民の声新聞 -25ページ目

東京で「怒りの光」をともす大熊町のゲンジボタル

福島第一原発のおひざ元・大熊町は、ホタルの里だった。毎夏、繁殖のために光り輝き、メスの合図ですっと降りる様子は「火が垂れる」と呼ばれた。その大熊町長らをして「熊川の匂いがする」と涙を流させたホタルのせせらぎが、東京・板橋区にある。「板橋区ホタル生態環境館」。1989年に300個の卵を移してから23代目のゲンジボタルが乱舞する夏。将軍・綱吉もホタル狩りに訪れたとも言われている高島平で、大熊町の「ご先祖様の魂」は綿々と受け継がれている

【「熊川の匂いがする」と感涙】

「縄文人はホタルさんの群れを住み家の指標にしたといいます。ホタルさんが乱舞する土地はきれいな水と肥沃な大地があるから。環境指標昆虫なのです」

ボランティアスタッフの坂本圭磯さん(28)はうれしそうに話す。

都営三田線・新高島平駅の近く。区立高島第三小学校に隣接した環境館では数億ものホタルが命をつないでいる。

区議会が提唱したホタル再生事業を機に、館長の阿部宣男さん(57)が大熊町の熊川から300個の卵を持ち帰ったのが始まり。植物やカワニナ、タガメなどの昆虫のほとんどが毎年のように熊川流域で採取されたもので、渡辺利綱町長らが視察に訪れた際には「熊川の匂いがする」と涙を流したという。

コケに産み付けられた卵は約1カ月で幼虫になり、水中でカワニナを食べて暮らす。水中で6回の脱皮を繰り返すと土にもぐってサナギに。成虫として地上で生活するのは一週間ほどだという。

「発光しながら乱舞するのは、最後の3日間なんですよ。まさに、子孫を残すために最後の力を振り絞った乱舞なのです」と坂本さん。こうして受け継がれた大熊町のホタルのDNAは、他地域のホタルと一切交配されることなく、「純大熊ブランド」を守っている。水槽の中では、来夏の乱舞に向けて24代目の幼虫がカワニナに群がっていた。

ゲンジボタルの夜間公開は終わってしまったが、14日からはヘイケボタルの夜間公開が始まる。
民の声新聞-ホタル①
民の声新聞-ホタル②
大熊町の熊川を再現したせせらぎ(上)。他のホタル

とは一切交配していない「純大熊ブランド」のゲンジ

ボタルは23代目になった=東京都板橋区高島平

【ホタル嫌いだった少年時代とアトムの基地】

板橋区に生まれ育った阿部館長は、少年期の大半を大好きな母親の実家のある大熊町で過ごした。

「実家は酒屋を営んでいて、子どもに毎日走り回られていては仕事にならなかったのでしょう。夏休みは40日間すべて向こうで過ごしたといってもいいくらい。もはやふるさとです」

夜、熊川で見たホタルの光が、少年の目には不気味に映ったという。

そこに、祖母の言葉が追い打ちをかけた。

「ホタルにはな、ご先祖様の魂が乗り移っているんだよ」

兄がいたずらで蚊帳にホタルを投げ入れた。ホタルと幽霊が結びついてしまっている阿部少年は、怖がって逃げ回ったという。「今では、先祖を悼む気持ちが理解できますが、当時は大嫌いでしたね」と苦笑する。

少年が10歳になろうとする頃、福島第一原発の建設が始まった。

当時の浜通りは、阿部さんに言わせると「極貧」。これで雇用が生まれる、町がにぎわうとお祭り騒ぎになっていたという。阿部少年もうれしかった。原発は憧れの的だった。「だって、アトムの基地ですから」。最新著書「ホタルよ、福島にふたたび」(アスペクト社刊)でも「未知なるワクワクするものだった」と述懐している。

板橋区職員になって最初の赴任地は「こども動物園」。園内に淡水魚水族館が新設されると、その担当になった。そこでの里山水槽づくりが、後の温室植物園でのホタル飼育に生かされることになる。2007年には「ホタルの累代飼育システム及び方法」として特許も取得しているほどだ。

原発事故後、ホタルにも異常が現れた。

東京にも降り注いだ放射性物質によって細胞が寸断され、発光がまばらになるホタルが出た。従来から一定の割合で奇形ホタルはあったが、事故後は4倍に増えたという。「愛のささやき」とも呼ばれるホタルの発光は、繁殖にとって大切な役割を担っている。メスはオスの光が強いのを確認して交尾を受け入れる。オスはメスの光を認識してすっとメスのもとに降りていく。発光が弱くなることは絶滅をも意味するのだ。

「0.5μSV前後の放射線量を1年間浴びせたら10%近くの成虫ホタルで奇形になったとのデータがある。10%は決して低い数値ではないんです。10匹のうち1匹がですよ。発光さ硫黄や反射細胞、羽や個体各部に何らかの影響が出る。これが人間だったら、と思うとぞっとします」

急がなければ、高線量の大熊町ではホタルが絶えてしまう。阿部さんは可能な限り大熊町入りして、ふるさと再生に取り組んでいる。
慣れ親しんだ大熊町の家は、津波で跡形も無く流されてしまった。

土台だけになってしまった家の前で、防護服姿で写真に納まる阿部さんの表情が哀しい。「大熊町のゲンジボタルは怒りの光を放っているんですよ」。
民の声新聞-阿部館長
民の声新聞-阿部館長②
「子どもの頃はホタルが嫌いだった」と振り返る

阿部館長(上)。ナノ銀による除染効果を実証する

ため、何度も大熊町に入っている。慣れ親しんだ

母親の実家は津波にさらわれてしまっていた(下)


【ナノ銀を空中散布してふるさと再生を】

原発事故後、何度も大熊町を訪れている阿部さん。長年研究しながらも「原発の安全神話を否定することしつながる」と封印させられてきたナノ銀による除染効果を実証するためだ。

「現在の除染作業は移染にすぎない。高濃度に濃縮してしまっている」と批判する阿部さん。ナノ銀は単体では効果を発揮しないため、牛骨炭や御影石などに付着させて使う。郡山市の保育園で行った実験では、汚染水をナノ銀で3回ろ過させたところ、ろ過前は計3万2100ベクレルだった放射性セシウムが82ベクレルにまで低減した。土壌には散布する。大熊町に、ナノ純銀をヘリコプターで空中散布することも視野に入れているという。消臭剤や抗菌剤で広く使用されているナノ銀は、1985年に町が工場を誘致した純正化学株式会社が製造している。ナノ純銀は、人間を初めすべての動植物に安心安全だという。大熊町による大熊町のための除染計画というわけだ。

「1㎠の御影石などに付着したナノ純銀は10億個にもなります。コラーゲン溶液に20ppmを加えた液体では、1ccに30兆個ナノ純銀が存在します。だから、福島全域に散布すると仮定しても4.5㌧もあれば十分なのです。環境省は今頃になって森林の除染方法の検討を始めたようだが、ナノ純銀を散布すれば良いのです」

しかし、阿部さんには忘れられない言葉がある。

JAEA(日本原子力研究開発機構)の職員が口にした東大を頂点とした原子力ムラの除染利権。

「困るんだよ。そんなに効果があるならゼネコンに売り込んでくれよ。平成24年度だけで既に1兆1千億円の予算が出来上がっているんだ。放射能は消えない、薄まらない、無くならないんだ」

