高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
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(期間: 2025/7/17~2025/8/16)
41. 親に3年会えなかった私がやったこと
「最後に親と会ったのは、もう何年前だろう?」
そんな問いを胸の奥で繰り返しながら、時間だけが過ぎていく。
きょうだいの一人が高齢の親を囲い込み、他の家族に会わせてくれない。電話をしてもつながらない。施設に行っても「ご家族の意向ですので」と断られる。こうした体験をしている人は、決して少なくありません。
私自身も、3年間ものあいだ親に会えなかった経験があります。
この3年は、ただの月日の流れではありません。会えない間に親の老いは進み、病気のリスクも高まります。そして私の心も、「怒り」と「悲しみ」と「無力感」に揺さぶられ続けました。
しかし、この体験を通して「会えないときに、できること」が少しずつ見えてきました。本記事では、私が実際に取り組んだことをお伝えします。今まさに同じ苦しみを抱えている方にとって、一つの道しるべになれば幸いです。
1. 「会えない事実」を直視する勇気
最初にしたことは、現実を否定しないことでした。
「そのうちきょうだいが考え直してくれるかもしれない」
「施設も柔軟に取り計らってくれるはず」
そう自分に言い聞かせても、状況は変わりません。時間だけが過ぎ、会えない日々が積み重なっていきます。
私は専門家としても、現実を見つめることの大切さを痛感しています。「いま会えない」という事実を受け止めることで初めて、次の一歩を考えることができるのです。
2. 手紙を書き続ける
直接会えない以上、「親に自分の思いが届く方法」を模索しました。その一つが手紙です。
封筒に「お母さんへ」と丁寧に書き、近況や思い出を綴りました。施設に送っても、必ず渡してもらえる保証はありません。けれども、
「届いているかもしれない」
「もし渡されなくても、記録として残る」
そう信じて、月に一度は手紙を書きました。
この行動は、親のためであると同時に自分の心を守るためでもありました。「私はできることをしている」という感覚が、無力感に押し潰されるのを防いでくれたのです。
3. 面会交渉を「冷静に」重ねる
3年間の間に、私は何度も施設を訪ね、担当者に会いました。
ただし、その際に肝に銘じたのは「感情をぶつけない」こと。
「なぜ会わせてくれないんだ!」と怒鳴れば、施設はますます防御的になります。
代わりに私は、
- 「親の意思を確認したい」
- 「面会が叶わない場合、その理由を文書でいただけますか」
と、あくまで冷静に言葉を選びました。
こうした交渉は一度でうまくいくことは少なく、何度も同じことを繰り返さねばなりません。しかし、その積み重ねが「会いたいという思い」を形として残すことになります。
4. 弁護士を通じて連絡を試みる
やがて私は、弁護士を通じた連絡を試しました。
直接きょうだいに話しても平行線に終わるため、第三者を介することで交渉の土台を整える必要があったのです。もちろん、弁護士費用は決して安くありません。しかし「会えない苦しみ」を抱え続けるコストの方が大きいと考えました。
弁護士の文書をきょうだいがどう受け取るかは別として、「会いたい意思を法的な記録として残す」こと自体に意味があります。これは後々、成年後見や遺産分割といった場面でも大切な証拠となり得ます。
5. 行政機関への相談
私は地域包括支援センターや市役所の高齢福祉課にも足を運びました。
「親に会えない」という問題は、決して個人だけのものではなく、社会の支援が必要なケースでもあります。相談に行ってすぐ解決するわけではありませんが、「記録が残る」ことに意味があります。
行政の担当者に話すことで、自分の気持ちを整理する効果もありました。「私は孤立しているわけではない」と感じられたのです。
6. 「心の支え」を持つ
3年という時間は、心をじわじわと蝕みます。孤独感、怒り、嫉妬、自己否定…。
その中で私が意識したのは、専門的な心の支えを持つことでした。心理カウンセリングを受けることもあれば、信頼できる友人に定期的に話を聞いてもらうこともありました。
「親に会いたいのに会えない」という体験は、周囲の人にはなかなか理解されません。だからこそ、安心して吐き出せる場を持つことが、何よりの支えになります。
7. それでも「親は家族みんなのもの」
3年の間に、私は何度も自問しました。
「自分だけが苦しんでいるのではないか」
「親はもう自分を忘れてしまったのではないか」
それでも、最後に行き着いたのは「親は家族みんなのもの」という信条でした。
きょうだいの一人が独占することもできない。自分だけの所有物でもない。親は親自身であり、そして子どもたちみんなにとっての存在です。
その思いを胸に持ち続けたことで、私は3年の空白を生き抜くことができました。
まとめ
親に会えない3年間、私が取り組んだことを振り返ると、次のようになります。
- 現実を直視する
- 手紙を書き続ける
- 面会交渉を冷静に重ねる
- 弁護士を通じて連絡を試みる
- 行政機関へ相談する
- 心の支えを持つ
- 「親は家族みんなのもの」という信条を忘れない
これらはすぐに状況を変える魔法の方法ではありません。しかし、会えない時間を「ただの空白」にせず、自分なりの行動と思いを積み重ねることができます。
もしあなたが今、同じように親に会えず苦しんでいるなら、まずは「自分にできること」を一つ選んでみてください。小さな一歩が、やがて大きな道につながるはずです。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
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ブログのご紹介
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2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~
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