高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。
私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。
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(期間: 2025/7/17~2025/8/16)
38.面会交渉時の“言ってはいけない言葉”──親の囲い込みに直面したとき
高齢の親と面会したいのに、きょうだいの一人や施設の担当者から拒まれてしまう。
「親に会いたいだけなのに、なぜこんなに難しいのか」と、多くの方が心を痛めています。
面会交渉の場は、ただでさえ緊張が高まりやすいものです。そこで不用意な一言を口にしてしまうと、相手の態度が硬化し、ますます面会が遠のいてしまうことがあります。
本記事では、面会交渉で絶対に避けるべき“言ってはいけない言葉”について、事例と心理学的な観点を交えて解説します。
1.面会交渉が難航する背景
なぜ、親との面会という自然な願いが、こんなにも大きな壁にぶつかるのでしょうか。背景には次のような事情があります。
- きょうだい間の対立(財産、介護の負担感、過去の感情的なしこり)
- 親の判断力低下(認知症や病気で意思があいまいになる)
- 施設やケアマネの「トラブルを避けたい」という防衛姿勢
つまり、面会交渉の場は「単なるお願い」ではなく、利害や感情が複雑に絡み合う場です。
そこでの言葉選びは、将棋の一手に近い重みを持っています。
2.“言ってはいけない言葉”の典型例
ここでは、私が相談を受ける中で特によく見られる「NGワード」を紹介します。
(1)「親は私のものだ」
意外と多いのが、この強い言い回しです。
気持ちは理解できます。「会わせてもらえない苦しさ」から、思わず独占的な表現になってしまうのです。
しかし、この言葉は相手にとって「支配の主張」に聞こえます。
結果的に、「だから会わせられない」と囲い込み側の正当化を助長してしまいます。
(2)「あなたが親を洗脳している」
相手の行動を断罪する言葉は、交渉を即座に決裂させます。
仮に事実として親への影響があったとしても、交渉の場で直接糾弾すれば、相手は防衛本能をむき出しにし、会話が成立しません。
心理学的に言えば、人は「責められる」と自己防衛に走り、冷静な判断ができなくなります。
(3)「弁護士に言うからな」「訴えてやる」
法的手段を持ち出すことは、最後の切り札であって、交渉の入り口で言うべきではありません。
この言葉が出た瞬間、相手は「敵」とみなし、以後の協力関係は築けなくなります。
もちろん、最終的に家庭裁判所などの法的解決に進むことはあります。
しかし、その前に「対話で歩み寄れる余地」を自ら閉ざしてしまうことは避けたいところです。
(4)「親はもう長くないんだから」
切迫感を伝えたくて言ってしまう言葉です。
しかし、これも逆効果です。「死」を交渉材料にすることで、相手には「感情的に揺さぶられたくない」との拒絶感が生まれます。
むしろ、冷静に「親の意思を確認したい」「親の安心を第一に考えている」と伝えるほうが、相手の耳に届きやすくなります。
3.なぜ“言ってはいけない言葉”が出てしまうのか
頭では分かっていても、実際の交渉場面では感情が先立ち、つい強い言葉を投げてしまうものです。
その背景には次のような心理があります。
- 被害感情:「自分だけ排除されている」という強烈な孤独感
- 正義感:「これはおかしい、正さなければ」という使命感
- 焦燥感:「時間がない、早く会わないと」という切迫感
これらはすべて自然な心の反応です。
ただ、相手にぶつけた瞬間、交渉は硬直化しやすいのです。
4.“言っていい言葉”への置き換え
では、どう言えばいいのでしょうか。
具体的に「NGワード」を「OKワード」に変換してみましょう。
- 「親は私のものだ」
→「親と平等に会える関係を望んでいます」 - 「あなたが親を洗脳している」
→「最近、親と話す機会が減って寂しく感じています。状況を共有していただけませんか」 - 「弁護士に言うからな」
→「冷静に進めるために、専門家の意見も参考にしたいと考えています」 - 「親はもう長くないんだから」
→「親の心が安心できるように、面会を大切にしたいと思っています」
言葉を少し置き換えるだけで、相手に伝わる印象は大きく変わります。
5.施設や第三者との交渉でも同じ
実は、施設職員やケアマネとの面会交渉でも同じ注意が必要です。
「施設はグルだ」「職員が協力しているだろう」といった断定的な言葉は、相手の防御を強め、情報が閉ざされてしまいます。
施設側には「他の家族との板挟み」という事情もあるため、冷静に事実を伝え、「協力者」としての立場を尊重することが肝心です。
6.ケーススタディ
あるご相談者は、面会を拒む兄に対し「親を独占するな」と強く言い放ちました。
結果、兄は弁護士を立ててさらに壁を厚くし、面会が半年以上も実現しませんでした。
その後、言葉を「親の安心のために、兄弟みんなで関わりたい」と改めてから、少しずつ面会のチャンスが開けていきました。
このケースは、「言葉の力」が交渉を左右する典型例です。
まとめ
面会交渉の場では、感情をぶつけたくなるのが人間の自然な反応です。
しかし、その一言が面会を遠ざける原因になってしまうことがあります。
言ってはいけない言葉のポイント
- 親を「所有物」のように語る言葉
- 相手を断罪・非難する言葉
- 法的手段をちらつかせる言葉
- 親の死を材料にする言葉
代わりに選ぶべき表現
- 「親の安心を第一に考えている」
- 「平等に関われる関係を望んでいる」
- 「冷静に専門家の意見も参考にしたい」
言葉を工夫することは、相手の心を閉じさせない最初の鍵です。
「親は家族みんなのもの」という原点を忘れず、冷静で誠実な言葉を選んでいくことが、面会への道をひらきます。
自己紹介など
1. 自己紹介
https://www.ameba.jp/profile/general/release-advisor/
2.高齢親の囲い込み問題について体系的な説明(ChatGPT DeepResearchより)
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12919635429.html
3.出版済の電子書籍キンドルリストはこちら
https://ameblo.jp/release-advisor/entry-12920372756.html
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