高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

39.「親の意向確認」のための施設訪問交渉ステップ

 

親が高齢となり、施設に入居している状況で、きょうだいの一人が“囲い込み”をしてしまうと、他の家族は親と自由に会えなくなることがあります。
 

特に「親自身が会いたいと思っているのかどうか」を確認できないまま、第三者によって面会が制限されているケースは、子どもにとっても、そして親にとっても大きなストレスとなります。

 

今回は、「親の意向確認」を目的とした施設訪問交渉のステップを整理してお伝えします。
感情的な衝突を避けながら、施設側の理解と協力を得るために、どのようにアプローチすればよいかを順を追って解説します。

 
 

 

 

1.なぜ「親の意向確認」が重要なのか

 

親の面会問題で最も大切なのは、「親本人の意思」です。
 

親が「会いたい」と思っているのか、「体力的に控えたい」と思っているのかによって、取るべき対応は大きく異なります。

 

しかし現実には、

  • きょうだいの一人が「親は会いたくないと言っている」と主張する
  • 施設職員が「ご家族の意見が割れているので面会対応を控えたい」と判断する
    といった状況が多く見られます。

このとき、親が本当にそう思っているのか? を第三者的に確認することが、公平性と信頼性の鍵となります。

 

 

 

2.訪問交渉の基本姿勢

 

施設訪問をする際には、以下の3つを心がけることが大切です。

  1. 感情を抑え、冷静に臨む
    「なぜ会わせないのか」と責めるような態度では、施設は防御的になってしまいます。
  2. 目的を明確に伝える
    「親の意向を確認したい。そのための短時間の面会をお願いしたい」と具体的に説明することが重要です。
  3. 協力的な関係を築く
    施設職員は「家族の対立に巻き込まれたくない」という思いを持っています。敵ではなく、味方になってもらう姿勢が必要です。
 

 

3.交渉前の準備

 

訪問前に、以下の準備を整えておくと交渉がスムーズになります。

  • 事実関係の整理
    ・これまでの面会状況(最後に会った日、回数、拒否理由)
    ・きょうだいとのやり取りの記録(LINE、メール、手紙など)
    ・施設との連絡履歴
  • 要望を明文化する
    「私は母が本当に会いたくないと思っているのかを確認したい。そのために数分だけでも直接母に意思を聞きたい」という主旨を、紙にまとめて持参すると効果的です。
  • 冷静さを保つための心構え
    当日は緊張や不安から感情的になりがちです。あらかじめセリフを決めておくと安心です。
 

 

4.訪問交渉のステップ

 

ステップ1.受付・職員への挨拶

最初の印象が大切です。
「お忙しいところ恐れ入ります。入居している母についてご相談させていただきたいのですが」と丁寧に切り出しましょう。

 

ステップ2.目的の明確化

ここで感情論ではなく、「親の意向確認が目的である」と端的に伝えます。
例:「母が本当に会いたくないと思っているのかを確認したいのです。その意思を直接聞かせていただけませんか?」

 

ステップ3.短時間・限定的な面会の提案

「長時間ではなく、数分で結構です」「体調に支障がない範囲で」など、負担の少なさをアピールします。

 

ステップ4.代替案を受け入れる姿勢

もし職員から「直接会うのは難しい」と言われた場合、

  • ガラス越し面会
  • オンライン通話
  • 職員同席での短時間面会
    など柔軟な代替案を提示・受け入れる姿勢が交渉成功の鍵です。

 

ステップ5.結果の記録

面会できたか否かにかかわらず、当日のやり取りは必ずメモに残しておきます。後日、話が食い違ったときに証拠となります。

 
 

 

 

5.想定される施設側の反応と対応法

  1. 「ご本人の体調が良くないので難しい」
    →「では体調の良い日に数分だけでも意思確認の場をいただけませんか」と、次の機会を探る。
  2. 「ごきょうだいの了承を得てからにしてください」
    →「私が確認したいのは、母のご本人の意思です。職員さんの立ち会いで結構ですので、その点だけご協力いただけないでしょうか」と丁寧に返す。
  3. 「施設としては家族トラブルに関与できません」
    →「トラブルを持ち込みたいのではなく、母の意向を尊重するために最小限の確認をお願いしているのです」と、冷静に説明する。
 

 

6.よくある失敗パターン

  • 「なぜ会わせないんだ」と感情をぶつけてしまう
  • きょうだいの悪口を施設に言ってしまう
  • 施設の対応を「法律違反だ」と断定してしまう

これらはすべて交渉をこじらせる要因です。施設職員は「安全・平穏」を第一に考えており、争いに巻き込まれることを最も嫌います。

 
 

 

7.長期的な視点

 

一度の訪問で状況が劇的に変わるとは限りません。
 

しかし、冷静で一貫した姿勢を見せ続けることで、施設側の信頼を得られ、少しずつ門戸が開かれるケースがあります。

 

また、最終的に家庭裁判所などの公的手続きを視野に入れる場合でも、**「親の意思確認を求めてきた努力」**が記録として残っていることは非常に重要です。

 

 

まとめ

 

親の囲い込み問題に直面すると、強い怒りや悲しみから感情的になりやすいものです。
 

しかし、施設訪問交渉においては、あくまで 「親本人の意思を尊重する」という軸をぶらさず、冷静かつ丁寧に進めることが最も大切です。

 

  • 目的は「親の意向確認」であると明確にする
  • 短時間・限定的な面会を提案する
  • 施設の立場を理解し、協力的な姿勢を持つ
  • 記録を残し、長期的な視点で取り組む

 

これらのステップを踏むことで、親の声を取り戻し、家族関係の不透明さを少しずつ解消していくことが可能になります。

 

 

 

 

 

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