■ 純正リアサスペンション リンクまわりお手入れ#2
XT660Zテネレの純正リアサスペンション クッションユニットのダンパーがヘタり、何とかクッションユニットを取り外した管理人。
万難を排してバイクのサスペンションまわりを取り扱っている大手メンテナンス業者にオーバーホールの依頼を済ませ、整備が完了したクッションユニットが戻ってくるのを首を長くして待っていたところである。
そんな管理人のもとに、早速メンテナンス業者から「ロッドに傷が入っていて~(略)」と連絡が入り、追加でロッドの再めっき処理が必要な状況になってしまった。
これで費用はもちろん、オーバーホール完了までの期間も追加となり、迫り来る「検査が満了する期日」等への対応を含めてタイムスケジュール等の見直しを行わねばならなくなった。
もし管理人が池の畔で純正クッションユニットを外す作業を行っていたなら、池の神様から「お前が落としたクッションユニットは金のクッションユニットか? それともターコイズブルーのクッションユニットか?」などと聞かれて、今とは異なる状況になっていたはずなのだが・・・。
現状ではクッションユニットを抜いたXT660Zテネレでは身動きもとれず、仕方なくサクランボのタネを氷熊に放出させる業務と併せてリアサスペンションまわりの確認・グリスアップ等を行っておくのだった。
本内容は管理人が行った活動の記録だったりする。各名称等は管理人が使用しているもので正式なものではないかも。こんな記録を参考にせず、正しい情報を入手して、正しく活動されたい。万一、参考にしてしまう場合には自己責任で。
■ これまでの経緯とか
リアサスペンションがヘタり、「ばねサス」と化した。
リアサスペンション抜け気味 整備【オーバーホール/交換】ヤマハ XT660Zテネレ「ねこわさび」
とりあえず純正クッションユニットを取り外す方法を考え、
クッションユニットの取外し方法を検討【リアサス更新#1a】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」
マフラーの一部を取り外してからクッションユニットを取り外す手順で作業を開始し、
クッションユニットの取外し【リアサス更新#1b】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」
クッションユニットの取り外しに成功。
クッションユニットの洗浄・計測・梱包【リアサス更新#1c】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」
クッションユニットを梱包して、プロにオーバーホールを依頼する準備を行い、
スイングアーム/リンクまわり確認#1【リアサス更新#1d】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」
スイングアームやリンクまわりのグリスアップ等を開始している。
■ スイングアームを取り外してから
フレームのメインパイプ部分、パイプの開口部を下から見上げる。
汚れてはいるが、これまでの防錆作業が効果を発揮したか、錆は見当たらない。
三角形のリンク(=リレーアーム。所謂「おにぎり」)とスイングアームを繋ぐ左右のリンクプレート。
リンクプレートを取り外す。
薄ナット等の状況。
外したシャフト。
若干の錆と荒れが見られる。
赤錆が成長してシャフトが太くなって抜けなくなるような状況ではないので、まだ良かった方か。
「おにぎり」とフレームとの接続部分。
ナット・ワッシャ等の状況。
ナットを緩めて、
シャフトを外す。
ナットとシャフトを緩めたのだが、
シャフトを抜き取ろうとすると、ドライブチェーン用のアイドラーホイール(下側)と干渉してシャフトを抜き取ることができない。
本車の場合、メインスタンド(センタースタンド)を追加しているため、アイドラーホイール(のシャフト)の取り外しが(スプリングの取り外しという)一手間増えるのだが、
スタンド保持用のスプリングを外し、アイドラーホイール(下側)を取り外した。
ドライブチェーンまわりに堆積した油汚れ。
後で清掃しておく。
アイドラーホイールがなくなったところで、
シャフトの抜き取りが完了した。
外した「おにぎり」(=リレー アーム)。
3つの穴が「フレーム」・「リンクプレート」・「クッションユニット本体下部」と接続される。
油汚れは清掃しておく。
フレーム側。 普段はめったに見ない場所もあるので、後で防錆処理でもしておく。
クッションユニット・ホイール・スイングアーム・リンク・マフラー等を除いたすっきりした車体後部。
これだけ軽量化したら、フレームの後端を持ち上げて車体の移動も可能なはず。(ハンドルを保持する要員が別途必要だろうが。)
エンジンまわりとか、少しだけ清掃しておく。
エンジン後方にある、スイングアームとメインフレームともつながる貫通部について見ると、
一瞬赤錆か?と思って焦るのだが、錆だけではなく、何らかの樹脂的な物質と液体が混じっているような印象。
ドライブスプロケットのカバーを外した。
エンジン後部の貫通穴の内部を見る。
錆びで固着しているような様子はない。
フレームの上側にあるシャフト。
クッションユニットの上部側を留めていたボルト。
外したスイングアーム側を見ると、
スイングアームの底面側を見る。
油汚れの他は、ドライブチェーンスライダーは樹脂の崩壊等を含めて特に問題ないように見える。
