革命後の３つの文化関連事件とその政治的背景

今年は革命の文化政策を生むきっかけになった「『PM』事件」から60年、革命から国内外の多くの知識人が離反した「パディージャ事件」から50年、そして映画的にはICAICが厳しい非難を浴びながらも復権した「『アリシア』事件」から30年という節目にあり、しかも「『PM』事件」が生んだ「知識人への言葉」（文化的指針）が発せられたのが６月だったので、以下を今月中にぜひアップしておきたかった次第です。

こうして振り返ると、①と②の10年間に知識人たちの抵抗力が壊滅的に低下したのが印象的。

香港の今後が気になる一方で、キューバ映画に宿る抵抗の精神（真の革命的精神とは？）について考えたいと思っています。

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① 1961年4月　キューバ革命の社会主義的性格宣言

同年５～６月　『PM』事件　

☆5月末、映画分類研究委員会（La Comisión de Estudios y Clasificación de Películas）は、すでにテレビ放映された短編ドキュメンタリー『PM』を、「現時点においてキューバ国民および革命に有害である」との理由で上映禁止にする。

『PM』の製作者２名が上映禁止措置に対して抗議。

ICAICは、カサ・デ・ラス・アメリカスで上映し、知識人たちの判断を仰ぐことを提案。

6月16日
ORIの文化部長にエスカランテの弟セサルが就任。
次長にはオルドキの妻でPSP幹部のエディト・ガルシア・ブチャチャが就任。
ブチャチャは就任後ただちに、M26の文化誌「月刊レボルシオン」と週刊「レボルシオン月曜版」を批判。

『PM』上映会の結果、『PM』擁護派が多数だったにも関わらず、ICAICは上映禁止を決定（6月1日）。
カルロス・フランキは個人的にフィデルと会見し、禁止措置について異議を唱えようとしたところ、フィデルは国立図書館で討論を開催（6月16、23、30日）。
議長側：ドルティコス大統領、フィデル･カストロ、アルマンド・ハート、カルロス・ラファエル・ロドリゲス、ビセンテ・アントゥーニャ、アルフレド・ゲバラ、エミリオ・アラゴネス
司会：エディス・ガルシア・ブチャカ

閉会時のフィデルの「知識人への言葉」が、革命の文化政策の基本（特に60年代）となる。
映画産業におけるICAIC独占体制の確立（ルネス、消滅）

PM上映禁止事件（９）F.カネルの視点 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

PM事件：オルランド・ヒメネス・レアルの証言 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

PM事件とトマス・グティエレス・アレア監督 | MARYSOL のキューバ映画修行 (ameblo.jp)

② 革命のソ連化と灰色の時代

　1971年3月　第一回全国教育文化会議

　　　　　3～4月　パディージャ事件：https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-12615477451.html

　　　　　知識人、ほぼ無抵抗（PM事件の時のような度重なる闊達な討論はなかった）

③ 1989～91年12月　東欧・ソ連の崩壊

1991年6月　映画『アリシア』事件

　　　 ICAICの抵抗と部分的勝利：https://ameblo.jp/rincon-del-cine-cubano/entry-12683386759.html