息子のいない世界 1. | ブログ.

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事実は小説よりも奇なり.
Truth is stranger than fiction.

息子りんの絵と猫と, 愛する人生と.
Rin’s arts,cats,and loved life.

















息子
わたしの世界から
突然いなくなったのは














2021年6月18日の
お昼頃だった


























当時
離婚したけど
同居していた
元夫とは










面白いくらいに
怖いくらいに
別次元を生きていた











そしてそのとき
2歳で障害を負い
16歳直前に爆発的な絵画の才能
発揮するようになった
息子は22歳で










元夫は
わたしが離婚を告げた
2016年大晦日から
徐々に









元々
溺愛していた
その息子の
衣食住の全てを
管理するようになり










2021年のこの頃には
息子も父親と
どっぷりその次元を
生きるようになっていた











だから
特別支援学級の高等部を
卒業してからは
どこにも就職せず









わたしと二人三脚で
アーティストとして
生き始めていたが












だんだん
絵画教室にも行かなくなり
絵も描かなくなってきた
息子は










わたしとは
日中の二人だけの時間は
それぞれに好きなことをして
一言も話さない日も
たくさんあったが










たまに
爆発的に
言葉を失うくらいの
瞬間があり










それを
泣くほど唸るほど
共有する以外は
それぞれを生きていた











そして
息子がいなくなる前日は
わたしと息子は











爆発的なセンスと才能を持ち
わたしが
世界一だと言う料理を作る
ゲストハウスはんなりを営む
友人宅に一緒に行き














久しぶりに
長く共有する時間を
過ごしていた




















そしてそこは
2015年2月に
息子の爆発的な絵の才能が現れた
松山広視先生が言うように










アーティストにとって
表現者にとって
人間にとって
必要な全てが
自然に在る空間だったので











わたしはずっと
ゲストハウスはんなりに
息子と行きたい
と思っていて











だからそれは
わたしが
「何かが始まった…」
と思う出来事だった




























そして翌日
息子と元夫の寝室に
猫たちのトイレがあるので
そこを掃除しようと
部屋の前に立つと









ドアが少し開いていたので
中の空気が
こちら側に流れてきて









それが
まだ初夏の
少し暑くなってきた
というくらいだったのに










寒いくらいのクーラーの
冷んやりした空気で
ギョッとした











そして中に入ると
息子は布団を被り
見てもいないのにテレビを点け
携帯ゲームとゲームを
同時にしていて









もう、その
やりたい放題の景色に
まさに目を疑い
わたしは頭が真っ白になった











そしてそれは
その前日の喜びや
これからの期待があったことも
大きかったし










息子が
絵画教室に行かなくなり
元夫と生活を
共にするようになってから
元夫のやりたい放題が
始まったことへの怒りや










息子の障害や
息子の無限の能力に
関しては










わたしはほぼ一人で
15年、20年
血を吐くような
気が狂うような
命懸けの努力をしてきたので










そこに元夫には
唾を吐かれ、泥を塗られ
足でぐちゃぐちゃに踏まれ
無駄にされたような
悲しみや怒りを
ずっと我慢してきたことや










誰よりも
わたしの努力を知る息子には
裏切られたような
怒りや悲しみがあったので











わたしは
それが爆発し
息子に
ブチギレた























そして
息子の胸ぐらを掴み
何よ、このやりたい放題は!!!!」
と怒鳴った










でも、息子は
クーラーを触ることが
一切無いことは知っていたので
それは仕事に行っているであろう
元夫がしたことであることは
わかった











だからわたしは
「りんがしてないのはわかるけど
じゃあ、お父さんに
何か言えるやろ!!!!」
と言ったが










でも言いながら
息子や娘たちもだが
元夫には子どもたちは
本音を言えない、言わない言えないことは
わかっているので











キレながらも
「まぁ、言えやんよね…」
と言うと












息子は
「うん…」
と言った











だからわたしは

キレてもしょうがない

と思い











このこととは関係無しに

この少し前から

息子はそろそろ

絵を描くかもしれない










いつでも

絵を描けるようにと

テーブルに絵を描く準備を

していたし












絵を描くことで
有限にどっぷり浸かる息子が
また純粋さを無限を
思い出すかもしれないと思い











久しぶりに
「絵を描いてみたら?」
とわたしは言った











そして息子は
わたしには本音を話すし
嫌なら嫌と言うが













このときは
素直に椅子に座り
静かに描き始めた





















そして
一枚描いたら
久しぶりの感覚を
思い出したのか











「まだ描く!」
「もっと描く!」
と言い
結局4枚の絵を描いた












そして
その絵は
やはり素晴しかった









でもいつも
息子の絵は
前よりどんどん
美しくなっていくのだが











このときは
その、成長みたいなものを
全く感じなかった











そして
松山先生が












絵には、その人の生き方が全て現れる」
と言っていたことを
思い出し











「ああ、これが今の息子か…」
と思った
























そして
絵を描き終わった息子に
「今どんな気持ち?」
と聞き









わたしは
絵に関することを言うのかな
と思っていたら











息子は
と言った









そして
「何が悲しいの?」
と聞くと










「お父さんが悲しい…」
と言い











わたしは
ハッとした























そして
その後息子に
「お母さんはコーヒーを飲むけど
りんは飲む?」
と聞くと









「飲む」
と言うので
コーヒーを淹れながら
息子と話をしていたら










わたしが
元夫への怒りを
口にしたとき









息子が元夫を
擁護したことから













また
わたしの怒りが
爆発した











すると今度は
息子もキレ












息子は外に出て行き
家の前の
道路の向こうに座り









それは
小さい頃から
よくあることだった


























だから
息子も落ち着いたら
帰ってくるだろうと
二階の窓から
様子を見ていて











コーヒーが入ったので
「りん!コーヒーが入ったよ!」
と二階の窓から
息子に声をかけたが











息子は
入って来なかった














でも
こういうことも
よくあることだったので









息子が入ってくるまで
何かきっかけが起こるまで
ゆっくり待とうと
思っていたら











向こうから
赤い車がやってきて
息子の前で止まった











そして
息子に声をかけた
と思ったら










息子はすぐに
助手席に乗り










息子は
そのまま
いなくなった