■ リアサスペンション クッションユニットに問題発生
管理人が主にツーリング用として運用中のヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」
最近、重点的に各部のお手入れを実施しているところなのだが、それに合わせてかどうか、リアサスペンションのダンピングも急速に弱くなってきた(=抜け気味になってきた)ようなので、リアサスペンションのオーバーホール・交換・車両入替等を含めて対応策を考えるのだった。
本内容は管理人が行った活動の記録だったりする。各名称等は管理人が使用しているもので正式なものではないかも。こんな記録を参考にせず、正しい情報を入手して、正しく活動されたい。万一、参考にしてしまう場合には自己責任で。
■ リアサスが抜け気味
去年の末から今年にかけて、XT660Zテネレ「ねこわさび」に乗る機会があったのだが、
急にリアサスペンションの「抜け」を感じるようになってしまった。
「急に」とは言っても。それ以前から「ちょっと抜け気味かな?」という感覚はあったのだが、この年末年始にかけて一気に症状が悪化したように感じる。
状態としては、乗車中に立ち上がって脚で「屈伸運動」的な動きをすると、車体の後部が上下に動揺を続けてしまう。
もっと言うと、屈伸運動を続けると、だんだん上下の動揺が大きくなっていく感覚。
車体をサイドスタンドで支えて、腕でシートを押さえつけても、押さえつけるのを開放したらすぐに跳ね返ってくる。
しかも跳ね上がったところから、そのまま沈み込んで、おまけに更に「跳ね返ってくる」ような動きも見せる。(=「お釣り」が来る。)
完全に「ばねサス」と呼ばれる状態になってしまった。
■ とりあえず試行錯誤
まずは素人考えとして、リアサスペンションクッションユニット内部のオイルに加圧が足りず、サスペンションが動く際にキャビテーションが発生して、ダンピングが不足するのではないかと考え、クッションユニットの内部の加圧用ガスを確認することした。(素人がすぐにできそうな対策はこれくらいしか思いつかなかった。)
管理人はサスペンション(クッションユニット)用のガス圧計測・加圧用器具など持っていなかったので、
とりあえず加圧用の器具を購入。
ネット通販で数千円程度。(約2,000円)
(どちらかというと自転車のサスペンション整備用の器具なのだろうが)通常の乗用車やバイクのタイヤに空気を入れる程度の圧力ではなく、(より高圧の)クッションユニットのガス圧(300psi)程度の圧力をかけることができる。
さらに、そのバルブ接続口は二重構造になっていて、
通常の接続口の内部に別の「バルブのムシ押し」があって、
接続時は先に外側の接続口側を回してバルブに接続した後、赤色のムシ押しを回してバルブを開放することになる。
離脱時は先に赤色のムシ押しを回して押していたムシを開放、空気の流通を止めてから接続口側を緩めることで空気の漏れがなくバルブの接続・離脱ができる。
さっそく接続してみる。
その際の内部(窒素ガス)の圧力は、通常聞くよりも低いような・・・。
仕方がないので、気休めで酸素と水分を減圧した空気を用意して、
小さなピストンをせっせと動かして加圧。
目標の300psiまでは到達しなかったが、目標の90%程度までの加圧は行った。
■ 試走の結果とか
その後、
試走に出かけたりしたのだが、やっぱり「ばねサス」状態には(ほとんど)変化がないように感じる。
いろいろ努力したこともあり、強いて言うと「ダンピング力も若干戻ってきたかな?」という(希望的な)感覚も無きにしも非ずなのだが、(冷静に考えると)「全く効果がない」と判断するしかない状況。
長時間乗車していると、(ばねサスで「ぼよんぼよん」と車体が上下することから)「乗り物酔い」しそうな気がしてくる。
多少のバイクの不都合など気にしないくらいワイルドでタフな管理人だが、そんな管理人を酔わせてどうするつもり?的な「ばねサスペンション」の状況は尋常ではない。
これは長距離を快適に走行するためのツーリング用の機種として、大変由々しき事態であり、早急な対策が必要だと判断せざるを得ない。
■ 対策手段とか検討してみる
① 社外リアサスペンション クッションユニット交換
とりあえず素人の管理人が考えられたのは、リアサスペンションのクッションユニット自体を(より高級な他社製品に)交換する方法くらい。
広大なネットで情報を収集してみると、管理人と同様な問題を抱えていた先達の情報を得ることが出来た。
管理人が入手した先達の情報は、
『新たに「オーリンズ」を入手して取付』というもの。
予想してはいたが、いきなり理想的というか夢のような手法が出てきた。
まさに「最終兵器」が最初に出てきてしまったような印象。
(参考)テネレのリアサスでお戯れ①
管理人もこの黄色と青色と金色の北欧の風にウムラウト付きのクッションユニットには惹かれるものがあり、一度は試してみたいと思っているのだが、何かと現実世界には障壁が多くて実現できていなかったりする。
なお、意外なことにXT660Zテネレ用としてオーリンズ以外にも多数のブランドでクッションユニットが設定されており、「純正しか選択肢がない」とお嘆きの機種と較べたら、非常に恵まれているといえるXT660Zテネレ。
これは各ブランドに感謝して、いろいろ試してみたくなるのも当然かもしれない。
② 純正リアサスペンションクッションユニットのオーバーホール
続いて調べていくと、最近はリアサスペンションのクッションユニットもオーバーホールが可能だという。
