼した。

社会問題など微塵も存在しない「バカ映画」だが「アストンマーチンDB5」にだけは壮絶なリアリズムが存在した。アストンマーチンの登場シーンにやりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]を捧げる。まさに『007 ゴールドフィンガー』を製作したエネルギーの90%がこの「ボンド・カー」に集中したように見える。「秘密兵器」を搭載した改造車で「アストンマーチンDB5」より古い車を僕は知らない。映画史においての世界初の改造車なの「かもしれない」。




「秘密兵器」搭載のアストンマーチンがシリーズ本編で活躍するのは全部で『007 ゴールドフィンガー』『007 リビング・デイライツ』『007 ダイ・アナザー・デイ』『007 スカイフォール』の4作品。他は「普通に乗るのみ」で「秘密兵器」は出ない。または「他の改造車」だ。だが『007』シリーズの改造車で「圧倒的な存在感」を見せるのは間違いなく「アストンマーチン」だろう。かなり強烈なやりすぎ限界映画となる「アストンマーチン 最強伝説」4作品で『007』の神髄を見極めてほしい。

[現代の視点でありえないもの]




■水鳥の潜水服

潜水服の頭に水鳥。「絶対ありえない」。あまりのダサさに冒頭から完全に漏らした。




■虚仮威しの金粉

本編の物語と全く関係ない「虚仮威しの金粉」に完全に漏らした。恐るべき「ハッタリ」に度肝を抜かれた。だが現代でも「全裸金粉」を知る人間が多いほど、強烈なインパクトの「虚仮威し」アイデアに、やりすぎ限界映画:☆☆☆☆★★★[95]だ。




■オッドジョブの帽子

オッドジョブの帽子にリアリズムなど存在ない。笑わせるために考えたとしか絶対思えない。ドリフ級のコントの世界に震撼する以外もはやなす術はない。




■プッシー・ガロア「空中サーカス」

プッシー・ガロアという名前がなぜか壮絶。グランド・スラム計画で「デルタ9」を散布するのが全員 “ダイナマイト・ボンバー・ギャル”。また「会った直後に瞬間セックス」で裏切るプッシー。グランド・スラム計画は本当に「これでいい」のか!




■原爆タイマー「007」

「いかに笑わせるか?」が勝負となる「『007』大スペクタクル・コント時代」へ繋がる布石がすでに始まっていた。

[タニア・マレット=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





僕は『007 ゴールドフィンガー』で有名な “ボンド・ガール” オナー・ブラックマンが好みではない。『007 ゴールドフィンガー』最強の “ボンド・ガール” は「虚仮威しの金粉」で殺されるシャーリー・イートンの妹、タニア・マレットだ。タニア・マレットこそが真実の “ダイナマイト・ボンバー・ギャル”。僕の目を誤魔化すことなど絶対できない。僕はタニア・マレットが早く殺されてしまうことが今でも納得できない。

[シャーリー・イートン=ザ・ボンバー・ダイナマイト]





現代でも知られる「全裸金粉」をやり遂げた偉業に敬意を表しシャーリー・イートンにやりすぎ限界女優賞だ。




『007 ドクター・ノオ』
『007 ロシアより愛をこめて』
『007 ゴールドフィンガー』
『007 サンダーボール作戦』
『007は二度死ぬ』
『女王陛下の007』
『007 ダイヤモンドは永遠に』
『007 死ぬのは奴らだ』
『007 黄金銃を持つ男』
『007 私を愛したスパイ』
『007 ムーンレイカー』[前][後]
『007 ユア・アイズ・オンリー』
『007 オクトパシー』
『007 美しき獲物たち』
『007 リビング・デイライツ』[前][後]
『007 消されたライセンス』[前][後]
『007 ゴールデンアイ』
『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』
『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』
『007 ダイ・アナザー・デイ』[前][後]
『007 カジノ・ロワイヤル』[前][後]
『007 慰めの報酬』[前][後]
『007 スカイフォール』[前][後]
『007 スペクター』

『007』始末記①「シリーズ誕生50周年記念」序文
『007』始末記②「作品」ベスト10
『007』始末記③「ジェームズ・ボンド」ベスト6
『007』始末記④「ボンド・ガール」ベスト10[前編]
『007』始末記⑤「ボンド・ガール」ベスト10[後編]

画像 2015年 6月