県民のふるさと再生や子どもの命など二の次三の次。除染はゼネコンを儲けさせるための手段か。

「ナノ銀が絶対的に正しいとは思わないが、一つの方法として取り組む価値は十分にあると思う。でも、大熊町以外で実現することは無いでしょうね。利権構造が確立されてしまっていますから。彼らは除染が順調に進んでは困るのでしょうね。ふざけるなと言いたい」

ナノ銀に早くから注目している一人に、新党を立ち上げたばかりの小沢一郎がいるという。秋にも予定されている勉強会に阿部さんが招かれており、ナノ銀による除染効果を話す。

「放射能は甘く考えてはいけないが、大熊町に人が戻れるようにしたいんです。可能だと思う」と阿部さん。

ホタルが人が暮らせるような水と大地。

ふるさと再生に奔走する人が、ここにもいる。

(了)

伊達市から母子避難したシングルマザーの1年

科学的な根拠などなかった。ただ漠然とした不安に従って東京を目指した─。七夕の夜、「福島母子避難の会 in 関東」が開いたトークイベントで、福島県伊達市から東京に母子避難したシングルマザーが本音を語った。厳しい寒さの下、路線バス、高速バスと新幹線を乗り継いでの孤独な避難。母の手をぎゅっと握りしめてついてきたきた娘は、ほんの少しだけたくましくなって母に言う。「弟か妹が欲しいな」。わが子のために頑張って走り続けた1年の孤独な闘いを、涙と笑いで振り返った



【雪の中、園庭で身を寄せ合った園児たち】

 新幹線から降り立った東京駅は、暖房が効き過ぎるほど効いていた。ダウンジャケットの下の肌が汗ばむ。わが子にソフトクリームを買ってあげた。停電で冷凍食品をしばらく口にしていなかった。駅構内のキオスクには物があふれていた。「物資がある」。ホッとした。3月21日。母子2人の「母子避難」の始まりだった。
 菅野久美子さん(33)は、両親ともに伊達市に生まれ育った生粋の伊達っ子。

シングルマザーとして、娘を保育園に預け、印刷会社で働く日々。未曽有の巨大地震も、取り引き先へ届け物をした帰りの車中だった。

 「軽自動車が、まるでトランポリンの上にいるかのようにはねました。ブレーキを踏んだだけでは車体を制御できず、エンジンを切ってようやく車を止めた。信号が消えて、あぁ停電したんだなと。やがて石塀が倒れるのが見えました。目の前に広がる世界が徐々に変わっていったのです」

 他の車が動き出したのを見て我に返り、エンジンを再びかけた。アクセルを踏む。断続的に起きる余震。「家の中はめちゃくちゃだよ」。実家に立ち寄ると、両親は屋外に出ていた。怪我の無いことを確認して保育園に向かった。

 娘の通う保育園では、園庭に敷かれたブルーシートで園児が保育士たちと肩を寄せ合って迎えの保護者を待っていた。園舎はあまりにも危険な状態だった。余震は止まらない。降り出した雪がさらに心細さを増大させるのか、保育士にすがるように涙を流す子どももいた。他の保護者よりもかなり早い段階で娘と再会できた。この時、16時すぎ。まだ、福島原発のことなどまったく頭をよぎっていなかった。「原発の『げ』の字も無かった」。放射性物質拡散へのカウントダウンが着実に進んでいたことなど、知る由もなかった。
民の声新聞-母子避難
伊達市から母子避難したこの1年の想いを話した

菅野さん(左)=品川区戸越


【漠然とした不安に従い東京に避難】

 運よく停電を免れた実家は、〝プチ避難所〟と化した。ラジオを聴く習慣などなく、情報源をテレビに頼っている近所の人々が徐々に集うようになった。そこに第一報が入った。福島原発が水素爆発を起こした。「えっ?」。初めて、大地震と福島原発が頭の中でつながった瞬間だった。

 それでもまだ、逃げるという発想はなかった。電話が鳴る。東京の友人からだった。

 「避難するならウチはいつでも良いよ、おいで」

 「避難?」

 何のことやらさっぱり分からない。実家は福島原発から60kmも離れている。「その電話で、初めてリアルに避難を考えました。あっ、避難しなきゃいけない状況なんだ、と」。娘、被曝…。難しいことは分からないが、漠然とした不安がふつふつと湧き上がる。「どう思う?」。両親に尋ねる。父親は反対しなかった。「このままここにいては、孫が将来、被曝で差別を受ける恐れもある」。決まれば動きは早かった。那須塩原まで出られれば、新幹線で東京に行かれることは分かっていた。そうだ、福島競馬場前から高速バスが出ている。じゃあ、競馬場まで路線バスで行けば郡山までは確実に行かれるな、あとはタクシーでもいいや…。

 「東電や政府の記者会見は、どうも信用できない。自分の中の漠然とした不安が一番正しいと思ったんです。ならば、それに従って行動しようと思いました」

 激しく損傷した高速道路を通った時には、シートベルトをしていても身体が浮いた。バスは通勤ラッシュのような混雑ぶり。郡山駅前で高速バスを降りると、時計の針が午後2時46分で止まっていた。孤独感が襲いかかる。振り返りそうになるのを必死にこらえていた。実家のある集落には、既に原発事故や被曝の話がタブーになり始めていた。その雰囲気の中では、とても東京に避難するなどと近所の人々に言えなかった。幼い娘の手を握る。この子が被曝する恐れのない街へ。大震災から10日後のことだった。
民の声新聞-短冊
会場に飾られた短冊。「家族が一緒に暮らせます

ように」という願いが哀しい


【『よく頑張ったね』の言葉にあふれた涙】

 逃げてみて初めて、母子避難の困難さを次々と思い知らされた。

 一時、身を寄せた川崎市内の役所では、住民票を移さないと保育園に入れないと告げられた。そのため、伊達市に一度戻り、転出手続きをした。

 「ここに『避難転出』と書いてください」

 淡々と話す職員の言葉が忘れられない。

 ハローワークに通う。見知らぬ土地での電車やバスでの移動は、想像以上に疲れた。伊達ではずっと、マイカーだった。「ママ抱っこ」「もう歩けない」。疲れているのは、幼い娘も一緒だった。心が悲鳴を上げていた時、出会ったのはシングルマザーを支援している団体のスタッフだった。

 「一人で良く頑張ったね。すごいね。よくここまで来たね」

 涙が止まらなかった。

 自然豊かな故郷を離れた都会で、肩ひじを張って歩いてきた。

 本当にこれで良かったのだろうか。

 娘から友達を奪ったのではないか。

 原発事故さえなければ、あのまま同世代と友達と娘は思い切り遊べたのに…。

 「6月に娘が保育園に入園するまでは、本当に精神的にきつかったです。娘も弱音を吐かなかった。彼女なりに頑張っていたのでしょうね。でも、号泣する私を見て、ようやく本音を口にするようになりました。帰りたいでしょうし、じいちゃん、ばあちゃんにも会いたいでしょうからね」

 努力の甲斐あって、都内の役所が行っている「被災者緊急雇用」で働けるようになった。

 「今は、まだ避難という宙ぶらりんの状態。移住に向けてステップアップをしたい。やっぱり腰を据えて暮らしたいですよね。私は、シングルマザーだから動きやすかったのかもしれません。だからこそ、『ほら、できるんだよ』と行動で見せてあげたいんです」

