パディージャ事件とデスノエス(2) | MARYSOL のキューバ映画修行

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前回の投稿の最後に「パディージャの公開自己批判の集会にエドムンド・デスノエスも出席していた」と言ったレイナルド・アレナスの証言を紹介しました。

さらに、拙ブログの過去記事(欠席したデスノエスの証言)URLも載せましたが、ネット上ではアレナスの証言が目立つので、反論として、当時参照した発言のひとつを以下に詳細に訳出することにしました。

パディージャとマリア・ロサ・アルメンドロス(彼女の後ろにエドムンド・デスノエス

「サロン・デ・マヨ」会場と思われる

 

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質問:キューバを去る前にどんな問題があったのか?

 

デスノエス:私の問題は、パディージャの告白に出席しなかったことにある。なぜなら、それまで私は正統派だと見なされていたからだ。そして、アイデー・サンタマリア(注:カサ・デ・ラス・アメリカス館長)から出席するように言われた。だが、私は彼女に「そうした告白は信じない」と言った。私には(公開自己批判は)誤りであり、それは恰もリスを核装置で叩き潰すごとき企てに思えたからだ。それでも執拗に促された。そして私が告白を聞きに行かなかったことが私に問題をもたらした。

 

質問:レイナルド・アレナスは「貴方が行った」と言っています。

 

デスノエス:出席しなかったことで、問題になった人物が2人いる。私とアンブロシオ・フォルネーだ。自己批判の告白の中で「私とアンブロシオとリサンドロから気を付けるよう言われた」とパディージャも言及している。明らかに、公安から我々を助けるよう勧告されたのだ。なぜなら我々は彼の関心を引いていたからだろう。

私には、彼がそう言うよう強いられた証拠がある。というのも、私が彼にその種の警告をしたことは一度もなかったからだ。逆に、彼は私にこう説得しようとした。「自分は受賞経験のある重要人物だから、そしてヨーロッパの知識人たちの支持を繋ぎとめることは革命の名声にとって重要だから、誰も自分を批判したりしないだろう。我々は不死身の道を歩んでいる」と。最終的にパディージャは4人の知識人を救った。レサマ、アンブロシオ、レタマール、それに私だ。明らかに党の指図だ。だが、私は告白に行かなかった。結局、事が起きたとき、フィデルは「ノー」と言った。『オール・オア・ナッシング』というスペイン的な極端さで。フィデルには名声など全く重要ではなかった。とにかく私が出席しなかったときから問題ができ深刻だった。

 

質問:カストロの抑圧装置はどのように機能したか?

 

デスノエス:もう一度規律を示すように要請された。罰せられ、頭を垂れ、あらたに始めるよう言われた。私はそんなことをしたくなかった。前にも言ったように、まるで宗教的メカニズムのようだった。党の中では論議をするが、ひとたび決定されると、全員が一列に並ばねばならなかった。誰かが言った。「教会の外に救いはない」と。

 

        

       ラテンアメリカの作家たち

  前列右の白い椅子に座ってる大柄の男性はデスノエスと思われる。

  前列左端はレタマール?

 

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