27N:11月27日にハバナで起きた歴史的できごと | MARYSOL のキューバ映画修行

MARYSOL のキューバ映画修行

【キューバ映画】というジグソーパズルを完成させるための1ピースになれれば…そんな思いで綴ります。
★「アキラの恋人」上映希望の方、メッセージください。

日本時間の11月28日、私は早朝から夫と京都に向かっていたのですが、前日の深夜にこの投稿をしておいて本当に良かったと、京都滞在中に何度も思いました。以下は、その記事の続きです。

27日投稿の要点:
11月18日からハバナで〈Movimiento San Isidro(政令349に反対するアーティストの運動)〉のメンバー数人が、不敬罪で禁固8か月の刑に処されたラップ歌手、デニス・ソリスの釈放を求め、ハンガー・ストライキを行っていた。
キューバ時間の11月26日夜、MSI(Movimiento San Isidro)の拠点にいた14名が、公安警察により強制的に退去させられ、うち数名が公安に連行された。ちなみに、ハンガーストライキを継続していたルイス・マヌエル・オテロも連行された。

11月27日(金曜)
前夜のMSIに対する強制退去処分への抗議とラップ歌手、デニス・ソリスの釈放、そして〈表現の自由〉とその抑圧に対する抗議の意思を示すべく、様々な文化グループ(美術、映画、詩、音楽など)のアーティストおよびジャーナリストが文化省前に集結し、対話を求める平和的なデモを行った。当初は20~30人だった参加者が、夜には約200人(~300人)にも増えた。
また、集会に参加しようと向かう若者たちに対し、公安警察がコショウ弾を発射するなどして妨害した。

文化省前で国歌「バヤメサ」を歌うデモ参加者たち


一方、キューバ映画のリーダー的存在であるフェルナンド・ペレス監督と、同じくキューバ映画を代表する俳優ホルヘ・ペルゴリアも文化省前に駆け付け、若者たちを支持すると表明した。


その後、各グループから選ばれた代表者約30名(ぺレス監督とぺルゴリアも)が文化省内に入ることを許され、フェルナンド・ロハス副文化大臣に各グループの意見と要望を伝えた。
結果的に、翌週後半に改めてインディペンデント・アーティスト(代表者)らと対話をもつことが約束された。
また、集会の代表者が、誰もがアクセスできるフェイスブック・ぺージを作ると表明し、解散。


※ 以下は、読みかじった記憶ですが(時間があるとき確認します)、翌日以降(これまでも度々起きたように)MSIメンバーや(文化省でデモをした)タニア・ブルゲラらの家の前にパトカーが止まり、外出を妨げたり(ブルゲラは、文化大臣の要請で仲間の意見をまとめるための外出なのに妨害されていると画像で抗議しFBに投稿)、(これまでも度々起きたように)数時間にせよ、公安に拘束・連行された。また、デモ参加者やその家族に対し圧力が加えられたという報道もあった。
 
その後当局は「MSIやデモ参加者の一部が米国から資金援助を受けている」と中傷的な見解を一方的に発表した。
この対応は〈約束が破られた〉という印象を与えた。
尚、ルイス・マヌエル・オテロは解放され(強制的に入院させられていたとのこと)、ハンガーストライキは止めたことを表明した。

ラップ歌手デニス・ソリスはまだ釈放されていない。

12月4日 文化省、(MSIおよび米国の支援を受けている者たちとの)対話を拒絶すると表明


★27Nを支持し、対話の継続を望むペレス監督:
 

「ICAICいわく《映画は芸術である》。ならば自由でなければならない」「文化政策はもっと開放的であるべきだ」

「映画人は長年に渡って〈映画法制定〉を求めて話し合ってきたが、ある意味でそれは今日のムーブメントの先駆けだった」

Marysolより
ペレス監督はよく「現実は複雑だ」と言いますが、その現実を写すキューバの映画も複雑です。
13日までオンライン配信中の『エピセントロ』。

第17回ラテンビート映画祭|LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2020 (lbff.jp)

オーストリア出身の監督がキューバを撮ったドキュメンタリー。
私は京都から帰って、ようやく見ましたが、一度では意図が掴めず、翌日もう一度見直しました。
内容は27Nとは関係ありませんが、キューバの現実と歴史に興味のある方はぜひ見てみて下さい。
尚、ラテンビート映画祭のオンライン上映があと1週間なので、27Nの動向に気を配りながらも、しばらく映画鑑賞に集中したいと思います。

香港が〈報道や表現の自由〉において危機的な状況にある今、キューバの27Nは希望になって欲しいと思っているのですが…。