 6歳になった娘も、少しずつ都会の暮らしに慣れてきた様子。

 最近、こんな言葉で菅野さんを驚かせたという。

 「ママ、弟か妹が欲しいな」


(了)


「屋外プール使用に問題なし」「屋外見学強要せず」~福島市教委からの回答書

福島原発事故から1年余で再開された屋外プールを使った水泳授業について、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(佐藤幸子代表世話人)が福島市の佐藤俊市郎教育長宛てに提出していた要望書に対し、市教委からの回答書が5日付で届いた。水泳授業は既に走り始めており、市教委は「見学した児童は成績評価で不利益を被らない」「屋外での見学を強要しない」ことは明言したものの、屋外プールの使用そのものについては「除染による放射線量の低減を確認している」として問題ないとの考え。保護者が抱く被曝の不安との認識のズレが浮き彫りになった。


【年1mSV超えないことを確認しての実施】

要望①:福島市が再開の基準としている空間線量1μ㏜/h以下は、労働基準法では18歳未満が労働を制限されている0.6μ㏜/hより高い基準であることから、見直しをすること

回答:学校生活における児童生徒が受ける線量について、文部科学省では1年間の学校施設での積算線量を1mSV以内に抑えることとしています。福島市では無用な線量を浴びさせないことはもちろんのこと、文部科学省の積算線量を下回るよう教育課程を工夫し、児童生徒の安全確保に努めているところです。学校プールの使用につきましては、これまでにすべての施設の除染を行い、プールサイドの空間線量は文部科学省の基準を大幅に下回っており、野外プールを使用しても年間に受ける線量「1mSV未満」に大きな影響はないことを確認し実施することとしたものです


【見学者は屋内での代替学習も】

要望②:被ばく軽減のため、見学を希望する児童・生徒に対してはプールサイドでの見学、校庭での運動
をさせないよう配慮すること

回答:水泳指導を希望しない児童生徒については、その意向を十分尊重した対応をとるよう、各学校に通知しているところです。児童生徒がプールサイドでの見学を希望した場合は、水泳等の習得につながることから見学させますが、希望しない場合には、水泳における安全の心得を学習させるとともに、屋内で水泳に関する学習または水泳に代わる運動を学習することになります。水泳に替わる運動を実施する際には、夏場における児童生徒の健康・安全を考慮して運動や活動場所を選択するよう、各学校に対して指導しているところです


【放射線教育を全学年で指導】

要望③:見学を希望する児童・生徒が児童・生徒から、いじめ等にあわないように、放射線に対する個人個人の受けるリスクの違い、考え方の違いを認めるよう児童・生徒に指導すること

回答:低放射線量のもとで長期間向き合っていかなければならない状況を踏まえ、放射線に対する正しい知識と理解のもと、適切に判断し行動する力を育むことを目指した放射線教育を小・中学校の全学年で指導します。また、教員に対し児童生徒の心のケアに関する研修会を計画的に実施し、児童生徒に寄り添い自己肯定感等を高める指導を推進します。これらを通し、一人ひとりの児童生徒に互いの人格を尊重して集団生活を送る態度を身につけさせます


【不利益にならぬよう評価・評定】

要望④:見学を希望する児童・生徒がそのことで成績に不利益にならないように配慮すること

回答:評価・評定では、水中活動を行わないことで著しく不利益になることがないよう「運動の技能」の観点で総合的に行います


【教職員の共通認識を再度徹底】

要望⑤:上記の内容を教職員の中でも共通認識とする為、十分理解できる説明を教職員に対して行うこと

回答:「学校プールでの水泳指導を希望しない児童生徒の対応」については、平成24年6月19日付けで各学校の校長に通知し、その徹底を図っているところです。また、希望しない児童生徒への対応例を具体的に示し、教職員の共通認識が図れるよう、再度文書で依頼したところです。今後ともご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます
民の声新聞-プール
福島市内の小学校の屋外プール。市教委は

「除染で放射線量は下がっており使用に問題

ない」との考え

(了)

【静岡県民投票】あと1週間~浜岡原発再稼働の是非を決めるのは政治家か県民か

静岡県で、浜岡原発再稼働の是非を問う県民投票を実現させようと署名活動が続いている。電力消費地である大阪や東京では住民投票条例案が議会で否決されたが、静岡は原発立地県。県民が投票を望むのか、県議会がどう判断するのか。3日現在の署名数は約5万筆で、法定署名数にはまだ1万2000筆足りないのが現状。11日の最終日に向けて残された時間はあと一週間。スタッフはスーパーマーケットをまわって署名を呼び掛けるなど、ラストスパートに入っている。


【県民投票で原発是非の本音を示そう】

署名活動を展開しているのは、前磐田市長・鈴木望さんらでつくる「原発県民投票・静岡」(本部事務所・静岡市葵区昭和町)。5月13日に活動を開始した。今月11日までに全有権者(約308万人)の1/50の署名(約62000筆)を集めることができれば、静岡県知事に対し住民投票条例の制定を直接請求。条例案が可決されれば、県民投票が実現する。

これまでに電力消費地である大阪市、東京都で同様の直接請求があったが、いずれも議会で条例案は否決されている。東京都議会では、民主党などが提出した修正案が14人の総務常任委員会で7-7の可否同数となったが、都議会公明党に属する委員長が反対を表明し否決された。今回は原発立地県だけに、[みんなで決めよう「原発」国民投票]事務局長の今井一さんも新潟県でで始まった署名活動とともに注目している。

共同代表を務める鈴木望さんは「電力消費地でなく原発立地県である静岡で県民投票条例が成立しなければ、他のどこでも成立しないだろう。秘密が保持される投票によって、県民一人一人の本音を出させたい。民衆の意思が、民主主義では一番強いのです」と話す。原発立地地域でオープンな形で市政懇談会などが開かれてもそこに出席することすらできないのが実情だという。まして原発反対を表明することはさらに難しい。知人に原発関係労働者が多く、人間関係が壊れてしまうからだ。そこに県民投票の意義がある、と鈴木さんは強調する。
民の声新聞-静岡県民投票②
JR静岡駅前の地下道では、主にお年寄りが署名に

応じていた。「これまでの無関心を反省している」

と語る女性も=静岡市


【もはや、無関心ではいられない】

静岡市在住の小笠原学さん(38)は「子どもたちに安全な社会を作り上げたい。これまでの無関心がこういう結果を招いた。これからは政治主導でなく、市民一人一人が意思表示をすることが大切なんです」と受任者(署名を集めることができる人)に登録した。「今後は、自然と命を大切にする政治家を選ばなければいけないと考えています」。

朝から雨が降り続いた1日、小笠原さんら3人のスタッフはJR静岡駅前の地下道で道行く人々に署名を呼び掛けた。

若者がなかなか立ち止まっていかない中、何人かのお年寄りが呼びかけに足を止め、拇印を押した。静岡市内で一人暮らしをしている女性(77)は「浜岡原発にはよく見学に行ったけれど、そこで何をしているのか良く分からなかった。これまでのんびりと考えていた。福島原発で事故が起きた今、そんな気持ちではいられません。次に何かあったら日本は大変なことになってしまう。原発以外のもので電力を作る事を考えなければいけませんよね」と署名に応じた理由を話した。先日も、温泉に入りに行ったら「ここは浜岡原発のおかげで補助金をもらっている」という話を耳にしたという。「もう、そんな話ばっかりで…」と顔をしかめた。
民の声新聞-静岡県民投票①
県民投票実現へ署名を呼び掛ける鈴木代表