(XTZ125とかセロー225とかのチェーンスライダーはすぐに崩壊するイメージがあるのだが。材質に違いがあるのだろうか。)
スイングアームとフレームとの間に収まるスラストカバーの内部。
一方のカバーの内部が茶色になっている。(車体左側=ドライブチェーンがある方)
スイングアームのピボット側。
スラストカバーが茶色になっていない方。(車体右側)
スイングアーム底面側にあるカラーを抜き取る。
このあたり、年式が年式でこれまで特にお手入れしていないことを考慮すると、錆びて固着していることも覚悟していたのだが、実際にはそれほど大きな問題がある訳ではなかった。(一安心〙
ベアリング側。
グリスがあるか確認。
ニードル(細いローラー)の間に自己潤滑性がある樹脂が入っている筈。
(頻繁に分解する箇所でもないので)せっかくなので組み付ける際にはグリスを多めに盛っておくつもり。
カラーには若干の茶色い部分がある。
赤錆でシャフトが凹んでいるかと思ったのだが、実際には赤色の樹脂が固着しているようにも見える。
今回は左右のベアリング間の「隙間」にもグリスを充填しておく予定。
カラーの方は、紙やすりで磨いておく。
凹み等は見当たらず。
磨いたカラー。
ベアリングは新しいグリスを塗りこんで、古いグリス等を押し出すつもり。
本来、ニードルローラーの間には樹脂系の潤滑材が埋められているので、それほど多くのグリスを充填できる訳ではないが、隙間があればとりあえずグリスを押し込んでおく。
満足するまでグリスを入れたところで、カラーを戻しておく。
車体左側のピボット部分は、錆っぽいような、そうでもないような。
左右に分割されている「カラー」を抜き取る。
車体右側ベアリングの様子。
赤い潤滑性がある?樹脂の中にニードルベアリング(ローラー)が見える。
抜き取ったカラーは、
中央側が赤茶色になっていた。
一瞬、赤錆で固着していたかと焦るのだが、
拭き取ると、何やら表面に焦げ付いたような付着物がある。
スイングアーム側のベアリングを見直すと、
金属ローラーが露出しているようには見えない。
かつて(一世風靡した)TT250Rに乗っていた頃、後期型はベアリングまわりに「自己潤滑性がある樹脂が隙間に充填してあり、それが溶融することで長期間の潤滑性能を維持する・・・」とかいう新機能紹介に触れて、頻繁にグリスアップしなくても良いのか・・・と感心した記憶がある。
ここを見ている限りだと、ベアリングのローラーが摩耗していないという点では効果が発揮されていたのだろう。
カラーの方は、
カラーが錆びて削れ、焼き付いている?かと思えるような痕がある。
パーツクリーナーを吹き付けて、軽く擦ってみると樹脂っぽいものが削りとれる。
どうやら赤錆ではなかった模様。
ローラーの痕は視認できる。
感触で凹が確認できる訳ではないが。
これくらいなら再利用に問題はないはず。
ただ、変色していた部分は、
樹脂を削り取ると、表面が荒れている。
ローラーと接触して?削れていたかも。
部品検索をかけてみると、ここのカラーは現時点(2024年4月)で「在庫なし」だった。
とりあえず紙やすりで均しておく。
ベアリング内部は、新しいグリスを充填して馴染ませる。
を繰り返して、出来るだけ新しいグリスに置き換えるようにしておいた。
カラーを戻し、
隙間にグリスを詰めておいた。
そして問題の車体左側のベアリング。
カラーを押し出すと、
見るからに怪しいカラーが出てきた。
動揺して画像がブレそうになるが、ワイルドでタフさが強化されたためか画像がブレることはなかった。
ローラーベアリングの方は、
ぶれてしまった。
一部、樹脂が脱落してローラーが露出した部分がある。
ローラーは削れていない(希望的観測)はず
樹脂が脱落した部分以外も、樹脂の層が無くなってローラーの表面が露出した部分がある。
外したカラー。
赤錆のようにも見えるが、樹脂らしき物体を削り落とすことはできる。
ただ、樹脂の下の金属表面は荒れている。
エンジン側のローラーベアリング。
潤滑性があるとされる樹脂は粉になっている。
さすがに潤滑性がある樹脂でも、グリスアップまでの期間が長すぎたか。
表面についた樹脂とか、パーツクリーナーに浸してから削っておく。
今回は表面を均してから再利用しておく。
ローラーベアリングの方は、
多少樹脂をパーツクリーナー(ゴムやプラスチックを侵さないタイプ)で洗い流してから、グリスを充填しておく。
ローラーが見当たらないので、樹脂ブッシュのように感じてしまう。
グリスを入れて揉みだして、
満足するまでグリグリしておく。
これでダメだったら、ベアリングやシール・カラー等を入れ替えるつもり。
欠品が解消していなかったら、カラーの流用情報とか探すことになるかも。
やっぱりグリスニップルを装備したくなったりする。
できれば頻繁に開けたりしたくない部分。
グリスを詰めて仮復旧しておく。
その他、クッションユニット下部と接続されるベアリング等も確認とグリスアップをしておく。
若干の痕は見られる。
こちらは樹脂が詰まっていないようだが、潤滑は維持されているように見える。
新しいグリスを詰めて、
ベアリングをグリグリ回して馴染ませ、
周囲を清掃してからカラーを戻しておく。
リンクプレートを接続するベアリングのカラー。
こちらは痕が見えるものの、荒れ等は見当たらず。
続いてしまった→ スイングアーム/リンクまわり確認#3【リアサス更新#1f】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」