以前はリアサスペンションクッションユニットは「高価な消耗品」として認識されていて、万一「リアサスが抜けた」場合には、(超高級な社外品を入手する場合を除き)泣きながら高価な純正部品を発注するか、中古の純正部品を入手する。もしくは流用可能な他車用の部品を調べて入手するくらいしか方法が無かったような気がする。
(管理人もCBR1100XXなど、長期間運用するつもりの機種のリアサスペンションは、予備用として純正の部品を確保しておいたりしたのだが、純正クッションユニットのオーバーホールが可能になったいま、予備部品として確保しておく必要性は低くなったように思う。
もっとも、CBR1100XXのように世間でも多数見かけた機種とは異なり、XT660Zテネレなど「めったに見かけない」機種の場合、リアサスペンションクッションユニットの予備部品が出回る機会などめったにないので、この手法は使えそうもないが。)
そんなリアサスペンションのクッションユニットのオーバーホール。
(クッションユニットを交換する方法と較べたら)比較的低コストで実現可能だということで、管理人の選択肢としても非常に期待ができる。
ただ、XT660Zテネレの場合、純正ではSACHS(通常「ザックス」と呼んでいる)というドイツの大手サスペンションメーカー製のクッションユニットを装備している。(=国内ではあまり一般的ではない。&補修部品が供給されるのか不明。ということで)
先達から入手した情報によると、かつてはサスペンションオーバーホールの超大手企業でもオーバーホールの依頼を御辞退されることもあったらしい。
・・・が、最近は技術の進歩や供給体制に変化があったのか、管理人が問い合わせを行ったところ「SACHS製のクッションユニットでもオーバーホール対応可能である」との回答があり、一安心しているところである。
個人的には、これまで数万キロメートルの距離を管理人と一緒に走ってきた純正サスペンションを分解し、整備して復活させるという行為自体にも意義があると思うし、もっと言ってしまうと(素人にとって完全にブラックボックスである)クッションユニットの中身をこの目で見てみたいという思いもある。
かといって「素人がクッションユニットをオーバーホールしてみた」的な「繊細な部品合わせ面を鏨(タガネ)で叩いて外します」的な作業を行うことは到底出来ず、(技術はもちろん、設備/道具的な面からも)プロに任せた方が良いという判断にならざるを得ないので、自分でクッションユニットの中身を確認することは難しいのが現実。
ちなみに「工場見学大好き管理人」としては、クッションユニットを整備する現場を見学できれば最高なのだが、おそらく秘密の機材/器材やノウハウの巣窟であろう現場の確認は難しいのだろうな。
現実的なところでは、交換された消耗部品を引き取って、そのクッションユニットの歴史を感じるくらいだろうか。
③ 純正部品と交換
純正部品を取り寄せて交換するという手段(一般的には一番正規の方法)もあるのだが、海外生産で国内ヤマハの正規販売機種ではないXT660Zテネレの場合、純正備品が供給されるのか? 供給されるとしても価格は幾らになるのか?
調べれば簡単なのだが、おそらく管理人が選択できる範囲内に収まる可能性は低いだろうな。
④ 車両入替
XT660Zテネレを手放そうという訳ではないのだが、将来的にリアサスペンションクッションユニットが「自然回復する」又は「新たな治療手段が開発される」という未来を信じて、ひとまずXT660Zテネレを保管して、一時的に他機種を運用するという方法も考えられる。(=いつもの新型欲しい欲しい病の言い訳)
(仮に新車を導入することを検討する場合)今なら、単気筒エンジンという選択肢は非常に狭くなってしまったのだが、全く無い訳でもない。
更に並列二気筒エンジンながら直系の後継車は存在しているし、目新しいバランサー配置の興味深い新型機種も既に登場している。
ただ、いつもの諸般の厳しい事情の問題は①以上に大変だし、保管場所や保有枠(保有制限)の話など、解決しなければならない面も多々あり、実現するためには清水の舞台から降下する以上の覚悟が必要ではある。
■ 比較とか
という訳で、上記の手段の中から管理人が取りうる方法について考えると、
・ 作業の難易度
①・②・③の場合、XT660Zテネレの標準リアサスペンションクッションユニットを取り外すのは(自分で作業を行う場合)同じ内容となる。
ネットで確認した情報によると、「素直にボルトを外してクッションユニットを抜き取る」的な記載になっているのだが、現物を確認した限り、工具を工夫すれば出来なくもなさそうだが、現実的にはクッションユニット上部を留めるボルトの頭側にある「排気管の中間パイプ部分」くらいは外した方が良いだろうな。
・ オーバーホール期間中の車体の保持
④と交換部品を取り寄せる①と③には関係ないのだが、クッションユニットのオーバーホールを行う②の場合、クッションユニットを外した状態で車体を保持する手段と空間が必要になる。
(クッションユニットをオーバーホールする工場まで車体を運び、部品の取り外しとオーバーホール中の車体を預かってもらう方法なら問題にならないだろうが、現場までかなり遠距離となりそうな管理人の場合、この方法は厳しい。)
・ その他
一度は「社外品の高級なクッションユニットを装備したい」とかいう欲求とか、「圧側の減衰力も調整したい」とか、「車高調性機能を試してみたい」とかいう希望がある場合には①の一択。
それ以外、コストの面とか、実質的に純正クッションでも正規の性能がでるなら問題がないことを考えると、現実的なところでは②になるのだろうか。
続いてしまう。(予定)
(続いてしまった→)クッションユニットの取外し方法を検討【リアサス更新#1a】ヤマハXT660Zテネレ「ねこわさび」