(左)。98年から09年まで磐田市長を務めた

=静岡労政会館


【あと1週間で1万2000筆の署名が必要】

鈴木代表は「こんなに手応えのある署名活動はない」と笑顔を見せるが、直接請求に必要な署名数にまだ、1万2000筆ほど足りていないのが実情。2日朝、JR安倍川駅前で行われた署名活動でも、通勤時間帯ということもあって多くの人が足早に通り過ぎた。スタッフは「チラシだけでも」と必死に呼びかけた。富士宮市に住む保育関係者は「自分の周りでは、このような活動があることを知っている人は少ないのではないか。全く話題に上らない」と話す。

静岡市議の宮沢圭輔さん(33)は「厳しいな」とポツリ。「もう宣伝の時期は終わりました。駅頭も地下道も日々、何らかのチラシ配布をしているので、なかなか反応してもらえない。釣りと一緒でそんなに甘くないです。でも、スーパーを廻ると子育て世代が署名をしてくれます。頑張ります。大阪や東京が法定署名数を集めたのに原発立地県の静岡がクリアしなかったらさびしいですからね」と危機感を募らせている。

別の女性スタッフも「こういう活動は、最後まで『厳しい』と言い続けないとスタッフの気持ちが緩んでしまう。でも、それを差し引いてもちょっと厳しいかな…」と本音を漏らした。署名活動が展開できるのは、11日までのあと一週間。都民投票でも、中間報告会では署名が法定数に達しないのではないかとの悲観的な声が多かったが、スタッフ一人一人の努力で最終的に34万を超える署名を集めた。浜岡原発をどうするのか。県民一人一人が真剣に考え、意思表示をする時が来ている。
民の声新聞-静岡県民投票③
JR安倍川駅で行われた署名集め。朝の通勤

時間帯だったため、足早に過ぎていく人も少

なくなかった=静岡市駿河区

(了)



復興のアピールに利用されるプール授業②~伊達市も屋外プール使用へ

屋外プール解禁が原発事故収束のアピールに利用されている─。いま、福島でささやかれている言葉だ。屋内プール建設を決めた西郷村など一部を除き、多くの自治体で軒並み屋外プールの使用を解禁。放射線量の高い霊山町を抱える伊達市も例外でなく、「早く震災以前の通常授業に戻したい」と、除染をしたうえでの屋外プール原則実施を決めた。保護者らは心情的にはわが子をのびのびと泳がせたいと思いながらも被曝の不安と葛藤する日々。原発事故後2回目の夏。決して安全な線量とは言えない環境下で、子どもたちが肌を露出して泳ぐ。


【保護者の意見を聴いてほしい

伊達市立小国小学校は昨年6月、国から「特定避難勧奨地点」(原発事故発生後1年間の積算線量が20mSvを超えると推定される地点)に指定された霊山町に位置する。文科省のモニタリング調査でもいまだに0.5μSV前後を推移してるが、4月の授業参観後に開かれたPTA総会で突然、学校側が「屋外活動を1時間程度行っていきたい」と切り出した。保護者席からはどよめきが起きた。学級懇談で担任に反対意見を伝えた母親もいたが、多くがその場では意見を言えないまま帰宅した。

「一方的に決めないでほしい」「私たちの意見も聴いて」…。

自由記述方式で実施された屋外活動に関するアンケート。5月の運動会の際、保護者に配った。学校を通してでは自由に書けないと考え、手分けして一人一人に手渡した。

「とにかく、今の気持ちを率直に書いてほしかった」

アンケート実施に加わった菅野美成子さん(40)は振り返る。

回収された用紙には、夏の太陽の下で伸び伸びとわが子を泳がせたいとする想いと、被曝をする危険性はないのかという不安とが交錯して、それぞれの保護者の言葉がびっしりと綴られている。

中には「行政も学校も問題ないと言っているのに、なぜ今さらこんなことを」と書いた保護者もいた。様々な意見があることが改めて分かったが、やはり、プールも含めて外遊びをさせたい親の被曝との葛藤が浮き彫りになったという。

「どの母親だって、外遊びをさせたいんです。でも、被曝の懸念もある。だからこそ、保護者の意見を聴いたうえでの学校からの提示、歩み寄りも欲しいですよね。対立や喧嘩をしたって何も生み出しません。大人の対立の影響を受けるのは子どもたちですから。学校だけで考えるのではなくて、親も葛藤を分かち合いたいんです」

寄せられた意見は、記入した保護者の承諾を得たうえで、コピーしたものを伊達市教委と学校に届けた。「念には念を押した対応をしたいのが親というものです」と菅野さん。間もなく、学校側から今夏の屋外プールに関する対応策が示される予定だ。
民の声新聞-プール

原発事故からわずか1年で解禁された学校の

屋外プール。泳がない子どもが不当な評価を

受けることはあってはならない

【一日も早く本来の授業に戻したい】

「早く通常の授業に戻したいんです」

伊達市教委の幹部は繰り返した。

老朽化や被災など物理的なケースを除き、屋内のプールを使うという代替案は、無い。移動に時間がかかり水泳に十分な時間を確保できないなどが理由だが、最大の理由は「一日も早く、本来の、普通の教育活動を展開したい」という思いだ。

「屋外プールを使わせたいという保護者もいるんです」と同幹部。安全性の担保は、0.23μSV/h。ただし、市教委としてはこの数値を基準値としてとらえるのではなく目標値のような位置づけとして考えているとう。「除染を進めることで、プールだけが他の敷地内の測定場所と比較して突出せず同程度の線量に落ち着けば、安全だとしたい」。

子どもたちに与えるストレスも懸念材料だという。

「早く落ち着きを取り戻したいんです。思いきり屋外で泳ぐことによって、震災によるストレスを低減したいんです。屋内プールに移動すれば『もう少し泳ぎたいのに』ということにもなるでしょう。生活のパターンがいつまでも変則的だと、身体のリズムにも影響するはずです」

小国小学校でのアンケート調査については「目は通した」という。いろいろな意見があるな、と思った。裸に近い形での水泳授業は見た目のイメージが良くない。保護者の心配はもっともです。理解を得られるよう繰り返し説明をする努力をしていきたい」と話した。

最後にもう一度、「屋外プールを使わないという選択肢は無いのか」と念を押した。すると、市教委幹部は答えた。
「水には放射線を遮蔽する効果もある。泳いでいる時間は遮蔽されますから」

民の声新聞-小国小
民の声新聞-福島県教組

伊達市立小国小学校が保護者に配ったプール

の空間線量の計測結果。6/5現在、最高で0.838

μSVあった(上)。下は郡山市立三町目小学校

のプールで計測された表面汚染度。最大で

7万1000ベクレル/㎡だった


【子どもを守る校長は圧倒的に少ない】

福島県教職員組合郡山支部は、土やコンクリートに直接触れることで表面の汚染度(Bq/1㎠)を調べることができる計測器を5台所有している。空間線量の計測と併用すれば、より詳細にどこが高線量の原因なのかが分かる。

1台20万円ほどの価格だが、本当に除染によって汚染が低減されているのか、子どもたちに悪影響が出ないのか、具体的な数値を知りたいとする教職員が多いため増やした。行政や学校が測る数値への不信感も、導入の背景にはある。現在、学校プール周辺の汚染度調査のため、すべての計測器が出払っている。

