高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

41. 親に3年会えなかった私がやったこと

 

「最後に親と会ったのは、もう何年前だろう?」
 

そんな問いを胸の奥で繰り返しながら、時間だけが過ぎていく。

 

きょうだいの一人が高齢の親を囲い込み、他の家族に会わせてくれない。電話をしてもつながらない。施設に行っても「ご家族の意向ですので」と断られる。こうした体験をしている人は、決して少なくありません。

 

私自身も、3年間ものあいだ親に会えなかった経験があります。
 

この3年は、ただの月日の流れではありません。会えない間に親の老いは進み、病気のリスクも高まります。そして私の心も、「怒り」と「悲しみ」と「無力感」に揺さぶられ続けました。

 

しかし、この体験を通して「会えないときに、できること」が少しずつ見えてきました。本記事では、私が実際に取り組んだことをお伝えします。今まさに同じ苦しみを抱えている方にとって、一つの道しるべになれば幸いです。

 

 

 

1. 「会えない事実」を直視する勇気

 

最初にしたことは、現実を否定しないことでした。

 

「そのうちきょうだいが考え直してくれるかもしれない」
「施設も柔軟に取り計らってくれるはず」

 

そう自分に言い聞かせても、状況は変わりません。時間だけが過ぎ、会えない日々が積み重なっていきます。

 

私は専門家としても、現実を見つめることの大切さを痛感しています。「いま会えない」という事実を受け止めることで初めて、次の一歩を考えることができるのです。

 

 

2. 手紙を書き続ける

 

直接会えない以上、「親に自分の思いが届く方法」を模索しました。その一つが手紙です。

 

封筒に「お母さんへ」と丁寧に書き、近況や思い出を綴りました。施設に送っても、必ず渡してもらえる保証はありません。けれども、
 

「届いているかもしれない」
「もし渡されなくても、記録として残る」
 

そう信じて、月に一度は手紙を書きました。

 

この行動は、親のためであると同時に自分の心を守るためでもありました。「私はできることをしている」という感覚が、無力感に押し潰されるのを防いでくれたのです。

 

 

 

3. 面会交渉を「冷静に」重ねる

 

3年間の間に、私は何度も施設を訪ね、担当者に会いました。

 

ただし、その際に肝に銘じたのは「感情をぶつけない」こと。
「なぜ会わせてくれないんだ!」と怒鳴れば、施設はますます防御的になります。

 

代わりに私は、

  • 「親の意思を確認したい」
  • 「面会が叶わない場合、その理由を文書でいただけますか」

と、あくまで冷静に言葉を選びました。
 

こうした交渉は一度でうまくいくことは少なく、何度も同じことを繰り返さねばなりません。しかし、その積み重ねが「会いたいという思い」を形として残すことになります。

 

 

4. 弁護士を通じて連絡を試みる

 

やがて私は、弁護士を通じた連絡を試しました。

 

直接きょうだいに話しても平行線に終わるため、第三者を介することで交渉の土台を整える必要があったのです。もちろん、弁護士費用は決して安くありません。しかし「会えない苦しみ」を抱え続けるコストの方が大きいと考えました。

 

弁護士の文書をきょうだいがどう受け取るかは別として、「会いたい意思を法的な記録として残す」こと自体に意味があります。これは後々、成年後見や遺産分割といった場面でも大切な証拠となり得ます。

 
 

 

5. 行政機関への相談

 

私は地域包括支援センターや市役所の高齢福祉課にも足を運びました。

「親に会えない」という問題は、決して個人だけのものではなく、社会の支援が必要なケースでもあります。相談に行ってすぐ解決するわけではありませんが、「記録が残る」ことに意味があります。

行政の担当者に話すことで、自分の気持ちを整理する効果もありました。「私は孤立しているわけではない」と感じられたのです。

 

 

6. 「心の支え」を持つ

 

3年という時間は、心をじわじわと蝕みます。孤独感、怒り、嫉妬、自己否定…。

 

その中で私が意識したのは、専門的な心の支えを持つことでした。心理カウンセリングを受けることもあれば、信頼できる友人に定期的に話を聞いてもらうこともありました。

 

「親に会いたいのに会えない」という体験は、周囲の人にはなかなか理解されません。だからこそ、安心して吐き出せる場を持つことが、何よりの支えになります。

 

 

 

7. それでも「親は家族みんなのもの」

 

3年の間に、私は何度も自問しました。
 

「自分だけが苦しんでいるのではないか」
「親はもう自分を忘れてしまったのではないか」

 

それでも、最後に行き着いたのは「親は家族みんなのもの」という信条でした。

 

きょうだいの一人が独占することもできない。自分だけの所有物でもない。親は親自身であり、そして子どもたちみんなにとっての存在です。

 

その思いを胸に持ち続けたことで、私は3年の空白を生き抜くことができました。

 
 

まとめ

 

親に会えない3年間、私が取り組んだことを振り返ると、次のようになります。

  1. 現実を直視する
  2. 手紙を書き続ける
  3. 面会交渉を冷静に重ねる
  4. 弁護士を通じて連絡を試みる
  5. 行政機関へ相談する
  6. 心の支えを持つ
  7. 「親は家族みんなのもの」という信条を忘れない

これらはすぐに状況を変える魔法の方法ではありません。しかし、会えない時間を「ただの空白」にせず、自分なりの行動と思いを積み重ねることができます。

 

もしあなたが今、同じように親に会えず苦しんでいるなら、まずは「自分にできること」を一つ選んでみてください。小さな一歩が、やがて大きな道につながるはずです。

 

 

 

 

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