「屋外プール使用に問題なし」「屋外見学強要せず」~福島市教委からの回答書 | 民の声新聞

「屋外プール使用に問題なし」「屋外見学強要せず」~福島市教委からの回答書

福島原発事故から1年余で再開された屋外プールを使った水泳授業について、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」(佐藤幸子代表世話人)が福島市の佐藤俊市郎教育長宛てに提出していた要望書に対し、市教委からの回答書が5日付で届いた。水泳授業は既に走り始めており、市教委は「見学した児童は成績評価で不利益を被らない」「屋外での見学を強要しない」ことは明言したものの、屋外プールの使用そのものについては「除染による放射線量の低減を確認している」として問題ないとの考え。保護者が抱く被曝の不安との認識のズレが浮き彫りになった。


【年1mSV超えないことを確認しての実施】

要望①:福島市が再開の基準としている空間線量1μ㏜/h以下は、労働基準法では18歳未満が労働を制限されている0.6μ㏜/hより高い基準であることから、見直しをすること

回答:学校生活における児童生徒が受ける線量について、文部科学省では1年間の学校施設での積算線量を1mSV以内に抑えることとしています。福島市では無用な線量を浴びさせないことはもちろんのこと、文部科学省の積算線量を下回るよう教育課程を工夫し、児童生徒の安全確保に努めているところです。学校プールの使用につきましては、これまでにすべての施設の除染を行い、プールサイドの空間線量は文部科学省の基準を大幅に下回っており、野外プールを使用しても年間に受ける線量「1mSV未満」に大きな影響はないことを確認し実施することとしたものです


【見学者は屋内での代替学習も】

要望②:被ばく軽減のため、見学を希望する児童・生徒に対してはプールサイドでの見学、校庭での運動
をさせないよう配慮すること

回答:水泳指導を希望しない児童生徒については、その意向を十分尊重した対応をとるよう、各学校に通知しているところです。児童生徒がプールサイドでの見学を希望した場合は、水泳等の習得につながることから見学させますが、希望しない場合には、水泳における安全の心得を学習させるとともに、屋内で水泳に関する学習または水泳に代わる運動を学習することになります。水泳に替わる運動を実施する際には、夏場における児童生徒の健康・安全を考慮して運動や活動場所を選択するよう、各学校に対して指導しているところです


【放射線教育を全学年で指導】

要望③:見学を希望する児童・生徒が児童・生徒から、いじめ等にあわないように、放射線に対する個人個人の受けるリスクの違い、考え方の違いを認めるよう児童・生徒に指導すること

回答:低放射線量のもとで長期間向き合っていかなければならない状況を踏まえ、放射線に対する正しい知識と理解のもと、適切に判断し行動する力を育むことを目指した放射線教育を小・中学校の全学年で指導します。また、教員に対し児童生徒の心のケアに関する研修会を計画的に実施し、児童生徒に寄り添い自己肯定感等を高める指導を推進します。これらを通し、一人ひとりの児童生徒に互いの人格を尊重して集団生活を送る態度を身につけさせます


【不利益にならぬよう評価・評定】

要望④:見学を希望する児童・生徒がそのことで成績に不利益にならないように配慮すること

回答:評価・評定では、水中活動を行わないことで著しく不利益になることがないよう「運動の技能」の観点で総合的に行います


【教職員の共通認識を再度徹底】

要望⑤:上記の内容を教職員の中でも共通認識とする為、十分理解できる説明を教職員に対して行うこと

回答:「学校プールでの水泳指導を希望しない児童生徒の対応」については、平成24年6月19日付けで各学校の校長に通知し、その徹底を図っているところです。また、希望しない児童生徒への対応例を具体的に示し、教職員の共通認識が図れるよう、再度文書で依頼したところです。今後ともご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます
民の声新聞-プール
福島市内の小学校の屋外プール。市教委は

「除染で放射線量は下がっており使用に問題

ない」との考え

(了)