組合員が郡山市立大島小学校で5月に計測すると、プールサイドで104万ベクレル/㎡という高い値が検出された。同三町目小学校でも、7万ベクレルを超える値が検出された(数値はいずれもBq/㎠をBq/㎡に換算したもの)。

同支部幹部が嘆息混じりに語る。「しかし、放射性物質には色も臭いも無い。せめて色が付いていて目に見えれば、子どもを絶対に屋外には出さないでしょう。犠牲になるのは子どもたちなのです。屋外プールは、行政が責任を持って不使用にするべきなんです」

保護者からすれば、子どもたちの身体に悪影響があるのか無いのか明確に分からない。分からないからこそ、屋外活動には不安が募る。時に保護者の反応がきつくなるのも当然だ。だが、実際の学校現場では「そういう保護者」は奇特な存在として扱われる。屋外プールの使用に疑問を呈する教師は、校長から白眼視される。そして、子どもたちの命が最優先されないまま、事態は進行していく。
「残念ながら、子どもを守る校長は圧倒的に少ない。保護者の意見さえ聴かない。個々の教師は、不本意なまま〝加害者〟になってしまっていることも少なくないのです。本来、争わなくて良いはずのことですから」

そう話す同支部幹部は、福島県内の多くの学校で屋外プールが解禁される背景に、原発再稼働が見え隠れすると指摘する。

「1年経っても屋外プールも使えない、マスクを着用しないと生活できないということになってしまうと、国民の意識としては『あぁ、やっぱり原発が駄目なんだ』となる。反原発の思いが高まってしまう。だから『早く普通に戻したい』のでしょう。文科省からの有形無形の圧力もあるはずです」


原発事故後2回目の夏がやってくる。

(了)

【任期あと2年】佐藤雄平福島県知事をリコールへ ~最後通告突き付けた福島の女たち

福島県内の女性らが25日夕、佐藤雄平知事に〝最後通告〟を突き付けた。政府による大飯原発再稼働に明確に反対することや、東京電力の株主総会で脱原発の意思表示をすることなどを要請。実行されない場合にはリコール運動を本格的に展開させることも視野に入れている。県民の多くが日々の生活に精一杯の中でリコールの機運が盛り上がりにくい状況にはあるが、人口流出を防ぐことにばかり躍起になっている姿勢や、国会事故調での答弁など県民の間に不満が高まっているのも事実。要請行動に踏み切った女性たちは「もう我慢ならぬ」といった様子で、佐藤知事の対応如何では、2年後の任期満了を待たずして知事の座を追われる可能性も出てきた。


【逃げずに株主総会で脱原発明言を】

要請行動を行ったのは、「ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会」(佐々木慶子代表)、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(佐藤幸子代表世話人)ら4団体。急な呼びかけにもかかわらず、全国から25団体の賛同を得たという。

県知事への要求は11点。


①政府による「大飯原発の再稼働決定」に明確に反対の意思表示をすること。

②東電株主総会で「脱原発」の意思表示をすること。

③「脱原発をめざす首長会議」へ加盟すること。

④福島原発事故の徹底究明をすること。

⑤県会議員に「脱原発」活動を促し、「ふくしま宣言」へ向けて県知事・県議会の一体化の姿勢を見せること。

⑥「脱原発」実施後、県民が路頭に迷わないようなキメの細かい施政を実施すること。

⑦「廃炉」作業に関しては、労働者の被曝による健康被害の低減化に十分配慮すること。

⑧子どもの被曝を最大限避ける手立てを行うこと。

⑨廃炉に向けて科学・技術センターを設立し、教育予算の増額と人材育成をすること。

⑩全ての「ヒバクシャ県民」に「県民手帳(仮称)」を配布し、病院・研究機関の拡充を図ること。

⑪特に①と②については、遅くとも7月中に実行に移すか否かをもって、県知事としての資質・真摯さを見極める重要項目とする。


以上について、期待に応えられない場合には「知事自ら、職を辞すことを希望します」と明記した。

特に東電の株主総会に関しては、昨年は佐藤知事が議決権を行使しなかった経緯があるだけに「今年は逃げずに脱原発を明言してほしい」と求めた。
民の声新聞-要請行動①
福島の女性たちの怒りが爆発した要請行動。

佐藤知事に対し、原発再稼働への反対と脱

原発の明言を強く求めた=福島県自治会館


【「佐藤知事には気迫も気力も感じられない」】

「知事は県民の方を向いていないじゃないか」

「リコール運動を始めますよ」

対応した県職員に、厳しい言葉が浴びせられた。

政府が大飯原発の再稼働を決めても反対を明言しない佐藤知事。「福島県民は被害者だ何ら気兼ねすることはない。県民にきちんと聞こえるように反対意見を表明するべきだ」との声があがった。

ある女性は「福島はもはや、人の住む所ではない。死んだと思っている。それでも開き直って生きているんです。しかし、知事には気迫も気力も感じられない」と憤った。別の女性は「知事はどちらを向いて政治をしているのか。あと2年も任せられない」と迫った。

「放射線量が0.8μSVもあったって、子どもたちは何の規制もなく遊んでいる。安全キャンペーンの犠牲になるのは子どもたちなんですよ。知事が先頭に立って被曝回避に努めないといけない」と怒ったのは郡山市の男性。別の男性も「人として、福島県民として、まずは原発再稼働に反対するのが筋というものだろう」と詰め寄った。

原発立地地域でもあり、原発事故の直接の被害者である福島県民。それだけに、政府による大飯原発の再稼働決定は許し難いものだった。「野田首相は『福島の再生なくして日本の再生なし』と言っているが、言葉だけで実が無い。事故から何も学んでなく、福島を見捨てようとしている」と参加者の一人。だからこそ、県民の代表である県知事には政府に対し明確に反対を表明してほしいとの思いは高まる。

国会事故調での答弁は、県民の知事離れを決定づけたとも言える。

「知事自らプルサーマルを導入したのに、ピント外れの答弁。交付金も知らないような無知な知事だったのか。震災以降、佐藤知事には本当に不満が多い。あんな知事は要らないんです」
民の声新聞-要請行動②
これだけの被害を受けながら、原発再稼働や

脱原発を明確に打ち出せない県知事や福島市

議会。県民の怒りは大きい


【無記名投票で再稼働反対決議を否決した福島市議会】

県知事への要請後、参加者らは福島市議会へ移動し、渡辺敏彦副議長(真政会)と面会。22日の市議会で「関西電力大飯原発三号機と四号機の再稼動に反対する決議」が反対多数で否決(賛成17、反対19)されたことに対し、「黙ってはいられない」と抗議した。

参加者らによると、渡辺副議長は、採決は無記名投票で行われたことを明かし「議会運営委員会で決めたことなので、名前を明かすわけにはいかない。9月議会で再び議案が提出されれば、真摯に対応する」と話したという。

これに対し、福島市在住の佐々木慶子さん(69=ふくしまWAWAWA-環・話・和-の会代表)は、記者会見で「議員として採決に責任を持ちたくないということだろう。放射能汚染は回復できないんです。失ってからでは遅いんです。除染の費用対効果も疑問が残ります。福島原発事故の解明も進まないなかでの原発再稼働決定なのに、県都である福島市議会は県民の想いや苦しみを無視している」と怒りを露わにした。今後、反対議員の名前を突き止め、2015年にも行われる市議選で落選運動を展開する意向だ。

