EL CASO PADILLA(仮:パディージャ事件)/ドキュメンタリー/2022年 | MARYSOL のキューバ映画修行

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EL CASO PADILLA(仮:パディージャ事件)/ドキュメンタリー/2022年/スペイン・キューバ/80分/ 監督:パベル・ジルー


     
内容
 詩人で作家のエベルト・パディージャ(1932~2000年)は、1971年3月20日、〈反革命〉の容疑で妻で作家のベルキス・クサマレと共に国家公安局に逮捕された。
彼の拘留期間は37日に及び、4月27日に釈放された。だが、釈放されるには交換条件があった。同日夜に催される作家芸術家連盟(UNEAC)の集会で「自己批判書」を読み、妻を含め数名の作家仲間を〈反革命的である〉として告発することだった。
 集会は予定通り行われ、その一部始終が国立映画産業庁(ICAIC)によって撮影された。しかし、その映像が公開されることはなかった。
 それから半世紀後、この極秘扱いのフィルムコピーを手に入れた(経緯は不明)パベル・ジルー監督は、「パディージャ事件」に対する世界(特にラテンアメリカ)の知識人の反応や現代のキューバとの関りを含めて、観る者に問う。〈国家権力〉と〈表現・思考の自由〉の関係を。

トレーラー
 

Marysolより
本作のトレーラーが昨年9月にネットで公開されたときの反響の大きさについては、拙ブログでも触れました。

あれから半年も経ちましたが今だに未見なうえ、サン・セバスティアン映画祭で上映されたものの批評記事があまり無くて紹介できずにいました。
今ようやく「マイアミ映画祭」で上映中。

しかもその直前にYouTubeに件の極秘映像が公開され、騒ぎになっているせいか、本作についても興味深い批評が出始めています。

これまでに分かった情報(ネタばれ含む)
・パディージャの詩"En tiempos difíciles(難局に当たって)"が引用されている。
・登場する知識人もしくは証言:

 G.G.マルケス、フリオ・コルタサル、M.V.ジョサ、ジャン・ポール・サルトル、ホルヘ・エドワーズ、G.C.インファンテ、カルロス・フエンテス、フィデル・カストロほか
・現代のキューバ人表現者たちの平和的抗議への言及

 27N:11月27日にハバナで起きた歴史的できごと | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

拙ブログ関連記事
パディージャ事件とは:

読書メモ:「La mala memoria(仮:悪い思い出)」(2) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
事件の国際的反響

離反と忠誠:パディージャ事件の波紋(1971年) | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)
 

★追記

第40回(2023年度)マイアミ映画祭ドキュメンタリー部門で観客賞受賞