高齢親の囲い込み解消コンサルタント、公認会計士・税理士の白岩俊正です。


私は、高齢になり介護を受けるようになった親を、きょうだいの一人が囲い込み、他のきょうだいに会わせない――いわゆる「高齢親の囲い込み」でお困りの方をサポートしています。

 

 

 

 

はじめに

 

高齢の親が、きょうだいの一人によって自宅や施設で囲い込まれ、他の家族が会えない──。こうした相談が近年増えています。
 

「こんな状況を警察に通報してもいいのだろうか?」
「親に会えないことは、人権侵害ではないのか?」
 

そんな疑問や不安を抱く方は少なくありません。

 

しかし現実には、「警察がすぐに介入してくれる」と考えると、期待と現実のギャップに苦しむことがあります。この記事では、警察相談のメリットと限界、通報によって起こり得るリスク、そして現実的な対応策を整理していきます。

 

 

 

1. 警察はどんなときに動くのか?

 

警察は「刑事事件」や「明らかな犯罪」に関わるときに動きます。
 

例えば、

  • 高齢者への暴力や虐待(身体的虐待)
  • 財産をだまし取る詐欺行為
  • 監禁にあたるような身体拘束

といったケースでは、警察が立ち入り、捜査に進む可能性があります。

 

一方で、「親に会わせてもらえない」「施設で面会を拒まれる」といったトラブルは、すぐに刑事事件として取り扱われにくいのが現実です。これは「家族間の民事的な問題」と位置づけられやすいからです。

 

 

2. 通報したときに期待できること

 

それでも、警察に相談することで得られるメリットもあります。

 

(1) 相談履歴が残る

警察に「生活安全課」や「地域課」で相談すると、その記録が残ります。後に裁判所へ申し立てをするときや、行政機関に支援を求めるときに、「過去に相談実績がある」と示せるのは大きな意味があります。

 

(2) 注意・指導をしてくれる場合がある

ケースによっては、警察が囲い込んでいるきょうだいに「トラブルにならないよう配慮してください」と軽い注意をしてくれることがあります。これは直接的な解決にはならなくても、一定の抑止力となる場合があります。

 

(3) 本人の安全確認

虐待やネグレクトが疑われるときには、警察が「安否確認」の名目で親の状況を確認してくれることもあります。

 

 

 

3. 通報リスクと現実の壁

 

一方で、通報にはリスクや現実的な限界も存在します。

 

(1) 家族関係のさらなる悪化

通報されたきょうだいは「なぜ警察に言ったのか」と反発し、関係が決定的に悪化するケースがあります。親に会う道がさらに閉ざされてしまうこともあるのです。

 

(2) 介入できないと言われる可能性

警察から「それは民事問題なので対応できません」とあっさり返されることも少なくありません。その場合、期待したような助けを得られず、むしろ虚しさが残る可能性があります。

 

(3) 親への心理的影響

高齢の親にとって、突然警察が訪ねてきたり、家族間の争いを耳にしたりすることは大きなストレスになります。結果的に親の体調や心に負担をかけることになりかねません。

 

 

4. 実際に相談する際のポイント

 

では、「警察に相談してみたい」と思ったとき、どんな点に注意すべきでしょうか。

 

(1) 感情的にならず事実を整理する

「きょうだいが親を囲い込んでいる!」と訴えるだけでは、警察は動きにくいものです。

  • いつ、どのように面会を拒まれたのか
  • 施設や自宅での対応はどうだったか
  • 親の安否や健康に懸念がある具体的理由

こうした事実をメモや記録として持参すると、相談はスムーズに進みます。

 

(2) 生活安全課を頼る

交番よりも、警察署の「生活安全課」の窓口が適切です。家庭内のトラブルや高齢者虐待の相談窓口として設けられているため、対応に慣れています。

 

(3) 「安否確認」を依頼する

親の健康状態が不明で心配なときは、「会わせてもらえないこと」よりも「安否確認」を依頼する形で伝えると、動いてもらいやすいです。

 
 

 

5. 警察以外に頼れる機関

 

警察だけに頼るのではなく、他の機関と組み合わせて動くことが大切です。

  • 地域包括支援センター:高齢者の福祉や虐待に関する総合窓口。介護サービスや行政機関につなげてもらえる。
  • 家庭裁判所:面会交流や財産管理の問題については、調停や審判の場で解決を図れる。
  • 弁護士・司法書士:法的な手続きを検討する際の相談先。
  • ケアマネジャー・介護職員:親の日常の様子を把握しており、外部機関へのつなぎ役になり得る。

複数の窓口を活用することで、孤立せずに進められます。

 

 

6. 感情面のケアも忘れずに

 

警察への通報を考える状況にある人は、多くの場合、心が疲れ切っています。
 

「どうして自分だけが会えないのか」
「親を助けたいのに、手段がない」
 

そうした無力感や怒りは、精神的な消耗を招きます。

 

心理的に追い込まれると、冷静な判断や適切な行動が難しくなります。信頼できる相談者(専門家・友人・カウンセラー)に気持ちを話し、感情の整理をしていくことも大切です。

 

 

 

まとめ

 

親の囲い込みに直面したとき、警察への通報は「万能の解決策」ではありません。

  • 警察は主に刑事事件に対応する
  • 相談履歴や注意喚起はメリットになる
  • 一方で、家族関係の悪化や「民事不介入」の壁もある
  • 事実を整理し、安否確認など具体的依頼をすることが大切
  • 警察以外の機関とも並行して動く

そして何より、自分の心を守ること。冷静さを失わずに、段階を踏んで行動することが、親と再びつながる道を開く力になります。

 

 

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