課題もある。

要請行動に参加した一人は「被曝の不安を抱える中、多くの人々が避難生活を送っており、県民は日々の生活で精一杯。リコール運動~知事選という流れが出来上がるか心配な点ではある。また、リコールが成立した場合、誰を候補者として立てるのか。考えなければならないことは少なくない」と話した。昨年からリコール運動を始めようと言う声が上がっては消えたという。これについて、佐々木さんは「確かに、佐藤知事への不満を抱える人は多いが、それが実際の行動につながるかというと難しいところはあると思う」。しかし「次の知事選までまだ2年もあるんです。今回の私たちの行動が結果としてリコールにならないとしても、佐藤知事の言動に関する事実を次々と公表して『これで良いの?』と問い続けたい。最初からリコールという言葉を使わなかったのはせめてもの温情です。お疲れのようだし、お辞めになったらどうか。全国が注視しているんです」とも話した。
民の声新聞-要請行動③
記者会見した佐々木慶子さん。

「自らお辞めになったらどうか、というのは

私たちのせめてもの温情」=県庁記者クラブ

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「原発再稼働は国民に決めさせてほしい」~都民投票条例案否決に怒り、失望、奮起

原発の都民投票条例案が都議会総務常任委員会で否決されたことを受け、請求代表者らが18日夕、都内で記者会見を開き、「都民の声を無視するな」などと怒りの声をあげた。


【議会は市民の意見を吸い上げよ】

東京・永田町の参議院会館で開かれた記者会見には、みんなで決めよう「原発」国民投票の今井一事務局長のほか、請求代表者の佐藤直己さん(品川区)、荒木伸子さん(渋谷区)、受任者の丸子安子さん(目黒区)らが出席。

荒木さんは「ロビー活動活動など、初めてのことばかりだった」と、この3カ月間の署名集めや都議会での意見陳述などを振り返った。そのうえで「これまでの私たちの無関心がこのような状況を作り出したのだと反省している。本会議で全都議の前で意見陳述をすることができなかったのは残念だし、途中のプロセスを聴かずして採決だけに参加した都議がいたのはいかがなものかと思う」と悔しさをにじませた。

佐藤さんは今後の活動方針について「市民の意見を吸い上げるシステムの無い議会は駄目。来年の都議選に、場合によっては仲間の中から候補者を擁立することもある」とし、都議会に直接加わることで、次は議員提案の形で都民投票条例の成立を目指す道もあると話した。

原案で、投票資格を「16歳以上」とし、永住外国人も加えたことについて、今井さんは「可決されやすいよう20歳以上の日本人だけに限定した方が良いという意見はあったが、都議会民主党などが提出した修正案が否決されたということは、結果は同じだっただろう。それならば理想とするところを貫くべきだし、私たちは間違っていなかった。むしろ、そのことによって、富樫泰良君やニコラス君が街頭で一生懸命に署名を集めてくれた。後悔もしていない」。荒木さんも「なぜ16歳では駄目なのか。高校を卒業してすぐに働き出せば納税者でもあるわけだし、十分に資格を満たすはず。第一、放射性物質は国籍を選ばずに降り注いでくるわけで、日本人だけに限定しなければならないのはおかしい」と、条例案に反対した都議会自民党や公明党の論調に疑問を投げかけた。

目黒区の受任者として署名集めに奔走した丸子さんは、「日本国民がどうやって何を目指していくのか。今回の直接請求が起爆剤になると思う」。「これで終わりではありません。何回でも繰り返し請求していきます」と強調した。
民の声新聞-記者会見
都議会総務常任委員会での条例案否決を受け、

開かれた記者会見

=参議院会館


【来年の3.11までには国民投票を】

「相も変わらず国民の意思が無視されて、一部の政治家が原発再稼働を決めてしまった。これは、原発に賛成するか反対するかにかかわらず、おかしい。都民だけで決めるのがいけないのなら、埼玉や神奈川、千葉にも実施を呼びかけたら良いんだ」と語気を強めた今井さん。「これからさらに、原発国民投票を実施するための運動を強めて行こうと思う。原発を争点として総選挙を実施しても、私たちの意思が反映されるとは思えない。来年の3.11までには何とか実現させたい。国民投票で決着しないと、この国は沈没してしまう」

今月23日には、原発の是非を論じあう公開討論会をYMCAアジア青少年センター(千代田区猿楽町)で開く。〝推進派の三羽カラス〟と呼ばれる小宮山涼一東大助教、澤田哲生東京工業大助教、高木直行東京都市大教授を招き、反対派の菅直人前首相、宮台真司首都大学東京教授、飯田哲也環境エネルギー政策研究所長と論戦。当日は、双方の主張を聴いたうえで、会場やネット上で模擬投票を実施するという。「国民投票といってもイメージが湧かない人が多いようだから、これからこの種の討論会を精力的に開いて、イメージを膨らませてもらいたい」(今井事務局長)。今井さんらはこの日、国民投票法の早期成立を求めて、全国から寄せられた署名を野田首相や衆参両院の議長宛てに届けたという。

「これでも首都の議会か。公開討論会への出席を求めても応じず、委員会と言う安全地帯でたった15人の都議だけで決めてしまった。そんなに主張に自信があるのなら、出てきて公の場でわれわれを論破すれば良いんだ。都議会はロンパールームだということが良く分かった」と怒りが収まらない様子の今井事務局長。都民ではないが、サポーターとして署名集めに加わった女性も「私たちは馬鹿ではないし、考えたい。決定に参加したい。都議会は都民の声を聴く気があるのか。きっと、署名が40万、50万集まっても無視するのだろう」と怒りを込めて話した。
民の声新聞-記者会見②

23日に都内で開かれる公開討論会には、

菅直人前首相も「原発反対派」の論客として

参加する

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【都民投票条例】原案、修正案すべて否決~都議会総務常任委員会

原発の是非を都民の意思で決めようと都議会に提出されていた「都民投票条例案」は18日、総務常任委員会で原案、修正案いずれも否決。20日の本会議でも否決される可能性が高くなり、32万もの署名に込められた都民の願いは叶わない見込みとなった。事務局側は「これで落胆してはいけない」として本会議までの二日間で反対派都議へのロビー活動を強化する一方、来年実施予定の都議選に独自候補を擁立することも視野に入れながら、今後も都民投票の実現に向けて活動を続けていく方針。都議会本会議は20日、午後1時に開会する。


【「立地地域に配慮を」と自民・公明が反対】

委員会では原案の採決に先立ち、都議会民主党・都議会生活者ネットワーク・みらいと日本共産党東京都議会議員団がそれぞれ提出した修正案について趣旨説明。民主党の佐藤由美都議は「都民が意思表明をする場はあってしかるべきだ」としたうえで「20歳未満の人や永住外国人にも投票権を与えることにはまだ、多くの議論が必要」として、いわゆる選挙権を有する者などとする修正点を説明した。共産党の吉田信夫都議は「投票実施までのプロセスは最大限自由であるべき」として、原案の「投票運動は都民の自由な意思を拘束し、又は不当に干渉するものであってはならない」とする条文には反対したものの、「わが党は、基本的には賛成だ」とした。

