高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

40. 弁護士を通じた連絡手段の活用例

 

「親に会いたいのに、きょうだいが連絡を遮断してしまっている」

「施設に入っている親の様子を知りたいのに、担当者が“ご家族の意向”を理由に教えてくれない」

 

──こうした状況は、近年増えてきています。
 

高齢の親が一人のきょうだいに囲い込まれてしまうと、他のきょうだいが連絡を取ろうとしても、電話番号や住所さえ不明になることがあります。手紙を送っても無視される、施設に問い合わせても「ご本人の同意がないとお伝えできません」と断られる。そうした行き止まりに直面したとき、弁護士を通じた連絡が有効な手段の一つになります。

 

本記事では、弁護士を介して連絡をとる方法と、その具体的な活用例について解説します。

 

 

 

1. 弁護士を通じた連絡が必要になる背景

 

親の囲い込みの現場では、当事者間での直接的な連絡が難しくなるケースが多々あります。

  • きょうだいが電話やメールをブロックする
  • 面会や情報開示を一方的に拒否する
  • 話し合おうとしても感情的な対立になり、話が進まない

こうした状況では、冷静かつ法的な立場から調整を行える第三者の存在が欠かせません。弁護士は依頼者の代理人として、「法的に有効な形での連絡」を行ってくれます。

 

 

2. 弁護士を通じた連絡の具体的な活用場面

 

では、どのようなケースで弁護士を介した連絡が有効なのでしょうか。代表的な例を挙げます。

 

(1) 面会の要望を伝えるとき

親の意思を確認したい、顔を見に行きたい。しかし、きょうだいが拒否して取り次いでくれない場合、弁護士が「依頼者として〇〇さんが面会を求めています」と正式に通知することができます。

 

(2) 財産や介護に関する情報を求めるとき

親の預金や不動産の管理状況、介護方針などについて透明性を求めるときも、弁護士を通じた文書での照会が効果的です。感情的な言い争いではなく、書面として記録が残る点に意味があります。

 

(3) 家庭裁判所の手続きに先立つ交渉

調停や審判に進む前に、話し合いの余地があるかどうかを確かめるために、弁護士が連絡窓口となることもあります。裁判所に持ち込む前に解決できれば、時間や費用の節約につながります。

 
 

 

3. 弁護士を通じて連絡するメリット

 

弁護士を介することには、いくつかの明確な利点があります。

  1. 相手が無視しづらい
    専門家からの正式な書面は、単なる個人の要望よりも重みがあります。無視すると「法的手続きに進む可能性がある」と相手も理解するため、返答が得られやすくなります。
  2. 感情的対立を避けられる
    家族同士だとつい感情的な言葉の応酬になりがちですが、弁護士を介することで「冷静な文章のやり取り」に変わります。
  3. 記録が残る
    文書でのやり取りは後の調停・裁判でも証拠になります。「こちらは誠実に連絡を試みた」という事実を示せます。
 

 

4. 弁護士を通じて連絡するデメリット・注意点

 

一方で、デメリットも理解しておく必要があります。

  • 費用がかかる
    弁護士に依頼すれば相談料・着手金が発生します。短期で済めば数万円、長期化すると数十万円単位になることもあります。
  • 相手が構えてしまう
    「弁護士を立てたのか」と相手が防御的になり、関係がさらに硬直化する場合があります。特に親自身が「揉め事に巻き込まれたくない」と萎縮してしまうケースには注意が必要です。
  • 即効性はない
    弁護士が送った書面にすぐ返答があるとは限りません。場合によっては返答がなく、結局家庭裁判所へ進むことになることもあります。
 
 

 

5. 実際の流れ

 

弁護士を通じた連絡の流れは、次のようになります。

  1. 弁護士に相談
    現在の状況を整理し、「どんな連絡をしたいのか」を明確に伝えます。
  2. 方針決定
    弁護士が「書面で通知するのがよいのか」「まずは電話で確認するのか」を判断し、依頼者と合意します。
  3. 内容証明郵便などで通知
    弁護士名で、相手方に書面が送られます。面会要望や情報開示の依頼など、具体的な要求内容を記載します。
  4. 相手の反応を確認
    返答があれば交渉に進みます。返答がない場合は、家庭裁判所の調停・審判に進むことを検討します。
 

 

6. 注意すべきポイント

 

弁護士を活用するときに心に留めておきたいのは、「親の気持ちを第一に考える」という点です。
 

親が会いたいと思っているのか、静かに過ごしたいと思っているのか。その意思を尊重する姿勢が欠けると、「自分の権利主張のために弁護士を使った」と見なされ、逆効果になりかねません。

 

また、依頼する弁護士は「相続や家族問題に強い」分野の人を選ぶことが大切です。一般的な企業法務が専門の弁護士よりも、家庭裁判所の手続きや親族間トラブルに慣れている人の方が、適切な対応をしてくれます。

 
 

 

まとめ

 

弁護士を通じた連絡は、親の囲い込み問題に直面したときの有効な手段の一つです。

  • 面会要望や情報開示の要求を、公式な形で伝えられる
  • 感情的な対立を避け、記録を残すことができる
  • ただし費用や関係悪化のリスクもある

大切なのは、「自分のため」ではなく「親の幸せのために」この手段を使うという姿勢です。弁護士はあくまでサポート役。目的を見失わず、冷静に進めていきましょう。

 

 

 

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