高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

36.親と電話で話したい!でも番号を知らないときどうする?

 

高齢の親と久しぶりに声を聞きたい。状況を確かめたい。あるいは施設で暮らしている親と定期的に電話で話したい――。
 

しかし、実際には「電話番号を知らない」「相手の子ども(きょうだい)に教えてもらえない」といった壁にぶつかる方が少なくありません。

 

この記事では、公認会計士・税理士として相続や家族間のトラブルに関わりながら、「高齢親の囲い込み」問題を支援してきた立場から、番号が分からないときにどう行動すべきかを解説します。

 

 

 

1. どうして電話番号を知らない事態が起きるのか

 

本来、親子なのですから電話で自由に話せるのは当然のことです。ところが、現実には次のような理由で「番号が分からない」状態が生まれます。

 

  • 親の携帯電話をきょうだいが管理している
    親がスマホを持っていても、パスコードや契約情報をきょうだいが握っているため、番号を教えてもらえない
  • 施設や病院に入所してから連絡先が変更された
    固定電話はなく、施設が親用に携帯を契約していても、外部には公開しない方針を取る場合がある。
  • 「面会や通話は不要」と一部のきょうだいが判断している
    親を囲い込む子が「親は疲れるから」と理由をつけて番号を隠す。
  • 親自身が操作できない
    認知症や身体の不自由さで、親が自分の番号を伝えられない。

つまり、多くは「情報を誰かに握られている」ために起きています。この状況をどう乗り越えるかが課題です。

 

 

2. まずは冷静に「親の意思」を確認する

 

電話番号を知ることは、あくまで手段であり、目的は「親と話すこと」です。
 

そこで重要なのは、親が電話を望んでいるのかどうか。

  • 親が「声を聞きたい」と思っているのなら、正当な希望として尊重されるべきです。
  • 逆に、親自身が「電話は控えたい」と思っている場合もあり得ます。

ただし、実際には親の意思を直接確認できない状況が多いのも事実です。そこで、親の意思を推測しすぎず、確認のチャンネルを広げることが大切です。

 

 

 

3. 電話番号を知るためのアプローチ

 

番号が不明なとき、現実的に取れる行動にはいくつかの段階があります。

 

(1) 施設や病院に問い合わせる

  • 親が入っている施設や病院に「親と電話で話したい」と伝える。
  • 個人情報の関係で番号を直接教えてもらえないことが多いですが、代わりに「電話を取り次いでもらえる」可能性があります。

ポイントは、感情的にならずに事実だけを伝えること
「娘として母と話したい」「父の様子を知りたい」という気持ちを丁寧に説明すると、施設側も配慮してくれることがあります。

 

(2) ケアマネジャーに相談する

 

介護保険を利用している場合、ケアマネジャーは親の生活全体を把握しています。
直接番号を教えてくれることは難しくても、「ご本人の希望として電話ができるようにしたい」という要望を伝えると、調整してくれることがあります。

 

(3) 法的な代理手段を検討する

 

もしも親の判断能力が低下していて、きょうだいが一方的に情報を独占しているなら、家庭裁判所に申し立てをして「成年後見」や「保佐・補助」といった仕組みを利用できる場合があります。
これは時間も手間もかかりますが、親の権利を守るための正式な手段です。

 

(4) 第三者を介して伝えてもらう

 

共通の知人や親戚を通じて「電話で話したい」という希望を伝えるのも一つの方法です。
ただし、巻き込まれることを嫌がる人もいるため、相手の負担にならないよう配慮が必要です。

 

 

 

4. 注意すべき「やってはいけない行動」

 

焦るあまり、次のような行動に出るのは避けてください。

  • 無断で施設や携帯会社に問い合わせて番号を引き出そうとする
    個人情報保護の観点から、ほとんど不可能であり、逆にトラブルの火種になります。
  • 親の家に押しかけて探す
    不法侵入や迷惑行為とみなされかねません。親にとっても負担になります。
  • きょうだいに強い口調で詰め寄る
    感情的な対立を深めるだけで、親との距離はますます遠くなります。

大切なのは「親のために冷静に行動する」という姿勢です。

 

 

5. 番号を知らなくてもできる工夫

 

もし番号が手に入らない場合でも、親とのつながりを作る方法は残されています。

  • 手紙を書く
    番号がなくても住所は分かる場合が多い。自筆の手紙は親に安心感を与えます。
  • 施設に差し入れと一緒にメッセージを託す
    「電話で声を聞きたい」とメモを添えて渡すと、施設職員が動いてくれることがあります。
  • 録音メッセージを届ける
    親にスマホを操作させるのが難しい場合、音声メッセージを施設に渡し、親に再生してもらう方法もあります。

電話にこだわらず、「声を届ける・聞く」手段を柔軟に考えることが大切です。

 

 

 

6. 心のケアも忘れずに

 

「親に会えない」「電話もできない」状況は、子どもにとって深い無力感や孤独感をもたらします。
 

私のもとにも、「自分だけ置き去りにされたようでつらい」「親が自分を忘れてしまうのでは」と不安を訴える方が多くいます。

 

大切なのは、自分の気持ちを否定せず、信頼できる人に話すことです。カウンセリングや専門家との相談を活用するのも有効です。

 

あなたが抱える苦しみは、「わがまま」でも「過剰反応」でもありません。親を思う自然な気持ちです。

 

 

まとめ

 

親と電話で話したいのに番号が分からない――。
そんなときは、

  1. 施設やケアマネに冷静に問い合わせる
  2. 第三者を介して伝えてもらう
  3. 法的な手段も視野に入れる
  4. 無理な行動は避ける
  5. 電話以外の手段でも声を届ける

この5つを基本に行動してください。

 

最終的なゴールは「番号を知ること」ではなく、親と安心してつながり続けることです。冷静さと柔軟さを持ちながら、一歩ずつ道を探していきましょう。

 

 

 

自己紹介など

1. 自己紹介

4.無料オンライン相談(30分)を受付しております(2025/7時点)。詳しくは以下のホームページをご覧ください。

 

ブログのご紹介

ブログ主宰 しらいわ は以下のブログも作成しています。併せてご覧ください。

1. 自己愛性ハラスメント対策室  ~ 感情的な人に振り回されている方向け~

2. 高齢親の囲い込み 解放アドバイザー  ~ 介護が必要になった高齢親が自分以外のきょうだいに囲い込まれて会えなくなった方へ~

3. 家族心理学・家族療法スクール オンライン ~ 家族関係に悩む方や支援職のための学びの場。家族との距離の取り方や関係性の見直しに役立つ知恵を、心理学の視点から発信

 

4. あなたのメンタルを守りたい (休止中)~心が少し軽くなるメンタルケアの情報を発信中~

5. インナーチャイルド解放コーチ しらいわとしまさ (休止中)幼少期の心の傷が未処理のため大人になっても生きづらさを感じる方へ

6. 感情の地図 〜EQナビゲーターが届ける“心の航海術”(休止中)~感情と向き合う「心の航海術」を発信中

7. 女性起業家×アドラー心理学(準備中)