討論では、しのづか元都議(民主)が「原発政策は、第一義的には国が責任もって判断するべきだが、都民が意思表明をする場はあてしかるべきなので、適正な都民投票が実施されるよう、修正案を提出した」、吉田信夫都議(共産)が「石原都知事は『都民投票は国を滅ぼす』とまで発言しているが、立地地域でも原発再稼働には批判的な意見がある。都民的議論の中で投票が実施されるべきだ。投票資格に関しても、全国の多くの地域で20歳未満や永住外国人に権利を与えており、何ら問題ない」、星ひろ子都議(ネット)も「『センチメント』『ヒステリック』など石原都知事は都民の政治参加にを否定する発言が多すぎる。食品の放射能汚染など原発事故は立地地域だけにとどまる問題ではない」として、投票実施に賛意を示した。

一方、吉原修都議(自民)は「原発の是非を住民投票で決めることに疑義がある。今の繁栄は、立地地域が原発建設を受け入れてくれたからこそ成り立っており、立地地域の雇用などに影響を及ぼす意思表明をするのは慎むべき。ふさわしくない。都民限定で単に○×を付けるだけで原発問題は解決するものではない」と発言。伊藤こういち都議(公明)も「二者択一では、多様な都民の意思が反映されない。比較多数をもって都民の意思とすることには合理性を欠く。原発の是非を論じる時には立地地域への配慮も必要で、都民のみで判断するものではない」として反対を明言した。

採決では、都議会民主党・都議会生活者ネットワーク・みらいが提出した修正案への賛否が7-7と同数になったが、吉倉正美委員長(公明)が反対したため否決。共産の修正案、原案はいずれも起立少数で否決された。
民の声新聞-否決①
原案、修正案すべてに反対するとの意見を

表明した、都議会公明党の伊藤こういち都議

=都議会総務常任委員会


【議会構成を変えて、都民投票を実現しよう】

みんなで決めよう「原発」国民投票事務局長の今井一さん(58)は「否決は予想通り」としながらも「32万都民の方がよほど、水準が高い。都議会の馬鹿さ加減は都民の皆さんが一番良く分かっているでしょう」「立地地域を盾に都民投票に反対するなんて、むしろ立地地域の方々に失礼だ」と怒りを露わにした。

さらに「来年の都議選では、条例案に反対した都議を文句無しに落としまくろう。そして、被選挙権を行使して、議会構成を変えない限りは都民投票は実施できない。こまで全国で悔しい思いをしてきた人はたくさんいる。有権者の49%もの署名を集めても、短時間で否決されてしまったケースもある。ここで落胆してはいけない。霧のように皆がどこかへ行ってしまうのではなくて、主権者として声をあげるしかないんです」とし、都議選に独自候補を擁立することも視野に入れて運動を継続していくべきだと述べた。

委員会閉会後、都議会一階ロビーに集まった関係者は、一様にショックを隠し切れない様子。

請求代表者の一人で、意見陳述もした佐藤直己さんは「これで終わりじゃない。この先、どうしていくかだ。まずは残された二日間、駄目元で反対派都議にアプローチしてください」と呼びかけた。

坂下香澄さんも「結果は残念なもの。私たちは投票用紙を前に、悩みに悩んで〇か×かを選ぶ。二者択一の本質を理解してもらえずがっかりした。都議会のあり方は間違っている」と批判した。

条例案は20日の本会議で否決される公算が高まったが、関係者は「今後の選挙に役立てたい」として、本会議でどの都議が賛成し誰が反対したかを全員についてチェックする方針。

さらに「まだ完全に否決と決まったわけではない。今後のロビー活動如何では、奇跡的な逆転もあり得る」として、民主も含めた反対派都議への説得活動を展開する。

集まった署名数32万は、秋田市や那覇市の人口に匹敵する数字。都議会は間接民主制の大義名分の下、これだけの都民の意思を否定しようとしている。

民の声新聞-否決②
「来年の都議選では被選挙権を行使しよう」と

呼びかけた今井一さん(右)


(了)

復興のアピールに利用されるプール授業~教師、保護者の懸念

原発事故からわずか一年余で、福島県内の小中学校で屋外プールを使った水泳の授業が再開されようとしている。除染が進み放射線量が下がったとする行政・教育委員会に対し、現場の教師や保護者らからは「時期尚早」「被曝が心配」との声があがっている。屋内プールの使用など代替策はあるはずなのに、行政側が屋外プール使用に拘泥する背景には、復興が進んだことのシンボルとして屋外プール解禁を利用したい意図が透けて見える



【〝実施は最大公約数の意見〟と市教委】

郡山市役所からほど近いマンションの一室で、小中学生を持つ母親らが憤っていた。

「なぜ屋外プールにここまでこだわるのか。屋内プールで代替できるように努力するべきではないか」

母親らのグループ「安全安心アクション in 郡山」(野口時子代表)は、原発事故以降に実施されてきた屋外活動の「3時間ルール」の解除を郡山市が打ち出したことを受け、市教委に解除撤回を要請。屋外プールを使った水泳授業の実施についても反対している。しかし、面会に応じた市教育長は「自分も子を持つ親として悩んだが、屋外プールの使用は最大公約数の意見を採用した。プール使用決定は揺るがない」としていずれも拒否。市教委側は「保護者の8割がプールでの水泳授業を望んでいる」と説明したが、これはPTA役員や校長会での聞き取り結果だったと判明。この日の会合に参加した母親らは「賛否を尋ねられた覚えはない」「全ての学校で保護者にアンケート調査をするべきだ」として、実際に複数の質問項目も用意しているが、市教委がアンケート調査を実施するかは不透明だ。

ある母親は言った。

「仮にプール授業に賛成するとしても、悩みながら、わが子がプールに入れないのはかわいそうだから賛成に丸をつけるんです。二者択一で決められるものではない」

母親たちのため息が室内を包む。

郡山市教委は、プールサイドの放射線量が高い場合には、ベンチを置いたりマットを敷いたりして、子どもたちが直接、線量の高いコンクリートに触れないよう対策をとることを約束したという。しかし、母親らは「どうして、そこまでして屋外のプールを使って水泳授業を行いたいのか理解に苦しむ」と一様に首をかしげた。市側は「子どもたちの体力の低下を懸念している」「屋外プールに入ることでストレス解消になる」と説明しているが「この一年間、子どもを見てきて体力の低下など感じない」「屋内プールでもストレス解消はできる。要はやり方を工夫するか否かだ」などの意見が出た。
「将来、子どもの健康にどのような影響を及ぼすかまったく予測がつかないのだから、母親は堂々と怖がって良いと思う」と話す野口代表(47)。屋外プール使用に賛成できるはずもないが、市教委が方針を撤回しない以上、今後は、子どもたちへの悪影響を最小限に食い止めるような交渉にシフトしていく。たとえば被曝回避のために水泳授業を休んだ場合の対応。プールサイドで見学していては何の意味も無いため、保健室や図書室での自習を求めていく。

自身も、小学生の息子と中学生の娘の母親である野口代表。

「結局、今年も屋外プールを中止することによって『ああ、郡山はまだ危ないんだ』と行政は思われたくないんでしょう。一年で事故前の生活を取り戻したように印象付けたいのではないか。そんなことに子どもたちをダシに使わないで欲しい」と怒りを露わにした。
民の声新聞-3a in 郡山
屋外プールを使った水泳の授業に不安が募る

母親たち。保護者の意思を確認するアンケート

調査の実施を市教委に求めていく

=郡山市桑野


【教育委員会も原子力村と同じ】

「時期尚早ですよ」

福島市内の公立中学校教師(49)は、毅然と言った。

所属する学校は、学校敷地自体が0.1-0.3μSVと市内の学校としては比較的放射線量が低め。それでも「ただ歩くのと、コンクリートのプールサイドに座るのとは違う」として、同僚の体育教師が線労をこまめに計測。独自の除染も考えているという。「空間線量が1.0μSV以下だったら大丈夫、なんて考え方は馬鹿げている。アバウトではなく、数値は全部公表するべきだ。それも、一番厳しい数値を出さなければ意味がない」。この学校では現在でも、屋外の清掃は子どもたちにやらせていないという。

この教師によると、同市の教育長は原発事故以降「子どもたちを逆境に強い子に育てたい」と繰り返しているという。

これには、「何を寝ぼけたことを言っているのか。われわれ教師は、ある意味、一日のうちで保護者よりも長く子どもたちと一緒に生活をしている。子どもたちのリスク回避を優先するべきという考え方が身体にしみついている。第一、被曝に関しては、子どもたちは単なる被害者なのですから。大人が守るのは当然です」と批判。「被曝回避のために設けられた屋内の遊び場を多くの親子連れが利用していることを見ても、子どもたちの目線で考えればまだまだ被曝の不安は小さくない」として、水泳の授業は屋内プールで行うべきと主張している。「もし保護者にアンケートを実施したら、屋外プール使用に賛成する人は、半分にも達しないのではないか」。

街が平常時に戻っているかのように装うのに子どもたちを利用するな─。

原発事故からわずか一年余で僕外プールの一斉使用に突き進む市教委への怒りと共に、現場を預かる教師として歯がゆさも募る。

「教育委員会も、原子力村と同じです」
民の声新聞-福島市の学校プール
被曝の懸念が消えない中でのプール再開には

教師も「時期尚早」と指摘する

=福島市内の小学校


(了)

主権者たる都民に判断させよ~原発都民投票条例案で意見陳述

都議会総務常任委員会が14日午後、開かれ、原発の是非に関する都民投票条例案に関して、8人の代表請求者らが意見陳述を行った。都議会には、定員の20人を大幅に上回る都民が傍聴に訪れたが、52人が傍聴できただけでモニター傍聴も無し。「世界に向けて日本のあり方を示そう」「責任ある電力消費者になりたい」「人任せにせず、主権者一人一人が意思を示そう」…。代表請求者らは、重苦しい雰囲気のなか、慣れない場で40分間にわたって懸命に都民投票への想いを語った。条例案は15、18日に開かれる同委員会での審議を経て、20日の本会議で採決される。


【無関心をやめ、主権者たる都民が判断を】

意見陳述で、昭島市の女性は、「東京都は現在、東京電力の筆頭株主。都民には主権者として関与する権利がある」。品川区の男性は「これまでに400件を超える住民投票が全国で実施されてきたが、東京都だけが唯一、行われていない」として「憲法25条にうたわれた権利(すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する)を守るため、私たち住民も、議員たちと共に原発政策について考えるべきだ」と述べた。

中野区の男性は、3歳の娘を持つ35歳の会社員。

「これまでは政治に無関心で、選挙にもほとんど参加してこなかった」としたうえで「多くの人が自分のように無関心だったからこそ、これまで原発が無責任に建設され、稼働されてきたのだ」と住民投票の必要性を説いた。高齢者向けのボランティア活動に従事している女性は「現在の原発再稼働のプロセスは到底、納得できるものではない。将来、子どもたちに『あの時、都民投票で真剣に将来を話し合った』と胸を張って言えるようにしたい」と訴えた。

品川区の女性は、生協の理事長を務める。「現在の仕組みでは電力会社を選ぶことができず、電力に関して消費者が責任を持てない。一人一人が責任ある消費者になるためにも、都民投票は絶好のチャンス」と述べた。

「都民投票が実現すれば都内各地でワークショップが開かれ、オープンな議論を行える」と語ったのは、渋谷区の女性。立川市の女性は「住民投票は、間接民主制を否定するものではない」と強調したうえで「かといって、議員に白紙委任したわけでもない。人任せにして問題に立ち向かわない主権者でいることを、もうやめたい。主権者一人一人が意思を表すべき」と呼びかけた。
民の声新聞-意見陳述①
緊張した面持ちで意見陳述をした代表請求者

たち。それぞれの言葉で都民投票の必要性を

訴えた=東京都議会


【原発をやめられない社会をやめよう】

「2人の幼子を抱える大学教員です」

意見陳述のトリを務めたのは、首都大学東京の宮台真司教授(53)=世田谷区=。

宮台教授は「住民投票はポピュリズム、衆愚政治だとの批判があるが、そもそも反原発ではない。議会制民主主義の弊害を取り除くためのものであり、住民が意思表明をするためのものだ」「都民投票が実現すれば、行政や事業者、専門家から様々な情報を出させ、約3カ月間にわたって議論をする。医療でいうところの『インフォームドコンセント』や『セカンドオピニオン』のプロセスに似ている」と述べた。

これまで、国策としての原発政策を決定してきたのは「巨大なフィクションの繭の中だった」と批判。「絶対安全、何よりもコストが安いという日本だけでしか通用しない論理が振りかざされてきた」「大停電は予測可能だし対処もできる。でも、原発事故は予測も収拾も不可能なリスク」と述べた。

宮台教授はさらに、永住外国人や16歳以上の若者にも投票資格を当てている点に関して「投票権ではなく、討論会やワークショップへの参加資格と考えていただきたい」と強調。「もし、原発賛成が上回っても一向に構わない。これまでの日本社会は、〝ブレーキのない車〟だった。原発をやめられない社会をやめることが肝要なのです」と述べ、意見陳述を締めくくった。
民の声新聞-意見陳述②
委員会室に入れなかった人のために、一階

ロビーで意見陳述が再現された


【前例にない、とモニター傍聴は無し】

委員会を傍聴しようと一時間以上前から長い行列ができたが、実際に委員会室に入れたのは52人にとどまった。開会前に都議会側から「本来の定員は20人だが、強い要望があったので委員長と相談して32席増やしたと説明があった。事前に、別室でモニター中継することも要求として出されていたが「これまで、生中継しているのは本会議などに限られており、委員会の中継は前例にない」として、慣例を理由に実施されなかった。それにもかかわらず、中には意見陳述中に居眠りをする都議もいた。

集まった都民の2/3は傍聴が叶わなかったため、終了後に一階ロビーで意見陳述を再現。条例案に賛成する都議も顔を出し、民主党と生活者ネットワーク・みらいとで修正案を提出することを明らかにした。さらに、総務常任委員会に所属していない都議にも都民投票の必要性を理解してもらおうと、スタッフが各会派の控室を訪問。意見陳述のリハーサルを収録したDVDなどを配った。
傍聴を巡る都議会側の対応を巡っては、みんなで決めよう「原発」国民投票の今井一事務局長が「主権者を委員会室から排除して、多数の理事者が場所をとっているのはアンフェアだ」と声を荒げる場面も。今井事務局長は「勝負は20日の本会議。ぜひ傍聴席を埋め尽くしてほしい」と呼びかけた。同日夕には、条例案の可否にかかわらず参議院会館で記者会見を開くという。

民の声新聞-意見陳述③
総務常任委員会に所属していない都議にも

思いを伝えようと、意見陳述のリハーサル風景

などを収録したDVDを都議全員に配った都民

投票のスタッフ

(了)